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リヴァイアサン の商品レビュー

4.1

35件のお客様レビュー

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2024/01/08

この本は、第一次世界大戦を舞台にしたスチームパンクSFで、ローカス賞を受賞した三部作の第一巻です。この世界では、バイオテクノロジーと機械工学という二つの対立する文明をリアルに描き出しているからです。この本の世界では、英国やフランスなどの「ダーウィニスト」と呼ばれる国々は、遺伝子操...

この本は、第一次世界大戦を舞台にしたスチームパンクSFで、ローカス賞を受賞した三部作の第一巻です。この世界では、バイオテクノロジーと機械工学という二つの対立する文明をリアルに描き出しているからです。この本の世界では、英国やフランスなどの「ダーウィニスト」と呼ばれる国々は、遺伝子操作で生み出した巨大な動物たちを兵器や乗り物として使っています。一方、ドイツやオーストリアなどの「クランカー」と呼ばれる国々は、蒸気機関やディーゼル駆動の機械文明を発展させています。この二つの文明は、オーストリア大公夫妻の暗殺をきっかけに戦争に突入します。 そんな本作の主人公は、二人の少年少女です。一人は、暗殺されたオーストリア大公の息子であるアレック。彼は、両親を殺した一派に追われる途中で、数名の家臣と共にストームウォーカーという多脚マシンで追っ手からの逃亡を余儀なくされます。もう一人は、空への憧れから男装して英国海軍航空隊に志願した少女デリン。彼女は、リヴァイアサンの乗組員として、アレックと出会います。二人は、敵味方の立場にあるにもかかわらず、次第に友情を育んでいくことになります。しかし、彼らの周りでは、ダーウィニストとクランカーの戦争が激化していきます。彼らは、自分たちの属する文明と、自分たちの信じる正義と、自分たちの絆との間で、どう選択するのでしょうか。 私が思う本書の魅力は、やはり、対象的な二つの文明の描写です。作者は、バイオテクノロジーと機械工学という二つのテーマを、非常に独創的なアイデアで物語に落とし込んでいます。例えば、リヴァイアサンは、クジラだけではなく、他の動物の遺伝子を組み合わせて作られた飛行獣で、その体内には、様々な生き物が共生しています。また、クランカーの機械は、二脚歩行兵器や八脚歩行兵器だけではなく、巨大な飛行船や潜水艦なども登場します。これらの文明は、現実の歴史とも関連付けられており、例えば、ダーウィニストは、進化論の発展によって生まれた文明であり、クランカーは、産業革命の発展によって生まれた文明であるという設定になっています。 ジャンルとしては、スチームパンクSFになる本作。しかし、歴史と科学と空想と冒険と人間という要素を組み合わせた、ジャンルに留まらない魅力が詰まっています。

Posted byブクログ

2019/12/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ちょっと!おもしろいやないの!! なんで途中までで一旦止めれたのか半年前の自分!? 個人的にこういう子供向けみたいな冒険小説は大好きです。 「スチームパンク」小説と銘打ってますが、スチームパンクってこんなの?私のスチームパンクのイメージって、もうちょっとメカメカしいのがメインで、動物が出てくるとしても、昆虫とかの節々した生き物とか、哺乳類でも鱗があるような生き物とか、装甲が金属になった生き物とかなイメージでした。改造生物がふわふわなのがちょっと新鮮。 てか、そういえばミッドナイターズも面白くて一気読みしたな。しばし睡眠を削る予感。

Posted byブクログ

2019/10/18

機械文明のクランカーvs遺伝子操作で人造獣を操るダーウィニスト。その設定だけでもうメロメロ。そして史実と空想の絶妙なバランス!願わくばこの三部作をきちんと最後まで刊行してくれることを望む。誰が読んでも楽しめる、最高のスチームパンク。

Posted byブクログ

2018/10/29

新☆ハヤカワ・SF・シリーズが新しく刊行されているなんて知らなかった! 早川書房には何回も要望は出してたけど、まさか現実になるなんて! 数年前、旧シリーズ全318冊を必死でコンプリートした人間としては買わないわけにはいかないだろう。 ただ、1期の配本予定が10冊しかないのは残念。...

新☆ハヤカワ・SF・シリーズが新しく刊行されているなんて知らなかった! 早川書房には何回も要望は出してたけど、まさか現実になるなんて! 数年前、旧シリーズ全318冊を必死でコンプリートした人間としては買わないわけにはいかないだろう。 ただ、1期の配本予定が10冊しかないのは残念。 イラストのタッチはちょっと微妙な感じ…。

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2018/10/28

【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ボーイミーツガールであり、戦乱ビルドゥングロマンであり、文明の衝突。リヴ...

【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ボーイミーツガールであり、戦乱ビルドゥングロマンであり、文明の衝突。リヴァイアサンやホッブズって何のメタファーなんだろうか。とにかく、無類に面白い。未来の方を向いている作品において、アイディアが食傷気味だったというのもあるかも。 【目次】

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2018/10/08

30:仮想歴史+スチームパンクで「1914年」を描く、というだけで心ときめくのですが、遺伝子操作した動物たちを生活基盤におく「ダーウィニスト」(イギリスなど)、機械文明を発達させた「クランカー」(ドイツなど)の勢力対立が史実に加わって、歴史が不得手でも楽しめました。めっちゃおもし...

