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平成猿蟹合戦図 の商品レビュー

3.7

165件のお客様レビュー

  1. 5つ

    23

  2. 4つ

    75

  3. 3つ

    46

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    0

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2011/10/11

様々な場所から集まった、様々な経緯を持つ登場人物たちが出会い、一つのうねりとなり、え?そうなるの?といった思いがけない展開に向かっていった作品だった。東北出身の兄弟の陰のある過去はどことなく松本清張風だなあと感じたり、純平キャラは横道世之介とかぶるなあとか思いながらサクサク読めた...

様々な場所から集まった、様々な経緯を持つ登場人物たちが出会い、一つのうねりとなり、え?そうなるの?といった思いがけない展開に向かっていった作品だった。東北出身の兄弟の陰のある過去はどことなく松本清張風だなあと感じたり、純平キャラは横道世之介とかぶるなあとか思いながらサクサク読めた。

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2011/10/11

恨みのある相手を車でひき殺した男、その身代わりで警察に出頭した兄、その現場を目撃して脅迫しようとする男、その友達とその妻と子供などなどがいつの間にか…。ストーリーもキャラクタも魅力的なんですけど、こういうのは伊坂や恩田が得意とするパターンで、彼らに比べるとどうしても読み劣りするよ...

恨みのある相手を車でひき殺した男、その身代わりで警察に出頭した兄、その現場を目撃して脅迫しようとする男、その友達とその妻と子供などなどがいつの間にか…。ストーリーもキャラクタも魅力的なんですけど、こういうのは伊坂や恩田が得意とするパターンで、彼らに比べるとどうしても読み劣りするように感じるのは残念です。無い物ねだりだとは思うのですけど。

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2013/04/07

読みながら、読み終わってしまうのを残念に思う本だった。タイトルはここかぁと気づかされる過程もなんとも心地よく。いろんな人に自分の気持ちを代弁してもらったなぁという感想。冒頭から先を早く読みたくなる気持ちにさせられるのは何でなんだろうなぁと思う。子どもと方言からか。 しかし松永美穂...

読みながら、読み終わってしまうのを残念に思う本だった。タイトルはここかぁと気づかされる過程もなんとも心地よく。いろんな人に自分の気持ちを代弁してもらったなぁという感想。冒頭から先を早く読みたくなる気持ちにさせられるのは何でなんだろうなぁと思う。子どもと方言からか。 しかし松永美穂さんの書評はいつも的確だと感じる。

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2011/10/08

いろいろな人物が出て来きてつながりました。長崎五島列島から新宿歌舞伎町、秋田大館と小説の舞台の移動距離もかなりのもの。つながった人物はそれぞれ生かし生かされハッピーエンドで終わったのでWin-Win「自分も勝ち、相手も勝つ」終わり方だと思いました。東京都暴力団排除条例が施行された...

いろいろな人物が出て来きてつながりました。長崎五島列島から新宿歌舞伎町、秋田大館と小説の舞台の移動距離もかなりのもの。つながった人物はそれぞれ生かし生かされハッピーエンドで終わったのでWin-Win「自分も勝ち、相手も勝つ」終わり方だと思いました。東京都暴力団排除条例が施行されたばかりでありますが、ストーリーはヤクザの力を借りて好転するシーンが多かったです。

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2011/10/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

たくさん登場人物が出てきて、群像劇になっていく。 最新作の吉田修一作品、こんな感じなんですね。 あれこれ巻き込まれ、あちこちで起きたことがつながっていくストーリーが面白い。どんどん読む気がわいてくる。 歌舞伎町のバーテン、ホスト、韓国バーのママ、チェロ奏者、マネジメント事務所、赤ちゃん連れの若い女性、等々。読むにつれこの人たちが頑張ったり変わったりするのだから楽しい。 思っても見ない方向に進む話はとても面白かった。 浜本純平、いいやつだ〜、明るいのがいい! 初めのうち「純平、考え直せ」と最近読んだ「真夜中のマーチ」のせいで奥田英朗をどうしても連想してしまい困った。 一気に物語に引き込まれたい気持ちの妨げになってる気がして。 いや、この群像劇「横道世之介」のゆるい流れの線ではないか。 苦悩や理不尽さを掘り下げるのとはちょっと違う。 輪郭がはっきりし過ぎない、くどくないこの感じに慣れてくると安心して読める。 ファンとしてこの作品で、やっぱり吉田修一さんいいなと思ったこと。 描写がこと細かではないのに、それぞれの人、場所の空気感がとてもよく伝わってくる。 例えば、サワの家の様子やサワの人柄。 美姫のマンションの様子、瑛太をあやす様子。 友香が颯太に誘われて行った海での一日。 作り込んでない、いかにも!がないところが良いんです。 今回それぞれの心のうちが、その人物の方言で書かれていた。 長崎、秋田、大阪、東京。いい感じであった。 何より好きなのは、人を大切にしているのが感じられるところ。 そんな職業、とか、そんな田舎、とか、そんな年寄り、とかないです。 さりげなく優しくて好きだ。

