カソウスキの行方 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
もしかしたら、恋愛なんてものは全て『カソウスキ』なのかもしれない…と思ってしまった。 それが何かの瞬間にあーなったり、こーなったり…なんだかとても平坦な気持ちで考えさせてもらった。 どの物語も大きな盛り上がりはない日常の小さな波の中で、大切なものを見つけていく主人公たちの健気さに微笑まされた。
Posted by
『仮想好き』から『カソウスキ』。 職場の同僚を好きになったというテイで日々の鬱憤を晴らそうとするイリエの物語は、なんとも窮屈でもの寂しく、なんとも愛おしいものだった。 表題作をはじめ、中短編3つの物語が詰め込まれた本作は、恋愛に対してというより人間に対しても不器用なひとたちの、自...
『仮想好き』から『カソウスキ』。 職場の同僚を好きになったというテイで日々の鬱憤を晴らそうとするイリエの物語は、なんとも窮屈でもの寂しく、なんとも愛おしいものだった。 表題作をはじめ、中短編3つの物語が詰め込まれた本作は、恋愛に対してというより人間に対しても不器用なひとたちの、自分流に繋がりをつくりだそうと生きる姿が心に焼き付く小説でした。 あとがきの”人をうらやまなくても、ねたまなくてもちゃんと生きていける。大丈夫、と思わせてくれる”は、まさに津村作品すべてにしっくりくる言葉だとわたしは思う。 津村さん的恋愛小説、最高です。 すごくしっくりきます。やっぱり沁みる。
Posted by
笑えるシーンもあるのにシリアスっぽい言葉をメモしてしまう。 《「恋愛はすごいなあおい」そう口に出して言ってみるが、棒読みだった。》 《泣いていませんように、とだけ、イリエは願った。本当に、まじめなことはそんなにいいことじゃない。自分の言ったことを忘れられないようなたぐいの。簡...
笑えるシーンもあるのにシリアスっぽい言葉をメモしてしまう。 《「恋愛はすごいなあおい」そう口に出して言ってみるが、棒読みだった。》 《泣いていませんように、とだけ、イリエは願った。本当に、まじめなことはそんなにいいことじゃない。自分の言ったことを忘れられないようなたぐいの。簡単にそれを撤回することはできないような。》 《「お客さーん、考え直してくださーい!」どうして逃げるのか自分でもよくわからない。…自分にいいことがあってはいけないと思ったのだった。》 (この、福引で1等を当てたのに必死で逃げるシーンのシュールさと臨場感とやるせなさがすごい) 《…わたしはそちらのことを好きなふりをして無理やり通勤するほどでした。そうするとわりと楽しくなりました。努力のかいあって、やりたいと思うようにまでなったこともありました。べつに何もなかったですが、そういう意味でもお世話になりました。》 あと裏表紙のあらすじ、パンチが効いててすごい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最初に読んだのが『あいつらより永遠に…』だったので、そちらのインパクトの方が強く残っている。 その社会人パターンのよう。 この人は少し気だるい、まるで居酒屋の飲んべえなおっさんから話を聞いてるかのような、気軽に読めるけど鋭い、面白さがある。 中の下、というか、そこくらいのちょっとマイナスな状態を書くのがうまい人。そこまで落ちちゃっても大丈夫なんだよ、案外人生って、大丈夫だから、とちょっとユーモアに語ってくれる。 気だるいのに力強く、諦めているみたいなのにしぶとい。クセになる。疲れていても、落ち込んでいても読める本。
Posted by
サイコーでした。 私も職場でカソウすることにします。 表題作のあとの Everyday I write a book と花婿のハンブラビ法典 どちらもよかった。 主人公たちに、好感がもてる。
Posted by
どこにも行けなさそうで行けそうな恋愛模様。読んでて楽しいとか引き込まれるとかではないが、不愉快ではなくサラリと読める
Posted by
セクハラを告発したら、倉庫の管理業務に左遷されてしまった女性が、 生活に張り合いを持たせるため、同僚の冴えない男を好きになったと仮定して 生活するようになる表題作。 気になっていた男性が結婚し、なんとなく彼のクリエイティブな妻のブログを チェックするのを止められない女性が主人公の...
