サイバネティックス の商品レビュー
コンピュータ黎明期の天才科学者の頭の中をのぞき込める一冊。制御と通信が機械でも生体でも本質的に統一されうるというアイデア(=サイバネティックス)が主題。第二次世界大戦中に取り組んだ高射砲の照準のフィードバック制御の軍事研究が元らしいが、そっち(生体側)に広げる?って感じ。先取りし...
コンピュータ黎明期の天才科学者の頭の中をのぞき込める一冊。制御と通信が機械でも生体でも本質的に統一されうるというアイデア(=サイバネティックス)が主題。第二次世界大戦中に取り組んだ高射砲の照準のフィードバック制御の軍事研究が元らしいが、そっち(生体側)に広げる?って感じ。先取りしすぎ。でも天才の頭の中ってこんなんかも。本としては、エッセイ調の箇所は案外読めるしおもしろい。講義調の箇所は数式とか全く理解できない。制御における通信の重要性はなるほど。 ・制御工学と通信工学の問題が、たがいに切りはなし得ない(p40) ・アリの社会のような共同体の理解は、アリ同士の通信手段を完全に研究しなくてはできない(p58) 9章「学習する機械、増殖する機械」は今はやりの人工知能だが、学習と増殖が密接に関連しているって話がおもしろい。ここでも数学/工学/生理学の境界領域を攻めてる。 巻末では大澤真幸が社会学的観点で解説していて、ほんまかいなと思いつつもカッコつけ文章を楽しめた。 ・本書の復刻にとりわけ価値があるのは、「サイバネティックス」というアイデアが、つまり「制御の科学」を成り立たせている基本的な着想が、古典主義時代にとっての「表象」や19世紀の西洋の諸学問にとっての「人間」とよく似たような意味で、20世紀中盤の知の諸領域を横断して、それらを構造化する中心をなしているからである(p404) ・否定されたカエサルが「皇帝」として復活したように、サイバネティックスも復活する(p415) とはいえ巻末解説はやはり本書の主題である機械と生物の融合について生理学的観点で振り返って欲しかった。生理学者で書ける人はいなかったのか。別に日本人でなくてよいから出版社は世界から適任者を探すべきだった。
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アメリカの数学者Norbert Wienerによる、通信工学と制御工学を融合して、生理学、機械工学、システム工学、ひいては人間、機械の関係性を統一的に扱おうと打ち立てられた学問領域の話。数学者という立場ならではの細かい理論的な観点を生かしながら、細分化・専門化が進んでいく研究分野...
アメリカの数学者Norbert Wienerによる、通信工学と制御工学を融合して、生理学、機械工学、システム工学、ひいては人間、機械の関係性を統一的に扱おうと打ち立てられた学問領域の話。数学者という立場ならではの細かい理論的な観点を生かしながら、細分化・専門化が進んでいく研究分野をかなり引いた目線に立ち戻り共通項を見出したり統一的な議論を展開する、視座・視点の柔軟さがすごい。扱う領域範囲的にも成熟させるにも広すぎるので、ストーリーや文章がやや散文的で整理されているようには感じなかったものの、原著第一版を書いたのが50代半ば、1948年。この時代にこの年齢でこれだけ幅広い学問領域にある程度精通し、かつ達観することのできる才能が計り知れないと思った。その後、現在目覚ましい発展を遂げる人工知能分野をはじめとした非線形現象を扱う領域、また社会科学の分野にも影響を与えたという。(個人的に研究分野・仕事的にもあまり多く触れてこなかった)非線形系の数式が相当数登場するので、式展開含めて追いきるのはかなり時間がかかると思う。
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13 開始:2023/4/20 終了:2023/5/7 感想 無機物と生命体の中心機構の類似点。数学的な分析が光を当てる。コンピュータはその発生から脳との類似点が存在している。人工知能の産声。
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図書館で借りた。岩波文庫を読んでみようシリーズ。 サイバネティックスとは、通信・制御を拡大・融合させ、機械はもちろん生物、コミュニケーション、心理学などと結びつけた学問。本書は第二次世界大戦中に執筆され、戦後すぐに発表されたもの。そんな時代だが、現代のコンピュータサイエンスはもち...