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2011/10/06

愉快、爽快。読んだ後こんなにスカッとする小説は初めてかもしれない。 歌舞伎町が物語の舞台だったので、最初は歌舞伎町から成り上がる話もしくは、歌舞伎町を中心とした殺人事件を追っていく話なのかと思いきや、予想外でした。 サワおばあちゃんの議員と握手した後の一言は、印象強かった。笑...

愉快、爽快。読んだ後こんなにスカッとする小説は初めてかもしれない。 歌舞伎町が物語の舞台だったので、最初は歌舞伎町から成り上がる話もしくは、歌舞伎町を中心とした殺人事件を追っていく話なのかと思いきや、予想外でした。 サワおばあちゃんの議員と握手した後の一言は、印象強かった。笑ってしまった。 これは、再読したいと思った。

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2011/10/03

人と人の関わりについて、暖か~く書かれてます。 吉田さんの作品はずっと人と人の出会いと関わりを追求していて、だんだんその目線が優しくなってる気がします。 唯一の心残りは主人公のバーテンの魅力がもうちょっと掘り下げられてて欲しかった事。けど、なにか爽快な気分になれるお勧め作品です。...

人と人の関わりについて、暖か~く書かれてます。 吉田さんの作品はずっと人と人の出会いと関わりを追求していて、だんだんその目線が優しくなってる気がします。 唯一の心残りは主人公のバーテンの魅力がもうちょっと掘り下げられてて欲しかった事。けど、なにか爽快な気分になれるお勧め作品です。 サワさんというおばあちゃんの話がとても良かった。

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2011/10/01

方言が出てくる小説は多いけど、これだけ色んな方言が出てくるのは少ないんじゃないか。長崎、大阪、秋田。 へなちょこバーテン淳平を中心に「理不尽で巨大な力」に8つの小さな(地方の)力が集約していく過程で、彼らの心のつぶやきが方言で描かれているのがすごくいい。泥臭く力強く温かみにあふれ...

方言が出てくる小説は多いけど、これだけ色んな方言が出てくるのは少ないんじゃないか。長崎、大阪、秋田。 へなちょこバーテン淳平を中心に「理不尽で巨大な力」に8つの小さな(地方の)力が集約していく過程で、彼らの心のつぶやきが方言で描かれているのがすごくいい。泥臭く力強く温かみにあふれている。 安心して最後まで読んでいけるのが、吉田小説の醍醐味か。弱い人、無力な人への徹底した愛情が心地よさの原因なんだろうな。 その代わり毒気を求める読者には、このあっさり感は物足りないだろうけど。

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2011/09/29

普通に生活している人たちに起こる出来事を平易な言葉で表現していながら、全体に緊張感があり、「悪人」以上の面白さ・・・と思って読んでいたが、最後はホームドラマのような終わり方になってしまった。 タイトルが示す通り、読んでいて楽しくなる、エンターテインメントです。

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2011/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

≪内容≫ 轢き逃げ、ヤクザ、水商売、無実の罪に国政選挙。老若男女8人の視点を行き来しながら語られる、疾走感溢れる復讐活劇。 ≪感想≫ 昔話の「猿蟹合戦」が復讐劇であるとすれば、この物語もまた一つの復讐劇であるといえる。では、何に対する復讐なのか。 バブル期以降の日本には、どこか停滞感や閉塞感が漂っている。誰が悪いとも言い切れず、ただみんなそんな空気に為す術なく佇んでいる。どう傷つけられたか、どう苛められたか、そうはっきりとは言語化できないモヤモヤが確実に存在し、そんな時代の「空気」に対しての復讐を考えたときに、こういった物語になるのかな、と思った。 前作の横道世之介にも通じるが、今作のキーマンである純平のように、吉田修一の作品に出てくるどこか泥臭くて不器用な登場人物は読んでいてホッとする。たとえ弱者が虐げられ、正直者が馬鹿を見る世の中であるとしても、人は弱くてもいい、優しくていいんだと、そう思わせてくれる気がする。 歌舞伎町の重苦しい雰囲気で始まり、いつのまにか秋田の選挙戦の話になっていく。そんなに上手くいくわけないだろうと思いながらもページをめくる手はとまらず、時代の空気を代弁するような気持ちのいい結末を迎える。疾走感のあるエンタメ小説だと思う。

Posted byブクログ