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ぜんぶの後に残るもの の商品レビュー

3.5

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

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2023/10/01

以前も書いたことがあったと思うけど、川上未映子さんのタイトルのつけ方が大好き。 「ぜんぶの後に残るもの」。 いいよね。 うんうん、と共感する場面も、着眼点の鋭さにハッとさせられる部分もたーくさんあったけど、ちょこちょこスキマ時間に読んだので結構忘れてしまっている。 P.81 ...

以前も書いたことがあったと思うけど、川上未映子さんのタイトルのつけ方が大好き。 「ぜんぶの後に残るもの」。 いいよね。 うんうん、と共感する場面も、着眼点の鋭さにハッとさせられる部分もたーくさんあったけど、ちょこちょこスキマ時間に読んだので結構忘れてしまっている。 P.81 唇ちょっと赤いのか 川上弘美さんの「センセイの鞄」から派生したエッセイ。この人のことも私は結構好きなんだけど、また再読したくなった。すごく。 P.112 プールで響き渡るもの (略)なんというか母がこれもう、水中から胸が1mは優に上がってるのではないのというくらいの極上としかいいようのないバタフライで、鷲の羽のような水しぶきを建てながらばっさばっさこちらへ向かってくるではないか。ヒイ!とみじかく声をあげたわたしは、予想もしなかった母の勇姿に見とれ、あ…みたいな感じになって、そうするうちにもまさかのオールバタフライという吉永小百合さんも驚きの展開で母はがんがん近づいてくる。そしてわたしが立っている終点まで来るとなんかプロっぽい感じでいったん水のなかに溜める感じで深く潜るのだった。 「うっまいやん!」と半ば照れ隠し&大阪のツッコミの感じで母の水泳帽の横をパーンとはたいたら、その音はプール的に甲高く特徴的に響き渡り、そしてよくみるとそれは母ではない別のご婦人で、わたしはヒイ!と声をあげ「ミエちゃーん、いくよお」の呑気な声が逆サイドから聞こえるなか、プールのなかで跳ね上がって土下座したのだった。 P.147 「字」の国の人だもの 有名人のサインに惚れ惚れしてしまうの、わかる~となった。壁がサインで敷き詰められたラーメン屋さんなどに行くと、延々ときょろきょろして、それが誰のものであるのか、解読しようとしてしまう。 P.150 一夜漬けの本気 これも共感しまくったのだけれど、なぜ女子はある一定の年齢になると丸文字に憧れ始めるのか。 小学校低学年の頃は書道を習っていたので、割と綺麗な文字が書けたのだけど、5年生くらいになると角の取れた丸い文字を書くことに傾倒し、おかげで自分の文字が著しく退化してしまったというのがあった。 中学2,3年でようやく大人っぽい文字に憧れるようになったのだけど、これが元のようになかなか書けない。文字だけで頭が良く見られたい。

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2023/04/23

川上未映子さんの本はもともとすごく好きだけど、エッセイになると、小説よりも読みやすく、文がするすると頭に入っていく感覚がとても好きです。普段感じている漠然とした気持ちを、言語化してくれていて、割とさらりと読めました。考えさせられるところがあるかと思えば、くすりと笑ってしまうところ...

川上未映子さんの本はもともとすごく好きだけど、エッセイになると、小説よりも読みやすく、文がするすると頭に入っていく感覚がとても好きです。普段感じている漠然とした気持ちを、言語化してくれていて、割とさらりと読めました。考えさせられるところがあるかと思えば、くすりと笑ってしまうところもあり、とても面白かったです。

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2023/02/03

すべてはあの謎にむかって P29みんなが等しくかけがえのない一回性を生きているからこそ、どうじにそれが等しく無価値になるのではなかったか。「わたし」というものはほとんど無限に存在している/してきた人間のなかの一例でしかないわけで、圧倒的なその感触を踏まえるところからしか、「わたし...

すべてはあの謎にむかって P29みんなが等しくかけがえのない一回性を生きているからこそ、どうじにそれが等しく無価値になるのではなかったか。「わたし」というものはほとんど無限に存在している/してきた人間のなかの一例でしかないわけで、圧倒的なその感触を踏まえるところからしか、「わたし」の唯一性は立ちあがってこないのではないのだろうか。 P100彼女の家族に思う悲しさに覚えがありまくる P103どれだけ洗練されていても「美化」と「泣き」はつねに安易で、回避したいところではある。

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2022/12/11

いきなり横道にそれますが、ブクログを使いはじめて早三ヶ月が経過しました。良かった、と感じることはブク友さんと知り合えたこと。おっかなびっくりはじめたレビューにも少し慣れてきました。たくさんの気になった言葉や、頭の中に散らばった感想(色とりどりで、大きさや質感、温度感もバラバラ)を...

いきなり横道にそれますが、ブクログを使いはじめて早三ヶ月が経過しました。良かった、と感じることはブク友さんと知り合えたこと。おっかなびっくりはじめたレビューにも少し慣れてきました。たくさんの気になった言葉や、頭の中に散らばった感想(色とりどりで、大きさや質感、温度感もバラバラ)を整理して、ぎゅっと要約して、どうにか文章として書き出してみて、「うーん・・・・・・なんか違うな」と試行錯誤して。決して楽しいばかりの作業ではありませんが、読み終わったら本棚登録だけしていたときと比べて、格段に本の内容が記憶に残るようになりました。そして、私のとりとめのない駄文に「いいね!」をしてくださる皆さまの温かさ。それらが嬉しくて、レビューをはじめて良かった、と思う一方、こんな短い文章を起こすのに存外に時間がかかっていて、もっとサクサク書けないものか、と。その点、川上さんのエッセイは、心の赴くまま。流れる水に形がないように言葉にとらわれず自然に綴られていて、なんというか「書く」という行為に余計な気負いを感じません。「私もかくあるべし」と思いながら読んだのでした

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2018/01/09

社会的な問題提起もあり、はてまた、 抱腹絶倒、笑いが止まらないエッセイもあり(笑) もう本当にバランスの取れたエッセイ集で素晴らしかったです。 『本当は何が好きなのですか』 この項が自分的に一番引っかかりました。 ネタバレを避けると、逃げることに関することが書かれていました。...

