パスタでたどるイタリア史 の商品レビュー
イタリアのことがわかったし、イタリアに行きたくなったし、読んでいる間はそのへんで相当パスタ食べました。Reading with eating! このようなエキサイティングな本はなかなかありません。良書。
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世界中の人々に愛されるパスタ、イタリアの代表的な料理を主軸に、イタリア延いてはヨーロッパの歴史全体を俯瞰しようという意欲作である。パスタの原料となる小麦は、パスタだけでなくパンやケーキなどの生産にも必要不可欠であり、今では庶民の味方として確固たる地位を築き上げている。しかしそれ...
世界中の人々に愛されるパスタ、イタリアの代表的な料理を主軸に、イタリア延いてはヨーロッパの歴史全体を俯瞰しようという意欲作である。パスタの原料となる小麦は、パスタだけでなくパンやケーキなどの生産にも必要不可欠であり、今では庶民の味方として確固たる地位を築き上げている。しかしそれは長い年月をかけた品種改良と技術革新の賜物であり、古くはその収量の少なさや収穫までの手間により貴重な穀物の一種であった。そのため一般民衆の口に日常的に供給され、イタリア=パスタという図式が完成するまでには幾世紀に渡る人々の歴史がある。 本書はパスタの定義に始まり、原初の時代から歴史を辿りつつ、豊富なソースの素材や文芸といった側面から、あるいは国家統一とファシズム体制、そして戦後という側面からイタリア半島の歴史を紹介している。概観ではあるがパスタに関わる部分のみを抜き出しているため、歴史の流れを追いやすい反面、非常にマニアックな知識が満載だとも言える。とは言え文章量も多くなく気軽に読めるので、これからイタリア史あるいは世界史を学ぼうとする人、もしくは既に学んだ人が復習するのにもお勧めできる。 歴史の学び方として、ある一つの主題(それも日常に由来するもの)を一つに絞ることは、興味関心を惹きやすいため良い導入となり、学習効果が高いのではないだろうか。もちろんこれを実現するためには、あらゆる歴史に精通した人物による先例が無ければならない。そしてそれは得てして稀なことであり、ましてや一般向けに書かれることは貴重である。この本がそれ程のものかは判断しかねるが、一つの候補として推挙できる一冊だと思う。誰の言葉かは忘れてしまったが、若者は学び、老人は本を書くべきであるという意味の言葉がある。高齢化社会が進む日本において、小さな希望としてこのような本がより増えることを期待したい。
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パスタの豊富な種類の情報を得ながらイタリア史を学ぶという非常な美味しさ!なぜ、いつからパスタが国民食になったのか。古代ローマの歴史から1861年のイタリア半島統一、イタリアからの南北米への大量移民の発生、そして第2次大戦後の米国への憧れまで。古くて新しい!そして、切り離せない関係...
パスタの豊富な種類の情報を得ながらイタリア史を学ぶという非常な美味しさ!なぜ、いつからパスタが国民食になったのか。古代ローマの歴史から1861年のイタリア半島統一、イタリアからの南北米への大量移民の発生、そして第2次大戦後の米国への憧れまで。古くて新しい!そして、切り離せない関係にあると思われたトマト、唐辛子などが大航海時代の導入であることから、むしろ地域性がなく半島全体に及んだ!イタリアの南北問題、宗教、そして国民性などを理解できる楽しい好著。ジュニア向けであるが十分大人に堪えられる。なお、日本でパスタ輸入自由化元年が1971年で390トン。1998年には8万トンを超え208倍。今や日本人の国民食に近づいているというのも大仰ではない。今昼はどうしてもスパゲッティを食べたくなってしまった。
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パスタに詰まった壮大な歴史 今や町中に行けばパスタを扱っている店は数多く、一体どれだけの種類があるのかと思わせる。 しかしながら、日本でなじみ深いものといえばせいぜい3、4種類程ではないだろうか。 本場イギリスでは数多くの種類が食べられているというのはご存知の通り。 この数の多さ...
