不愉快な本の続編 の商品レビュー
題名に引き寄せられた。 「不愉快な本の続編」って言葉は、妙に頭に残る。 クズ人間な「ボク」が日本を転々と移動しながら、 数人の人と関わっていく…という話。 読んで「ボク」みたいな人は本当にいそうだな…と思った。 そういう人に限ってテレビのニュースにはならない。 けど人の噂にはな...
題名に引き寄せられた。 「不愉快な本の続編」って言葉は、妙に頭に残る。 クズ人間な「ボク」が日本を転々と移動しながら、 数人の人と関わっていく…という話。 読んで「ボク」みたいな人は本当にいそうだな…と思った。 そういう人に限ってテレビのニュースにはならない。 けど人の噂にはなってそう。 飄々とした物言いのせいか、「ボク」は案外嫌いじゃなかった。 自分の前には現れないで欲しいけれど。 オチが好きだった。
Posted by
短編集『ニート』に収録されている「愛なんかいらねー」で衝撃のアブノーマルっぷりを見せつけた乾が主人公。カミュ「異邦人」が参考文献に挙がっているように、ムルソー同様 肉親に対して情の薄い乾は、実家とは音信不通。パリに留学するも、美しい変態娘アイシャと狂乱を尽くしただけ。金貸しが趣味...
短編集『ニート』に収録されている「愛なんかいらねー」で衝撃のアブノーマルっぷりを見せつけた乾が主人公。カミュ「異邦人」が参考文献に挙がっているように、ムルソー同様 肉親に対して情の薄い乾は、実家とは音信不通。パリに留学するも、美しい変態娘アイシャと狂乱を尽くしただけ。金貸しが趣味のヒモ…とことんクズの彼が初めて本気で人を好きになり、結婚する。しかし乾は「不愉快な本」にしか興奮出来ず、結婚生活は続かない。 近代美術館に展示されているジャコメッティの裸婦立像に魅了され、盗み出したそれをかわいそうな元同級生に託し「ああオレも太陽が見てえ」と逃亡し、たびの人になる乾。彼の行き着く先は…。 訳の分からない嘘つきなクズ野郎、なのに時々真理としか言いようのない言葉を言わせてしまう絲山さん。 「ボクだって腹は減るんだよ。でも手のこんだ料理はしたくない。だからお湯沸かしてカップヌードル食っちゃう」は、リアリティある。ユミコの立場なら悲しくなるけど…
Posted by
これは主人公のロード・ムービー的な内容か。 「ヒモ」生活のダメ人間が主人公だが、なぜか憎めない。 さもあれば「クズ人間」の烙印を押してもいいのに。 「クズ人間」の彼が妻に浮気を告白された時の表現が好きだ。 【ココメモポイント】 ・田舎の子ってのは、兄弟のなかで誰が残って誰が出...
これは主人公のロード・ムービー的な内容か。 「ヒモ」生活のダメ人間が主人公だが、なぜか憎めない。 さもあれば「クズ人間」の烙印を押してもいいのに。 「クズ人間」の彼が妻に浮気を告白された時の表現が好きだ。 【ココメモポイント】 ・田舎の子ってのは、兄弟のなかで誰が残って誰が出て行くのか、すごく早いうちからわかっているものなんだ。 P.8 ・餞別はせびり取ることができるけれど、きっかけというのは金じゃ買えない。ボクが欲しかったのはそのきっかけだった。 P.27 ・ボクにとって「現在」というものはそんなに大切ではなかった。 だが怒っている彼女には「現在」しかなかった。 P.41 ・何食わぬ顔してたのは、あっちだったんだ。ボクみたいな屑とずっと真面目につき合ってくれた可愛い嫁さんが、ボクの専売特許であるところの何食わぬ顔をぶら下げて浮気してた。 P.75 ・そうか芸術ってやつはお互いの魂 が飛び出しちまうことなのか。 P.96
Posted by
アウトローに憧れる。デカダンに生きてみたい。 でも私はその生き方を選べないし、選ばない。残念なことだ。 この本を読んで、”悪い人生”を生きてみる。 アウトローにはアウトローの、悲しみや絶望や諦めがあると知る。 ラストはあまり面白くはなかったが、驚いた。 全体としてはとても巧くて面...