社会的な問題提起もあり、はてまた、 抱腹絶倒、笑いが止まらないエッセイもあり(笑) もう本当にバランスの取れたエッセイ集で素晴らしかったです。 『本当は何が好きなのですか』 この項が自分的に一番引っかかりました。 ネタバレを避けると、逃げることに関することが書かれていました。 「逃げる、逃げないの精神論」はいたるところで問題になりすね。 これを通して考えたのは、「本当の逃げとは」です。 状況や、場からの逃げは揶揄される傾向にありますが、そうではなくて、「自分の本心」からの逃げが本当の逃げなのでないかと考えさせられました。 「逃げるな」と揶揄するひとは、全員ではないと思いますが、反動形成で言っているだけではないのかなと思います。

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2017/06/04

17/06/03 (41) このひとの文章すきだなあて再確認。このひとのエッセイはずっとずっと追いかけたい。 ・記憶はあやうく鮮やかで、そしてはっきりと不確かで、しかしそれは我々を形作る最大のものであるのもまた事実。ああ我々はどれだけの人と出会い、どれだけの人を忘れていくのだろ...

17/06/03 (41) このひとの文章すきだなあて再確認。このひとのエッセイはずっとずっと追いかけたい。 ・記憶はあやうく鮮やかで、そしてはっきりと不確かで、しかしそれは我々を形作る最大のものであるのもまた事実。ああ我々はどれだけの人と出会い、どれだけの人を忘れていくのだろうなあと思えば、それがいちおう自分の体験であったにもかかわらず、どれをと選んだり意図したりができるわけでもなく、我々に相談してくれたりもしないのだ。そんなふうに残るもの、残らないものがひしめいてしまう思いのなかで、なんだかぼんやりしてしまう秋の入り口なのだった。(P86 その最大さにぼんやりとして) ・じゃあその「いま」ってなんなの、ということになるんでしょうけど、色々あるんだろうけど「言葉である」とは言えるよね。「いま」に限らず言葉は本当にとんでもないことをやってのける、べらぼうに破格なものだと思う。(P52 「いま」ってなんなの)

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2016/08/01

「オモロマンティック・ボム」読了してまだ川上未映子読みたいけど家にあるのこれしかない、3.11について書いたってちょっとしんどいけどまぁこれを機に読むか…。と読み始めたらなんとオモロマ続編でした。震災関係は前半ちょこっとだけ、あとは普通に(?)エッセーだったよ。良くも悪くも気が抜...

「オモロマンティック・ボム」読了してまだ川上未映子読みたいけど家にあるのこれしかない、3.11について書いたってちょっとしんどいけどまぁこれを機に読むか…。と読み始めたらなんとオモロマ続編でした。震災関係は前半ちょこっとだけ、あとは普通に(?)エッセーだったよ。良くも悪くも気が抜けてだらりと読んでしまった。 引用部分は、自分への戒めでもあり。

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2016/04/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

川上未映子さんの独特の感性と世界観と言葉遣いと落ち。基本、マイナス思考で傷つきやすく繊細でありながらも、独特の明るさや抜け感があり、中島みゆきさんのような陰陽の魅力というか、とても好きです。 同い年なのに、村上春樹さんの朗読会で2日聴きに行き、サインもらってるなんて羨ましい。「ひつじのような文字」なんて、すごい表現だなぁ。 何でもない日常にあふれる恐怖や終焉感に泡を吹きながらも、生きていくのだよなぁ。 「連帯は監視に、正義は強制に」 「1年間、無事に生きられたことに”おめでとう”」

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2016/02/12

「オモロマンティック・ボム」の単行本化、2作目。 東北大震災の年に出版しており、最初の方はその前後の日常が書いてある。作者から見たその当時の世の中ってのが分かる。後半は全く違う普段の日常。文章が書ける人が書いたら鮮明にあの震災の風景やそして何でもない日常を表現できるんだろうなと...

「オモロマンティック・ボム」の単行本化、2作目。 東北大震災の年に出版しており、最初の方はその前後の日常が書いてある。作者から見たその当時の世の中ってのが分かる。後半は全く違う普段の日常。文章が書ける人が書いたら鮮明にあの震災の風景やそして何でもない日常を表現できるんだろうなと思った。

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2015/12/14

 言葉に、匂いに、微妙なニュアンスに、あらゆる日常に敏感な未映子さんのエッセイを読むと、はっとさせられる。今まで見えていなかったものが急に目の前にひらけてくる感じ。その中に共感あり、笑いもありで読み応えがある。  周囲が真剣であればあるほど沸々と笑いが込み上げてくる不思議に共感。...

 言葉に、匂いに、微妙なニュアンスに、あらゆる日常に敏感な未映子さんのエッセイを読むと、はっとさせられる。今まで見えていなかったものが急に目の前にひらけてくる感じ。その中に共感あり、笑いもありで読み応えがある。  周囲が真剣であればあるほど沸々と笑いが込み上げてくる不思議に共感。性的被害にあった女性にも非があるという意見の不可解さに共感。そういったことを言葉にしてくれる未映子さんは心強い。

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