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あがり の商品レビュー

3.5

25件のお客様レビュー

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2020/08/01

2020.3.31市立図書館 →2020.7.31文庫本購入 「5まで数える」が自分と高2長女にとって「あたり」だったので、芋づる式に読んでみることにした著者のデビュー作を含むSF連作短編集。北の街の大学を舞台に、「(論文を)出すか(学会から追い)出されるか法(=三年以内に論文を...

2020.3.31市立図書館 →2020.7.31文庫本購入 「5まで数える」が自分と高2長女にとって「あたり」だったので、芋づる式に読んでみることにした著者のデビュー作を含むSF連作短編集。北の街の大学を舞台に、「(論文を)出すか(学会から追い)出されるか法(=三年以内に論文を出さないと即クビ)」という架空の法律がいいスパイスになって閉塞感漂う学内各所でくりひろげられるささやかでペーソスあふれる物語たち。文理の違いはあれど私自身大学院までお世話になっただけに、研究室の日常にも、論文が書けるかどうか、研究の世界に残れるかどうかといった不安な心理にも覚えがあり、共感しながら読んだ。巻末に町の地図もあり、学内外にいくつか共通の舞台があったり、別のお話の登場人物が関わってきたりと、読むにつれて北の街の大学とこの世界の住人への親近感が増してくる。理系なのだけれど、人の心の機微がていねいに描かれていて胸にせまってくるもののある作風がいい。 「代書屋ミクラ」と「不可能も裏切りもなく」は論文執筆(アカデミックライティング)入門としてもよくできている。 「あがり」(第一回創元推理SF短編賞受賞作)研究地区(生物学) 「ぼくの手のなかでしずかに」理学部(数学)+医学部 「代書屋ミクラの幸運」文学部(社会学) 「不可能も裏切りもなく」理学部(生物学) 「へむ」(書き下ろし)医学部・付属病院を舞台にした小学生の物語。前日譚風でこれだけやや異色。

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2018/10/25

視点がおもしろい。 カタカナ禁止令的なこだわりも読み慣れると不思議な世界観。短編集というより、「ショートショートの長編」みたいな印象を受けました。 出身高校同じ、かつ(同期ではないけど)同世代ってことで、贔屓目に他作品も読んでみたいなと(笑)

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2018/10/08

9:女性作家による近未来SF短編集。新人さんで女性でSF(というよりは、理系の作品、というほうがしっくりくるかな)というのはすごく珍しい気がしたので読んでみました。 ちょっとあっさりめだけど、全編通して不思議な静謐さ、切なさがありました。科学という学問が持つ、根本的なおもしろさと...

9:女性作家による近未来SF短編集。新人さんで女性でSF(というよりは、理系の作品、というほうがしっくりくるかな)というのはすごく珍しい気がしたので読んでみました。 ちょっとあっさりめだけど、全編通して不思議な静謐さ、切なさがありました。科学という学問が持つ、根本的なおもしろさと表裏一体の危険性が絶妙なバランスで描かれていて、好きな感じ。 ネタとしてすごく面白い(理解できてるかどうかはともかく)と思うので、もう少しガッツリめの作品だともっと嬉しいかなぁ。

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2017/09/22

最初の3編は中編だがエッセンスというかプロット的に星新一のショートショートのような印象を受けた。いろんな短編読んでみたい。

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2016/08/16

【収録作品】あがり/ぼくの手のなかでしずかに/代書屋ミクラの幸運/不可能もなく裏切りもなく/へむ  *理系の話は難しい。

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2014/09/26

昔ながらの中華そばみたいな、その懐かしさを経験したことはないはずなのになぜか知っているような気がしてしまうそっと心に灯るほっこり感と、由来がわからない懐かしさを噛みしめる浮遊感のある不思議さ。すこしふしぎを体現しながらもぴりりと胡椒を効かせることも忘れない。

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2014/09/13

理系小説?先に代書屋のほうを読んでいたので読みやすかった。専門の内容はわからないけど、論文を書くにあたってのいろいろが興味深かった。

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2014/07/05

面白いー!理系女子って紹介がどうも安っぽい。 話題になってたニュースを見て、理系の人たちは研究やってかつ論文もちゃんと書いてって大変だなあと思ってたら代書屋あるんすねーってフィクションすか。 む、そもそもSFは理系の人たちのものか。 むしろ文章を書くって何するにも必要不可欠か。ギ...

面白いー!理系女子って紹介がどうも安っぽい。 話題になってたニュースを見て、理系の人たちは研究やってかつ論文もちゃんと書いてって大変だなあと思ってたら代書屋あるんすねーってフィクションすか。 む、そもそもSFは理系の人たちのものか。 むしろ文章を書くって何するにも必要不可欠か。ギャ! ともかく、面白かったです。2番目が特に好き。

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2014/04/24

どうやら外来語が存在しないらしい架空世界の大学の研究室が舞台。地理的には完全に仙台、蛸足大学の配置も東北大そのもの。でも気候はやや積雪が多そう。東北大卒の著者って、SF的な設定が多い? 瀬名秀明、佐藤賢一、円城塔、そして伊坂幸太郎も。 大学院や研究所といった地味な分野を舞台を、一...

どうやら外来語が存在しないらしい架空世界の大学の研究室が舞台。地理的には完全に仙台、蛸足大学の配置も東北大そのもの。でも気候はやや積雪が多そう。東北大卒の著者って、SF的な設定が多い? 瀬名秀明、佐藤賢一、円城塔、そして伊坂幸太郎も。 大学院や研究所といった地味な分野を舞台を、一作ワンアイデアで描くところはSF的。でもSFというジャンル外で売り出せばもっと評判になるのでは。 STAP細胞で小保方博士の論文執筆の姿勢が問われているが、この作品内では引用や単位まで気を遣っており、きびしく(正しく?)教育されていたことが窺える。

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2014/04/13

すっかり春。この時期になるとなぜか学生のころを思い出してしまいます。 古い大学の研究所を舞台にしたSF連作集。テーマは生命進化、不老長寿、運を科学するだったりと、SF的にも古くからあるテーマですが、展開される論理とオチに落語の薫りが。そんなバカなと思いつつ、いや待てよ、という感...

すっかり春。この時期になるとなぜか学生のころを思い出してしまいます。 古い大学の研究所を舞台にしたSF連作集。テーマは生命進化、不老長寿、運を科学するだったりと、SF的にも古くからあるテーマですが、展開される論理とオチに落語の薫りが。そんなバカなと思いつつ、いや待てよ、という感じからでしょうか。おもしろい。 架空の街である「北の街」を設定していますが、完全に仙台市です。地名も漢字は別文字があてられていますが読みはそのまま。さすがに、お店は架空のものですが、モデルになったのはどこかと探したくなります。 また、タイムリーにSTAP細胞の報道(2番じゃダメなんですか発言より笑える)。小説の中の研究者たちは、結局「成果を出せているか=論文を短期間に出せているか」という点ではダメダメな人たちですが、食えなくても実験や研究において捏造は大犯罪との認識とプライドをもった人々。大学時代から、このような教育を徹底して受けているはずなのに、あのようなみっともない事件が起こってしまうのは、よほど背景に黒いものがあるか、そもそもそのような教育を受けていないか(とすると今度は出身学校が槍玉に挙げられる?)いずれにしても、研究するということはどういうことなのか、もう一度考えさせられる風変わりなSFでした。

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