あなたは誰?私はここにいる の商品レビュー
(2012/2/24) 悩む力がベストセラーになった姜尚中さんの新書。 NHKの日曜美術館の司会をやったのがもとでできたのがこの本のようで。 タイトルからはわからない、美術本。といっても姜尚中氏独特の自己内対話になっていて。 正直読み物としてはいまひとつ。 ただ、取り上げている...
(2012/2/24) 悩む力がベストセラーになった姜尚中さんの新書。 NHKの日曜美術館の司会をやったのがもとでできたのがこの本のようで。 タイトルからはわからない、美術本。といっても姜尚中氏独特の自己内対話になっていて。 正直読み物としてはいまひとつ。 ただ、取り上げている絵は興味深い。 一番は今日のブログタイトルにもしたラスメニーニャス。ベラスケス。この絵の主役は画家だという指摘はうなづける。行きたいなぁ、プラド美術館。行こう。
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タイトルがいいと思う。 あなたは誰?と問われ なんと応じましょう? ちなみに相手は肖像画。 時代も文化も何もかも 違う相手。 まずは名乗ってみる? いえいえそういうこと ではなさそうです。 そう、問われてるのは アイデンティティです。 見透かされてるんです、 ボンヤリ生...
タイトルがいいと思う。 あなたは誰?と問われ なんと応じましょう? ちなみに相手は肖像画。 時代も文化も何もかも 違う相手。 まずは名乗ってみる? いえいえそういうこと ではなさそうです。 そう、問われてるのは アイデンティティです。 見透かされてるんです、 ボンヤリ生きてること を(¯―¯٥)・・・ さてさて、なんと応じ ましょうか???
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2009年4月から2011年3月まで、NHK日曜美術館の司会をされていた姜尚中氏による美術に関する考察本。 美術はご専門ではなく、政治思想史が専門だが、在日であることからアイデンティティのあり方に悩んでいた時に出会った数々の絵や工芸品にどのようにして惹かれていったのかを語り、...
2009年4月から2011年3月まで、NHK日曜美術館の司会をされていた姜尚中氏による美術に関する考察本。 美術はご専門ではなく、政治思想史が専門だが、在日であることからアイデンティティのあり方に悩んでいた時に出会った数々の絵や工芸品にどのようにして惹かれていったのかを語り、作家の心がどこにあったのかを考察した、大変興味深い本。 特に興味を持てたのは、次の美術品に対する考察。 ベラスケスの絵画「女官たち」 宮廷の中央に王女がいて、そのまわりに何人かの女官がかしづいてして、絵筆を持ったベラスケス自身も絵の中にいる。ベラスケス自身の心はどこにあるかというと、隅っこに描かれた矮人(体が小さく愛玩動物的に宮廷に住んでいた人)の女性と重ねていたのではないか。ユダヤ人であることを隠していたユダヤ人はマイノリティである矮人と心を重ねていたのではないか。 長谷川等伯「松林図屏風」 一面に靄がかかった中、濃く、薄く松が姿を表しているが、白の面積が多い“白の絵画“。白というのは空虚な色ではないと分かる。非常なる密度でさまざまな要素が詰め込まれ、凝縮され、その結果、白い輝きとして発光した色。 マーク・ロスコ「シーグラム壁画」 巨大なキャンバスに黒と臙脂だけを使って塗った抽象画。臙脂にも血のような赤や暗い褐色、黒にも紫のような黒や焦茶色のような黒がある。じっと見ていると自我が心地良く溶け出し、忘我の境地のようなところに入っていく。 世界大戦のころから人々は自分の物語と過去の物語が繋がらないことが多くなり、自分と世界が容易に結びつけられなくなってきた。もはや具体的な方法では自己表現が出来なくなり、抽象画が生まれた。 ブリューゲル「絞首台の上のカササギ」 絞首台の横で人々が手を繋いで踊っていて、その光景をカササギが見ている。不吉な場の絵だが、おそらく絞首台はもうその役目を果たしたものであって、雲の切れ間から光が指すような安堵感を感じられる。辛いことがあっても「再生」の時は必ずやってくるというメッセージがあるのではないか。 伊藤若冲「群鶏図」 真っ赤なとさかと色とりどりの尾を靡かせた鶏が大きな画面を覆い尽くしていて、圧巻。 絵のどこにも中心がない。遠近法は無視され、13羽のどの鶏にも焦点が合っている。生き物の写生というよりもデザイン画のよう。人間の目で鶏を描いたのではなく若冲自身が鶏の仲間になって絵筆を運んだのではないか。 美術はただ「綺麗」なものが尊ばれるのではなく技術的に「上手い」がいいとも限らず、文学や音楽のように奥深いと思った。絵が上手くなくても、美術に対する知識が無くても自分なりに美術を楽しみたいと思った。
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芸術鑑賞論と哲学論の中間のような感じ。 人によって絵画彫刻の観方が違うので、人の着眼点を知るのは面白い。 同じ視点には共感し、知らなかった視点には気付きと 同じ物を見て自分はどう思うか試したい意欲が出てくる。
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面白い! 失礼ながら、テレビでよく見かける 気難しそうなコメンテーターに、 まさか、こんなにも分かりやすく、 そして、感動的に、 芸術の解説をしていただけるとは! そもそも私は芸術に無知無関心だったのに、 このタイトルに吸い寄せられました。 少しだけ人間の幅が広がった気がします。...
