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日本農業の真実 の商品レビュー

3.8

33件のお客様レビュー

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2018/12/22

愕然とした。自分があまりにも農業について知らなさ過ぎたことを。必要に迫られて読んだ本とはいえ、これほど衝撃を受けたことはない。 農業の振興は国の基盤だと頭では思っていても、自国の問題としてここまで考えたことはなかった。当たり前のように毎日白いご飯を食べていた自分を反省する気持ちに...

愕然とした。自分があまりにも農業について知らなさ過ぎたことを。必要に迫られて読んだ本とはいえ、これほど衝撃を受けたことはない。 農業の振興は国の基盤だと頭では思っていても、自国の問題としてここまで考えたことはなかった。当たり前のように毎日白いご飯を食べていた自分を反省する気持ちにもなった。 しかしながら、この本は決して農業政策の批判ばかりではない。タイトルにもあるように”日本農業の真実”が多角的な視点から書かれている。日本の農業の弱さもあるが、強さもしっかりと書かれており、国の明るい未来を考える指針になると思う。

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2018/11/13

食料・農業・農村政策審議会委員を勤めた農業の専門家による日本の農業の現実と将来性について述べたもの。実務に携わった専門家であり、農業の歴史と現状、有効な施策について現実的な提言がなされている。記述が緻密かつ正確で、日本の農業の置かれている立場と政策の善し悪しがよくわかった。極めて...

食料・農業・農村政策審議会委員を勤めた農業の専門家による日本の農業の現実と将来性について述べたもの。実務に携わった専門家であり、農業の歴史と現状、有効な施策について現実的な提言がなされている。記述が緻密かつ正確で、日本の農業の置かれている立場と政策の善し悪しがよくわかった。極めて貴重な研究書といえる。印象的な記述を記す。 「自然相手の農業にリスクはつきものだが、近年の日本の農業に関する限り、農政の迷走状態の方が深刻なリスクファクターである」p95 「いま必要なことは現実の農業に関する偏りのない理解の醸成であり、日本の農業にできること、できないことを見極める作業である」p98 「(いま求められるのは)数集落に1戸は、専業・準専業の農家が活躍し、その周囲には兼業農家や高齢農家などがそれぞれのパワーに相応しい農業を営むかたちである」p102 「日本では、10haの規模でベストの状態で稲作が実現している」p105 「なにがしかの支援のゲタを履くことなしに、日本のコメが国際市場で互角に戦うことはできない。不可能なのである」p147 「2007年農家1戸当たりの平均農地面積 米198ha、EU14ha、豪3024ha、日本1.8ha」p149 「半世紀の間、一人当たりのGDPは8倍に上昇した。農業の場合、土地生産性の劇的な変化がない限り(収穫量の顕著な増加は生じていない)、農地面積の拡大なしに他産業並みの所得を得ることは難しい」p151

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2018/11/05

ウルグアイ・ラウンド実質合意前夜から2010年民主党政権までの日本農政の歩みをトレースする。 →農政の中の人が、官僚的玉虫色かつ二転三転の農政をそのまま素直にトレースしてくれるので、経緯こそ丁寧に分かるが少し取り付きにくい所がある。新書だし、もう少し見取り図的な解説が充実していて...

