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卵をめぐる祖父の戦争 の商品レビュー

4.4

87件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    32

  3. 3つ

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2013/02/15

 とても良かった! 久し振りに本にのめり込んだ。  話は、作家である孫が、現在は祖母と共にアメリカに暮らしているソヴィエト出身の祖父に、戦争の話を聞く所から始まる。  舞台は第二次世界大戦、包囲戦で飢餓に苦しむレニングラード。  物語は、コソ泥として軍に捕えられたレフ(祖父)が...

 とても良かった! 久し振りに本にのめり込んだ。  話は、作家である孫が、現在は祖母と共にアメリカに暮らしているソヴィエト出身の祖父に、戦争の話を聞く所から始まる。  舞台は第二次世界大戦、包囲戦で飢餓に苦しむレニングラード。  物語は、コソ泥として軍に捕えられたレフ(祖父)が、脱走兵として捕えられたコーリャと共に、自分の娘の結婚式に必要な卵一ダースを探し出し持ち帰るよう、大佐から命令を受ける。その期限である一週間の出来事を、祖父が語って聞かせる形。  邦題がコミカルなので、軽めの話なのかと思っていたら、とても残酷で重い内容だった。  以前に、この包囲戦で餓死した少年の日記を読んだ事があったので、その内容も思い出されて、かなり辛かった。  でも邦題が内容に合っていないわけではなく、文章にはユーモアがふんだんに散りばめられていて、読んでいて楽しい部分も沢山あった。  というか、ユーモアの部分は全てコーリャ一人が引き受けている感じ。美形で体格もよく体力もあり、おしゃべりで下品で自信家で楽天家で、友達思いのコーリャ。コーリャ当人からは戦争の残酷さ、悲惨さ、愚かさは全く感じられない。  でもそういう彼がいるからこそ、却ってそれらが際立つような物語に仕上がっているんだと思う。  ラスト直前のシーンは、電車の中だったにも係わらず、ちょっと涙ぐんでしまった。  映画化したら、きっと私の想像した通りの映像が観られるんだろうなという描写だった。流石は映画界で活躍してる人が書いた本、という感想。  それから、本のラストが、祖父の昔語りでそのまま終わっており、孫の視点に戻ってこないところが、読者それぞれの読後感を大切にしてくれている感じで、とても気に入った。

Posted byブクログ

2013/02/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

コーリャとのかけあいがおもしろい 読む楽しさを味合わせてくれる ヴィカがよい なぞめいたヒロインだ ベニオフのコンプレックスがあるとこがよい とても感情移入できる コーリャが主人公ではこうはいかない そして ヴィカの最後の台詞 「あたし,料理はしないの」 アーベントロートとのチェスシーンなど 緊迫感のあるシーンはあるけど この小説のおもしろさは コーリャとの会話だろうから 映画化してもどうかな

Posted byブクログ

2013/02/04

外人アレルギーなので心配しておったんですが、嬉しいことに杞憂でした。 第2次大戦時のレニングラード包囲戦を舞台に、卵1ダースを持ち帰るという密命(笑)を受けた17歳ユダヤ青年の冒険譚。 正直、ユーモアという部分でのズレは否めないものの、珍妙な設定も手伝ってか、物語としての魅力が素...

外人アレルギーなので心配しておったんですが、嬉しいことに杞憂でした。 第2次大戦時のレニングラード包囲戦を舞台に、卵1ダースを持ち帰るという密命(笑)を受けた17歳ユダヤ青年の冒険譚。 正直、ユーモアという部分でのズレは否めないものの、珍妙な設定も手伝ってか、物語としての魅力が素晴らしい。

Posted byブクログ

2013/01/26

もともと興味が薄い戦争をテーマに書かれた感じのものだったので、読み進めるには何度も休憩が入って、気づけば数ヶ月ものあいだ図書館で狩り続けていた。 そういう事情から、途中返却したので、よくわからない。

Posted byブクログ

2013/01/22

おもしろかったです。ミステリー枠のようですがそこまでミステリーじゃないと思います。第二次世界大戦中のロシアで少年期を過ごしたおじいちゃんの話を書きまとめたというスタイルです。なので主人公は少年なんですが一人称は「わし」です。違和感あるけどそこがなんだかいいんです。 ロシアで夜間に...

おもしろかったです。ミステリー枠のようですがそこまでミステリーじゃないと思います。第二次世界大戦中のロシアで少年期を過ごしたおじいちゃんの話を書きまとめたというスタイルです。なので主人公は少年なんですが一人称は「わし」です。違和感あるけどそこがなんだかいいんです。 ロシアで夜間に外に出ていたため捕まった主人公と、同じく何かしらの事情で捕まったよくしゃべる兵隊、コーリャの珍道中です。とにかくこのコーリャって男が状況も考えずよくしゃべる。なので、本来なら重苦しい戦争というテーマがなんだかバカな事と思えてきます。まー実際戦争なんてバカがやることなんでしょうが。。

Posted byブクログ

2013/01/25

この小説、なかなかユニークな邦題だが、 時は1942年、舞台はナチス包囲下のレニングラード、そこでの僅か一週間足らずの出来事が描かれている。 歴史に明るい方なら、レニングラード包囲戦といえば、ああ、第二次世界大戦における独ソ戦か!とピンとくるだろう。 1941年から1944年に...

