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最終講義 の商品レビュー

4.4

82件のお客様レビュー

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2013/02/08

内田樹氏の本はやはりおもしろい。「こんな何冊も本を書いている人なのに、オレと同じ感じ方しているな」なんて思わせるところが魅力なのかもしれない。 人前で話をしていて、次に何を話すかを忘れてしまうことはよくあります。でもそれをうまく繋げたとき、自分でも思いがけない発想やおもしろい話が...

内田樹氏の本はやはりおもしろい。「こんな何冊も本を書いている人なのに、オレと同じ感じ方しているな」なんて思わせるところが魅力なのかもしれない。 人前で話をしていて、次に何を話すかを忘れてしまうことはよくあります。でもそれをうまく繋げたとき、自分でも思いがけない発想やおもしろい話が生まれるなんて体験は結構あります。こんな経験を内田氏もしているらしい。でも、自分に内面化されていなす知識が何もないところから生まれてくる魔法のようなことはないわけで、そこにはそれまでに積み重ねてきた経験や学習があるはずだ。これは内田氏の教育論にも通じる。教育は何か分からないものを何で学ぶのか分からないままに学ばせるものだという。受ける者が、その価値を分かってやるかやらないかを選ぶのでは、市場原理上にある商品と変わらない。しかし、教育はその場では何のためにやるのか、何の価値があるのかは分からない。それでいいのだという。でも、何かかが内面化されある時、表出する(しないかもしれないけど・・・)。それで良いんじゃないかと思わせてくれました。人生、何のためにやるのか分かっているものばかりじゃない、というかほとんど分からない。 「教育の本質はお節介である」「利便性や効率では学びは発動しない」。その通りだと思います。市場原理を教育に持ち込んだことが教育の衰退の一つの大きな原因だということは、考えてみれば自明のことであるが誰も気づかないふりをしている。それなのに教育がうまくいかないことの犯人捜しには熱心である。何が起こるのも一つのことが原因で、それさえ取り除けば全て解決するなんていう単純なことは皆無に近い。だけと、わかりやすいことを言って何かを攻撃する人が人気を取ったりする。とても危険な方向へ向かっていると思う人はどのくらいいるのだろう。 一度、講演をお聴きしたいものです。 

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2013/01/31

目からうろこの話でした。いろんな考え方や見方があるものだな~と感心。 アメリカに対する見方、アメリカと日本の関係、ユダヤ人のこと、などなどまた視点が広がってためになった。 気をつけなきゃいけないのは、これを鵜呑みにしちゃうこと。 そういう見方もあるのだな~と頭の片隅に入れておいて...

目からうろこの話でした。いろんな考え方や見方があるものだな~と感心。 アメリカに対する見方、アメリカと日本の関係、ユダヤ人のこと、などなどまた視点が広がってためになった。 気をつけなきゃいけないのは、これを鵜呑みにしちゃうこと。 そういう見方もあるのだな~と頭の片隅に入れておいて、いろんな情報をインプットしていこう。

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2013/01/06

『街場のメディア論』を読んですっかりファンになってしまいました。 書店で内田樹という名前を見かけるとおもむろに手に取ってしまいます。購入もやむなし。 ・教育現場などの漸進的カテゴリにおける市場原理主義批判 ・大学教育現場の未来についての考察 ・右肩下がりの社会というものへの考察...

『街場のメディア論』を読んですっかりファンになってしまいました。 書店で内田樹という名前を見かけるとおもむろに手に取ってしまいます。購入もやむなし。 ・教育現場などの漸進的カテゴリにおける市場原理主義批判 ・大学教育現場の未来についての考察 ・右肩下がりの社会というものへの考察 ・ユダヤ学個人史総括 ざっくりとこんな内容です。 特にビジネス以外の公共に近い分野に対する昨今の市場原理主義の侵食へは、変わらぬ批判を明確に示しています。 内容の充実と物事に対する柔軟な切り口もさることながら、丁寧かつ親しみの湧く分かりすい語り口が好みです。 言っていることは決して世間的にメジャーな概念ではないのですが、物腰柔らかな文章体のおかげですんなり心と頭の隙間に入っていきます。 次は是非アメリカ論について読んでみたいと思います。

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2012/11/12

色々と考えさせられる話が多かったですが、特にビジネスと教育についての考え方の部分は共感しました。伝えたい人が教え、教わりたい人が自分の意思で教わる、という当たり前といえば当たり前のことですが、ビジネス化された現代において見失われている部分を再確認することができました。読んでいる途...

色々と考えさせられる話が多かったですが、特にビジネスと教育についての考え方の部分は共感しました。伝えたい人が教え、教わりたい人が自分の意思で教わる、という当たり前といえば当たり前のことですが、ビジネス化された現代において見失われている部分を再確認することができました。読んでいる途中で、大学生の時に行った教育実習で見た学生の情熱を思い出し、人生のどこかでもう一度教育に携わって、自分が得てきた知識や経験を未来を背負う子供たちに伝えたいという衝動に駆られました。

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2012/10/13

はじめて生でお話を聞いた記念すべき講演も収録されているので、感慨深い。『最終講義』と名のつくことだけあって、内田さんの学知の総括というか、実に幅広い分野に触れられている。おそらく、「成熟した大人」であれば「そんなの当たり前じゃん」という箇所も多いだろうが、その当たり前ですら忘れて...

