福島原発の真実 の商品レビュー
先日から関西電力役員らの金品受領が問題になっていて、タイムリーな内容だった。この「福島原発の真実」の舞台は、著者の佐藤栄佐久氏の1988年知事就任から2006年辞任までの18年間が中心に描かれているが、原発政策は国、その中でも経産省が推進役となっていることがよく分かる内容だった。...
先日から関西電力役員らの金品受領が問題になっていて、タイムリーな内容だった。この「福島原発の真実」の舞台は、著者の佐藤栄佐久氏の1988年知事就任から2006年辞任までの18年間が中心に描かれているが、原発政策は国、その中でも経産省が推進役となっていることがよく分かる内容だった。経産省の役人がなんのメリットもなく苦労して推進役を買ってでるわけなく、そうした面をもう少し知りたかった。
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他の方がほめていたのを見て読んだのですが、少々期待外れでありました。これは氏にとっての真実ではありますが、この消化不良感は、どこか偏った真実だからなのかもしれません。
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◆福島県の元知事の自叙伝が読まれるべき理由は、原発事故が起こったからではない。原発建設とその後の稼働の内幕を見るに、日本に潜在する情報公開制度の根深い問題が暴露されるからだ◆ 2011年刊行。 著者は元福島県知事。 刊行は、あの「フクシマ」後であるが、本書はむしろ1988...
◆福島県の元知事の自叙伝が読まれるべき理由は、原発事故が起こったからではない。原発建設とその後の稼働の内幕を見るに、日本に潜在する情報公開制度の根深い問題が暴露されるからだ◆ 2011年刊行。 著者は元福島県知事。 刊行は、あの「フクシマ」後であるが、本書はむしろ1988~2006年まで福島県知事の職にあった著者が、使用済み核燃料とその再処理、これらを巡るデータ改竄と隠蔽につき、東京電力、経済産業省、保安院、さらに県議会(特に自民党議員)、原発立地自治体の首長らとの交渉・対抗関係を赤裸々に暴露した自叙伝である。 細かいところはともかく、原発推進側・電力会社側におけるデータ改竄から隠蔽と、唖然とする状況が続き、こんな体たらくなのに推進側が「信用しろ」などと言えるなぁ、という内実が開陳される。 最近、どこを見ても国家情報の公開の不誠実さが目に付く。しかし、保管している情報が改竄されていたというのは極めつけである。公開しても正しいことが判らない。そんなものしかない中で国の舵取りなんぞ出来るんだろうかと……。 そして、原発立地自治体への巧妙な交付金の交付の仕方に見え隠れするのは真からの合意形成を捻じ曲げる姑息さ。自治体と国との交付金を巡る馴れ合いは1/30号「週刊エコノミスト」伴英幸氏の寄稿記事にもあったところだ。まったくもって御しがたい。 このような内実が判る本書は、単にフクシマ原発事故に関連するというだけに止まらず、広範に一読されるべきであろう。原子力発電問題だけではなく、情報公開のあり方とどのような制度が望ましいかについて考えを深めるために。
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(2017.03.21読了)(2015.01.18購入) 【目次】 プロローグ 福島が壊れる 第1章 事故は隠されていた 第2章 まぼろしの核燃料サイクル 第3章 安全神話の失墜 第4章 核燃料税の攻防 第5章 国との全面対決 第6章 握りつぶされた内部告発 第7章 大停電が来...
(2017.03.21読了)(2015.01.18購入) 【目次】 プロローグ 福島が壊れる 第1章 事故は隠されていた 第2章 まぼろしの核燃料サイクル 第3章 安全神話の失墜 第4章 核燃料税の攻防 第5章 国との全面対決 第6章 握りつぶされた内部告発 第7章 大停電が来る 第8章 「日本病」と原発政策 第9章 止まらない内部告発 エピローグ 「嘘」を超えての再生 あとがき 関連年表 ☆関連図書(既読) 「私のエネルギー論」池内了著、文春新書、2000.11.20 「原発と日本の未来」吉岡斉著、岩波ブックレット、2011.02.08 「激変する核エネルギー環境」池田清彦著、ベスト新書、2011.05.05 「福島原発メルトダウン-FUKUSHIMA-」広瀬隆著、朝日新書、2011.05.30 「原発社会からの離脱」宮台真司・飯田哲也著、講談社現代新書、2011.06.20 「原発の闇を暴く」広瀬隆・明石昇二郎著、集英社新書、2011.07.20 「内部被曝の真実」児玉龍彦著、幻冬舎新書、2011.09.10 「原発・放射能子どもが危ない」小出裕章・黒部信一著、文春新書、2011.09.20 「ホットスポット」ETV特集取材班、講談社、2012.02.13 「脱原発を決めたドイツの挑戦」熊谷徹著、角川SSC新書、2012.07.25 「死の淵を見た男」門田隆将著、PHP研究所、2012.12.04 (「BOOK」データベースより)amazon 日々、深刻の度合を深める福島原発事故。洪水のように溢れかえる情報の中で人は一体何を信じたらよいのか。原子炉運転停止、プルサーマル凍結、核燃料税をめぐる攻防…。国が操る「原発全体主義政策」の病根を知り尽くした前知事がそのすべてを告発する。
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官僚の深刻な改竄・隠蔽体質。既得権益はこれほど人の心を歪ませるのかと愕然とした。彼らに避難住民の姿は見えているのだろうか。こうした体質を改めるには、やはり個人→地域→国への粘り強いボトムアップだろうか。
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佐藤栄佐久の独演会。地上自治の視点で見れば、彼が検察にはめられたのは残念だ。◆原子力政策がいかにずさんなものなのかだったを再確認。
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前著・知事抹殺から知事になるまでの歩みと検察との攻防を割愛して、中間とりまとめの議事や相次ぐ内部告発の具体例を列挙+知事辞任後の福島の流れと震災後の視点を加えた内容。原発事故のサブテキスト的に読むならこちらかなと思いますが、事故後の視点を分厚くして時間を置いて書けばより深いものが...