アウトローに憧れる。デカダンに生きてみたい。 でも私はその生き方を選べないし、選ばない。残念なことだ。 この本を読んで、”悪い人生”を生きてみる。 アウトローにはアウトローの、悲しみや絶望や諦めがあると知る。 ラストはあまり面白くはなかったが、驚いた。 全体としてはとても巧くて面白かった。
Posted by
ルックスが良いらしく、女性にモテ、ヒモのような生活を長年送ってきた主人公。 この物語でいう「不愉快な本」とは変態的な性癖のことだ。彼は女を汚す趣味があるのだけれど、それは最初の段階ではもちろん自分で選択したことではない。何に欲情するかなんて人間が自分で決められることではないし。彼...
ルックスが良いらしく、女性にモテ、ヒモのような生活を長年送ってきた主人公。 この物語でいう「不愉快な本」とは変態的な性癖のことだ。彼は女を汚す趣味があるのだけれど、それは最初の段階ではもちろん自分で選択したことではない。何に欲情するかなんて人間が自分で決められることではないし。彼の本はたまたま他人から見ても、時折は彼から見ても「不愉快」な内容だったのだ。 その不愉快な本から生まれ出た彼はそれを鞄の奥底にしまうように扱ったりしながらもやはりそれに振り回され、大事な人を失ってしまう。 よく人生を本に例えたりなんかして、自分で書いていくんだみたいなことをいうやつがいるけれどやはりそうじゃないと思うんです。いや、基本的にはそうなんだろうけど、書き換えができない部分を多く含んだ本を持って生まれる人間もいるということ。そしてそれを適当に往なしながら生きていくしかないということ。その本が何かの誰かをモデルにして書かれたなんていうことは本来多くの部分であり得ない筈で、なお書き換えが難しいのであればこう生きていくしかないと。
Posted by
これ映画にしたらおもしろいだろうなーと つくづく思ってしまった。絲山さん嫌がりそう。 R指定確実だろうな。 乾が生きてました。 空っぽの乾を通り過ぎてったいろんな人たちも。
Posted by
初の絲山秋子。ずっと気になっていたけれどなかなか手に取る気になれず。ようやくタイトルが好みのものを見つけて。 内容は一言にまとめればしょうもない男の半生。主人公がちょっと偏屈というか変り者ではあるけど、どうってことないっちゃどうってことない話。しょうもない男ではあるけれど、彼なり...
初の絲山秋子。ずっと気になっていたけれどなかなか手に取る気になれず。ようやくタイトルが好みのものを見つけて。 内容は一言にまとめればしょうもない男の半生。主人公がちょっと偏屈というか変り者ではあるけど、どうってことないっちゃどうってことない話。しょうもない男ではあるけれど、彼なりの理論というかこだわりがわからなくもないから、ところどころ刺さるものもあったりして。でもよくわからない部分もあったり。 さらさら読めるかわりに、読んだそばからさらさらと忘れていってしまう物語。読後感は悪くないから、難しいことを考えたくないときに読むのがいいかも。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この作者の描く世界は、たいてい歪んでいる。 正方形に力を加えていびつにしているけれど、その気になれば いつでもそ知らぬ顔の正方形に戻れる。 そんなことを繰り返して、本来の形がわからなくなってしまう。 そんな感じ。 こんな主人公が周囲に居たら、絶対やだな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『愛なんかいらねー』の続編ですが,それほどの毒を感じない。 あっさり読めて,後に何も残っていないのです。 たとえば奥さんが浮気したらすぐ別れるなんて,主人公のキャラからすればおいおいって感じです。若いころの毒が抜かれて,いい人になる,そういう小説ばかり多い気がする。 小説なんだからあまり現実に迎合しすぎないで主人公にはぶっ飛んでほしい。
Posted by
音楽の色々を知らないわたしは、このにおいを嗅ぐとモータウン系の音を思い出すとか、イギリス人がアンチメロディアスに走るのは単純だとか、ニュアンスがわからない。どういう意味か気になるけど、そのまま読み続ける。
Posted by