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傍聞き の商品レビュー

3.5

432件のお客様レビュー

  1. 5つ

    46

  2. 4つ

    133

  3. 3つ

    176

  4. 2つ

    31

  5. 1つ

    7

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2019/06/14

たった50ページずつの連作ではない短編作品なのにどれもとても中身が濃いのに驚かされました。謎解きミステリとしてはそれほど凝った謎ではありませんがその裏に表に見え隠れする人間模様が秀逸でひとつ読むたびに溜息をつきました。そしてこれだけ濃いのにとても読みやすいのもびっくりです。取材を...

たった50ページずつの連作ではない短編作品なのにどれもとても中身が濃いのに驚かされました。謎解きミステリとしてはそれほど凝った謎ではありませんがその裏に表に見え隠れする人間模様が秀逸でひとつ読むたびに溜息をつきました。そしてこれだけ濃いのにとても読みやすいのもびっくりです。取材をほとんどせずに書かれているのが逆に読者には余計なものがなく読みやすくなっているのかもしれません。4編すべてはずれ無し。でも好みで言ったら「迷走」かな。最初だからインパクトが強かったのもあるかもしれませんが。

Posted byブクログ

2019/05/13

 迷走   救急隊員の物語だが、救う側、救われる側の双方に複雑な背景。搬送先の病院が、急患を受け付けると 言っているのに、何故か病院の周囲を走り続ける救急車、最後に総ての疑問が氷解。      救急隊隊長室伏。室伏の娘佳奈と結婚予定の隊員蓮川。佳奈は持病持ちの...

 迷走   救急隊員の物語だが、救う側、救われる側の双方に複雑な背景。搬送先の病院が、急患を受け付けると 言っているのに、何故か病院の周囲を走り続ける救急車、最後に総ての疑問が氷解。      救急隊隊長室伏。室伏の娘佳奈と結婚予定の隊員蓮川。佳奈は持病持ちの医師増原の車に轢かれ下半身部髄、      それを隠蔽しようと弁護士葛井。チンピラに刺された葛井運搬中に電話中の増原も倒れた事を察知した室伏は、      携帯電話と救急車の音を元に増原も救う。  傍聞き 女刑事、羽角啓子と娘の菜月の親子の物語。近所で起こった窃盗事件と通り魔事件、窃盗犯とされた横崎から      羽角への面会依頼。面会で同席した警官が犯人。葉月も文句を葉書で啓子に送ったのは窃盗被害者の老婆に      宛てたものだった。       「それが漏れ聞き効果なの。どうしても信じさせたい情報は、別の人に喋って、それを聞かせるのがコツ」        899   消防士諸上、笠間が火災現場に残された赤子を捜索するが、中々見つけ出せない。笠間が見つけるが、虐待を      する母に対して愛情を思い出させるようにわざといったん隠したのだった。   迷い箱 更生保護施設を営む中年女性結子。泥酔状態で自転車で女生徒を殺した事で、自殺願望に陥った碓井。      結子TV出演の1週間は思いとどまらせたが、結局自殺を選ぶ。      「迷い箱の中身は、一日一回でいいから、目に触れるようにする。そうして数日も経てば、捨てる決心がつく」

Posted byブクログ

2019/05/04

読みやすい短編ミステリ。 解説にも書かれているように、結末を読めば確かに「なるほど」と思う。真相に迫るキーワードが惜しげもなく散りばめられている。 でも何か物足りないのは何故だろう?個人的にもう少し暗い雰囲気が好きだからかもしれない。あとは登場人物の心情が描かれている部分に共感と...

読みやすい短編ミステリ。 解説にも書かれているように、結末を読めば確かに「なるほど」と思う。真相に迫るキーワードが惜しげもなく散りばめられている。 でも何か物足りないのは何故だろう?個人的にもう少し暗い雰囲気が好きだからかもしれない。あとは登場人物の心情が描かれている部分に共感というか納得感が得られなかったからかな。

Posted byブクログ

2022/01/20

ブックオフでたまたま手に取った本ですが大当たりでした。4編とも面白かった。 そう言えば『道具箱はささやく』も面白かったなぁ。 もう次に読む本も仕入れてます。楽しみ!

Posted byブクログ

2019/03/09

迷走  仇となる相手を搬送することになる救命士。蓮川が私怨をぶつける中、室伏の救急車を病院近くで走らせ続けるといった不可解な行動は、読み手である私をも迷走に導いた。責任を部下に与えないよう、言葉少なに職務を遂行する室伏は隊員の鑑である。最後、患者に助かってくれと願う、蓮川の祈りが...

