ぼくはお金を使わずに生きることにした の商品レビュー
著者自らが1年間の「金なし生活」実験をする話だが、サバイバル本ではない。お金の根源を問い正す本である。 なぜそのような行動に出たのか? 著者のお金や社会に対する考え方は、我々が当たり前だと感じている普段の行動について内省する良き材料となる。
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「いのちの食べ方」という映画があったが、それと同様に筆者が「消費者と消費されるものの断絶」を指摘していたことが印象に残った。 最終的にはコミュニティの力だということや、小さな社会へ戻っていくのが理想なのかと感じた。 人間も動物であるということを、改めて思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
フリーエコノミーを実践するために、イギリスで 一年間の全くお金を使わずに暮らす実験をしたアイルランド人の記録。 とはいえ、既に自然の恵みの多くが失われている現代社会での 完全な自給自足は不可能と言える。 著者は自分なりのルールを作り、できるだけの自給を心掛けながらも ヒッチハイク、自転車の利用、仲間とのシェアや労働の提供による バーターなどは可としている。 またフリーエコノミーの活動を世界に発信するための、 太陽電池によるPC、携帯電話の使用も必要である。 結局、一年間を飢えと寒さに苦しみながら過ごすのかと思えば、 逆に人とのつながりが増え、忙しく、楽しい日々を過ごして しまい、その後も続ける事にしたという。 気になる印税はフリーエコノミービレッジを作るための 土地購入に充てるそうで、現在はその設立準備にかかっている。 なんともパワフルな人である。
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著者が試んだ1年間のお金を利用しない生活の記録。森で暮らす著者の姿から、なんとなくソローの「森の生活」を思い浮かべてしまうが、ソローの実践が独力に近い形であったのに対し、著者は都会に暮らすサラリーマンよりもはるかに社交的で、様々な人々と交流し、「カネなし生活」の日々も互いに助け助...
著者が試んだ1年間のお金を利用しない生活の記録。森で暮らす著者の姿から、なんとなくソローの「森の生活」を思い浮かべてしまうが、ソローの実践が独力に近い形であったのに対し、著者は都会に暮らすサラリーマンよりもはるかに社交的で、様々な人々と交流し、「カネなし生活」の日々も互いに助け助けられている。著者がフリーエコノミーの運動をやっていることもあり、このカネなし生活は自給自足の試みというよりフリーエコノミーの実践という形になっている。この本の中では、そんな日々の生活の中で著者が感じたことや、自然観だったりフリーエコノミーに関する考え方が程よく織り込まれていて、楽しんで読むことができた。著者は生活の中で自然の恵みを受けながら、時には人から与えられ、そして著者も他者へ与えることを惜しまない。お金が介在しないだけ、行為は純粋だし尊く感じられるのかも。逆に貨幣経済の中では人との関りや与える事はどこか少し白けて見える。飲み会の金額を気にしたり、労働を時給換算したり、レジャーの楽しみとコストを天秤にかける。気がつかないうちにお金で考えてるし、捉われている。著者はお金に捉われない分与えることに積極的でいられるのかもしれない。
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友人が「友人が訳した本だからぜひ読んで」と紹介してくれた本。 むちゃくちゃ面白かった。 一年間のお金を使わない生活の話。 この中にてくる、フリーエコノミー・コミュニティという思想、素晴らしいではないか。 コミュニティの再構築が急がれる現状で、このコミュニティのありかたは大いに参...
友人が「友人が訳した本だからぜひ読んで」と紹介してくれた本。 むちゃくちゃ面白かった。 一年間のお金を使わない生活の話。 この中にてくる、フリーエコノミー・コミュニティという思想、素晴らしいではないか。 コミュニティの再構築が急がれる現状で、このコミュニティのありかたは大いに参考になる。 お金に困らない生活とは、 お金がいくらでもあって何でも欲しいものが帰ることではなく、 お金がなくても全く不自由でない生活のことだ。 P.253 しかし、人生はそんなジレンマに満ちあふれているのではないだろうか。最善と思われる選択肢を選んでやってみて、その論拠を毎日問い直していくぐらいしか、ぼくらにはできない。 P.261 ぼくらは、お金の無い世界はもちろん、持続可能な生活からもほど遠い位置にいる。それでも、人類の直面している将来の課題に気づく人はどんどん増えているのだ。新聞や雑誌で環境問題に割かれる紙面は年々増えており、気候変動はしょっちゅうトップニュースになる。人びとはまさに変化を起こしつつある。小さい変化もあれば大きな変化もあるが、いずれにしても生態環境にとってよい方向への動きだ。時間はかかるだろう。だけど、ぼくらの子どもたちに果実を味わってほしいと思うならば、今、できるだけ多くの種をまくしかない。自分が生きているうちにはオークの木陰で休めるようにならないからといって、どんぐりを植えるべきでないという理由にはならない。
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私自身、銀行とか保険会社とか、よくよく考えればものすごく不確定要素の上に成り立っている業種で、果たしてこれは信頼に足るシステムなのだろうかと疑問に思うことが時にある。 著者は、そんな綱渡り的な経済のあり方に疑問を持ち、お金に支配された社会に一石を投じたいと、タイトル通り、お金を使...
