翁 OKINA の商品レビュー
ものの怪は物の気配、本来は人と物との間に生じた気配、それを感じ取ったもの。しかしそれに名を与え、人の思いを乗せることで神にも鬼にもなると言う。鬼がまだ「もの」と呼ばれていた時代の話… これもやはり、人と物との関係性を起点に産み出されるという点では「われーなんじ」の世界に繋がるも...
ものの怪は物の気配、本来は人と物との間に生じた気配、それを感じ取ったもの。しかしそれに名を与え、人の思いを乗せることで神にも鬼にもなると言う。鬼がまだ「もの」と呼ばれていた時代の話… これもやはり、人と物との関係性を起点に産み出されるという点では「われーなんじ」の世界に繋がるものと言えるだろうか。 人間は「人と間」によって形作られる存在と言えるか。しかし決して「人」と「間」は切り離せない。われーなんじの「ー」こそ「間」であるのか。となると「間=ー」とは、なんじに対するアプローチ、動的な側面を持ちうる文字(記号)となるだろうか。 人間は、人ー間間ー人(「物」でもよいが)ということでしか存在し得ない。絶対的な個としての単体の「人」の存在はあり得ない。故に人間と書くのか。否応なくそうせざるを得ないから。 陰陽師やシャーマンが当たり前にいた時代、文化は「間」との繋がり、アプローチ、認識がより身近だったのだろうな。それ故、間と間が混ざりあうことで、多くの物の怪が生まれたのだろう。 物の怪のもつ不思議な魅力…それは、かつては当たり前に共有できたが、時代と共に消え失せていった「間」への狂おしいほどの憧憬がそうさせるのかもしれない。
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★3.5 光源氏と蘆屋道満が一緒に謎解き。その答えはわたし的にはアレ?感があったが、続きが気になって引き込まれるタイプのお話である。
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陰陽師の何巻だったかのあとがきで紹介されていて、気になって手を伸ばした一冊。 陰陽師の舞台を変えて、バディを光の君(光源氏)と蘆屋道満に置き換えた安定した構成。 謎とその解明の過程で、キリスト教やギリシャ神話なんかも登場し神話の謎解きを楽しんでられる。 葵の上が憑きものに...
陰陽師の何巻だったかのあとがきで紹介されていて、気になって手を伸ばした一冊。 陰陽師の舞台を変えて、バディを光の君(光源氏)と蘆屋道満に置き換えた安定した構成。 謎とその解明の過程で、キリスト教やギリシャ神話なんかも登場し神話の謎解きを楽しんでられる。 葵の上が憑きものに悩まされ、その解決のために、蘆屋道満と光の君が、奔走する。 まぁ完全無敵の蘆屋道満と、同じぐらい完全無敵の光源氏がバディで主人公なので、恙なくひもとかれはするけれど、陰陽師シリーズ好きなら問題なく楽しめる色んな意味でスピンオフ。
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夢枕獏さんの作品が好きで購入。 源氏物語が元とは思えないほど、非常に読みやすい作品であるものの…後半の盛り上がりは他の作品と比べると薄いようにも感じた。 陰陽師シリーズの安倍晴明から妖に関する知識を抜かれたような光源氏が主人公で、それを補っていくのが蘆屋道満という形で進んでいきま...
夢枕獏さんの作品が好きで購入。 源氏物語が元とは思えないほど、非常に読みやすい作品であるものの…後半の盛り上がりは他の作品と比べると薄いようにも感じた。 陰陽師シリーズの安倍晴明から妖に関する知識を抜かれたような光源氏が主人公で、それを補っていくのが蘆屋道満という形で進んでいきます。 作中に登場する謎々も宗教を絡めており非常に面白かったです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
源氏物語そのものを読みたいという人にはあまり好評ではないかもしれない。しかし、普通の推理小説を読むようにどんどんページをめくることが出来るので、本来の源氏物語ほど取っ付きにくいものではない。要所要所に世界中の神話の知識が散りばめられていて、「そう持ってくるか!」と何度も驚いた。
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十年近く積読になっていたらしいけれど、ようやく読了。源氏物語の世界をベースに、光の君と蘆屋道満が葵の上に憑いた「もの」を探るミステリなのかファンタジーなのか。 基本的に光の君がほぼ晴明。「もの」を見ることができ、妖や伝承にも詳しいということで、蘆屋道満が狂言回しの役割。仏教とキリ...