図書館で借りた。岩波文庫を読んでみようシリーズ。 サイバネティックスとは、通信・制御を拡大・融合させ、機械はもちろん生物、コミュニケーション、心理学などと結びつけた学問。本書は第二次世界大戦中に執筆され、戦後すぐに発表されたもの。そんな時代だが、現代のコンピュータサイエンスはもちろん、人工知能やバイオテクノロジー、などに繋がっているのが非常に興味深い。 個人的には情報理論はもちろん、フィードバック制御あたりも自分の研究分野に近いため面白かった。 細かいsection単位でのタイトルが無いのがこの本の特徴。序章で50頁以上あるし、「今何の話で、どう展開していくんだろう…」が分かりにくい。自分で再整理する必要があった。
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ウィーナー「サイバネティックス」読了。チューリングがそうであったようにウィーナーの場合においても戦時下砲弾の飛行進路を予測する演算機構の研究からフィードバック制御の原理やシステムが進展し、現在の非線形現象一般を解析する研究やAI等に対し重要な基盤となっている事が判り魅了された。
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本作のアップグレード版『人間機械論』がAIと人間の違い(機械にできなくて人間にだけできること)について論じられており今でも盛んにとりあげられる話題の先見として参考になる。
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20世紀の古典であり、現在の情報化社会に極めて強い影響を与えたウィーナーが1948年に発表したサイバネティクス理論の論文集。通信技術と制御技術を融合させ、システムの目的を達成するために通信技術によって得られた外界からの情報をフィードバックさせて制御技術に反映する、というサイバネテ...
20世紀の古典であり、現在の情報化社会に極めて強い影響を与えたウィーナーが1948年に発表したサイバネティクス理論の論文集。通信技術と制御技術を融合させ、システムの目的を達成するために通信技術によって得られた外界からの情報をフィードバックさせて制御技術に反映する、というサイバネティクスの基本理論が解説されている。 ウィーナー自身は数学、哲学、通信工学、動物学と極めて多彩な学識者であり、本書を読むとそうしたウィーナーの博識さがサイバネティクスという理論の誕生に欠かせなかったということが良く理解できる。 巻末には社会学者の大澤真幸が、社会学における「構造-機能分析」理論が、ほぼ時代を同じくして理論化されたサイバネティクスと強い類似性を示していることに着目し、20世紀の”エピステーメー(知の枠組)”としてサイバネティクスを位置づける論考が収められており、サイバネティクスを理解する一助となった。
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原典。すでにサイバネティクス的思想はコモディティ化して、改めて殊更扱われない。でも、再読のたびに、以前読んだ時点からの技術的到達点を確認できるし、応用分野の広さに感心する。
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原書名:CYBERNETICS:or control and communication in the animal and the machine,second edition 第1部 (ニュートンの時間とベルグソンの時間;群と統計力学;時系列、情報および通信;フィードバック...
原書名:CYBERNETICS:or control and communication in the animal and the machine,second edition 第1部 (ニュートンの時間とベルグソンの時間;群と統計力学;時系列、情報および通信;フィードバックと振動;計算機と神経系;ゲシュタルトと普遍的概念;サイバネティックスと精神病理学;情報、言語および社会) 第2部 (学習する機械、増殖する機械;脳波と自己組織系) 著者:ノーバート・ウィーナー(Wiener, Norbert, 1894-1964、アメリカ・ミズーリ州、数学) 訳者:池原止戈夫(1904-1984、大阪府、数学)、彌永昌吉(1906-2006、東京都、数学)、室賀三郎(1925-2009、情報通信学)、戸田巌(1934-、情報通信学)
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落合陽一さんの書評で読みたくなったが 前半の歴史的にこれを考えるのが必然なんだよ的な話は引き込まれたけど 本題がついていけなかった
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