ラジ&ピース の商品レビュー
この本を大阪の本屋で買った。翌日に京都の嵐山へ行く途中の車中で読み始め、帰りの車中で読み終わった。あっというまに読めた。面白い。「水たまりに落ちたレシート」と主人公が自身のことを思っているとある。この表現方法に惹かれた。この主人公が田舎町で人と関わり、積極性を獲得していくはなし。...
この本を大阪の本屋で買った。翌日に京都の嵐山へ行く途中の車中で読み始め、帰りの車中で読み終わった。あっというまに読めた。面白い。「水たまりに落ちたレシート」と主人公が自身のことを思っているとある。この表現方法に惹かれた。この主人公が田舎町で人と関わり、積極性を獲得していくはなし。自分に訪れる色々な機会に正面から向き合っていくことで、人生が開けて行くんだと読後の感想(教訓)を得られた。
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さて困りました。何と書けばよいのか? こういう時はネットの書評を読んで、同感できる言葉を拾い集めてみる事にしましょう。 ◇こんな魅力的な不機嫌は絲山さんの得意技のひとつだ。 ◇なんか愛想は悪いがなかなか気の利いたつまみをだしてくれる飲み屋みたいな小説。 ◇はっきり言って、野枝は...
さて困りました。何と書けばよいのか? こういう時はネットの書評を読んで、同感できる言葉を拾い集めてみる事にしましょう。 ◇こんな魅力的な不機嫌は絲山さんの得意技のひとつだ。 ◇なんか愛想は悪いがなかなか気の利いたつまみをだしてくれる飲み屋みたいな小説。 ◇はっきり言って、野枝は、お近づきになるのは遠慮したくなるほどの『嫌な女』なのだが、これぞ絲山秋子の筆の凄いところで、いつのまにか物語に引き込まれ、野枝に好感を持ち、応援までしている自分がいた ◇日差しの中で少しずつほぐれていくような野枝のほんのわずかな変化が作品に温かみを加えていきます。 自らの殻にこもる孤独(引きこもりとはちょっと違う)みたいなのが絲山さんのテーマなのでしょうかね。それが少しほぐれるのだけど、ほぐれ切れないところが”らしさ”のようです。 ◇削りに削ってエッセンスを抽出していくような1冊を愛読者としては次も期待 ◇軽やかな文体は選びぬいた言葉だけで構成され、心血を注いだあとがうかがえます。 あまり気にしたことが無かったけど、確かに質の高い文章です。書いたものを後から削って行ったというより、最初から言葉を選び抜いて書いている感じですね。
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表題作〝ラジ&ピース〟の主人公は、32歳の独身女性。孤独癖のあるひねくれ者なのですが、読んでいてぜんぜん嫌な気を起こさせないのは、絲山さんの文章のなせる技ですねぇ。むしろ、主人公の気持ちに共感させられてしまいます。孤独というのが、良くないこととして受取られるようになったのは、いっ...
表題作〝ラジ&ピース〟の主人公は、32歳の独身女性。孤独癖のあるひねくれ者なのですが、読んでいてぜんぜん嫌な気を起こさせないのは、絲山さんの文章のなせる技ですねぇ。むしろ、主人公の気持ちに共感させられてしまいます。孤独というのが、良くないこととして受取られるようになったのは、いったいいつ頃からなのでしょう?孤独に馴染むことも、人として大切なことだと思えますが・・・。 併録されている〝うつくすま ふぐすま〟は、恋人よりも友達が大事という、ちょっぴり高慢で我侭な女性が主人公です。自分の恋人のことをケチョンケチョンに評価するので、読んでいてたまらない気持ちになりますが、どちらも不思議に晴々とした余韻に浸れる作品でした。
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他人事ではない。自意識にさいなまれ、それに自覚的なのにそのまま。。不器用でも不器用なりに相性のよい人がいて、絆ができていくんだなぁと嬉しくなった。 首都圏以外住んだ経験がないから、地方都市の暮らし、感覚を体感できたのも楽しかった。 絲山秋子さんの文体ほんとうに好み。
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たしかに、福島県民は「うつくすま、ふぐすま」と言っている。 この作品の書き出しを、福島の人たちに読んでほしいと思った。 書かれたのはもちろん3-11よりもはるかに前なんだけど、このタイトルを見ただけですぐさま手にとって買ってきて読み終えた。 表題作も、田舎くささがしっかり出てい...
たしかに、福島県民は「うつくすま、ふぐすま」と言っている。 この作品の書き出しを、福島の人たちに読んでほしいと思った。 書かれたのはもちろん3-11よりもはるかに前なんだけど、このタイトルを見ただけですぐさま手にとって買ってきて読み終えた。 表題作も、田舎くささがしっかり出ていて、読みやすかった。
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絲山秋子は、表題じゃない方の短編が逸脱だと、あらためて思った。表題は、さらっとしたストーリーを、ざらざらした感覚で残してしまう絲山節が快感でした。
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難しいなぁ。。。 正直、何を言いたかったのかはもやっとしててよくわからなかった。 それでも読ませるのは一重に絲山さんの文章力。 ところどころに散りばめられたドラマと、それらを経て少しずつ変わっていく野枝。 解説にはロード小説の流れってあったけど、見知らぬ土地に移り住んで、その土地...
難しいなぁ。。。 正直、何を言いたかったのかはもやっとしててよくわからなかった。 それでも読ませるのは一重に絲山さんの文章力。 ところどころに散りばめられたドラマと、それらを経て少しずつ変わっていく野枝。 解説にはロード小説の流れってあったけど、見知らぬ土地に移り住んで、その土地で受け入れられ、自分もその土地を受け入れる、その先に何があったか、そんな話じゃないかと。 併録のうつくすま ふぐすまもよかった。 二人のナカノカナさん。 清々しい別れを読むだけでも価値がある。
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あー、読み終わっちゃった。 絲山さんはコンプレックスに塗り込められた人を描くのにとても長けている。 自分に反射させて苦しくなるくらい。 誰もが何かしらの劣等感を抱えているなら、全部底上げしてチャラにできたら楽なのに…と思うけどきっとそうはできない。 だから、ひとがそこから解かれ...
あー、読み終わっちゃった。 絲山さんはコンプレックスに塗り込められた人を描くのにとても長けている。 自分に反射させて苦しくなるくらい。 誰もが何かしらの劣等感を抱えているなら、全部底上げしてチャラにできたら楽なのに…と思うけどきっとそうはできない。 だから、ひとがそこから解かれていく小説を心地よく読むんだと思う。 開始18ページ、「ビジョーフ」の響きに完全にノックアウト。加えて、主要な登場人物の名前が文から浮かんで来るのも凄い。 併録も良かったです。 美しいかどうかは大切なだけど些末なことだと思う。 今回も短くて、読後感がよくて、さらっとした満足感。好きです。
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