十年近く積読になっていたらしいけれど、ようやく読了。源氏物語の世界をベースに、光の君と蘆屋道満が葵の上に憑いた「もの」を探るミステリなのかファンタジーなのか。 基本的に光の君がほぼ晴明。「もの」を見ることができ、妖や伝承にも詳しいということで、蘆屋道満が狂言回しの役割。仏教とキリスト教の融合の話は前にも読んだ気もするけれど、うまく源氏物語とミックスさせたかなあという印象。相変わらずの独特な雰囲気がいい。けど、やっぱり晴明&博雅のコンビの方が好きかなー。 あとがきで、源氏物語は結局挫折して「あさきゆめみし」を読んでこれを書いたというのに思わずクスッとしてしまいました。
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詩人のしるす文章は、形容のための形容が前へ出て、およそ おおよそ読みにくい。 夢枕獏の綴り方は、私にとって「詩人のしるす読みやすい文章」だ。 本書は『陰陽師』シリーズの外伝のような味わいで、一気に読めた。 夢枕版の光源氏は、好色とは別のリビドーで動いているようだ。
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光源氏外伝的な。光の君の妻、葵上がもののけに憑かれてしまう。懐妊中でもあり、日に日に弱っていく妻を救うために、光の君は奇妙な老人方士の蘆屋道満に助けを求める。 陰陽師シリーズにもよく出てくる蘆屋道満が光の君ともののけの正体を探ります。 光の君は幼い頃からもののけが見え、奏でる音...
光源氏外伝的な。光の君の妻、葵上がもののけに憑かれてしまう。懐妊中でもあり、日に日に弱っていく妻を救うために、光の君は奇妙な老人方士の蘆屋道満に助けを求める。 陰陽師シリーズにもよく出てくる蘆屋道満が光の君ともののけの正体を探ります。 光の君は幼い頃からもののけが見え、奏でる音楽には霊力(のようなもの?)が宿る、と言う設定。 古今東西の神やらもののけやら出てきてなかなか楽しめました。
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異色な源氏物語、と思って手に取りましたが、異色、ではおさまらなくて、陰陽師の外伝として読んだ方がしっくりくるのではないでしょうか。 獏さんの陰陽師は映画しか観てないのだけど、世界観はきっと同じでオドロオドロしい感じが独特です。 源氏ファンとしては、源氏物語では全くないけれど、人...
異色な源氏物語、と思って手に取りましたが、異色、ではおさまらなくて、陰陽師の外伝として読んだ方がしっくりくるのではないでしょうか。 獏さんの陰陽師は映画しか観てないのだけど、世界観はきっと同じでオドロオドロしい感じが独特です。 源氏ファンとしては、源氏物語では全くないけれど、人間性の感じられない光源氏が不思議と原作の印象から外れていなくて、だからこんな物語もアリと思わされてしまいました。。 さすが、ってことなのかな
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陰陽師だと思って読んでいたので、安倍晴明が出てくるのを 最後まで待ってました(^◇^;) 物語の舞台は嫉妬に狂った六条御息所が生霊となって 妊娠中の葵の上を苦しめるというあたりですね。 色々を策を講じるも効果なし。そこで光の君が頼ったのが、蘆屋道満。 葵の上の中に、六条御息所以外...
陰陽師だと思って読んでいたので、安倍晴明が出てくるのを 最後まで待ってました(^◇^;) 物語の舞台は嫉妬に狂った六条御息所が生霊となって 妊娠中の葵の上を苦しめるというあたりですね。 色々を策を講じるも効果なし。そこで光の君が頼ったのが、蘆屋道満。 葵の上の中に、六条御息所以外の何かがいる。 道満と共に、その何かの正体を見極めるために動きだすが、 異国の宗教もを絡めて予想外の方向にシフトするのが面白かった。 やっぱり獏ちゃんが描くと嫌いな光源氏もステキに見えます。
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