この小説、なかなかユニークな邦題だが、 時は1942年、舞台はナチス包囲下のレニングラード、そこでの僅か一週間足らずの出来事が描かれている。 歴史に明るい方なら、レニングラード包囲戦といえば、ああ、第二次世界大戦における独ソ戦か!とピンとくるだろう。 1941年から1944年にかけて、ドイツ軍は900日もの間、ソビエト連邦第二の都市・レニングラード(現・サンクトペテルブルク)を包囲した。 だが、私は歴史にも疎い。(苦笑) そして、それは歴史に疎い私でさえひき込まれてしまう、見事で素晴らしい作品だった。 一人称で語られるその歴史は、あの戦争から70年以上経っていても、それは歴史ではなく現実として読者に迫ってくる。 時にうざいとさえ思うほどの描写が、脳裏に小説をリアル化させる。 また、主役級の登場人物の一人、脱走兵のコーリャ(本人は脱走兵とは認めていない)のあっけらかんな態度といい、物言いといい、これが実に爽快である。 ちょっと根暗で悶々とした主人公レフとの掛け合いも非常に愉快だった。 ユーモアのあるリズミカルな文章に、らしさもきちんと描いている。 ロシアらしさ、ロシア人らしさ、ユダヤ人らしさ、それらをきちんと描き切ってる上に、 他愛無い、ちょぴり下品でさえあるユーモアで、あまりに残忍な内容さえも重くならず、それが逆に戦争の悲惨さや浅はかさ、愚かさをストレートに伝える辺り、作者の力量に脱帽した。 これは戦争物である上に、二人の青年の青春物語でもあったりする。 だから、飽きない。 あ、面白さのあまり、どんな内容かも書かないうちに、とりとめもなく記してしまったが、、、 17歳である主人公のレフは、作者ディビッドの祖父として描かれている。 夜間外出禁止令を破って捕まったレフと脱走兵のコーリャは、軍の大佐から大佐の娘の結婚式のために卵を一ダース手に入れるよう命じられる。 今日は土曜日、期限は木曜の夜明けまで、一週間もない。 だが、レニングラードには卵などどこにもない。 こんな飢餓の中、どこに卵があるというのか? 卵を求める二人の前には、信じられない残酷な場面が展開する。 が、そこはコーリャだ。 この愛すべきキャラクターのおかげで救われたのはレフだけでなく、一読者である私もだった。 それにしても、命令を下す大佐のこの言葉。 「娘は本物の結婚式を望んでる。 きちんとした結婚式をだ。 それはいいことだ。 人生は続くのだからな。 今、われわれは野蛮人と戦ってはいるが、だからといって、人間らしさを失っていいことにはならん。 ロシア人でありつづけなきゃならん。 だから、音楽もダンスもある結婚式になるだろう・・・・・それにケーキもある結婚式にな」 ナチスもナチスなら、こいつもこいつだな。(苦笑) だが、戦争というものはそんなものなのかもしれない。 大義名分なんて、はなっから存在しないのだ。

Posted byブクログ

2013/01/08

「レニングラードには卵がないんだ…。」大佐の言葉で自分の命が卵にかかっている事を知る主人公。この本の題名が戦時下の人間の命がいかに儚く軽んじられているかを表している。 スターリン体制下かつナチスドイツ包囲下のレニングラード。その惨状は目を覆うばかりだが、そんな中でもユーモアを忘...

「レニングラードには卵がないんだ…。」大佐の言葉で自分の命が卵にかかっている事を知る主人公。この本の題名が戦時下の人間の命がいかに儚く軽んじられているかを表している。 スターリン体制下かつナチスドイツ包囲下のレニングラード。その惨状は目を覆うばかりだが、そんな中でもユーモアを忘れず必死に生き延びようとする主人公レフとコーリャ。読みだすと続きが気になり、一気に読んでしまったほど引き込まれた作品。 戦争の愚かさや戦争がもたらす惨状と、どんな環境でも諦めない二人の青年の魅力とのコントラストが秀逸。

Posted byブクログ

2013/01/07

これを年初の1冊にしようと思っていた。コーリャ!最初イヤな奴だしなんかラノベ的展開だしと思っていたのにあっという間に引き込まれた。そのかる~い展開の脇で垣間見える戦争描写が冷静で、皮肉がきいていて、でも最後一応ハッピーエンドなのに救われる。

Posted byブクログ

2012/12/29

良い本だった。ロシアが舞台だが、サンクトペテルブルク包囲戦時の戦争の悲惨さを描きながらも、ユーモアが有るので全体として重みが少なくて済んでいる。その分、戦争の愚かさと、それに振り回される人達の悲哀が際立っている。オススメしたい。

Posted byブクログ

2012/12/29

まさに傑作!! 2012年の最後に良い本が読めました。2012年読んだ本で一番面白いかも。 死と隣り合わせなスリリングな場面とユーモアが入り混じって、笑えて泣けてハラハラできて、という感じ。友達想いでユーモアたっぷりのコーリャがカッコいい。 とにかく作り方が上手すぎる! 最後の1...

まさに傑作!! 2012年の最後に良い本が読めました。2012年読んだ本で一番面白いかも。 死と隣り合わせなスリリングな場面とユーモアが入り混じって、笑えて泣けてハラハラできて、という感じ。友達想いでユーモアたっぷりのコーリャがカッコいい。 とにかく作り方が上手すぎる! 最後の1行でやられます。 デイヴィッド・ベニオフの本は初めて読みましたが、他の本も読んでみたい。という訳で今日は本屋に行ってきます。

Posted byブクログ