ペット・サウンズ の商品レビュー
すらすらと読めるのだけど、大変に奇妙な本です。個人的な生い立ちとレコードへの思い入れをリンクさせて、それだけで成り立ってる本。 もちろん、読みやすさには村上春樹の翻訳が役に立っているとは思うけど、でも、個人的な意見だけで書いているのに読ませる内容もなかなか。自分も書こうと思っても...
すらすらと読めるのだけど、大変に奇妙な本です。個人的な生い立ちとレコードへの思い入れをリンクさせて、それだけで成り立ってる本。 もちろん、読みやすさには村上春樹の翻訳が役に立っているとは思うけど、でも、個人的な意見だけで書いているのに読ませる内容もなかなか。自分も書こうと思ってもこうは行かないでしょう。(あたりまえ) 当然、ペットサウンズが聞きたくなりました。 ところで、「キャロライン・ノー」に「It's so sad to watch a sweet thing die ...」(美しいものが死んでいくのを見るのはとてもつらい)という歌詞があるのは知りませんでした。これって、あのアニメのあのセリフのベースになってるのかな?
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村上春樹訳。1曲1曲にものすごい思い入れがあるんだな~。この人。こんなリスナーを持つアルバムは幸せだ。でもそれを作った人が幸せとは限らないんだな。
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村上春樹の訳で自分の知ってる音楽関係ならハズレはないと思い購入。 裏表紙の「恋愛と挫折、抑圧的な父親との確執、ドラッグ、引きこもり―」って時点で買ったとも思う。 内容は作者がビーチボーイズの「ペットサウンズ」というアルバムに青春と呼ばれる時期を、いかに助けられたかをメインに、当時の音楽シーンの様子を紹介。 ビーチ・ボーイズはお気楽な、サーフィンバンドではない。それは伝わる。ただ、その悩みが「十代」の悩みに終始してるあたりが、ビートルズ、ストーンズといった60年代の怪物バンドと音楽的な質では勝負できるのに、語られる機会を減らしていると思う。 「ビーチボーイズとペットサウンズ物語」というよりは誰にでも一人の自分を支えてくれる芸術があることの、素晴らしさについての話という印象。
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ビーチボーイズは数年のずれで聞かずに育った。もちろんなんとなくは聞いているし、ビートルズはビーチボーイズを気にしていたことも知っていた。どちらかというと村上春樹の小説の中に出てきたいくつかの曲というイメージが私にはある。だから、村上春樹が翻訳したというのはとても腑に落ちる。 「ペ...
ビーチボーイズは数年のずれで聞かずに育った。もちろんなんとなくは聞いているし、ビートルズはビーチボーイズを気にしていたことも知っていた。どちらかというと村上春樹の小説の中に出てきたいくつかの曲というイメージが私にはある。だから、村上春樹が翻訳したというのはとても腑に落ちる。 「ペット・サウンズ」というアルバムがすごいという話は聞いたことがあるけれど、それだけでは聴いてみようとはなかなかならない。この本を読んでしまった今、いったいどんな音なのかを確かめたくなってきた。きっとこれからしばらくの間、ちょっとだけこのアルバムの売れ行きが伸びるんだろう、日本で。
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ビーチ・ボーイズの名作「Pet Sounds」制作に関してを主軸とした、ブライアン・ウィルソンについての本。 極めて独特なのは、筆者の目から見た、筆者が集めた情報を筆者が咀嚼した、Pet Soundsについて書かれている、という事。 したがって一般的な音楽関連書籍とは趣が若干異なっています。好みが分かれるかもしれません。 具体的には訳者あとがきで村上春樹も述べていますが、Pet Sounds内の曲についての言及が筆者の観点から為されているため、「そんなに悪く言わなくてもいいんじゃない?」という記述があったり、筆者がいかにしてビーチ・ボーイズと出会ったかというくだりに章が割かれていたりします。 名作を作る上での目新しいエピソード、というものはあまりないのでしょうが、Pet Soundsのみに(とは言えどもPet Sounds以前・以後として他の作品にも触れられています)主眼を置いた、という意味では面白い一冊。 個人的には村上春樹の訳があまり受け付けないというか著作と同じくあっさりとした書き口が感情移入を少し妨げているような気がしました。でも村上春樹が翻訳したおかげで新潮文庫からこんなにマニアックな本が刊行されたのは間違いなし。
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著者のフジーリ氏の「ペット・サウンズ」への愛がとにかく感じられる一冊だった。著者の生い立ちと、ビーチボーイズのブライアンの気持ち、二つのストーリーがうまくリンクして、この本をただのレコード評論ではなくしている。ブライアンが抱えている深い悲しみというのはきっと、あまりにも早くに社会...
著者のフジーリ氏の「ペット・サウンズ」への愛がとにかく感じられる一冊だった。著者の生い立ちと、ビーチボーイズのブライアンの気持ち、二つのストーリーがうまくリンクして、この本をただのレコード評論ではなくしている。ブライアンが抱えている深い悲しみというのはきっと、あまりにも早くに社会的に成功を知ってしまった人間が一生どこかに抱え続けなければならない精神的未成熟によるものなのだろうと強く感じた。
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