鉄の骨 の商品レビュー
2023年25冊目。必要悪。本当にそんな言葉が通用するのだろうか。談合しなければ会社が潰れて路頭に迷う人が増え、経済が成り立たなくなる、のであるのならば長きにわったて得た裏金を裏金ではなく必要なところへ渡す仕組みを作ればいいのではないのだろうか。競争があったからこその発展であり、...
2023年25冊目。必要悪。本当にそんな言葉が通用するのだろうか。談合しなければ会社が潰れて路頭に迷う人が増え、経済が成り立たなくなる、のであるのならば長きにわったて得た裏金を裏金ではなく必要なところへ渡す仕組みを作ればいいのではないのだろうか。競争があったからこその発展であり、馴れ合いで得られる仕事なら技術の進歩は見込めない。一旦入ってしまったら抜け出すことはできないのではなく、地位や名誉や財産を手放すのが惜しいだけ。反発は多いが一社だけでも変えていこうというところがあることが救い。楽しかった!
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小説ですがあえてカテゴリはビジネス書に。 中堅ゼネコンに就職し現場監督として働く主人公。 絶対取らなければならない工事。新工法開発で入札にぐっと有利な立場に立つ。受注に向け一丸となる業務課。この会社ほどコストを下げられない他のゼネコンは談合を準備し… 最後は鮮やかに逆転して受注を勝ち取り、談合に入った地検の捜査もシロ判定を勝ち取る。 主人公の彼女がそのゼネコンの取引銀行のそのまた取引支店で働いていたり、その支店で現れる恋敵がそのゼネコンの融資担当者だったり、談合をとりまとめるフィクサーが主人公の母親と同郷でよく知っていたり…と娯楽小説ならではの設定がちりばめられているが、背景となっている建設談合がしっかり描かれているのでダレない。 最後の逆転は、これも談合をならでは、という伏線回収。
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主人公を中心に「談合」の葛藤が描かれていて面白い。会社で入札を行う業務を行なっていることもあり、よりリアルに感じる。また、ミステリー要素も含まれていて、1週間もしないで読めた
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談合が具体的にどの様に行われているかという事がちょっとわかりました。 談合しないと多くの失業者が出てしまうなど社会全体に大きな打撃を与えてしまうのを避けるためと言われれば、しょうがないのかなと思わせる建設業界における『必要悪』の存在と考えは、なかなか談合がなくならない根深さを感じ...
談合が具体的にどの様に行われているかという事がちょっとわかりました。 談合しないと多くの失業者が出てしまうなど社会全体に大きな打撃を与えてしまうのを避けるためと言われれば、しょうがないのかなと思わせる建設業界における『必要悪』の存在と考えは、なかなか談合がなくならない根深さを感じさせる。また、政治とカネの癒着も絡み目が離せない展開は池井戸作品ならでは。 そしていつも思うけど池井戸作品の登場人物たちにはみんな心があって一生懸命で生き生きしてる。池井戸氏が伝えたいメッセージを登場人物に言わせる事も忘れない。 吉川英治文学新人賞を受賞したというこの作品。その後の池井戸氏の爽快な作品を知っているだけに、ここから池井戸ワールドが発展して来たのだなぁ、と実感するものでした。
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清濁合わせ飲む雰囲気の作品でした。 この作者の作品は基本的に正義を貫く展開が多い印象ですが、こちらの作品は業界の悪を必要悪として描いており、結末も落ち着くとこに落ち着いたようなある意味納得のものでした。 私は単純なタイプなので、半沢直樹シリーズの正義は勝つ!のような展開が好みですが。 読んだ後に感動はありませんでしたが、サクサク読むことができました。 割と予想通りの流れで進んだ気もするので、意表を突くほどの驚きはなく。 でも、よく他の作者さんでつまらなくて途中で読むのを投げ出したくなる作品がありますが、池井戸さんの作品は展開の仕方や描き方に引き込まれるので、飽きずに読めます。 この作品自体への感想は可もなく不可もなく。 隙間時間の読書には良いかな、といった感じでした。
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いつからだろう。 善悪や白黒については、両親から嫌というほど教えられてきたはずなのに、曖昧なグレーの世界の存在を認めるようになったのは・・・ 。 法律に反するのは罪だけど、仕組みを根底から変えないと、誰もが認めるグレーの世界はなくならないんだろうな〜。 先ずは、個人として目先の小...
いつからだろう。 善悪や白黒については、両親から嫌というほど教えられてきたはずなのに、曖昧なグレーの世界の存在を認めるようになったのは・・・ 。 法律に反するのは罪だけど、仕組みを根底から変えないと、誰もが認めるグレーの世界はなくならないんだろうな〜。 先ずは、個人として目先の小さな事から正していこう。(^_^)v
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公共事業と談合を主軸の人間ドラマ 建前では脱談合を謳いつつも、本音では談合を相互援助システムとまでいわせる お互いで共通の利益を都度、受領するさまが生々しく描かれていた ヒト、会社、政治それぞれの思惑が入り乱れ一筋縄ではいかない様も 落とし所が二転三転するように最期まで楽しめた...
公共事業と談合を主軸の人間ドラマ 建前では脱談合を謳いつつも、本音では談合を相互援助システムとまでいわせる お互いで共通の利益を都度、受領するさまが生々しく描かれていた ヒト、会社、政治それぞれの思惑が入り乱れ一筋縄ではいかない様も 落とし所が二転三転するように最期まで楽しめた キャラクターも魅力的だ 主人公 富島平太 業務課に異動当初は後向な考え方だったが、実情を見せつけられるにしたがい 徐々に談合に対し自分なりに納得していく描写が良かった 萌の揺れ動く心はこんなに必要とは思えない(^_^;) 園田にいたっては登場しなくてもいいのでは・・・ 500ページを超える作品なのでこの辺を削ればもっと緊迫した流れになったかもと思いつつ 恋愛模様を入れないとオッサンしか出てこない、息苦しいものになったかも しれないのでやはり必要なのかな?
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面白かった。ちょっと深読みしていたところがあったので見当が外れた。お母さんと三橋さんの過去をもうちょっと知りたかった。
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面白かった。読みごたえもあった。最後は、そう来たら良いなと期待しながら読んでいて、その通りになりスカッッとした。尾形の考えまでは、思っていなかったので、それはさらにスカッと。さらにさらにこの後、どうなったんだろう…
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大手ゼネコンの談合問題に切り込んだ小説。 今まで「談合」ってあまりよく解っていなかったんだけど、これを読んだら良く解った。 なぜ問題になるのか、なぜ無くならないのか。 この小説では、無くならない理由を、ひとつは企業努力が足りない事と、政治家誘導による物として切り込んでいる。 そ...
大手ゼネコンの談合問題に切り込んだ小説。 今まで「談合」ってあまりよく解っていなかったんだけど、これを読んだら良く解った。 なぜ問題になるのか、なぜ無くならないのか。 この小説では、無くならない理由を、ひとつは企業努力が足りない事と、政治家誘導による物として切り込んでいる。 それにしても大手ゼネコンが関係するひとつの物件入札金額って凄いのね。 単独で2,000億円ですよ! これは、地下鉄工事の物件ですけど、これと同じように連絡橋とか道路とかも、とんでもないお金が企業に流れるんでしょうね。 まあ、単独業者じゃなくてジョイントベンチャーで入札する事も多いんでしょうけど。 そうそう、ジョイントベンチャーってのも裏が有りそうですよねぇ。 いずれにしても泣くのは下請け、中小企業なんでしょうね。 「下町ロケット」も面白いけど、これも面白いよ。 池井戸潤はどれもお勧めです。
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