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あがり の商品レビュー

3.5

25件のお客様レビュー

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    1

  2. 4つ

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2013/01/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編だからちょっと物足りないけど面白く読めました。設定も描写も嫌いじゃないんだけど、さぁこれから動き出すよ!って処で終るのが残念だった。作者はまだプロじゃないみたいだからこれからが楽しみです。

Posted byブクログ

2012/10/18

第一回創元SF短編賞受賞作品。 まさにSFって感じ。 短編集だけど、それぞれ重量感があって、短編という感じがしない。 ”あがり”は、図らずも世界滅亡を成し遂げてしまった話。あっけなさに、びっくり。

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2012/09/16

不覚!  この作者のお話は、過去何度が目に触れているんだけれど、いずれのタイミングでも「イマイチ」に近い評価としていた。今回読んでみると、なかなかのものだった。人物(特に女性)の描写が極めて薄くて感情移入できないことや、説明がだらだらしすぎて主題がわかりにくいという読みにくさは...

不覚!  この作者のお話は、過去何度が目に触れているんだけれど、いずれのタイミングでも「イマイチ」に近い評価としていた。今回読んでみると、なかなかのものだった。人物(特に女性)の描写が極めて薄くて感情移入できないことや、説明がだらだらしすぎて主題がわかりにくいという読みにくさは、作品すべてに通じるのだが、それでもじっくりと読むと主題が見えてくる。けっこういいじゃないかって感じかな。  短編集であるが連作のイメージ。それぞれに少しずつ各話の登場人物が登場するスタイルだ。先に述べた「くどさ」も全体がこのトーンならあきらめもつくし、乗り切れる。  もっとも、私は理科系実験系の雰囲気が理解できるからマシだろうが、そうでない読者には厳しいかもしれないなぁ。  さて、作品は表題作から始まる。「あがり」はすでに「量子回廊」で既読の作品。わかりにくいタイトルだが、Which Won? という英語タイトルならわかりやすい。人物が濃いことや、破滅的エンディングなんかは再読して「いいなぁ」と思った。発想がユニークだなぁ。  次の「ぼくの手のなかでしずかに」も「原色の想像力」にて既読。長寿と生殖なんて古典的なテーマをさらっと書くところがいい。いやぁ、なかなかいい。先に読んだときには本屋でそんなに簡単に普通の理科系の男が女性と仲良くなれるはずないじゃんかって思ったのが敗因だろうか?  次の「代書屋ミクラの幸運」はどこで読んだか記憶がない。このブクログで検索しても出てこない。役に立たないサービスだなぁ。でも、これもいい作品だと思う。  惜しむらくは、後半2編がファンタジーっぽく面白くないこと。「不可能もなく裏切りもなく」は長すぎて飽き飽きする。しかも塩基配列での暗号という(古臭い)アイデアだけのお話に思って仕方がない。さらに、「へむ」はオカルトというかなんというか・・・。これらは残念だ。作品は年代順みたいなので、最近は腕が落ちたんだろうか?  (以下雑談)  理系女子を名乗る作者さんの近影を拝ませていただいた。うん、まさに理系だという感じは少なかったなぁ。  「あがり」の中の話だが、電磁波調理器(=たぶん電子レンジ)、大豆の発酵食品(=たぶん納豆)という表現が面白いと思った。再読だから、読み手に余裕あるのかもしれない。  酷評する「へむ」の中の話。博士号は足の裏にくっついた米粒。その心は、とらないと気持ち悪いが、とっても食えない。これ最高に面白い。

Posted byブクログ

2012/07/09

作者は東北大学理学部卒の女性研究者だそうだ。本のタイトルになった作品を含め、大学や講座の研究室が舞台となっている作品群。個人的には、『ぼくの手のなかでしずかに』『へむ』が好き。今後の活動が楽しみな作家のひとりかな。

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2012/03/17

面白い。SFとしても十分な理論が展開され、皮肉の効いたオチなどが用意されている。全ての短編が同じ北部の大学を舞台としてるので、読みやすかった。不老長寿って確かに子孫いらないなと思った。

Posted byブクログ

2012/01/14

ホンマにSF?不思議な読後感のある短編小説。同じ大学を舞台にしているので時々他の短編の登場人物が顔を出すのが楽しい。「ぼくの手の中でしずかに」が一番のお気に入り。(二人のその後が気になる!)独特の文体と妙に日本語に置き換える単語が面白い。

Posted byブクログ

2012/01/11

これは…SFなのか? SFでくくる意味、必要がまったくないように感じる。 「あがり」「ぼくの手のなかでしずかに」「代書屋ミクラの幸運」「不可能もなく裏切りもなく」「へむ」の5編。 5編は人物や研究室などを介してつながっっていて、全部読むと、蛸足大学の地図がなんとなく浮かんでくる...

