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ペット・サウンズ の商品レビュー

3.5

26件のお客様レビュー

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2024/06/01

▼ジム・フジーリさんが書いていますが、多くの人と同じく「村上春樹翻訳だから読んでみよう」です。フジーリさんというのは、アメリカの娯楽系の小説家なんだそうです。つまり、娯楽小説家さんが、自分が大好きなロック歌手についてプチ評伝的に思いを綴った本です。 ▼内容は、有名なロック・バン...

▼ジム・フジーリさんが書いていますが、多くの人と同じく「村上春樹翻訳だから読んでみよう」です。フジーリさんというのは、アメリカの娯楽系の小説家なんだそうです。つまり、娯楽小説家さんが、自分が大好きなロック歌手についてプチ評伝的に思いを綴った本です。 ▼内容は、有名なロック・バンド「ザ・ビーチボーイズ」の中心メンバーだったブライアン・ウィルソンさんが、突き抜けた名盤「ペット・サウンド」を作るまで。というのが大まかな趣旨です。つまり作者は(村上さんも)ブライアンの大ファンな訳です。 ▼ほとんどの60-70年代のロック・スターと同じく、ブライアンさんも子供のころから音楽才能豊かなメロディーメーカーであり、歌手であり、そして卓越した音楽プロデューサーでもあった。そしてドラッグやアルコールやメンタル問題を抱えまくっていた。強烈な”毒親”の父親がいた。そして音楽的な理想を共有できるメンバーが居なかった(ジョンとポールがどっちかひとりしかいなかったビートルズ、かしらん)。 ▼そんなブライアン青年が、デビューし、ブレイクし、イメージを貼られ、商業ベースに酷使され、心を病んで挫折し、そこから開き直って内省的あるいは個人的な楽曲を実験的なアレンジで作りこむ「スタジオアーティスト」となって、ほとんどたれも協賛してくれない中でひとり、「ペット・サウンド」を作り上げる。でも前後の月並みな仕事よりも、意外と評価されない…。そんな流れが読みやすく、共感豊かに、時に筆者の主観たっぷりに語られます。 ▼深読みすれば、ビートルズの同様のものよりも、「ふたりではなかった」せいか、非常に「親との関係性が歪んでしまった青年が若くして売れてしまったために、ずっと ”正しく愛される"ことに飢えた、未成熟でピュアな少年性」 を研ぎ澄ましていく感じでしょうか。透明で美しいメロディの裏の、闇が深い(笑)。 ▼ザ・ビーチボーイズはベスト物とペット・サウンズしか聞いたことのない素人ファン(矛盾した言葉ですが(笑))なんですが、ペット・サウンズが素晴らしいというのは共感できるので(特に1曲目の「素敵じゃないか」、これだけでも殿堂入りですよね)、大変に楽しく読みました。サイズも短いので、好印象。

Posted byブクログ

2022/02/15

読み物として、引き込まれる。ブライアンについて、思いを馳せる。聴いてみたくなり、聴きました。英語が解ればな…サウンド的には、僕は、ビートルズのが、今のところ好き。ブライアン、もし今の時代に生まれてたら、バンドなんかやらずにDTMで作り込んでたよな。てか、ペットサウンズでやってたこ...

読み物として、引き込まれる。ブライアンについて、思いを馳せる。聴いてみたくなり、聴きました。英語が解ればな…サウンド的には、僕は、ビートルズのが、今のところ好き。ブライアン、もし今の時代に生まれてたら、バンドなんかやらずにDTMで作り込んでたよな。てか、ペットサウンズでやってたこと、まさに生身の人間使ったDTM。

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2021/08/20

生きてゆく上でどうしようもない「所在無さ」、あるいは深遠にして深淵なる「愛について」みたいなのを、こんなにも歌ったアルバムがあるか?といったことが、熱烈なラブコールみたいに綴られている。実質そのサウンドは、どうしようもなく明るく、さみしげで、心揺さぶられる。孤独と自由はとても似て...