迷走  仇となる相手を搬送することになる救命士。蓮川が私怨をぶつける中、室伏の救急車を病院近くで走らせ続けるといった不可解な行動は、読み手である私をも迷走に導いた。責任を部下に与えないよう、言葉少なに職務を遂行する室伏は隊員の鑑である。最後、患者に助かってくれと願う、蓮川の祈りが良かった。 傍聞き  漏れ聞き効果なるものがあるらしい。会話を第三者に聞かせると、その情報はあたかも真実のように聞こえるとのことだ。確かにそうだと思った。嘘の情報を聞かせるのは悪意か、正義か、はたまた少しの優しさなのか。作者の意図は漏れ聞いていたにもかかわらず、うまく落とされてしまった。 899  「要救助者あり」誰もが何かを抱えている。そんなことを考えさせられた。救われるべき人はたくさんいるのだ。 迷い箱  捨てられないものがあるなら、迷い箱へ。結果的に捨てることになったとしても、即断ではなく迷える余地があるということなのだろう。心の中に留めておくべき大切な物、大事な人は時間をかけて見極めなければならないと感じた。  四篇ともに、行動の理由が分かれば「なるほど」と、腑に落ちる作品だった。

Posted byブクログ

2019/03/05

うーん、読みやすくはあったがオチの軽さと仕組みありきのストーリ立てにちょっとがっかり。 どの登場人物にも共感できぬままあっさりと話は終わり、それなら短編にしなくてよかったのではと思うほど。

Posted byブクログ

2019/02/06

「迷走」救急救命士 「傍聞き」警察官 「899」消防士 「迷い箱」更生保護施設運営者 短編だけど、それぞれがミステリと時事問題と人間関係が融合してて、それぞれが短編とは思えないくらいのボリュームの話。

Posted byブクログ

2018/11/16

短編ミステリー作家として脚光を浴びた長岡弘樹氏。帯に書かれた、この20年で最高の傑作!仕掛けと感動…、というワーディングに惹かれ読む。タイトルの'傍(かたえ)聞き'は、伝えたい内容を本人に直接話さず、本人が聞こえるよう第三者に話すことで間接的に伝える意で、女性...

短編ミステリー作家として脚光を浴びた長岡弘樹氏。帯に書かれた、この20年で最高の傑作!仕掛けと感動…、というワーディングに惹かれ読む。タイトルの'傍(かたえ)聞き'は、伝えたい内容を本人に直接話さず、本人が聞こえるよう第三者に話すことで間接的に伝える意で、女性刑事と娘が事件と並行した親子の葛藤の中で、最後の意外なオチに意表を突かれる。他に3編収録されている。'迷走'は、救急車に乗る救命士が、妙な因縁のケガ人を搬送先に届けず迷走するが、その理由に二重の救命を見出す。'899'は消防士の隠語で要救助者を指し、私情に惑わされながら、思いも寄らない事実に驚かされる。'迷い箱'は、更生施設の退所者の謎の行動がタイトルにつながり、しっとりとした後味で、一番気に入った。いずれの作品も、現実感を持った社会性のあるストーリーが、ヒューマンタッチな仕上がりになっていて爽やか。

Posted byブクログ

2018/10/18

密度が濃く読後感さわやかな短編ミステリー。忙しい時期の勤めからの帰路に読むのにぴったりである。女性刑事の娘、窃盗犯とされた前科者の意外な思惑。表題作がいちばんよかった。

Posted byブクログ

2019/09/07

短編集。主人公の職業がそれぞれ救急隊員、消防隊員、警察官、保護司など公務員に近い仕事のひとたちの物語。短編なので無駄な要素はあまりないが、貼られた複線が綺麗にまとまっていくのは読んでいて心地よい。 迷走する救急車、火事現場で見つからない赤ちゃん、お礼参りに警戒する刑事、出所者の四...

短編集。主人公の職業がそれぞれ救急隊員、消防隊員、警察官、保護司など公務員に近い仕事のひとたちの物語。短編なので無駄な要素はあまりないが、貼られた複線が綺麗にまとまっていくのは読んでいて心地よい。 迷走する救急車、火事現場で見つからない赤ちゃん、お礼参りに警戒する刑事、出所者の四日間の行動などいろいろな謎があり、真相を知りたくなる内容。短編なので短時間で読める。 それぞれの職業の描写がリアルに感じられるため、相当な取材をしてるのだろうと思っていた。しかし、あとがきを読むと全部想像で書いているそうだ。

Posted byブクログ