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呪いの時代 の商品レビュー

3.9

101件のお客様レビュー

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2023/10/28

ー 私たちが共同体として生きてゆくために必須の資源を「社会的共通資本」と呼ぶ。大気、海洋、森林、河川といった「自然資源」、交通・通信・上下水道・電力といった「社会的インフラストラクチャー」、司法、医療、教育といった「制度資本」がそれに当たる。これらはどのようなものであれ、政治イデ...

ー 私たちが共同体として生きてゆくために必須の資源を「社会的共通資本」と呼ぶ。大気、海洋、森林、河川といった「自然資源」、交通・通信・上下水道・電力といった「社会的インフラストラクチャー」、司法、医療、教育といった「制度資本」がそれに当たる。これらはどのようなものであれ、政治イデオロギーやマーケットに委ねてはならない。専門家が専門的知見に基づいて、管理運営しなければならない。「森林をこうした方が金が儲かる」とか「医療はこうする方が政治的に正しい」というようなことを言わせてはならない。政治的正しさや市場的価値は所詮「脳内」の現象である。平和で安全な場所でなら、いくらでも論じるがいいし、人々がそれでつかみ合いの喧嘩をしても私は与り知らない。だが、大気や森林や、水や食べものや、裁きや癒しや学びは「生身の人間が集団として生き延びる」ために必須のものである。それは、フェアで合理的な管理システムのもとに、価値中立的な立場を貫く専門家によって運営されていなければならない。どのような政治的な正しさとも費用対効果とも無関係に、純粋に専門的な見地から、国土の安全と国民の幸福だけを配慮する人々によって管理運営されねばならない。 ー 12年前の作品なんだけど、今読んでも違和感はない。 何となく積読本にあったので読んだだけだけど。

Posted byブクログ

2023/08/20

女性へ告白する際に「今付き合ってる人いる?」と聞くのが卑怯だという話があったが、個人的には「それくらい許してやれよ」と思った。相手に彼氏がいるかどうかは素朴に気になるのが当たり前だし、質問する男性は別にそこまで深く考えてないのでは?「女性が強くなった」現代では告白したことをネタに...

女性へ告白する際に「今付き合ってる人いる?」と聞くのが卑怯だという話があったが、個人的には「それくらい許してやれよ」と思った。相手に彼氏がいるかどうかは素朴に気になるのが当たり前だし、質問する男性は別にそこまで深く考えてないのでは?「女性が強くなった」現代では告白したことをネタにされ周囲に言いふらされて自分の身が危うくなるリスクもある。 お見合い婚を肯定するくらいなら、交際の始まりがその程度の優柔不断であることくらい目を瞑ればいいのにと思う。「男女平等」が正しいとされているのに、世の中の殆どの女性はそのような優柔不断なアプローチ「すら」自分からはしようとしないのだから。 またこれは筆者ではなく本書に登場する女子大生についてだが、草食男子が「弱者を装うことで利益を得る」ことに関しても、女性という生き物がその総本山のようなものなのに、いざ男が同じことをすると批判するというのも自己矛盾だなと思った。

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2019/08/11

ちょこっと、今個人的に、ドロップアウトしていて、本を読み漁ってて、出会得てよかった本。 語彙が豊富なので、よくわかる。 私的には今抱えてるしこりが 聴き手の判断力や知性を信頼して、敬意を抱いて語れなくなる呪いにかかってるからということに気付けた。 自分のこと、"たかだか...

ちょこっと、今個人的に、ドロップアウトしていて、本を読み漁ってて、出会得てよかった本。 語彙が豊富なので、よくわかる。 私的には今抱えてるしこりが 聴き手の判断力や知性を信頼して、敬意を抱いて語れなくなる呪いにかかってるからということに気付けた。 自分のこと、"たかだかこんな奴だけど、嫌じゃない"と自分をよしよしして、人に許せる自分を取り戻さなあかん。呪いがかかってないか、日常的にチェックもいるな。

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2018/11/18

久々のウチダ本は相変わらずの切れ味。 ワタシは内田センセイが以前から唱えている「贈与論」には強く共感している。考えてみると、先輩から「お前が先輩や上司の立場になったらおごってやれ。金はそうやって回る。」と言われていつもおごってもらったり、アントニオ猪木が「笑顔は施しだ」と言ってい...