これは…SFなのか? SFでくくる意味、必要がまったくないように感じる。 「あがり」「ぼくの手のなかでしずかに」「代書屋ミクラの幸運」「不可能もなく裏切りもなく」「へむ」の5編。 5編は人物や研究室などを介してつながっっていて、全部読むと、蛸足大学の地図がなんとなく浮かんでくるようである。 キャンパスノベル、青春小説とも言える。 タイトルからして、理系を超えたセンスのよさが滲む。 「ぼくの手のなかでしずかに」が私は一番気に入ったけれど、これなど、「私を離さないで」「アルジャーノンに花束を」を連想させられる。設定と言うより、静かな諦観のようなものが。 諦観というのとも、ちょっと違うのかな。なにせ「 自然とは本質的に、無目的で無作為」(「不可能もなく裏切りもなく」)なのだから。 全体に温度が低め、と感じる。 淡々というのともまた違うのだれど、アップダウンしたり熱したりするストーリーではない。 理系女子…これはまだ面白いジャンルが登場したな、と思う。

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2012/01/10

大学と研究者を巡る短編集 表題作は細胞培養の話 細胞骨格繊維遺伝子と解糖系脱水素酵素遺伝子の勝負 いかにも理系SF ショートショート的なオチに実験理科話がくっついた感じ。 「ぼくの手の中でしずかに」 食事制限→長寿を人体で実験すると? 数学者が主人公 「代書屋ミクラの幸運」...

大学と研究者を巡る短編集 表題作は細胞培養の話 細胞骨格繊維遺伝子と解糖系脱水素酵素遺伝子の勝負 いかにも理系SF ショートショート的なオチに実験理科話がくっついた感じ。 「ぼくの手の中でしずかに」 食事制限→長寿を人体で実験すると? 数学者が主人公 「代書屋ミクラの幸運」 学術論文代書屋が依頼されたのは 幸運不幸理論・・・・・ 「不可能もなく裏切りもなく」について 遺伝子間領域の存在理由 論文引用数、出すか出されるか法 「ヘム」 ヘム鉄の話しかと思ったら、ちょっとファンタジー。 なぜかコロッケ、電子レンジ、ノーベル賞みたいなカタカナ表記を排除する。 隻眼の領主像のある町 ゆるーく内容がつながっている

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2011/12/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第1回創元SF短編賞受賞作品「あがり」を含む、5つの短編からなる作品集。 同じ大学の理系学部のキャンパスを主な舞台に、一般社会とは異なるサイエンス・アカデミックなストーリーがアイロニカルな筆致で描かれている。 土地勘のある人が読めば、いろんな当て字で地名をごまかしていても、これはあの「杜の都」とも呼ばれる緑豊かな東北の中心都市だと分かるだろうし、舞台となっている蛸足大学の名も簡単に分かるに違いない。 「あがり」から派生した作品は発表順に次第に高度になっていく。二作目の「ぼくの手のなかでしずかに」までは、やや枠にはまった内容だけれど、それ以降の「代書屋ミクラの幸運」以降は、自由な筆致でのびのびと書かれたという印象だ。 つまり「理科系の研究室内部を描かなければ、、、」という自分自身の制約を取りはらったところに価値がある。学部を越えて展開される内容だから一般にも分かりやすい。 個人的にベストだと思うのは、四作目の「不可能もなく裏切りもなく」だろうか。友情と科学研究の相容れない部分が切なく描かれている。

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2011/12/06

女子学生アトリと同じ生命科学研究所にかよう、おさななじみの男子学生イカルが、夏のある日、一心不乱に奇妙な実験をはじめた。彼は、亡くなった心の師を追悼する実験だ、というのだが…。夏休みの閑散とした研究室で、人知れず行われた秘密の実験と、予想だにしなかったその顛末とは。第一回創元SF...

女子学生アトリと同じ生命科学研究所にかよう、おさななじみの男子学生イカルが、夏のある日、一心不乱に奇妙な実験をはじめた。彼は、亡くなった心の師を追悼する実験だ、というのだが…。夏休みの閑散とした研究室で、人知れず行われた秘密の実験と、予想だにしなかったその顛末とは。第一回創元SF短編賞受賞の表題作をはじめ、少しだけ浮世離れした、しかしあくまでも日常的な空間―研究室を舞台に起こるSF事件、全五編。理系女子の著者ならではの奇想SF連作集(「BOOK」データベースより) 尊敬する生物学研究者の死に打ちのめされ、彼に捧げるための研究を始めた男子学生イカル。彼が研究を進めた結果は・・・「あがり」 人と関わらないように生きてきた数学者のぼく。彼の初めての恋ととある論文の関係は・・・「ぼくの手のなかでしずかに」 大学内で顧客を探す代書屋のミクラ。彼が依頼された幸運不運の法則の論文は、果たして某雑誌に掲載されるのか・・・「代書屋ミクラの幸運」 共同研究の相棒の不審な行動とその結果・・・「不可能もなく裏切りもなく」 幼い少年少女が護ろうとした、医学部構内地下の秘密・・・「へむ」 SFで短編で面白いと唸らされるもの。 これってかなりハードル高いと思うんですけど、この作品はひらりと飛び越えてくれました。 まさにとびきりの奇想SF。 次の作品も期待大、です。

Posted byブクログ