ラジ&ピース の商品レビュー
初めて読んだ絲山秋子さん作品。自分にコンプレックスを抱えていて他人を警戒して鬱々とした主人公の描写に、最初はリアルで読んでいると重たい気持ちになってしまいました。 しかし中盤以降は、自然に付き合えるリスナーとの交流が始まったり、行きずりでなった友達に対して自分を出すようになったり...
初めて読んだ絲山秋子さん作品。自分にコンプレックスを抱えていて他人を警戒して鬱々とした主人公の描写に、最初はリアルで読んでいると重たい気持ちになってしまいました。 しかし中盤以降は、自然に付き合えるリスナーとの交流が始まったり、行きずりでなった友達に対して自分を出すようになったり、少しずつ楽に生きていく道が拓けていくような展開にすごく惹き込まれて良かったです。 絲山秋子さんご自身が、東京出身ながら地方都市を転勤しながら暮らされていたご経験があるとのこと。地方都市ならではのローカルな暮らし、人間関係、町の少し寂れた部分など、リアリティのある世界観も見事でした。 他の作品も異った地方都市が舞台のものがいくつかあるそうなので、ぜひ読んでみたいです。
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自分を醜いと思い込み、意固地になっていた野枝。現実世界では他人とつながることを拒否し、ラジオ局のスタジオの中でしか息ができない。例えば、気の置けない友人と一緒になって笑いたいが、どういう顔をして笑ったらいいのかわからない。そんな彼女が、群馬という土地で、少しずつ変わる物語。 併録...
自分を醜いと思い込み、意固地になっていた野枝。現実世界では他人とつながることを拒否し、ラジオ局のスタジオの中でしか息ができない。例えば、気の置けない友人と一緒になって笑いたいが、どういう顔をして笑ったらいいのかわからない。そんな彼女が、群馬という土地で、少しずつ変わる物語。 併録された「うつくすま ふぐすま」この表題の意味が分からないのは私だけ?
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あまり印象に残らなかったけど、嫌いではない。たぶん時間をおいてまた読んだら新たな発見があって、その都度好きになり、最終的に気に入りそうな本の予感はしたけど、それくらいの感じ。 表題作の野枝のサバサバした感じ、世間に期待していない感じがちょっと好きだな~っていうのはある。沢音...
あまり印象に残らなかったけど、嫌いではない。たぶん時間をおいてまた読んだら新たな発見があって、その都度好きになり、最終的に気に入りそうな本の予感はしたけど、それくらいの感じ。 表題作の野枝のサバサバした感じ、世間に期待していない感じがちょっと好きだな~っていうのはある。沢音とは正反対のタイプなのに、気が合ってしまう感じもなんかわかる気がする。わかるけど、よくわかんないや。 誰もがここにいる。ここに存在するっていう感覚が大切で必要なのかな。
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相馬野枝32歳独身。FMラジオのDJ。 自分の容姿に強烈なコンプレックスを抱き、極端なほど他者との距離を保つ彼女が、唯一自分を解き放てるのが自らパーソナリティを務めるラジオ番組。 仙台から群馬のFM局に転職した彼女が、半ば強引にできた女友達やリスナーとの関わりの中で、ほんの少しず...
相馬野枝32歳独身。FMラジオのDJ。 自分の容姿に強烈なコンプレックスを抱き、極端なほど他者との距離を保つ彼女が、唯一自分を解き放てるのが自らパーソナリティを務めるラジオ番組。 仙台から群馬のFM局に転職した彼女が、半ば強引にできた女友達やリスナーとの関わりの中で、ほんの少しずつ自分を肯定していく・・・という標題作は、本当にFMラジオの番組を聞いているかのような孤独な心地よさ。 群馬の小ネタ(高崎人は前橋人が嫌いとか・・・ホント?)も随所にはさまれクスッと笑える。 併録された「うつくすま ふぐすま」は、短いながらスカッと晴れた空を感じさせるキレのいい作品。 生ゴミのようだと感じる男とずるずる切れずにいる中野香奈(下から読んでもナカノカナ)が、もう一人の中野香奈と友達になり、違う世界を知ることできっぱりと別れを告げる。そのシーンがもう最高。 ーー雲がみるみる晴れてきて日が差しこんできて、一斉に蝉が鳴き出したような嬉しさだ。誰にでも屑みたいな過去はある。でも私が忘れてしまえば、そいつは消える。なかったことになる。ーー なんと爽快!