面白い! 失礼ながら、テレビでよく見かける 気難しそうなコメンテーターに、 まさか、こんなにも分かりやすく、 そして、感動的に、 芸術の解説をしていただけるとは! そもそも私は芸術に無知無関心だったのに、 このタイトルに吸い寄せられました。 少しだけ人間の幅が広がった気がします。 感謝です。
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こういう美術鑑賞の仕方もあるんだな.でもこのような深読みは自分には難しい.様々な視点があり,それを文章化できるのは凄い.
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NHK「日曜美術館」の司会をしていた著者が、当時出会った絵画や美術品について書いている。 政治学者である著者は、芸術の専門家ではないので解説書ではなくあくまで著者自身の感想といったところ。 冒頭と末尾に出てくるアルブレヒト・デュラーの作品は、とても印象的だった。 最初と最後に持っ...
NHK「日曜美術館」の司会をしていた著者が、当時出会った絵画や美術品について書いている。 政治学者である著者は、芸術の専門家ではないので解説書ではなくあくまで著者自身の感想といったところ。 冒頭と末尾に出てくるアルブレヒト・デュラーの作品は、とても印象的だった。 最初と最後に持ってくるあたり、著者自身もこの絵画に大きな影響を受けたと思われる。 絵画は、語る。 それは、鑑賞者に向けてだけではなく、いやむしろ画家自身に向けてのメッセージなのかもしれない。 そんな風にも思った。
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[ 内容 ] ドイツ留学中の著者は、五〇〇年前のデューラーの『自画像』から啓示を受けた。 「私はここにいる。お前はどこに立っている?」。 絵の中の同じ二八歳の男は、鬱々とした内面の森をさ迷う在日の青年に、宿命との対峙を突きつけたのだ。 三〇年後、人気美術番組の司会を務めた著者は、...
[ 内容 ] ドイツ留学中の著者は、五〇〇年前のデューラーの『自画像』から啓示を受けた。 「私はここにいる。お前はどこに立っている?」。 絵の中の同じ二八歳の男は、鬱々とした内面の森をさ迷う在日の青年に、宿命との対峙を突きつけたのだ。 三〇年後、人気美術番組の司会を務めた著者は、古今東西の絵画や彫刻の魅力を次々に再発見していく。 ベラスケス、マネ、クリムト、ゴーギャン、ブリューゲル、ミレー、若冲、沈寿官―。 本書は「美術本」的な装いの「自己内対話」の記録であり、現代の祈りと再生への道筋を標した人生哲学の書でもある。 [ 目次 ] わたしたちは今、どこにいるのか おまえはどこに立っている―アルブレヒト・デューラー『自画像』 ディエゴ・ベラスケス『女官たち』『ドン・セバスチャン・デ・モーラ』 エドュアール・マネ『オランピア』 イワン・クラムスコイ『忘れえぬ人』ほか 生々しきもの―ギュスターヴ・クールベ『石を砕く人』『世界の起源』 エドュアール・マネ『草上の昼食』ほか エロスの誘いグスタフ・クリムト『ダナエ』 エゴン・シーレ『縁飾りのあるブランケットに横たわる二人の少女』 ポール・ゴーギャン『かぐわしき大地』ほか 白への憧憬―白磁大壷 長谷川等伯『松林図屏風』 純白のチマ・チョゴリほか 不可知なるもの―マーク・ロスコ『シーグラム壁画』 パウル・クレー『想い出の絨毯』ほか 死と再生―ピーテル・ブリューゲル『死の勝利』『バベルの塔』『絞首台の上のカササギ』ほか 生きとし生けるもの―伊藤若冲『群鶏図』『貝甲図』 熊田千佳慕『メスを求めて』『恋のセレナーデ』『天敵』ほか 祈りの形―アルブレヒト・デューラー『祈りの手』 円空『尼僧』 ジャン=フランソワ・ミレー『晩鐘』ほか 浄土的なるもの―与謝蕪村『夜色楼台図』 ジャン=フランソワ・ミレー『春』 犬塚勉『暗く深き渓谷の入口1』ほか 受け入れる力―ルーシー・リーの白釉の陶器 ハンス・コパーのキクラデス・フォームの陶器 沈寿官『薩摩焼夏香炉』ほか [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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ひとつの絵画を見て人生を考え直してしまう、そんな体験をしたことはないけれど(姜さんは体験されたそうです)、1冊の本を読んだことで、私事ながら、人生を考え直すきっかけになったことはある。哲学的な問いかけと、美術に対する知識が融合して、新しい読み物をみつけた!という感動があった。
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政治学者の姜尚中が、絵画を中心に芸術作品から受けた啓示について語っています。 著者自身が、絵画から生きるための知恵と勇気を与えてもらった体験を中心に綴られているので、解釈が恣意的になってしまうのはやむをえないのかもしれません。中立的な立場からの芸術作品の鑑賞の手引きとは言い難い...
政治学者の姜尚中が、絵画を中心に芸術作品から受けた啓示について語っています。 著者自身が、絵画から生きるための知恵と勇気を与えてもらった体験を中心に綴られているので、解釈が恣意的になってしまうのはやむをえないのかもしれません。中立的な立場からの芸術作品の鑑賞の手引きとは言い難いのですが、「わたしたちは今、どこにいるのか」と自問自答せざるをえない「近代」という時代においては、どこかで著者のような絵画からの触発を受け取ったことが、作品世界に深く分け入ろうとする動機となっているのではないかという気もします。
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