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絶対貧困 の商品レビュー

3.9

102件のお客様レビュー

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    18

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  3. 3つ

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2013/08/17

体験ルポではある。が、副題にあるような「(貧困)学」ではない。もちろん、いろいろ参考になる。たぶん何度も講演する中で、聞く人を飽きさせないようにするなかでこうした本が生まれたのだろう。ただ、それは読者に深く考えさせるような書き方ではない。贅沢な注文かも知れないが。

Posted byブクログ

2013/08/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 発展途上国における貧困・劣悪な環境の中で生活する人々の実態を、スラム編、路上生活者編、売春編に分けた上で、そこで生活している人々の中に分け入り、その視線からルポルタージュしたもの。  どんな環境にあっても、人間が生きているところでは常に、食べていくこと、男女・性、子供についての営みが基本になる。スラムに暮らす人にはそれなりの、路上生活者にはそれなりの”システム”が形成されていて、綱渡りのような生活ではあるものの、そのようなものがあることにわずかながら安堵を感じた。  とは言っても日本に暮らす私なんぞには想像を絶する世界で、とりわけ心を痛めたのはストリート・チルドレンについてのレポートだ。  戦争や災害、病気などで親を亡くした子供たちは”仲間”で路上生活に入る。  子供が路上で生活するということは、単に決まった生活場所がないというだけでなく、保護してくれる存在がないこと、常に暴力や強姦、飢餓などと隣り合わせの生活で、寂しさや不安から逃れるため薬物へ沈溺していってしまう子供も多いという。そもそも路上生活に転落していってしまう経過において、戦争や災害、親の病気などから満足な愛情や養育経験がない子供たちが多いため、精神的・情緒的・知的な発達に問題がある場合も多く、犯罪組織などに絡め取られて金儲けの手段にされてしまうなど、読んでいてもっとも辛くなる部分だった。  だから先進国に住む我々はこうすべし!・・・というような説教がましいことはなく、こうした現実を知ったうえで、一人一人が自分で考えて行ってほしいという説得力ある終わり方。

Posted byブクログ

2013/07/24

貧困問題を考える時、いつもざっくりとした統計データだったり、売春婦やストリートチルドレンなど抽象的な思考でしかみていなかった。 本書を読み、ストリートチルドレンにも色々なタイプがありそれぞれ背景も違って大人がビジネスとして絡んでいるなんて知らなかった。これは、いくつかある問題の一...

貧困問題を考える時、いつもざっくりとした統計データだったり、売春婦やストリートチルドレンなど抽象的な思考でしかみていなかった。 本書を読み、ストリートチルドレンにも色々なタイプがありそれぞれ背景も違って大人がビジネスとして絡んでいるなんて知らなかった。これは、いくつかある問題の一例でしかなく、私はこれまでイメージでしか捉えていなかったことに気づかされた。思考が浅い。統計データから考えることも大事だけど、現地で生きる人々の目線で個々が生活の中で抱えている小さな問題から考えることも大事だと思う。 今、自分に何ができるかわからないけど何をすべきか見つけ出したい。

Posted byブクログ

2013/06/08

(貧困による裕福な外国人への恨みから)あるいは、社会(政治)事件が起きることもあるでしょう。世界では、時々日本商品への不買運動が起きたり、反日デモ(暴動)が起きたりすることがあります。(略)ここからいえるのは、いまはもう途上国の貧困問題を「遠い国の出来事」として片付けられる時代で...

