そこへ行くな の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2作続けて井上荒野さん作品を読みました。 これは、最も井上荒野さんらしい作品なのかも。 “足を向けてはいけない場所”が、テーマの短編集です。 全ての作品において、井上さん独特の不穏な感じがつきまとって、 読み進めるのを放棄したくなる部分がある。 見てはいけないものを覗き見てる気持ちがつきまとう。 あー、やっぱりそうなのね・・・。 という諦めと納得。 わたし的には、最後に収録されている、 “病院”がすきでした。 夕暮れ時に読んだら、泣きたくなった。
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「すばる」に掲載されていなかった「病院」がとくによかったな。クラスの「僻地」の存在である女子と、「都心」に位置する男子の誰にも知られていない関係。よくあるシチュエーションなのにマンネリ感がない。感情を過剰投与せずに、微妙な心の揺らぎを描いています。 これだけ、希望が見えるの...
「すばる」に掲載されていなかった「病院」がとくによかったな。クラスの「僻地」の存在である女子と、「都心」に位置する男子の誰にも知られていない関係。よくあるシチュエーションなのにマンネリ感がない。感情を過剰投与せずに、微妙な心の揺らぎを描いています。 これだけ、希望が見えるのですね。もう「そこ」には行かないという決意。 「そこに行くな」というタイトルが落ちなしの話を締めています。いっちゃだめなのに行ってしまうのでしょうか。。。。怖い展開ではないのにこんなにスリルを感じさせる。こんな凄腕を今まで知らなかったとは。
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どろりとして気持ち悪い。 本能が危険を察知していて、そこに行ってはいけない事を知っているのに行かずにいられない。 最初に感じた後味の悪さが読み終わる頃には心地よさにすら変わっている不思議。 最初は 『不完全燃焼だなぁ』 と思ったけど、自分の中で色々と保管しながら物語を繋いで行く...
どろりとして気持ち悪い。 本能が危険を察知していて、そこに行ってはいけない事を知っているのに行かずにいられない。 最初に感じた後味の悪さが読み終わる頃には心地よさにすら変わっている不思議。 最初は 『不完全燃焼だなぁ』 と思ったけど、自分の中で色々と保管しながら物語を繋いで行くのが楽しくなる。 どろどろだけど。 荒野さん作品にしてはライトらしいので、その内他書にも手を出して見ようかな。
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夫婦同然に暮らしてきた男の秘密を知らせる一本の電話(『遊園地』)。バスの事故で死んだ母はどこへ行こうとしていたのか(『ガラスの学校』)。中学の同窓生達が集まったあの部屋の、一夜(『ベルモンドハイツ401』)。「追っかけ」にあけくれた大学生活、彼女の就職は決まらない(『サークル』)...
夫婦同然に暮らしてきた男の秘密を知らせる一本の電話(『遊園地』)。バスの事故で死んだ母はどこへ行こうとしていたのか(『ガラスの学校』)。中学の同窓生達が集まったあの部屋の、一夜(『ベルモンドハイツ401』)。「追っかけ」にあけくれた大学生活、彼女の就職は決まらない(『サークル』)。引っ越し先の古い団地には、老人ばかりが住んでいた(『団地』)。貸しグラウンドの女事務員が、なぜ俺の部屋を訪ねて来るのか(『野球場』)。母の入院先に、嫌われ者の同級生も入院してきた(『病院』)。行くつもりはなかった。行きたくもなかった「場所」へ―全七編収録。
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どの話も後味が悪い。 なんともいやーな気持ちで読み終わって、次を読むとまたいやーな感じ。 人の悪意とか歪みとかが凝縮されてるみたい。
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「そこへ行くな」と、何だか凄いタイトルの短編集。 もともと一筋縄ではいかない人間の、思いもよらない部分が垣間見えるのは怖い、けど面白い。 結末が不可解なものもある中で、「ガラスの学校」と「病院」はさわやかな余韻が残ってよかった。
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難しい。普通の本では物語の途中というところで終わってるので、すっきりしないところが多い。あと少し気持ち悪いって思うところもあった。私にはまだ読むのが早かったのかな…
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七編の短編集。ストーリーはそこへ行きついてしまうのかと思わせておきながら、ラストは光を見いだせるので、後味爽やかで印象的だ。物語後の未来がよい方向へ転がっていくのを願わずにはいられない。
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短編集。どれも終わりが気になる。 とくに初めの遊園地。きっとむくわれないのだろうとおもうけど。 わたしが好きなのはベルモンドハイツ401かな。 タイトル、そこへ行くな、というセンス抜群だとおもう!
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最初の「遊園地」を読み終えた瞬間は、「これで終わり?!」という中途半端な印象が強かったのですが、あとの短編を読み進むうち、どれもエンディングに何とも言えない不気味さを覚えるようになりました。「団地」では主人公の主婦が壊れていく予兆、「野球場」では異界のモノとの遭遇、読む人によって...
最初の「遊園地」を読み終えた瞬間は、「これで終わり?!」という中途半端な印象が強かったのですが、あとの短編を読み進むうち、どれもエンディングに何とも言えない不気味さを覚えるようになりました。「団地」では主人公の主婦が壊れていく予兆、「野球場」では異界のモノとの遭遇、読む人によっては違ったものになるかもしれませんが、どの短編もビミョーな距離を取ったまま終わるので、読み手の想像の中でじんわりと怖さがわきあがってきます。
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