前著・知事抹殺から知事になるまでの歩みと検察との攻防を割愛して、中間とりまとめの議事や相次ぐ内部告発の具体例を列挙+知事辞任後の福島の流れと震災後の視点を加えた内容。原発事故のサブテキスト的に読むならこちらかなと思いますが、事故後の視点を分厚くして時間を置いて書けばより深いものが出来るであろうという、知事抹殺を読んだばかりの身には食い足りない内容…かな。
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著者のことは、これまでにも度々目にとまり、 ずっと気になっていた…一度、本人自身の著作を 読んでみたいと思った。東日本大震災以前から、 原発問題で政府、電力会社と対立してきた元福島県知事だ。 著者の主張はシンプルだ… 原発を動かすときには、国と電力会社は地域住民に対し、 安全と...
著者のことは、これまでにも度々目にとまり、 ずっと気になっていた…一度、本人自身の著作を 読んでみたいと思った。東日本大震災以前から、 原発問題で政府、電力会社と対立してきた元福島県知事だ。 著者の主張はシンプルだ… 原発を動かすときには、国と電力会社は地域住民に対し、 安全と安心を最大限に明確に説明すべし…本書では、 それが、おそろしいまでに無化されるプロセスが語られている。 さらには、著者は、汚職事件で追求を受け有罪処分… 収賄額ゼロであるにもかかわらず! どうしようもない虚しさばかりがつのる。 これが、ボクらが今生きている国…日本だ。 著者は云う… ―日本では、使用済み核燃料の処分方法について、 歴史の批判に耐える具体案を持っている人は 誰もいないのでる。責任者の顔が見えず、誰も責任を 取らない日本型社会の中で、お互いの顔を見合わせながら、 レミングのように破局に向かって全力で走っていく、 という決意でも固めているように私には見える。 大義も勝ち目もない戦争で、最後の破局、 そして敗戦を私たち日本人が迎えてからまだ70年たっていない。 これこそが「日本病」なのだと私は思う。 ただ、ボクは、絶望しても走り続けたい! この国で生きたい! 本書の最後はこう締められている… ―しかし私たちは、「嘘」を乗り越えて、 いまこそ真実をつかまなければならない。 それが、わらわれのふるさと、福島を復興させる第一歩だ。
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名もない公務員たちの不作為の積み重ねが、ここまで地元に対し金で解決してきた原子力発電所の諸問題を大きくした。 ひとりひとりが考えないで、お上に任せておくと、禍根を残します。難題山積のいまだからこそ、地域エゴではない地方自治を続けたい。著者が引退したあとの県政はどうなっているのだろ...
名もない公務員たちの不作為の積み重ねが、ここまで地元に対し金で解決してきた原子力発電所の諸問題を大きくした。 ひとりひとりが考えないで、お上に任せておくと、禍根を残します。難題山積のいまだからこそ、地域エゴではない地方自治を続けたい。著者が引退したあとの県政はどうなっているのだろう。 構造化されたパターナニズムを押し通させないしくみは必要です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
18年福島の知事を務めた佐藤栄佐久氏。汚職事件で辞職したのは知っていましたが「収賄路ゼロ」という認定だったのは裏書きを見て初めて知りました。 本書の内容は、現職時代から原発に関する問題で東電並びに国に不信感を持っていて、常に憤りを覚えていた様子が実例をあげながら描かれています。 読んでいくうちに、改ざん、隠ぺい、説明や約束を簡単に反故にしていく東電や国の対応に、前知事でなくとも苛立ちを覚えました。 たびたび、小さな事故が隠ぺいされていたということがニュースでたびたび騒がれるので、学生だった私は『またかぁ』と、それが当たり前のようになっていました。 震災時の原発事故で一番悪いのは、隠ぺい体質を改善しなかった東電、原発をごり押しで進めてきた国だと思いますが、もしかしたらいつのまにか、安全、安心だと洗脳されて、事故のニュースに慣れ、あきらめてしまった私たちが助長させてしまったことかも知れないとも思いました。 本文冒頭で長年原発と対峙してきた前知事でも、心の底では原発は大丈夫とどこか思っていたとありました。
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