(貧困による裕福な外国人への恨みから)あるいは、社会(政治)事件が起きることもあるでしょう。世界では、時々日本商品への不買運動が起きたり、反日デモ(暴動)が起きたりすることがあります。(略)ここからいえるのは、いまはもう途上国の貧困問題を「遠い国の出来事」として片付けられる時代ではないということです。良い意味でも悪い意味でも、途上国で起きていることは、そのまま私たちの安全や経済や政治に影響を与えるのです。それがグローバリゼーションということなのです。(略)ただ、そのためには、海外の貧困地域の生活や、現地で起きている問題がどういうものかということを知らなければなりません。(315p) その問題意識に私は大いに賛同する。 今から32年前の1981年、全世界でピースマーチが流行った。米ソの核兵器競争は頂点まで達し、核戦争がいつ起きてもおかしくはないと多くの人たちが思っていた。世界の各都市で50万人とか100万人とかの信じられない数の人たちが集会を開き出した。日本では、しらけ世代が蔓延していたが、新しい「市民」の台頭も始まっていた。なんと広島で30万人集会が開かれた。大学新聞をしていた私は、その取材ということで、初めて県外取材に訪れた。「これは集会ではない、お祭りだ」と昔の活動家は批判していたが、私は形式はどうであれ、平和をテーマにこれだけの人たちが集まったこと自体に感動した。そのときに、大江健三郎がスピーチをしている一角があった。私は彼の言葉を最初から最後まで聞いたわけではない。しかし、この言葉だけが心に響いた。 「想像力が必要です。想像力が試されている。私たちに想像力はあるだろうか」 それから30年間以上、私は何度も何度もその言葉を反芻している。 世界のスラム街に住む人々は、腹の飛び出た子どもたちを見れば「かわいそうな人たち」と括られたり、麻薬や殺人の危険地帯の情報を得れば「排除すべき人たち」等と括られたりするだろう。しかしそれはゴミ箱の臭いや感触を知らないで見た目だけで判断しているのに似ている。数%の人たちが殺人を犯しても、数%の子どもたちが死んでも、圧倒的多数の住民の実態を知らないで、軽々しい判断は慎もう、韓国や中国やベトナムで見た貧困街の体験を大切にしよう、こういう本を読んで、世界の実態から日本の常識には囚われない判断をしよう。この30年間、ずっと気をつけてきたことではある。その時に、「想像力」は試されるだろう。 2013年5月31日読了

Posted byブクログ

2013/05/24

東日本大震災の津波の被害を描いた「遺体」の著者である石井光太のルポルタージュ。 実際に現地を周り、経験したことをベースに纏めているので、心に迫る衝撃度も高い。 想像を絶する中で生き抜く人々の姿を知り、自分として何をすべきか自問自答するしかないのだけれども、全ては事実を知ることから...

東日本大震災の津波の被害を描いた「遺体」の著者である石井光太のルポルタージュ。 実際に現地を周り、経験したことをベースに纏めているので、心に迫る衝撃度も高い。 想像を絶する中で生き抜く人々の姿を知り、自分として何をすべきか自問自答するしかないのだけれども、全ては事実を知ることからスタートするのだと思う。 以下引用~ ・今、地球には約67億人の人々が住んでいるといわれていますが、このうち本書のタイトルで使った「絶対貧困」と呼ばれる一ドル以下で暮らしている人は12億人以上にのぼると推測されています。 2ドル以下ですと30億人以上。つまり、世界の半数の人達が一日二ドル以下で暮らしている計算になるのです。

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2013/05/23

画一的な捉え方しかできていなかったな、貧困。いかに自分が恵まれているのか痛感。あとがきの言葉を胸に刻みたい。ひとからげにしないこと、個と向き合う姿勢をもつこと、いろんな角度から物事をとらえること。

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2013/05/12

著者の功績は、ノンフィクションをエンタメにしたこと。 ただ、「悲惨な現実」ってやつを見せることに終始せず、そこに生きている人間のドラマが描きこまれている。 だからこそ、想像できる。この先の人生を生きている人が、確かにこの世界に存在する、と。

