倒立する塔の殺人 の商品レビュー
作中作が盛り込まれた作品構造が複雑で 理解しきれないまま終わってしまった。 ミッションスクールと女学校の独特の雰囲気と その中で繰り広げられる濃密な人間関係は 味わえた気がする。
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戦時中に~戦後の時代背景が独特な雰囲気です。 ミステリーとしても面白かったですが 少女の視点で語られる戦時中、戦後の生活が とても興味を持って読めました。 物語を何人もが紡いで行くというトコロにも 面白さがあって、最後まで飽きるコト無く読めました。
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不思議な印象。 戦争中の混沌とした空気の重さと、少女たちの独特な世界。 甘く、濃密な少女だからこその悩み、動機。
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戦時下のミッションスクールで女生徒が不可解な死を遂げます。彼女ら3人が書いたリレー小説「倒立する塔の殺人」を読んで死の真相を探るお話です。 構造が複雑にも関わらず、作中作の使い方が絶妙ですし、そこに仕掛けられたトリックは圧巻でした。 ただ、少女漫画チックな独特な表現方法が苦手だっ...
戦時下のミッションスクールで女生徒が不可解な死を遂げます。彼女ら3人が書いたリレー小説「倒立する塔の殺人」を読んで死の真相を探るお話です。 構造が複雑にも関わらず、作中作の使い方が絶妙ですし、そこに仕掛けられたトリックは圧巻でした。 ただ、少女漫画チックな独特な表現方法が苦手だったのと、西洋絵画に関する会話が多く、そっち方面に疎い私には多少苦痛でした。
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嫌いではないけど、あまりピンと来なかった。 謎解きとしても、雰囲気としても、登場人物も。 戦争中の女学生と学校、街…その時代の匂いみたいなのは興味深かったかな。
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『開かせていただき光栄です』が面白かったので皆川作品2作目。 これも気に入りました。 世情が緊迫した戦時中、あるミッションスクールで「倒立する塔の殺人」とタイトルだけ付けられたノートに小説の回し書きがなされていた…。 現実と虚構の境目に混乱するも、それすら謎めいた物語の味付けに一...
『開かせていただき光栄です』が面白かったので皆川作品2作目。 これも気に入りました。 世情が緊迫した戦時中、あるミッションスクールで「倒立する塔の殺人」とタイトルだけ付けられたノートに小説の回し書きがなされていた…。 現実と虚構の境目に混乱するも、それすら謎めいた物語の味付けに一役買っているようです。登場する女学生たちが知的で優雅で、空襲だの学徒勤労だの不穏な空気のなか生きているのに対照的な色彩を放ってます。
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一年ぐらい読みたいと思っててやっと読めた。 舞台が戦時中やからけっこう重かったけど雰囲気はめっちゃ好きやった。上月さんがいい。
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終戦間際の混沌とした時代に、凛として生きる女生徒達と女学院で起きた殺人ミステリー。秘められた物語は層を重ね、紐解かれるノート内の記述で進行。"倒立する搭の殺人"と、綴られた"手記"は不安や恐怖を忘れていられる瞬間にさえ悲愴が漂い、軍歌が流れ...
終戦間際の混沌とした時代に、凛として生きる女生徒達と女学院で起きた殺人ミステリー。秘められた物語は層を重ね、紐解かれるノート内の記述で進行。"倒立する搭の殺人"と、綴られた"手記"は不安や恐怖を忘れていられる瞬間にさえ悲愴が漂い、軍歌が流れる土壌に著書・絵画・ダンス・コーラスなど欧羅巴の色合いの調和は見事で美しい。そして繰返されるジャスミンティーでの報復の結末は、気品を強く漂わせて終る♪
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
戦中の2つの女学校という空間が出てくる。 片方はミッションスクール、もう一方は都立女子校。 ミッションスクールはどちらかというと日本になじまない宗教性からか夢見がちに浮いて見られることが多い。しかし、そこには司教の体罰や異質な性癖、入信はしていない多くの女学生、エスという関係。決して穏やかなものだけでは済まされない。まるでジャスミンに似ているのにそれとは違う黄色い花を咲かせ、猛毒を持つカロライナ・ジャスミンのように。 なにが美しいと言うよりも、読んでいてとても楽しい、小説だった。 女学院の纏う愛らしさと排外性、戦争中という享楽の飢餓、それらが相まって「倒立する塔の殺人」の謎、現実の謎に垂直にのめり込む。 物語の中の1つ1つの異様さ、怖さに捉えられ、謎を体感し、犯人の罪の独白でない形で晒される。 ・・・皆川さん初めて読んだけど、また他のも読みたいと思った。 めも ミッションスクールだというのに神が皮肉にしか用いられなかったところ。(小枝たちはミッションスクールではなかったからか) しずくの自分の罪を試そうとする行動 実際家になる少女たち。→そこが書かれる理由
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・皆川博子は多種の作風を駆使する職人だが、 今作は彼女の少女小説の代表になりそう。 ・少女小説にあふれる優雅な悪意や毒が、皆川作品の中核でもあったのだ。 うっとりしちゃうよ。 ・昔日の少女小説の少女たちはおおむね知的。 文学も音楽も絵画もたしなんでいる。 果たして...
・皆川博子は多種の作風を駆使する職人だが、 今作は彼女の少女小説の代表になりそう。 ・少女小説にあふれる優雅な悪意や毒が、皆川作品の中核でもあったのだ。 うっとりしちゃうよ。 ・昔日の少女小説の少女たちはおおむね知的。 文学も音楽も絵画もたしなんでいる。 果たしていまの少女たちは……? ・戦争中のミッションスクールというだけで、このどきどきはなんだろう。 ゴシックハートがうずく。 ・きらびやかな舞台背景(というより、語り手の視野)にだまされがちだが、 作中人物たちは作者と同年代。 戦争へのシニカルな思いなどは、作者のそれといえるのでは。 ・ヤングアダルトのための本なのだが、大人が読んでも十分に面白い(そして難しい部分もある)。 構成の複雑さ、トリックの複雑さ。 ・名前がまことに美しい。 そしてその美しい名前がトリックのひとつにもなっているのだから。 阿部欣子(あべ きんこ)→異分子のイブ。ベー様。ヌーボー。逞しい。素朴。 三輪小枝(みわ さえだ)→小柄。かわゆい。 佐野季子(さの すえこ)→冒頭で死亡するが舞台の雰囲気を伝える。 設楽久仁子(しだら くにこ)→上月への恋。嫌われ役。ジダラック。 上月葎子(こうづき りつこ)→お姉さま。毒舌。 七尾杏子(ななを きょうこ)→お姉さま。絵画熱。 雫石郁(しずくいし かをる)→図書館司書。 ゲビタコ→当時頻出した教師。実はアカ。 ・表紙のセンスのすばらしさ。佳嶋。 ・桜庭一樹原作・タカハシマコ作画「青年のための読書クラブ」、 志村貴子「青い花」を彷彿。 ただしこちらは毒っけが強い。
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