30:仮想歴史+スチームパンクで「1914年」を描く、というだけで心ときめくのですが、遺伝子操作した動物たちを生活基盤におく「ダーウィニスト」(イギリスなど)、機械文明を発達させた「クランカー」(ドイツなど)の勢力対立が史実に加わって、歴史が不得手でも楽しめました。めっちゃおもしろかったです! オーストリア公子のアレックと英国海軍航空隊のデリン、ふたりの主人公も対照的な性格ながら、それぞれ抱えているものを表に出せずにいるところや、戦争に対しての考え、思いなども読ませます。何より、デリンが男装少女であることが個人的に超高得点! 代謝によって産生した水素を気嚢に溜めて飛行する「水素呼吸獣」リヴァイアサン、強力なエンジンと複雑なギミックで駆動する機械歩兵ストームウォーカーなど、両陣営の研究成果も読んでいて楽しく、また大人向け(?)の本には珍しく、たくさんの挿絵があるのも嬉しいです。スピーディな戦闘描写やリヴァイアサン乗員たちの活き活きした様子など、重厚な世界観が感じられ、続編が楽しみです! '12.7.23 購入タグを追加

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2015/11/22
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※このレビューにはネタバレを含みます

まさしくスチームパンク。正しい史実を下敷きとしてあり得ない遺伝子操作とロボット的なギミックの対立を第1次世界大戦として描いている。挿絵が素晴らしい。戦争としては、生物兵器が機械兵器に敵うとは思えず、本作でも空中戦艦たるクジラは良いところがなく、これで戦争になるのかという感もあるが、謎の卵で戦況が変わるのか?

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2015/09/06

生命科学の『ダーウィ二スト』、機械工学の『クランカー』、2つの勢力がせめぎ合う第一次世界大戦下のヨーロッパ。流転の公子アレックと男装の兵士デリンは開戦直後の混乱の中で出会う。 空飛ぶ鯨の飛行船、武骨な巨大ロボ。困難な状況を勇気と機転で乗り越え、成長していく少年少女。正しいジュブナ...

生命科学の『ダーウィ二スト』、機械工学の『クランカー』、2つの勢力がせめぎ合う第一次世界大戦下のヨーロッパ。流転の公子アレックと男装の兵士デリンは開戦直後の混乱の中で出会う。 空飛ぶ鯨の飛行船、武骨な巨大ロボ。困難な状況を勇気と機転で乗り越え、成長していく少年少女。正しいジュブナイル小説です。 スチームパンク好きなら絶対読め、ですね。

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2014/12/17

第一次世界大戦の史実と作者が考えた生物、機械を組み合わせた書かれたSFの第一部。遺伝子操作された動物を兵器にするイギリス軍と機械兵器のドイツ軍。両者の対立の中で出会ったオーストリアの公子と女の子の兵士。これから色々面白くなりそうな感じです。

Posted byブクログ

2014/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スチームパンク系久しぶりに読みました。面白かった。 サブタイトルにある通り、大空を泳ぐ巨大な鯨型戦艦リヴァイアサンの乗組員の冒険譚です。 ドイツ帝国と欧州連合間の緊張が高まる中、ある深夜、とうとう火蓋は切って落とされ、不安定なオーストリア皇位継承権を持つ少年、アレクサンダー公子は僅かな護衛をともなって故国を脱出し、スイス国境にある隠れ家まで逃げ伸びる。 アレクが亡命する少し前に、イギリス空軍に入隊したディラン・シャープという少年兵。 憧れていたリヴァイアサンの乗組員になり、とある科学者をオスマン帝国まで送り届ける任務に加わる。しかしリヴァイアサンは途中でドイツ空軍から攻撃を受け、スイス山麓の氷河へ不時着する。 ここで亡命中のアレクと出会うわけです。 リヴァイアサンたち人造獣を「呪われた生き物」と忌み恐れながらも見惚れるクランカーでカトリックのアレクサンダー公子と、「機械なんて数分おきに油を差さないと使い物にならないじゃないか」とダーウィニズム心酔のディラン士官候補生。 すれ違いながらも共闘し、次々に危機を乗り越え…的な感じ。 共闘するんだけど、アレクは箱入り育ち&複雑な立場にいることもあってちょっと頼りないかな。自国の陰謀によって大戦が始まり、さらに皇位継承者であるが故に行き場が無い。もともとスイスの山奥で大戦終結までの長い年月を隠遁し続けなくてはならなかった。でも、リヴァイアサンを助けたことから今は局所的にだけど呪われたダーウィニストに協力している。 何かにつけ悩むアレクに比べて、とにかくディランは活発で格好良いです。 何かあったら一番に飛び出し、鯨の体に張り巡らせたラットラインを縦横無尽に駆けまわり、小さな伝令トカゲを走らせ、悪態を吐きながら問題を解決し、戦友を助け、常にみなに頼られる存在というか。

Posted byブクログ