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2013/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この講義を読み終え一番心に残ったのは、「日本人は物乞いに対して喜捨をしない。そんなことをしても解決にならない、キリがないと。しかし、十円あれば彼らの食事をまかなえるのだ、何を高尚に考える必要がある」とのような文章だ。そう、物乞いにいくら喜捨しても世界の貧困は無くならない。だからどうしたんだ、十円を物乞いに喜捨することによって、目の前のにいる一人の人間、その命をつなげるのだ。それはとても誇らしいことではないか、一人の力じゃ世界は変えられないかも知れない。だが、一人の力で一人の人間を、一人の人間の世界を救うことは出来るんだ。  それは同情から来ているのかも知れない、見下しての事かも知れない、自尊心のためかも知れない、それらの卑しいといわれる感情から金を施したのかも知れない。だが、俺は思う、寄付や喜捨をするのに尊い感情が必ずしも必要なのかと。必ずしも慈愛の精神で喜捨をする必要はないだろう。卑しいとされる感情から十円渡そうとも、尊いとされる感情から十円渡そうとも。受け取った物には同じ価値を持った十円だ。そして、それで飯を食うことが出来る、命をつなぐことが出来る。それが例えどんな気持ちから生まれた金銭であろうとも、受け取った物からすればそれは命の糧、未来への糧となる。深い考えなど無くても、軽い気持ちの寄付でも命は救われる。  現地を知ることなく、「少年の労働、反対」や「不法入国者の取り締まり」、「路上生活者の追い出し」や「売春の取り締まり」を指示することは簡単だ。そして、それで全体が向上に繋がることもあるのだろう。しかし、それで生活を、命を失う者もいる。国のことを、世界のことを考えたら正しいことでも、それで何かを失う人間はいる。統計上ではただの数字でしかない人間だってみな必死に生きている。全体のために見捨てられた数字――人間。彼らを見捨てることが全体で見れば正しいのだとしても、その数人を、個人個人を見つめて、知って、出来ることなら救いたいと思っても間違いじゃないと思いたい。数人の人間を助けるために大勢の人間を犠牲にするのは間違っているかも知れない。目の前の一人を救うために十人を犠牲にする。それは、間違いなのかも知れない。しかし、一人の人のために十人を犠牲にする間違いを犯すなんて、――人間らしくて良いじゃないか。  この本を読み終わり、俺は貧困地帯のために寄付をした――なんて事はない、俺がこの本を読み心に残った言葉は、「目の前の人を救う」だ。高尚なことなんて関係ない、全体の利益なんて関係ない、深い理由なんて覚悟なんて無い、「ただ目の前で困っている人がいて、ただ助けたかったから、助けた」それで良いじゃないか。目の前にいたから、単純に心が動かされたから助けた。そんな行動が人間らしくて良いじゃないか。目の前に困っている人がいたら、助けて、自分が助けられたら、ありがとう。そんな素直な人間に俺はなりたい。――いや、なれる。

Posted byブクログ

2013/03/20

途上国のスラムで生活しながら取材したルポタージュ。 あまりこういうテーマに関心のない人に読んでもらいたい。 筆者が実際に路上だったりスラムで寝泊まりしながら見たもの、 ってところで、深いとこまで書けてるのかなぁとも思う気もする。 けど、まぁ、ルポタージュだからしょうがないのかもし...

途上国のスラムで生活しながら取材したルポタージュ。 あまりこういうテーマに関心のない人に読んでもらいたい。 筆者が実際に路上だったりスラムで寝泊まりしながら見たもの、 ってところで、深いとこまで書けてるのかなぁとも思う気もする。 けど、まぁ、ルポタージュだからしょうがないのかもしれないけど、 どうもセンセーショナルというか、なんかしっくりこないとこもあった。 でも、私がそこに行って見たわけでもないので、なんとも言えないけど・・・ やっぱり女性や子供は貧困下だと犠牲になりやすいよね。 戦後の日本もバラックみたいなとこで暮らして、まさに、ここでいう スラムみたいなもんだったと思うんだけど、実際どうなんだろ。 でも、その日本が今これだけ豊かになってるんだから、 途上国ってやっぱ伸びしろもあるよね。 1人でも多くの人が生き方を選べるような社会が作れたらいいなぁ。

Posted byブクログ

2013/02/08

目を開かれるとはまさにこのこと。僕の中の貧困のイメージはまさにステレオタイプでした。それを打ち砕き、一枚に切り取られた絵からも色々な背景を想像することができる学びがありました。

Posted byブクログ