小さな男*静かな声 の商品レビュー
百科事典をつくっている小さな男と、ラジオのパーソナリティをしてる静かな声の二人の視点で、届けられる。 しかも、一人称から三人称に途中でかわったりもどったり忙しい。 まどろっこしい日常の言葉の謎とか、いろんなことに共感。とくに静香さんの、ガムテープなのかクラフトテープなのか、とい...
百科事典をつくっている小さな男と、ラジオのパーソナリティをしてる静かな声の二人の視点で、届けられる。 しかも、一人称から三人称に途中でかわったりもどったり忙しい。 まどろっこしい日常の言葉の謎とか、いろんなことに共感。とくに静香さんの、ガムテープなのかクラフトテープなのか、といったこととか。 小さな男はとにかくくどい。この人は、語り手としては、きついです。たぶん、そこが味なので、批判しがたいけど。 全体的には後半の2割くらいの展開がすごくすき。
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読み出してしばらくは、大好きな映画のおとな りを思い出していました。大きな起伏のない物語で、最後の方で、小さな男と静かな声が交差するのではないかと。 ネタバレのない範囲で行くと、おとな りの結末とは違うゆるりとした接点しかありませんでした。 それでも大事な物語が一つ増えた気分です...
読み出してしばらくは、大好きな映画のおとな りを思い出していました。大きな起伏のない物語で、最後の方で、小さな男と静かな声が交差するのではないかと。 ネタバレのない範囲で行くと、おとな りの結末とは違うゆるりとした接点しかありませんでした。 それでも大事な物語が一つ増えた気分です。 吉田さんの作品に触れるたび、知っていることをもっと大事にしようという気分になります。どうあがいても生涯知ることができないことの方が圧倒的に多くて、偶然にも知ることのできたことを大切にしようと、そういう気分になります。クラフトエヴィング商會の本とか、せっかく出会えて知れたのだから、仲良くしよう、大切にしよう、と。 知っていることと知っていることのあいだには、とてつもない知らないことがぎっしり詰まっている(本文引用)から。
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一気に読むより、おいしいものをちびりちびりと愉しむように読むのが向いているように感じました。肩の力を抜いてくれる、日々の小さな愉しみにしたい物語。
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「そうそう。」読み終えて、解説2行目を通して独りごちる。 「時間がかかるのである。」 小さなパートに分かれていて一見読みやすそうで、そうでもない。文章の量とそこにある言葉の量が、見事な相反。 小さな男と静かな声の静香さんと誰かさんの独白エピソード。読み込まないと次へいけないもどか...
「そうそう。」読み終えて、解説2行目を通して独りごちる。 「時間がかかるのである。」 小さなパートに分かれていて一見読みやすそうで、そうでもない。文章の量とそこにある言葉の量が、見事な相反。 小さな男と静かな声の静香さんと誰かさんの独白エピソード。読み込まないと次へいけないもどかしさ。読めば読むほどいい具合に疲弊する。
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とっても読み進めるのに時間がかかりました。でも、とっても心地よい後味です。都会生活で感じる孤独というか、寂しさというか・・・作品の中の登場人物達とも同じ世代なので相通ずるものもあるのでしょうか? 同じ作品を再読するのはあまりないですが、この作品はきっと読むたびに違った感覚が生まれ...
とっても読み進めるのに時間がかかりました。でも、とっても心地よい後味です。都会生活で感じる孤独というか、寂しさというか・・・作品の中の登場人物達とも同じ世代なので相通ずるものもあるのでしょうか? 同じ作品を再読するのはあまりないですが、この作品はきっと読むたびに違った感覚が生まれると思います。 (あとがきの重松さんもこんな感想だったかな?)
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本を読んでいて、確かに目は文字を追っているのに、ふと気づくと内容がぜんぜん頭に入っていない。あわてて数ページ遡って、もう一度読み直してみるけれど、しばらくして我に返ると、やっぱり目が文字だけ追っていて、頭の中が空っぽだったってことありませんかぁ?この本は、ボクにとってそんな感じの...