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絲山秋子のラジ&ピースを読みました。 相馬野枝は25歳から六年間続けた仙台のFM局から群馬のFM局に転職します。 そこでラジ&ピースという番組のパーソナリティーを始めます。 野枝は番組で見せる顔とは違うかたくなな素顔をもてあましています。 そんな野枝は朗らかで無防備な女医の沢音...
絲山秋子のラジ&ピースを読みました。 相馬野枝は25歳から六年間続けた仙台のFM局から群馬のFM局に転職します。 そこでラジ&ピースという番組のパーソナリティーを始めます。 野枝は番組で見せる顔とは違うかたくなな素顔をもてあましています。 そんな野枝は朗らかで無防備な女医の沢音と出会って時々会うことになります。 自由に生きる女性の生き様が淡々と描かれています。
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昔から人と関わるのが苦手で、今では人に心を開くことをほとんど諦めているアラサー女性の新天地での物語。そこで出会い、されるがままに付き合いを続けるも気を許していなかった沢音に対して野枝が初めて心を開く場面が個人的にとても良かった。カーチェイスって言うの?猛スピードを出して追い越した...
昔から人と関わるのが苦手で、今では人に心を開くことをほとんど諦めているアラサー女性の新天地での物語。そこで出会い、されるがままに付き合いを続けるも気を許していなかった沢音に対して野枝が初めて心を開く場面が個人的にとても良かった。カーチェイスって言うの?猛スピードを出して追い越したり追い越されたりしながら車を走らせる。互いに自分の車の中という別の空間にいて当然言葉も視線も直接交わることのない状況でありながら、そのうち感情が高揚し気がついたら心を通わせていたーー。こんな心の交わし方もあるんだって心の底から驚いたし希望も感じた。何がきっかけで友情が芽生えるかって本当に分からないものだし、対人関係でひどく悲観的になることはないのだなと自然に思うことができ、とても気分がいい。
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他の本より地の文があっさりしていて、主人公の内面もガシガシ消しゴムで削られた跡だけがある。 つまりは測りかねた主人公の変化が、大きいものなのか小さいものなのかわからなかった、それが読みのせいなのか作品の性質なのかもいまひとつ確信できない。 「うつくすま ふぐすま」も、収録。
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絲山女史の作品を 追っかけているわけでないし すべてを読んだわけでもないけれど 基本的に病んでいるものが多い。 そうじゃない絲山女史を読んでみたい 今回は特にそう思った。 そう思っていたら オマケの一編『うつくすま ふぐすま』はかなりいい。 『逃亡くそたわけ』に出てくる ...
絲山女史の作品を 追っかけているわけでないし すべてを読んだわけでもないけれど 基本的に病んでいるものが多い。 そうじゃない絲山女史を読んでみたい 今回は特にそう思った。 そう思っていたら オマケの一編『うつくすま ふぐすま』はかなりいい。 『逃亡くそたわけ』に出てくる "亜麻布二十 エレは上衣一着に値する" といい、 女史は言葉を切り取るのがとても上手い。
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おのれの弱さが他人の目には強さであるように映ることがある。 なぜかといえばその強さとは、弱さを覆い隠し守るための鎧のようなものだからだと思う。 でも内心、その鎧の重さに辟易していたりする。 『ラジ&ピース』も『うつくすま ふぐすま』もそんな短編で、少し乱暴にまとめると30代の女...
おのれの弱さが他人の目には強さであるように映ることがある。 なぜかといえばその強さとは、弱さを覆い隠し守るための鎧のようなものだからだと思う。 でも内心、その鎧の重さに辟易していたりする。 『ラジ&ピース』も『うつくすま ふぐすま』もそんな短編で、少し乱暴にまとめると30代の女が武装解除するという話。 あまりにすとんと変化が訪れるので、ちょっと物足りなかった。
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あまりにも読みやす過ぎて、内容が訴えてくることを意識しているのに通過してしまったかのような、そんな読後感さえ。「うつくすま ふぐすま」のような痛快譚の方が、著者の持ち味が現れていて面白かった。
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