帰命寺横丁の夏 の商品レビュー
ご本尊に祈ると死んだ人が生き返る、ただし、生き返った人はもとの家族のところではなく、まったく関係のない知らない人として帰ってくるという帰命寺にまつわるお話。 小学五年生の主人公、和弘はある夜自分の家から女の子の幽霊が出ていくのを見てしまった。夢かと思って翌日学校に行くと、その女...
ご本尊に祈ると死んだ人が生き返る、ただし、生き返った人はもとの家族のところではなく、まったく関係のない知らない人として帰ってくるという帰命寺にまつわるお話。 小学五年生の主人公、和弘はある夜自分の家から女の子の幽霊が出ていくのを見てしまった。夢かと思って翌日学校に行くと、その女の子が当たり前のようにクラスメイトとして教室にいた。 周りの友達や大人たちはその子がずっと前からそこにいたように振舞い、女の子の正体をただひとり知っている主人公は、奇妙寺とは何か、誰が女の子が生き帰らせたのかを探る。 起承転結がきれいにできている物語で読み終えて気持ちがよかった。 これは設定勝ちだと思う。あと、表紙と比べて挿し絵が可愛い。 柏葉幸子さんの作品を他にも読んでみようと思った
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小学五年生のカズは近所に住む女の子あかりがよみがえりの人だと知っています。彼女を守るため、そして生きていることの喜びを感じてもらうために奔走します。 この物語の中に「月は左にある」という小説が挿入されています。半分近くを占めるこの話を書いた人、そしてそれを読んでいる登場人物たちの...
小学五年生のカズは近所に住む女の子あかりがよみがえりの人だと知っています。彼女を守るため、そして生きていることの喜びを感じてもらうために奔走します。 この物語の中に「月は左にある」という小説が挿入されています。半分近くを占めるこの話を書いた人、そしてそれを読んでいる登場人物たちの気持ちがリンクし深みを増しています。 読めば読むほど味わいのある物語です。
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柏葉 幸子 作 佐竹 美保 絵 講談社 (2011/8) 久しぶりに 読み応えのある児童文学に出会いました ファンタジーですが 現実の足場もしっかりしています 二部に分かれて挿入されている童話 ストーリーとからまって紡がれていくのですが その紙が淡いグレー 素敵です...
柏葉 幸子 作 佐竹 美保 絵 講談社 (2011/8) 久しぶりに 読み応えのある児童文学に出会いました ファンタジーですが 現実の足場もしっかりしています 二部に分かれて挿入されている童話 ストーリーとからまって紡がれていくのですが その紙が淡いグレー 素敵です 表紙の向うに描かれた小さな魔女 「魔女の宅急便」の画家さんだったのですね うふふ どの絵も 物語へいざなってくれました ラストもふんわりと よかったです ≪ 夏の日の 命の連鎖 帰命寺へ ≫
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主人公の小学校5年男子・カズの家は、帰命寺様といって祈れば死んだ人を返してくれる神様がおられる地、らしい…。 カズの渾名はサード。野球部でサードだったから、というだけではなく、頭の出来も、運動能力も、女の子の人気も三番手だから、と担任の先生がつけた、っていうことなんだけど、...
主人公の小学校5年男子・カズの家は、帰命寺様といって祈れば死んだ人を返してくれる神様がおられる地、らしい…。 カズの渾名はサード。野球部でサードだったから、というだけではなく、頭の出来も、運動能力も、女の子の人気も三番手だから、と担任の先生がつけた、っていうことなんだけど、これって酷くないですか。 でも、本人はそんな立ち位置が結構気にいっている、というところが、なんか、「今の子」をリアルに感じさせてね・・・。 そして、そんなカズが経験した夏のお話。 なんと、ある日の明け方、カズの家から見知らぬ女の子が出てきたと思ったら、その子がずっと前からクラスメートだったということになっていた!!!?? 帰命寺横丁という、みるからに怪しげな町名から、これはホラー系のお話??となるところを、その町名をカズの家族が知らない(そして、町の主だった人たちは知っていて、しかもみんなで一所懸命隠している)という流れがとても面白い。 そっか、人が蘇ってくることに対して、賛成派と反対派がいるわけね、と。 カズが、夏休みの自由研究を錦の御旗として(*^_^*) あれこれ探る過程が小さな町のさもありなん、といった風情を感じさせるところもよかったです。 入れ子になっている劇中劇的お話も、不思議なテイストで読み応えがあり、私はむしろ、そっちに興味をそそられたくらい。 泥をかく特殊な能力を持つ一族。「石の鳥」に買われた女の子は、日がな水に入って宝物を探すのだが、陰鬱な筆致が異界の不気味さを際立たせ、また、ふっと気がつくと本編との関わりをあれこれ考えさせもして、と。 サードであるカズがサードのまま、活躍して、なかなかのナイトぶりなのがよかったです。 柏葉さんは「つづきの図書館」に続いて二作目。 児童書の形はとっていますが、大人が読んでも十分面白い所も一緒です。
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柏葉幸子の物語と、佐竹美保の挿絵は、私の中で最強コンビ! 小学校5年生の僕・カズは、ある夜、幽霊を目撃してしまう。 翌日、その子は同級生あかりとしてクラスにいた! 僕以外のみんなは、何のわだかまりもなく、その子と接しているが…… と、よくあるお話風。 ところが、柏葉さんは違い...
