怪物はささやく の商品レビュー
何かをしたわけでもない、言ったわけでもない、ただ、思ってしまっただけ。ふと、心に浮かんでしまっただけ。それでも、それへの責に囚われて、苦しく、辛い。 囚われている13歳の少年は、イチイの木の姿をした怪物の手荒な助けを得て、囚われていた場所から歩きだしたけれど、本当に解放されただろ...
何かをしたわけでもない、言ったわけでもない、ただ、思ってしまっただけ。ふと、心に浮かんでしまっただけ。それでも、それへの責に囚われて、苦しく、辛い。 囚われている13歳の少年は、イチイの木の姿をした怪物の手荒な助けを得て、囚われていた場所から歩きだしたけれど、本当に解放されただろうか。 怪物を呼べない、未だ囚われている私は、訝しく思う。
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…真実を見つめる者だけが過酷な真実を乗り越えられる この本を読むものは、みな一人ひとりがコナー・オマリーだ。 物語は静かに、そして読む者をも徐々に追い込みながら、 圧倒的な展開を伴って最後のその時に向かって滑りだす。 モノクロの表紙絵や装丁に惹きつけられて読み始めたが、 内容に...
…真実を見つめる者だけが過酷な真実を乗り越えられる この本を読むものは、みな一人ひとりがコナー・オマリーだ。 物語は静かに、そして読む者をも徐々に追い込みながら、 圧倒的な展開を伴って最後のその時に向かって滑りだす。 モノクロの表紙絵や装丁に惹きつけられて読み始めたが、 内容にここまで肉薄しているイラストの凄さに驚かされる。 早世を惜しまれた作家シヴォーン・ダウドの構想メモをもとに、 同じくカーネギー賞作家パトリック・ネスが肉づけしたものだという。 二人の作家の出会いの妙と創出された壮大な世界観。 それを的確に支えるイラストと装丁の見事さ。 本を、文字通り手にする喜びを味わって余りある一冊だった。
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おもしろかったww深い・・。どこに落ち着くかわかりながらも意外な展開でした☆ちょっと急いで読んでしまいましたが、じっくり時間をかけて読むべき本ですね・・。是非、読んでいただきたい・・。人間とは複雑なもの。そしてどう行動するかが大切。まだまだ真理を読み込めてないかなww
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読み終わって、はぁっと息をついた。 知らないうちに力が入っていたみたいだ。 イチイの木の姿をした怪物。 怪物が語る3つの物語。 そして少年が語る4ばんめの物語。 心がぎゅうっと苦しくなる。
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これは児童書なのか、大人向けの本なのか・・・。 読み終わって、何だかドヨヨ~ンとする感じ。 挿絵も黒で迫力があり、これまた不思議と引き込まれる。
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13歳のコナー両親は離婚、おまけに母親は重病、学校ではいじめられ、一緒に住もうと言ってくれる祖母は好きになれない。 そんなコナーのもとにイチイの木が怪物となって現れる。 怪物は3つの話を日をおいて話をする。そして3つ目の話を語り終えたらコナーが自分の話をしないといけないという。 自分の話とは何なのか、怪物は母親も病気を癒してくれるのか、不思議な話に引き込まれる。 自分で自分を悲劇の主人公にまつりあげてしまし、て物事に対処しないでうっちゃっておくとどうなるか、物事に対処するにはどうするべきか。 世の中の矛盾、心の葛藤との闘い。挿絵もストーリーテリングもよくできている。 このようなファンタジーであっても心のありようのあるべき姿を書いてしまういかにもアメリカ文学である。嵐に立ち向かうための勇気とは何か問いかける本である。
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怪物が3つの物語をコナーに聞かせる。 物事は、人は、善・悪、正・誤とそれほど簡単に割り切れるものなのだろうか。 名君と慕われた王の過去に犯した罪。 聖人と言われながら信じる心を捨ててしまった司祭。 金の亡者アポセカリーが人々のためになる薬を残そうと心をくだく。 ○×方式ですぐ答の出る問題ばかり解きたがる現代っ子たちに 人間の持つ相反する感情、性癖、善と悪の間で揺れ動く心が 自分の中にもある存在することを洗い出してくれる。 「真実を語る」難しさは、自分と向き合う難しさであったのだ。
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[コメント] NHK BS「週間ブックレビュー」2012/02/04 6:30- 桜庭一樹氏紹介
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朝のラジオで紹介されていたのがきっかけでした。 コナーを取り巻く状況は暗いです。 学校での孤独に閉塞していき、病床に付く母を慕いながらも、自分の心の内に怯え、罰を受けたいと感じているコナー。 コナーの心の動きが怪物との交流で明かされた時には、泣きました。 挿絵も迫力あり。
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13歳の少年、コナー・オマリー。 ある時、彼のもとにイチイの木の怪物がやってくるようになる。 怪物がやってくる時間は、いつも12時7分ぴったり。 夢とも現実とも定かでない世界で、怪物はコナーにこう語りかける。 「これから、おまえに3つの物語を話して聞かせる。そして、その後、お...