私自身、銀行とか保険会社とか、よくよく考えればものすごく不確定要素の上に成り立っている業種で、果たしてこれは信頼に足るシステムなのだろうかと疑問に思うことが時にある。 著者は、そんな綱渡り的な経済のあり方に疑問を持ち、お金に支配された社会に一石を投じたいと、タイトル通り、お金を使わずに一年間暮らすという実験を行ったその記録が本書だ。 結局、彼は2年あまりを同様の暮らしで過ごし、現在はそこから派生した地域社会での自給自足の生活を目指したフリーエコノミービレッジの立ち上げに奔走しているらしい。 彼は完全菜食主義のビーガンであり、環境負荷に可能な限り気を配り自らを制し、それだけみると、極端で半ば宗教的ですらある。しかしながら、悲壮感や妄信的な雰囲気が全然感じられないのは、理想を追い求めつつも現実的なバランス感覚を常に働かせ、自分の置かれた状況を苦心しながらもとことん楽しんでいるからなのだろう。 読みながら、自給自足の暮らしを求めアラスカに単身入り、結局は餓死してしまった、「荒野へ」(ジョン・クラカワー)や映画「into the wild」で取り上げられたクリス・マッカンドレス(彼もソローの「森の生活」を愛読していた)を思い出した。著者が彼と違うのは、クリスは一人で全てをやろうとし、著者の場合は「人と人とのつながり」を最も重視し繋がりの中で生きようとしたことだろう。 そう考えると、人は人とつながることができれば、苛酷な条件であっても生きていくことができるのだという確信にも似た気持ちになる。 著者のいう「ペイ・フォワードの法則」これは訳者も「情けは人のためならず」と言い換えていたが(原書で何と書かれていたのかはわからないけど)、それはまさしく私の座右の銘でもある。 一足飛びに、全ての人がお金を捨て、助け合い与えあいの暮らしができるようになるとは思わないが、見返りを期待しない互助の精神をいつも忘れなければ、もうちょっとマシな社会になるのかもしれない。
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ソローの「森の生活」以上の感動を与えてくれた本。著者の素朴な感性とユーモアあふれる文章に、笑っぱなしだった。最後の方ではあまりに感激してふと涙がこぼれた。間違いなく、今のところ今年読んだ数十冊の中で最高の一冊。翻訳も素晴らしい。何度も読み返し、これからの生きるヒントにしたい。
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無線経済の提唱者。フリーエコノミー・コミュニティの会員は160カ国、3万5000人に及ぶという。著者のボイルは08年から2年半の間、お金をいっさい使わずにくらした。その暮らしの記録が本書だ。 評者の辻信一氏は、「本来、経済とは、自然界から受ける恩恵を共同で管理運営していく方法に...
無線経済の提唱者。フリーエコノミー・コミュニティの会員は160カ国、3万5000人に及ぶという。著者のボイルは08年から2年半の間、お金をいっさい使わずにくらした。その暮らしの記録が本書だ。 評者の辻信一氏は、「本来、経済とは、自然界から受ける恩恵を共同で管理運営していく方法にすぎない、自然とコミュニティあっての経済だ。しかし、現代人のほとんどが、経済といえば、お金の事で、マネー経済こそがおこの世で唯一の選択肢であるかのように思い込んでしまった」と指摘する。 ボイル氏は、フリーエコノミーとは贈与経済、ギフトエコノミーであると説く。
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物々交換の経済って悪くない。では持たざる私はどうやって食らうのだろう。思案の一書になるな。 ➡ 読み終えた。 原書も読みたいな。
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お金を使わない生活といったら、原始人みたいな、完全自給自足生活かと思ったんですが、パソコンも携帯電話も使ってるんですね。ソーラーシステムで充電して。 いろんなことで予想が外れて意外な思いをし、楽しく読みました。著者自身、苦労もあったけれど楽しんていたようです。 星5つにしようかと...
お金を使わない生活といったら、原始人みたいな、完全自給自足生活かと思ったんですが、パソコンも携帯電話も使ってるんですね。ソーラーシステムで充電して。 いろんなことで予想が外れて意外な思いをし、楽しく読みました。著者自身、苦労もあったけれど楽しんていたようです。 星5つにしようかと思ったけど、カバー写真が迷惑だったので星1つ減点。胸毛もじゃもじゃの半裸男性の写真は、電車内で本を開きづらくします。それでも読んでましたが(笑)
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