柏葉幸子の物語と、佐竹美保の挿絵は、私の中で最強コンビ! 小学校5年生の僕・カズは、ある夜、幽霊を目撃してしまう。 翌日、その子は同級生あかりとしてクラスにいた! 僕以外のみんなは、何のわだかまりもなく、その子と接しているが…… と、よくあるお話風。 ところが、柏葉さんは違います! 郷土史研究から帰命寺の不思議な由来を絡ませてきます。 一心に祈ると、亡き人が別のどこかで生き返る、 そんな信仰がかつてあったと。 さらに入れ子構造の別物語までご用意…… そこにこの幽霊あかりちゃんと重ねてみせるのです。 一粒で二度おいしい……(笑) 正直、あのエンディングはどうなのかな…… いや、むしろ、今風なのか、ちょっとわからないのだけれど。 最後の最後、オチは痛快。 五代路子の私、人生、これからだよね、って思わせてくれました。
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おもしろかったんだけど…なんとなく消化不良ぎみです。 近所のご老人たちとラストが結びつかなくて。 作中のファンタジーだけで一冊読みたい気分です。
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前半は少年とおばあさんたちの対決(?)にドキドキして、後半は劇中小説にドキドキしました。柏葉作品のおばあさんはみんな元気がいいなぁ。
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久しぶりに柏葉幸子さんらしい作品だと思った。 話の中に出てくる物語のほうが、私にはとても魅力的で、 引き込まれるようにして読んだ。 終わりのほうでは、想像していたのと違った展開になっていたのも それはそれでおもしろかった。
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ある夜、自分の家から幽霊が出ていくのを見かけてしまったカズ。夢かと思っていたら、翌日、その幽霊そっくりの女の子に出会う。しかも自分以外のみんなが、その子の事を昔から知っていると言うんだ。カズにはでもその子のお母さんは見えないし、その子の家の中はからっぽで…。どうやら、死んだ人がよ...
ある夜、自分の家から幽霊が出ていくのを見かけてしまったカズ。夢かと思っていたら、翌日、その幽霊そっくりの女の子に出会う。しかも自分以外のみんなが、その子の事を昔から知っていると言うんだ。カズにはでもその子のお母さんは見えないし、その子の家の中はからっぽで…。どうやら、死んだ人がよみがえるという言い伝えがあった「帰命寺」が鍵らしい。ところが、いろいろ調べていると、それを妨害する人たちが現れて、謎は深まるばかり。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルにもなっている『帰命寺横丁(現代)の物語』と『物語の中の物語(魔女の存在する外国のお話)』が交互に入れ替わるストーリー。 初めは「劇中劇って苦手なんだよなー」と、ページをめくるスピードも落ち気味だったのですが、現代世界と魔法世界のバランスがとても良く、読み進めるうちに劇中劇にも物語全体にも自然と入り込んでいけました。 児童向け(?)らしく読後感も爽やかで、万人向けかと思います。 ただ、いつもクセのある本好みの方(自分も含めて)には、少々あっさりしすぎており、もう一味欲しくなるところかもしれません。 ちょっとした冒険、ちょっとしたミステリーをあっさり味でお望みの方にはオススメです。 余談ですが、なんだかジブリアニメのような印象を受けました。
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