13歳の少年、コナー・オマリー。 ある時、彼のもとにイチイの木の怪物がやってくるようになる。 怪物がやってくる時間は、いつも12時7分ぴったり。 夢とも現実とも定かでない世界で、怪物はコナーにこう語りかける。 「これから、おまえに3つの物語を話して聞かせる。そして、その後、おまえが4つめの物語を私に話すのだ。ただの物語ではない”おまえの真実”の物語を」 一体、何が目的か、と問うコナーに対し、怪物は 「質問を間違えているぞ。問題は、私が何を求めているかではない。おまえが私に何を求めているかだ」 と答える。 怪物を呼んだのはコナー自身だという。 コナーの中の何かが、怪物を呼んでしまったのだ。 ちなみに怪物は決まった名前を持っていない。イチイの木の姿をしているのも「この姿が一番ラク」だから。 ただ、最初の方で自ら 「狩人ハーン」 であり 「樹木神ケルヌンノス」 でもあり 「森の番人グリーンマン」 でもある、と名乗っている。 少し調べてみると、それぞれ元が一緒だったりと関係がある神々。 その中の「ケルヌンノス」は冥府の神とされている。 実のところ、怪物は「コナーの真実」を最初から(ある程度まで)知っているような節がある。 怪物=摩訶不思議な技を使う未知の存在、なので「コナーの真実」を知っていても不思議はない、とも考えられるが、「冥府の神」だから、というのも理由の一つとして考えられそうだ。 (「コナーの真実」はこの辺りに関わる内容) 怪物の目的は「コナーの真実」を知る事ではなく「コナーに真実を語らせる事」 怪物のセリフからも想像できるかもしれないが、「3つの物語」は「4つめの物語」を引き出すための「枕」にすぎない。 怪物が語る物語は、どれも一癖ある物語ばかり。相反する気持ちを同時に抱えた者たちの物語、という点では共通している。 ただ怪物自身も相反する心を抱えているという点では一緒。 毒でもあり、薬でもあるイチイの木の姿をしている事がそれを象徴しているのかもしれない。 挿絵も豊富だが、すべて白黒。怪物も含めた「人物」はシルエットのみのため、不気味な雰囲気を醸し出す。 怪物に”おまえの真実”の物語、と言われた時、コナーは心の奥底で、思い当たるものを感じる。 それはコナーにとって、とてつもなく怖ろしい物語。それを語るくらいなら死んだ方がまし、とさえ思えるほどのもの。 ただ、その物語の底には「3つの物語」と共通するものが流れている。ある意味、「3つの物語」は形を変えた「コナーの物語」でもある。 恐怖を乗り越えるために、恐怖と向き合う。 ごもっとも、と思うが、実際にやってみろ、と言われたら、こう即答するだろう。 「謹んでお断りします」
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