ウルグアイ・ラウンド実質合意前夜から2010年民主党政権までの日本農政の歩みをトレースする。 →農政の中の人が、官僚的玉虫色かつ二転三転の農政をそのまま素直にトレースしてくれるので、経緯こそ丁寧に分かるが少し取り付きにくい所がある。新書だし、もう少し見取り図的な解説が充実していてもいいのに。 取り上げる政策は、コメの生産調整と「担い手」育成 →「農協の大罪」では農地に焦点が当たっていたのが印象的だったが、こちらは人に焦点を当てる(農地の議論も出てくるが)。 安全保障としては自給率もともかく、非常時の2000kcal/人・日の食料供給力が必要。これが危険水域に入っている。 筆者は、「担い手」については大規模化・効率化も結構だが多様な(?)担い手を認めるべしとの立場か。たしか「農協の大罪」ではこきおろされていた集団営農にも肯定的。ハッキリしないと言えばハッキリしない。とにかく高齢化には危機感。 戸別所得補償制度への評価  結局、小規模農家には雀の涙で、選挙向けの看板と実態の使い分け(後で担い手作りの側面はほとんど消失と述べているがどっちなんだ?)。  全国一律価格を基準にするのでやや競争促進的。 減反が農村にもたらした亀裂 4割休耕してもまだ生産過剰、そりゃ効率も悪くなる 2004年から個々の農家が生産調整の参加/不参加を選択できる制度(減反参加農家には財政による収益補填)へ一歩踏み出す。 2007年に元の一律減反へ戻る。農協・農林族の巻き返し。 (財政による収益補填は、農家はOKでも、流通金額の低下を補わないので農協的にバツ) 民主党政権で参加者メリット制にまた戻る。転作の切り離しも評価できる。 ・・・今後、たとえ選択的な生産調整により供給数量がコントロールできても、特定品目への補助は需給双方から市場に織り込まれて、価格の低下から財政負担増につながるだろう。→生産調整からのexitが可能かも考えるべき。 「活路を探る」 思い切った農地集積も現実的でなさそう。著者の主張は、農地制度運用の第3者チェックなど、できる範囲でという感じ。 著者は川下への進出というが、流通・外食なんてただでさえ過当競争の世界ですぜ。個別で見れば商品力を生かしてうまくやるところもあるだろうが、日本農業全体への処方箋たりえないと思う。 集約的農業での高付加価値商品のように部分的には輸出もできるが、コメなんかは国際的に競争できないという立場のよう。→アジア諸国の成長で変わるかも知れんが、だいぶ先。 最後に、EUがやっているくらいの農政のレベルはやんなきゃ、と。

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2021/08/08

冒頭、TPPについて触れられていたので、TPPをどう考えるべきか勉強しておきたかった自分にとって、興味深かったのだが、結局直接それに対する結論は書かれていなかったように思う。それは残念だったが、先に読んだ「日本の農林水産業」とは別の論点を提示しており、面白かった。「日本の農林水産...

冒頭、TPPについて触れられていたので、TPPをどう考えるべきか勉強しておきたかった自分にとって、興味深かったのだが、結局直接それに対する結論は書かれていなかったように思う。それは残念だったが、先に読んだ「日本の農林水産業」とは別の論点を提示しており、面白かった。「日本の農林水産業」では、農地の集約化が最重要課題としていたが、本書では、集約による「コストダウンの効果が現れるのは10ヘクタール程度までの規模で」あると、具体的なサイズに言及していたのは説得力があった。また、「農業の規模については、アメリカの農場並みの規模に到達することで、日本の農業の競争力も飛躍的に向上するといった議論もある。…筆者は日本の社会にとって農村のコミュニティを引き継ぐことが大切だと考えており、広い農村にぽつんぽつんと大規模経営が散在するようなビジョンには賛成できない。」とも主張しており、農村のコミュニティとしての機能に注目しているあたりが、机上の空論ではなく、現実感があって、これまた説得力がある。

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2017/08/26

本書が出版されたのが2011年3月で、東日本大震災までの農業についての考察である。ということは震災後には再度政権が交代し、農政に関して多少なりとも揺り戻しがあったはず(これに関しては今後勉強せねば)。農政のたどってきた歴史的背景と問題点は本書で十分に理解できる。筆者は国の審議会メ...

