メモリー・ウォール の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「メモリー・ウォール」はケープタウン郊外の白人老婆の家。「生殖せよ、発生せよ」は、ワイオミングで避妊治療中の若夫婦。「非武装地帯」は38度線にいる弟からの手紙がアイダホの兄に届く。「一一三号村」はダムで潰れる中国の村。「ネムナス川」はリトアニアでチョウザメ釣り。「来世」はナチス政権下のハンブルク時代(なぜか雰囲気が「わたしを離さないで」)をまだらに思い出すオハイオの老婆。そして筆者はクリーブランド生まれアイダホ在住。作家の創造力は世界を巡る!
Posted by
言葉がかっこいい。 洗練を繰り返せばここまでいけるんですね。 『種というのは、植物が眠っているあいだに見る夢なのよ。
Posted by
新潮クレスト文庫。 今と昔を行きつ戻りつ語られる記憶をめぐる6篇の物語。 どのお話も素晴らしかったけれど、一番は“来世”。 人は過去を貴び、過去を悔やみ、それでも進んでいく。
Posted by
記憶をテーマにした短編集です。表題作は最初に収録されています。 近未来?の南アフリカ。裕福な未亡人は認知症の治療のため、記憶をカートリッジに記録し、その記憶を見るための装置を頭に埋め込んでいた。しかし、認知症は進行。そんな彼女の家に夜な夜な忍び込む男たち。彼らは未亡人の夫が死の...
記憶をテーマにした短編集です。表題作は最初に収録されています。 近未来?の南アフリカ。裕福な未亡人は認知症の治療のため、記憶をカートリッジに記録し、その記憶を見るための装置を頭に埋め込んでいた。しかし、認知症は進行。そんな彼女の家に夜な夜な忍び込む男たち。彼らは未亡人の夫が死の間際に発見したという、貴重な化石のありかが記録された、記憶のカートリッジを探していた・・・。 ひとつひとつの文(センテンス)が短い、とても特徴のある文体です。 好き嫌いが別れるところだと思いますが、私はちょっと^_^;。なんか読んでいてリズムに乗れない感じでした。 物語自体は設定も面白く、ちょっとクライム小説の感じもあって楽しめました。 結末も練られていて、アンハッピーにならないところもいいですね。 すべてを説明し切らない感じの雰囲気が楽しめる人にはいいかもしれません^_^;。
Posted by
玉石混交というか、ちょっと期待はずれでした。「ネムナス川」「来世」はよくできた物語だと思います。特にヨーロッパのリトアニアが舞台の「ネムナス川」、これは傑作です。 一方、力作であるはずの表題作「メモリー・ウォール」は、私には出来の悪いSF怪作にしか思えません。恐竜の化石、南アフ...
玉石混交というか、ちょっと期待はずれでした。「ネムナス川」「来世」はよくできた物語だと思います。特にヨーロッパのリトアニアが舞台の「ネムナス川」、これは傑作です。 一方、力作であるはずの表題作「メモリー・ウォール」は、私には出来の悪いSF怪作にしか思えません。恐竜の化石、南アフリカの人種隔離の残滓、よいよいのおばあちゃんが銃で賊を一発で仕留めるとか、アメリカ人が作る安手のSF映画みたいです。 メモ 本文21ページ 窓の外では、薄紫色の雲が太平洋の上で小さくなっていく。 本文24ページ 窓の外では、大西洋の上に雨雲の一団が集結している。
Posted by
こんなに一つ一つの物語に厚みがある短編集を今まで見たことがない。著者の小説に対する意識の高さ、挑戦的な姿勢を感じさせられる。特にメモリーウォールと、アフターワールドはあまりの重厚感に映画を見ているかのような気分にさせられた。面白い。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読まなくても良かった。ちょっと、最近、別のサービスを使って読書進捗を 付けているので、そっちから引用。 [2012/11/28] (1~44ページ) 返却日が迫ってきたので,読み始め.認知症と紛失した史跡.ちょっと,生きる僕らと バビロンの魔女が混じってる感じ.あと,完全なる首長竜の日のBMI系も. [2012/11/29] (44~76ページ) なかなか進まない展開.ちょっと,読みづらいし. [2012/11/30] (76~162ページ) ぜんぜん面白くない.ちょっと,前半が終わって,なんか短編小説っぽい構成になって きた.勘弁して欲しい. [2012/12/03] (162~246ページ) 寝落ちしてしまうくらい,意味不明な文章.なんとか,読み切りたい.背表紙の, 円城塔のレビュを信じている. [2012/12/04] (246~316ページ) 読み終わった.やっぱ短編集だったのかなぁ.つながり読めなかったのだけど. まぁ,いいや.面白くなかったので.
Posted by
記憶をテーマにした6つの中短編集。 表題作と、後半の三本がとても良かった。 上手く言葉に出来ないけれど、過去を忘れていく喪失感とか、思い出の懐かしさとか愛おしさとか、切なさとか痛みとか、そういうものが混然一体となって迫ってくる感覚。淡々とした語り口が沁みる。 “ひとつの記憶を何...
記憶をテーマにした6つの中短編集。 表題作と、後半の三本がとても良かった。 上手く言葉に出来ないけれど、過去を忘れていく喪失感とか、思い出の懐かしさとか愛おしさとか、切なさとか痛みとか、そういうものが混然一体となって迫ってくる感覚。淡々とした語り口が沁みる。 “ひとつの記憶を何度も十分に思い出せば、新しい記憶を、思い出す記憶を作れるのです。” 忘れたくない思い出を何度も反芻すること。大切なことは何度も繰り返して、何度も新しい記憶にしていく。忘れないように。無くさないように。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
見ることも手に取ることも耳で聞くこともできないけれど、存在するものを信じられるか。 記憶は、見えないし、具体的に示すこともできないけれど、確かにそこにあって、持ち主の人生を左右する。 覚えていることは、幸せなのか、不幸せなのか。 記憶をめぐる短編集。 自らの記憶を記録するカートリッジをセットして、それに浸る南アフリカの老女。彼女の記憶に刻まれた化石の眠る場所を探る男。 不妊治療の過程ですれ違っていくアメリカの夫婦。 ダムに沈む中国の村。村で生まれた男が今は人々の立ち退きを後押しする仕事をしている。 両親を失い、リトアニアの祖父の家に暮らすことになるアメリカの少女。そこからはいなくなったと言われるエルケタス(チョウザメ)を釣り上げようと川に通う。 ドイツに生まれ、ナチスの台頭で不自由な生活を強いられて行く、てんかん持ちのユダヤ人少女。孫を持つ身になった彼女は今、アメリカにいる。 すべて、記憶と家族の物語。
Posted by
記憶がテーマの短編集。 懐かしさと切なさが余韻をもって胸に残る。 表題作はもちろんだが、両親を失った少女が徐々に新しい環境を受け入れていく「ネムナス川」、ナチス占領下の孤児院の少女を描いた「Afterworld」も印象的だった。 大切な思い出や忘れられない思い出を胸に抱えて、傷を...
記憶がテーマの短編集。 懐かしさと切なさが余韻をもって胸に残る。 表題作はもちろんだが、両親を失った少女が徐々に新しい環境を受け入れていく「ネムナス川」、ナチス占領下の孤児院の少女を描いた「Afterworld」も印象的だった。 大切な思い出や忘れられない思い出を胸に抱えて、傷を癒すように撫でながら希望を見つめる、そんな優しい読後感があった。
Posted by