はじめて生でお話を聞いた記念すべき講演も収録されているので、感慨深い。『最終講義』と名のつくことだけあって、内田さんの学知の総括というか、実に幅広い分野に触れられている。おそらく、「成熟した大人」であれば「そんなの当たり前じゃん」という箇所も多いだろうが、その当たり前ですら忘れている人が(自分も含め)あまりに多いのではなかろうか。

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2012/10/06

これから行われるであろう「よきこと」を信じて 知的イノベーションにおいて死活的に重要なこと 「存在しないもの」からのシグナルを聴き取る 「わけのわからない現象」に夢中になれるか 危機的局面であるほど上機嫌であれ -> 上機嫌の作法 アカデミック・ハイの感覚 最後の拠り所にな...

これから行われるであろう「よきこと」を信じて 知的イノベーションにおいて死活的に重要なこと 「存在しないもの」からのシグナルを聴き取る 「わけのわからない現象」に夢中になれるか 危機的局面であるほど上機嫌であれ -> 上機嫌の作法 アカデミック・ハイの感覚 最後の拠り所になるのは「知性の身体性」 使えるものは全部使う ->ありもんを使う、[間]に合わせる 自分の知性の性能を向上させることを 純粋に技術的な視点から考察する人はほとんどいない。 自分の知性が最高の状態にないことに、空腹や眠気や 渇きと同じような激しい欠落感を覚える人間だけが 知性を高いレベルに維持できる。 先駆的直感に導かれて 「情理を尽くして語る」という学問的マナー 断片から全体像を描く知的能力の必要性 倍音は宗教儀礼の核心部分 倍音声明 「う」「お」「あ」「え」「い」の5音 「ん」のハミング音 -> 天真五相 選ばれないことのリスクを引き受ける 教育の本質はおせっかいである 利便性や効能では学びは発動しない 教育の効果は数値化できない 意味や有用性はあとになってから実感するもの 学びには「謎」や「暗がり」が必要だ 「矛盾に耐えて生きる」ことで成熟する 親族の基本構造にあるもの とにかく「異論を立てる」ことが大事 果たされなかった攘夷の戦い ->日米安保、第一次羽田闘争 自然科学はユダヤ研究に近い。自分が研究していることを 突き詰めてゆくと、その先に世界のすべての現象が説明できるような統一原理が発見できるのではないか、と。 そういう法外な夢をもって研究している人が自然科学の 最先端にはときどきいます。 日本ユダヤ学会の研究者たちを見ていると、何か それに近いものを僕は感じるんです。 目標がはるか上にあるがゆえの穏やかさ

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2012/10/03

読み始めてまもなく、2回目だと気づくが、毎度のことながら教えられるし面白いので最後まで再読。教育の本質はおせっかい、という指摘が印象に残った。 メモ:「日本人はなぜユダヤ人に関心をもつのか」の章で紹介されている代表的日猶同祖論者は中田重治、佐伯好郎、小谷部全一郎(おやべ)、酒井...

読み始めてまもなく、2回目だと気づくが、毎度のことながら教えられるし面白いので最後まで再読。教育の本質はおせっかい、という指摘が印象に残った。 メモ:「日本人はなぜユダヤ人に関心をもつのか」の章で紹介されている代表的日猶同祖論者は中田重治、佐伯好郎、小谷部全一郎(おやべ)、酒井勝軍(かつとき)の4人。

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2012/10/02

職場が大学図書館になってからより一層、内田先生の「教育はビジネスではない」が身に沁みる。 自分に得なことしかしたくない、という学生の態度の背後にあることには「なるほど!」。 接するたびに空しい気持ちに襲われていたが、理由が見えるとこちらの気持ちも少々変わる。

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2012/07/26
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※このレビューにはネタバレを含みます

人間の知性というのは効能が分かったことに対しては発動しないんです。これを勉強するとこういう「いいこと」があるよと報酬を示されて動くような知性は知性的じゃないんです。 人間の知性が活発になるのは「これを勉強したい」けどどうして勉強したいか「分からない」ときです。勉強する以外にこの「もどかしさ」を解消する手段がないから、勉強する。それが学びの王道です。 一気に読める至言の数々。内田ファンにはたまらないです。

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2012/07/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内田先生の講演集です。 背負っているものがあるかどうか? (アカデミシャンは何を背負ってフロントラインに立つか) 目の前にある現実をオープンマインドでありのままに受け入れる開放的な状態 (危機的局面であるほど上機嫌であれ) 繋がった感 (アカデミック・ハイ) 「そこに誰かいたらとにかくパスを出す」 (道を拓くのは君たちのためである) などなど楽しく読めました。

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