本書が出版されたのが2011年3月で、東日本大震災までの農業についての考察である。ということは震災後には再度政権が交代し、農政に関して多少なりとも揺り戻しがあったはず(これに関しては今後勉強せねば)。農政のたどってきた歴史的背景と問題点は本書で十分に理解できる。筆者は国の審議会メンバーになったことがあり、農業を学問としてだけではなく、行政の視点も含めた論考となっていることも好ましい。ただし将来の農業のあり方についての提言は少ないので、それは別の書籍で補うべきだろうな。

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2016/02/22

生源寺眞一『日本農業の真実』読了。 これは良書。元 農政立案者らしい文体で、これから農政に 携わる人に読んでほしい一冊。 「難航していたウルグアイ・ラウンドの着地点を作り出すことを狙ったのが、ECの農政改革にほかならない。交渉妥結後の1994年にウルグアイ・ラウンド対策費を決...

生源寺眞一『日本農業の真実』読了。 これは良書。元 農政立案者らしい文体で、これから農政に 携わる人に読んでほしい一冊。 「難航していたウルグアイ・ラウンドの着地点を作り出すことを狙ったのが、ECの農政改革にほかならない。交渉妥結後の1994年にウルグアイ・ラウンド対策費を決定した日本とは対照的である。しかも、6兆100億円の対策費が農業の強化に有効に使われたとは言いがたい。戦略的で能動的な制度設計、これがEUの姿勢から学ぶべき第1の教訓である」 この通りで、突如として農産物の輸出を増やそう、なんて言ってる時点で、日本農政は政策にあらず、といった感じ。 惜しいのは民主党政権下に書かれてること。 とはいえ、現状の農政を理解するには最適の入門書。

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2015/11/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歴史的な経緯を踏まえてファクトを知るのに良い本です。 記憶に留めておきたいファクトを記しておきます。 ・生産額自給率はカロリー自給率ほど低くない。 ・80年代後半まで生産は拡大していた。 ・畜産物・油脂類の消費拡大が自給率低下に繋がった。 ・販売農家:農産物年間販売額50万円以上、又は農地面積30a以上 ・生産物の出荷が皆無/少額の自給的農家が、総数約250万戸の36%。 ・稲作農家総数約140万戸の73%が作付面積1ha未満。 ・国内の稲作のコストダウン効果は10ha程度まで。 ・最終消費された飲食費のうち農業水産業に帰属した価値は19%に過ぎない。

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2014/12/08

一時期民主党が政治主導なる理念を掲げ、政策決定のプロセスを大きく転換したことがあったが、本書を読むとなぜそれが失敗に終わったのかが良く分かる。政策と言うのは専門的な視点から継続性を以て立案されるべきもので、政治家のポピュリズムや単なる不勉強による気まぐれに左右されるべきではない。...

一時期民主党が政治主導なる理念を掲げ、政策決定のプロセスを大きく転換したことがあったが、本書を読むとなぜそれが失敗に終わったのかが良く分かる。政策と言うのは専門的な視点から継続性を以て立案されるべきもので、政治家のポピュリズムや単なる不勉強による気まぐれに左右されるべきではない。政治家の役割は利害調整に徹するべきだ。 それはさておき、本書の主題は実に明快である。食料自給率はあまり意味のない指標で、その低下は食生活の変化によるところが大きいこと。むしろ非常時に国民が等しく最低摂取カロリー(2000K)を確保できるような国産生産力を確保すべきであること。一律の所得保証でなく、農業の主要な担い手に土地と補助金が行き渡るようにすべきこと。加工にも目を向け、いわゆる6次化を目指すこと。どれも正論である。

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2014/11/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] わが国の農業は正念場を迎えている。 農業者の高齢化、減反問題、農産物貿易の自由化など、難問が山積している。 こうした状況下で大切なのは、情動やイデオロギーに流されることなく、冷静かつ現実的に食と農の問題を考えることだろう。 本書では、日本農業の強さと弱さの両面を直視し、国民に支えられる農業と農村のビジョンを提案する。 農地制度や農協問題など、農業発展のブレーキと指摘されている論点にも言及しながら、農業経済と農業政策の第一人者が近未来の日本農業を描き出す。 [ 目次 ] 第1章 逆走・迷走の農政 第2章 食料自給率で読み解く日本の食と農 第3章 誰が支える日本の農業 第4章 どうするコメの生産調整 第5章 日本農業の活路を探る 第6章 混迷の農政を超えて [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2018/10/31

日本の農業が抱える問題点を概観できる。10ヘクタールまでは作付面積を増やせば平均費用を減らすことができるにもかかわらず、販売水田農家の73%が1ヘクタール未満しかない。作付面積が3ヘクタール未満では、農業所得が農業外所得より低い。1時間あたりの農業収入が1000円を超えているのは...