本を読んでいて、確かに目は文字を追っているのに、ふと気づくと内容がぜんぜん頭に入っていない。あわてて数ページ遡って、もう一度読み直してみるけれど、しばらくして我に返ると、やっぱり目が文字だけ追っていて、頭の中が空っぽだったってことありませんかぁ?この本は、ボクにとってそんな感じのものでした。なにしろ主人公である百貨店に勤める〝小さな男〟と、深夜のラジオ番組のパーソナリティをしている〝静かな声〟の持ち主である女性が、交互に取り留めのない独り言をつぶやくようなお話なのですから。 特筆すべき何かが起こるわけではなく、主人公の日常や、普段の暮らしの中で思いついたようなことが、一人称で、あるいは三人称で、淡々と語られているだけなのです。なので本を読みながら、自分もついついまったく別のことに思いを巡らせていたりして、ふと気づいたときには、何も理解しないまま文字だけ追って、数ページ読み進んでいるというような状況になっているのです。でも、それがなんとも不思議な感じで、と~っても心地良いのです。著者の作品には独特の世界観がありますが、本書でもすっかりその虜になってしまいました。 ここに登場するのは、いたって平凡な人たちです。でも、平凡っていったい何なのでしょう?人生はおおむね平凡なものです。けれど、ありふれた退屈な日々の中にもあれやこれやあって、人は誰しもそんな人生を背負って、寂しく生きているのですネ。人生はデタラメで、世界にはまだまだ知らないことがい~っぱいあるのです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
*引用* 葡萄はつまむ果物であると彼は考える。つまんだ指の力が葡萄を押し出し、指には皮だけが残されて果汁がしたたる。香りが鼻腔を清め、ぬるりと口の中に送られた緑の果肉は冷たさと甘さを一瞬だけ舌に記して消えてゆく。その一瞬が消えぬよう、また次のひとつをつまみ、また指が果肉を押し出して果汁がしたたる。この快い連続。 ―― 『小さな男*静かな声』 p18
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うむむ? ほうほう。 うんうん。 えぇ? あぁ。 ふーん。 おやおや。 まぁ。 げげっ。 お。 おおー。 ふむふむ。 あはっ。 ほっほー。 うふふ。 読んでいる間、こんな感動詞が私の頭から吹き出しで出ていたであろう。 つまりは楽しく読めたということをお伝えしておきたいのだが。 ...
うむむ? ほうほう。 うんうん。 えぇ? あぁ。 ふーん。 おやおや。 まぁ。 げげっ。 お。 おおー。 ふむふむ。 あはっ。 ほっほー。 うふふ。 読んでいる間、こんな感動詞が私の頭から吹き出しで出ていたであろう。 つまりは楽しく読めたということをお伝えしておきたいのだが。 私はこの本から、みんなが暮らしている日々というのは単調なようで、実は「あらたまりつつある」のだということを教わって、なんだかニヒルな笑いを浮かべずにはおれなかった。 読むのに時間が掛かります。一字一句大事に読んでいたい本。
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「くどくど」は酢味噌和えなんかどうだろう。 「くりごと」ってひらがなで書くと栗の煮物みたいだよな。ってなことを考えながら読んでました。 「小さな男」の章と「静かな声」の章が交互に、そして一人称と三人称の語りが交互に、手編みのような本でした。 「小さな男」の章でじんわりと、「静か...
「くどくど」は酢味噌和えなんかどうだろう。 「くりごと」ってひらがなで書くと栗の煮物みたいだよな。ってなことを考えながら読んでました。 「小さな男」の章と「静かな声」の章が交互に、そして一人称と三人称の語りが交互に、手編みのような本でした。 「小さな男」の章でじんわりと、「静かな声」の章で軽やかに読みすすめるかんじで、そのリズムも気持ちよかったです。
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吉田さんの小説ですから、筋は有って無きが如く。 ただ、ページを開いた瞬間に、暖かく、静謐で、柔らかく、少し前向きな、でもどこか茶化したような世界にはまり込みます。 それにしても進まない。読み難い訳ではないのです。ただ、読み飛ばすことが出来ない。読書スピードは普段の半分くらいに落ち...
吉田さんの小説ですから、筋は有って無きが如く。 ただ、ページを開いた瞬間に、暖かく、静謐で、柔らかく、少し前向きな、でもどこか茶化したような世界にはまり込みます。 それにしても進まない。読み難い訳ではないのです。ただ、読み飛ばすことが出来ない。読書スピードは普段の半分くらいに落ちてしまう。なんて事を考えていたら、解説にも全く同じ事が最初に書かれている。誰の解説かと思ったら、重松清さんでした。 私の好みから言えば、もう少しストーリー性のある「スープ」の方が好きですが
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