セクハラを告発したら、倉庫の管理業務に左遷されてしまった女性が、 生活に張り合いを持たせるため、同僚の冴えない男を好きになったと仮定して 生活するようになる表題作。 気になっていた男性が結婚し、なんとなく彼のクリエイティブな妻のブログを チェックするのを止められない女性が主人公の「Everyday I White A Book」、 結婚式の直前。婚約者にされた不義理(遅刻とか)に対し、 同じだけの不義理で返すのを密かな習慣にしていた主人公の前に 蠱惑的な婚約者の妹が現れる。 彼は先日婚約者が浮気してしまったと告白したことを思い出し、 という「花婿のハンムラビ法典」の3作収録。 どの主人公も一見体温が低くて、さばさばしているように見えるけど 根が真面目で実は傷ついている人ばかりで、 一見恋愛や結婚をテーマにしているようにみえながら 実際は生活の不条理さみたいなものへの抵抗を書いている感じ。 「Everyday~」で、主人公が「日常を愛でるように生きていかないと駄目ですね。そうでないと、生きている意味がないですよね」ってブログを読んで泣きだしてしまう場面、超わかる。うるせえってなる。
Posted by
花婿のハムラビ法典は、珍しく男の人が主人公だった。彼女の不義理を不義理で返すというのは、とてもよい考えだと思う。でもだいたい不義理をする相手に不義理で返したとしても大してそれを気にしていなかったりするのだけど、確かに自分の精神衛生上、よいかも。
Posted by
表題作の『カソウスキの行方』、『Everyday I Write A Book』、『花婿のハムラビ法典』の3編を収録。 「カソウスキ」は「仮想好き」。28歳の独身女性イリエは、後輩が部長のセクハラに悩んでいるという言葉を真に受けて会社に直訴。ところが実はその後輩と部長が不倫中で...
表題作の『カソウスキの行方』、『Everyday I Write A Book』、『花婿のハムラビ法典』の3編を収録。 「カソウスキ」は「仮想好き」。28歳の独身女性イリエは、後輩が部長のセクハラに悩んでいるという言葉を真に受けて会社に直訴。ところが実はその後輩と部長が不倫中で、後輩が部長をちょっと困らせてやろうと思っただけのこと。直訴したころには不倫バカップルは仲直り、センパイの勘違いだと言われて、イリエは郊外の倉庫へ左遷されてしまう。そこにいる社員はイリエのほかに2人だけ。1人は年下の既婚者、もう1人は同い年だけど、どうにもときめかない男。生活に張りを持たせるために、イリエは無理やりその男=森川を好きだと自分に思い込ませる。つまり「好き」という仮想。 こんな設定の表題作は、クスッと笑ってしまうシーン満載。無理に誰かを好きになることがこれほど面倒だとは。だけどその面倒を楽しみつつ前へ進めば、誰かのいいところがいろいろと見えてきます。 残り2編は表題作とはまたちがう恋愛の形。2編目は、ほとんど一目惚れだった相手がその後すぐに結婚。妻となった人のブログをついつい覗きに行っては凹む女性の物語。3編目は、遅刻やドタキャンが日常化している女性とつきあいはじめた男性が、彼女が遅刻すれば次回は自分が少し遅刻というふうに、ハムラビ法典的にやり返して自己満足します。表題作がオススメ。
Posted by
好きになってみる ってカソウのスキ。 楽しくない日々も楽しくなるかもしれない 遊び。 楽しそう。 森川いい奴だしね。 3話目の「花婿のハムラビ法典」 こういう関係絶対いやだけど なんか分かる。 嫌な事じゃなくて いい事だったら いい関係になるよね? む...
好きになってみる ってカソウのスキ。 楽しくない日々も楽しくなるかもしれない 遊び。 楽しそう。 森川いい奴だしね。 3話目の「花婿のハムラビ法典」 こういう関係絶対いやだけど なんか分かる。 嫌な事じゃなくて いい事だったら いい関係になるよね? むーん
Posted by