パスタに詰まった壮大な歴史 今や町中に行けばパスタを扱っている店は数多く、一体どれだけの種類があるのかと思わせる。 しかしながら、日本でなじみ深いものといえばせいぜい3、4種類程ではないだろうか。 本場イギリスでは数多くの種類が食べられているというのはご存知の通り。 この数の多さとそれに使うソース、具材からイタリアの歴史を見ていこうというのが本書である。 まずは巻頭のカラー写真。 これを眺めているだけでも面白い。 本文中にはふんだんに地図や史料が使われているので楽しみながら読み進められる。 コラムとしてあげられているイタリア各地の名物パスタは、写真や図がないので少々イメージしにくいものの、読み物として楽しめる。 個人的には第二章『文明交流とパスタのソース』、第四章『地方の名物パスタと国家形成』第五章『母と子の思い』が興味深い。 第二章は文明が交流していく家庭で、味が洗練されていく様子が伝わってくる。 これまでも『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書)『茶の世界史』(中公新書)でも感じた、世界が出会う瞬間の興奮がここにもある。 唐辛子、トマト、チーズ......当たり前のようにパスタのお供だと思われているこれらの食材がどのようにパスタと出会ったのか、考えてみると奇跡的だ。 第五章は「マンマの味」の裏を考察する。 本質的に母親を想起させるパスタ。 家庭の守り神としての母の姿は美しく、素晴しいものであるが、しかしそれはいつまでも通用する理屈なのかと著者は疑問を投げかける。 カトリックのダブルスタンダード、ブルジョワの規範、ファシズム体制下の女性の役割..... そこには政治、宗教、社会的イデオロギーが横たわっているのではないか? なにも母親の愛情としてのパスタが悪いわけではない。 それを利用していた社会の存在について深く考えさせる疑問である。 第六章ではパスタの敵対者たちを扱う。 アメリカへの移民という話がでてきているが、ここからアル・カポネについて調べていくのも面白いのではないかと感じた(本文中では移民について、という所までで話が区切られている)。 身近なものを通して一国の歴史を辿るーー。 これは非常に好奇心をかき立てる。 一つの料理の中にはたくさんの歴史が詰まっていることを考えると、自分が今ここに生きていることの奇跡を感じる。 その重みがおいしいパスタに凝縮されている。
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イタリアはパスタで出来ている。文学・芸術・歴史などの彩り豊かな具材にトリコローレの3色ソースがよく絡んで飽きない味の国。 九州大学 ニックネーム:天神(あまがみ)ルナ
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2012年の高校生の課題図書。タイトルに惹かれて読んでみたけれど、やっぱり課題図書って不思議。なぜわざわざこの本が選ばれなければならなかったんだろう? 岩波ジュニア新書だし、あとがきを読んでも一応読者は高校生が想定されているみたいだけれど、決してそんなことはない。岩波ジュニア新書...
2012年の高校生の課題図書。タイトルに惹かれて読んでみたけれど、やっぱり課題図書って不思議。なぜわざわざこの本が選ばれなければならなかったんだろう? 岩波ジュニア新書だし、あとがきを読んでも一応読者は高校生が想定されているみたいだけれど、決してそんなことはない。岩波ジュニア新書と課題図書の選考委員(そんなものがあるのかどうか知らないけれど)は何か勘違いしているんじゃないだろうか。優しい言葉づかいで書かれていたら、本は読めるってものではないぞ。 たとえば本書には次のような一節がある。 「1960年代以降のの飛躍、いわゆる『イタリアの奇跡』が国民の収入と食事のレベルを高め」云々。 ここでは明らかに「イタリアの奇跡」を知っている者が想定されている。言い換えれば、それを知らない者(たとえば僕ね)は、なんか疎外されているような気分になるのだ。 他のレビューにもある通り、パスタの歴史を概観する前半部には、高校時代世界史を選択した者でも知らないような人名、国名、条約名が頻出する。 どう考えてもこれは、なんて言うか、課題図書として「一般的な高校生」に薦めやすい本ではないぞ。 もちろん、「イタリアの奇跡」を知らなくたって、国名なんていい加減に読み飛ばしたって読めるのは読める。でも、自分が読者として想定されているような本を読むことは、けっこう苦痛なことだ。 パスタの種類も、ソースの種類もたくさん出てくるけれど、説明が簡略にすぎてイメージが沸きにくいにもイマイチ。 パスタの来歴とその影響がコンパクトにまとめられている内容そのものは評価できるんだけれど、これでは「課題図書はおもしろくない」って言われても仕方ないなあ。
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20121007 食べ物と歴史の関係。イタ飯の今がどういう事か考えさせられる。何故かローマ人の物語が読みたくなった。
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中高生向きに書かれた推薦図書らしいんだけど、これ、中高生の時の私が読んだら初めの数ページで投げ出してたと思う。ってくらい結構内容がしっかりしてる。でも読んでみると面白いし勉強になる。 第2章の「文明交流とパスタのソース」がおもしろかった。 読んだあとはもちろん、パスタが食べたくな...
中高生向きに書かれた推薦図書らしいんだけど、これ、中高生の時の私が読んだら初めの数ページで投げ出してたと思う。ってくらい結構内容がしっかりしてる。でも読んでみると面白いし勉強になる。 第2章の「文明交流とパスタのソース」がおもしろかった。 読んだあとはもちろん、パスタが食べたくなる。
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2012年の読書感想文課題図書。あまりにも手に取られないから、内容がつまらないのかとおもったらそんなことない!(笑) 高校生には手が出しにくいのかなぁ。むしろ大学生あたりが好みそうな感じ。 パスタがイタリアと奥深く関係すること、国の統一ってもしかしたら食べ物(食文化)でできる...
2012年の読書感想文課題図書。あまりにも手に取られないから、内容がつまらないのかとおもったらそんなことない!(笑) 高校生には手が出しにくいのかなぁ。むしろ大学生あたりが好みそうな感じ。 パスタがイタリアと奥深く関係すること、国の統一ってもしかしたら食べ物(食文化)でできるんじゃないかとか、イタリアだけでなくヨーロッパの歴史を知ることができた、私的にはヨーロッパ史は苦手意識あったから食べ物を通して知ることができてお得な一冊でした。
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タイトル通り、イタリアの歴史の変遷と、その時代のパスタのことが詳しく書かれています。 この本、「高等学校の部 課題図書」なんですね。 この本で感想文を書ける人は、結構強者かも(^^)
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