日本の農業が抱える問題点を概観できる。10ヘクタールまでは作付面積を増やせば平均費用を減らすことができるにもかかわらず、販売水田農家の73%が1ヘクタール未満しかない。作付面積が3ヘクタール未満では、農業所得が農業外所得より低い。1時間あたりの農業収入が1000円を超えているのは、養豚、北海道の水田作と畑作のみ。これでは、農業の担い手が減り続けるのは当然だろう。 米の価格と流通は2004年に自由化されたが、生産調整は40年間も続いている。食料確保のための政策は必要だが、生産者の創意工夫を活かし、意欲を高めることができる政策への足取りが遅い。政治が機能していないというか、選挙対策や政権争いによって混乱させられている。2007年の参院選の大敗を受けて、自民党の農林族議員は、米価を維持するために備蓄制度を利用することを主導した。これによって、生産調整に参加する農家より参加しない農家の方が有利という不公平な状況になった。 この本を読んで改めて感じたのは、農業の問題を考えると、農政だけでなく政治そのものの問題まで考えなければならないということ。うんざりしてしまう。 ・農産物全体の生産量を示すラスパイレス指数は、1980年代後半までは上昇していた。人口はほぼ同じペースで増加しているので、食料自給率が低下し続けているのは、1人当たりの消費量が増えたため。1990年代以降は生産量も減少している。 ・1955〜2005年の50年間に、肉類は9倍、牛乳・乳製品は7.6倍、果実は3.5倍、魚介類は1.3倍に増加し、米は0.55倍、イモ類は0.45倍に減少した。 ・1960〜2009年に、養豚農家は100分の1以下になったが、1経営あたり頭数は600倍になった。酪農農家は20分の1近くになったが、1経営あたり頭数は30倍に増えている。 ・1時間あたりの農業収入が1000円を超えているのは、養豚、北海道の水田作と畑作のみ。 ・食料供給力を確保することを目的に、カロリー供給力が最大となる農業生産を行った場合の試算結果は、イモ類を増やして畜産物などを減らす場合に、1日1人当たり1890〜2030カロリーとなる。 ・2007〜08年の食料価格高騰の中で、最大時には12か国が米や小麦の輸出を禁止した。 ・自給的農家を除く水田作農家の作付け面積は、73%が1ヘクタール未満で、0.5ヘクタール未満は42%。作付面積が3ヘクタール未満では、農業所得が農業外所得より低い。 ・稲の作付け面積と平均費用との関係を調べると、生産量あたりの費用が低下するのは10ヘクタールまで。 ・米の消費量は1962年をピークに減少し始め、1967〜68年に連続豊作となって在庫が積みあがったため、1969年から生産調整が始まった。現在は、水田の4割に当たる100万ヘクタール以上が生産調整の対象となっている。 ・1980年代末には自主流通米が全体の5割を超え、ヤミ米も消費量の2割以上に達した。1995年に食糧法を施行して食管法を廃止し、政府が管理する米は備蓄米とミニマムアクセス米のみとなった。2004年に食糧法を改正して、米の流通と価格を完全自由化した。生産調整は、減反面積の配分から米の生産目標の配分に変更し、産地ごとの目標に対して消費者の需要を反映させた。道府県で4ヘクタール以上、北海道で10ヘクタール以上の経営者に対して、米価が下落した場合の補填措置を手厚くした。

Posted byブクログ