久々のウチダ本は相変わらずの切れ味。 ワタシは内田センセイが以前から唱えている「贈与論」には強く共感している。考えてみると、先輩から「お前が先輩や上司の立場になったらおごってやれ。金はそうやって回る。」と言われていつもおごってもらったり、アントニオ猪木が「笑顔は施しだ」と言っていたり、先日読んだ『モリー先生との火曜日』でモリーが「ほんとうの満足は『自分が人にあげられるものを提供すること』によって得られる。」と言っていたのも、実は根っこは贈与論なんだと思う。贈与万歳。これからも贈与できるものは贈与しよう。

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2018/11/12

日本のことを捉え直すに役に立つ好著。エッセイ的に色々な角度から日本という国を見つめ直すことができる。オバマの章にあった、アメリカを覇権国家たらしめている、根底の話が面白かった。アメリカにあって、ヨーロッパにないもの。こういうことも踏まえていかないと、日本という自分の国を理解するに...

日本のことを捉え直すに役に立つ好著。エッセイ的に色々な角度から日本という国を見つめ直すことができる。オバマの章にあった、アメリカを覇権国家たらしめている、根底の話が面白かった。アメリカにあって、ヨーロッパにないもの。こういうことも踏まえていかないと、日本という自分の国を理解するにあたっても、誤った理解をしてしまうと思った。英語が要らない日本という国の章も必読と思う。

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2018/11/10

他者への攻撃で自尊感情を満たす行為「呪い」は、対象が抽象的になるほど威力を増して、自らを巻き込んで破壊するというお話など。私自身、レッテル貼らないで目の前の個々人やら出来事やらと向きあえてるかな、と反省。悟りきった結婚観とかペルソナの話も面白かった。

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2018/10/28

¥ mmsn01- 【要約】 ・ 【ノート】 ・ハッとさせられる知見や洞察、しかし、相変わらずところどころでなんか鼻につく内田節。自分にとってはちょうどいいテキストなのかも知れない。 ・「呪い」についてのセンセーの洞察にやられちゃって買い求めた本書だが、呪い自体についての...

¥ mmsn01- 【要約】 ・ 【ノート】 ・ハッとさせられる知見や洞察、しかし、相変わらずところどころでなんか鼻につく内田節。自分にとってはちょうどいいテキストなのかも知れない。 ・「呪い」についてのセンセーの洞察にやられちゃって買い求めた本書だが、呪い自体についての言及はそれほど多くはない。ただし、色々な形質での呪いについて言及してはいるけど。その意味では、第1章と第2章がタイトルに即応した本書のコアだと思った。 ・最終章でポパー「開かれた社会とその敵」を題材にしていたとはすごいすごい。あまりよみこまずに、自分で読んでから照合させてもらおう。

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2017/07/02

鬱々としていた頃に読んでいた本。自分でも世界を呪いながら、不特定多数からの敵意のようなものが世に満ちていることに辟易としていた。著者の勧めるように身体感覚を取り戻すことを心がけるようにし、そうこうするうちに本自体を読まなくなってしまったという、私に転機をもたらした一冊のうちの一冊...

鬱々としていた頃に読んでいた本。自分でも世界を呪いながら、不特定多数からの敵意のようなものが世に満ちていることに辟易としていた。著者の勧めるように身体感覚を取り戻すことを心がけるようにし、そうこうするうちに本自体を読まなくなってしまったという、私に転機をもたらした一冊のうちの一冊。 今の私はかつてほどビッグワードは使わないし、何かお得なことが/面白いことが/特別なことが 起きないかなぁ〜というモノ欲しい気持ちが薄れ、感謝と他者への祝福とが自然にできるようになった。 呪いの時代なのはきっと変わっていないのだろうけど。

Posted byブクログ

2017/11/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

レヴィ・ストロースものかとタイトルから連想したのだが、ほぼ関係ない。人生教訓系ビジネス書に近い。とはいえ筆が達者なので、興味をそらさない。震災以降ヒステリックになり、知識人に見られた類型的独断表現がややみられる。いわく「やらないよりいいリスク回避のために疎開しなさい」

Posted byブクログ

2016/01/15

階層社会では階層下位に行くほど「この世の仕組みを私は熟知している」と過剰な自己評価をする確率が高まる。現代は呪いの事態であり、ネットなどで「死ね」と中傷を受けて自殺する人は後を絶たない。反証可能性の重要性。ダメだという切り捨て方が出現したのは80年代から。マスコミも同じ風潮の論じ...

階層社会では階層下位に行くほど「この世の仕組みを私は熟知している」と過剰な自己評価をする確率が高まる。現代は呪いの事態であり、ネットなどで「死ね」と中傷を受けて自殺する人は後を絶たない。反証可能性の重要性。ダメだという切り捨て方が出現したのは80年代から。マスコミも同じ風潮の論じ方をする。日本は英語を使わなくても社会的上昇が可能なまれな国。就職情報、結婚あっせん業者は同じ構造。贈与論。霊的な備えが大切。リスクとデインジャー。

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