生きてゆく上でどうしようもない「所在無さ」、あるいは深遠にして深淵なる「愛について」みたいなのを、こんなにも歌ったアルバムがあるか?といったことが、熱烈なラブコールみたいに綴られている。実質そのサウンドは、どうしようもなく明るく、さみしげで、心揺さぶられる。孤独と自由はとても似ているから、仕方ないのだけど。

Posted byブクログ

2020/10/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・「時間が長引くと、全員に食事の出前をとってくれた。そんなことに常に留意してくれたのは、ほかにはフランク・シナトラくらいしかいない」スタジオミュージシャンのこの言葉に、ブライアンの人柄がよく出ている。

Posted byブクログ

2020/09/15

本文よりも、訳者あとがきの方が面白いのはなぜ。春樹さんは、稀代のプロモーターである。このアルバムをさっそく聴きたくなってしまう。

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2018/05/14

「世の中には二種類の人間がいる。『ペット・サウンズ』を好きな人と、好きじゃない人だ」(村上春樹) ー 「すべての曲は愛についての個人的なステートメントになっている。愛というものはどのような意味を持ち、人の人生のどの場所に埋め込まれていくか?それは人生のかたちを定めるのだろうか。そ...

「世の中には二種類の人間がいる。『ペット・サウンズ』を好きな人と、好きじゃない人だ」(村上春樹) ー 「すべての曲は愛についての個人的なステートメントになっている。愛というものはどのような意味を持ち、人の人生のどの場所に埋め込まれていくか?それは人生のかたちを定めるのだろうか。そして愛が去ったとき、あとに何が残るのだろう?」

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2018/02/04

好きなグループの好きなアルバムが表題。 繊細で孤独な天才について 掘り下げられています。 おそらく誰もが持っている 表には出ない暗い部分や繊細さ 焦りや孤独感を 認めてくれるような、浄化してくれるような そんな音楽について語られている本です。

Posted byブクログ

2016/01/13

 音楽というのは、その時代を生きた人に深く入り込むのだろうが、世代が違い過ぎた。ビーチボーイズのアルバムタイトルが『ペット・サウンズ』であること自体、読み始めて初めて知ったという、私のレベルでは、とうていこの内容を楽しめるというレベルに至らなかった。

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2015/08/19

ブライアン・ウィルソンは「君のいない僕の人生がどんなものか、それは神さましか知らない」と歌い、アシカは「おまえなしのオレがどうなっちまうか 誰にも わかりっこないのさ ああ神様 きっと あんたにだって わかりゃしないだろ」と言った。 ビーチ・ボーイズのリーダー、ブライアン...

ブライアン・ウィルソンは「君のいない僕の人生がどんなものか、それは神さましか知らない」と歌い、アシカは「おまえなしのオレがどうなっちまうか 誰にも わかりっこないのさ ああ神様 きっと あんたにだって わかりゃしないだろ」と言った。 ビーチ・ボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンの伝記的映画「ラブ&マーシー」を観るために、それまでビーチ・ボーイズといえば「サーフィンUSA」と「ココモ」しか知らなかったのにこのアルバム「ペット・サウンズ」を買った。魅了された。そしてそのあと観た映画に、自分でもどうしようもないほど心が揺さぶられてしばらく頭から離れなかった。天から与えられた才能と壊れやすく純粋な魂を持つブライアン・ウィルソン。深く包み込むような愛と、限りない赦しをずっと求めていたのに、彼の最初の妻マリリンはそれを与えることはできなかった。愛していたのに、彼女にはできなかったのだ。残酷だけれど、「才能」を愛するのにも才能がいる。 映画に没入しすぎるのもよしあし。私はマリリンではないし、ましてブライアンでもない。けれど壊れていく彼をどうすることも出来ないでただ見ているだけなのが辛く、居た堪れなくて、途中退席したくなるほどだった。孤独、悲しみと絶望、それでも世界の美しさを歌うことに込めた希望。そういうものが、この「ペット・サウンズ」に詰まっている。 一枚のアルバムへの限りない思い入れを一冊の本にして。

Posted byブクログ

2015/07/30

単行本でも読んだけど、ブライアン・ウィルソン公認の映画「ラブ&マーシー」の試写を見て再読。映画では今一つつかみづらかったところも、これでフォローできた。やっぱり「ペットサウンズ」は名盤だと思う。村上春樹の解説もうれしい。

Posted byブクログ