夜の写本師 の商品レビュー
登場人物、世界観、しっかりと作り上げられた作品でした。もっと早く手に取っていれば良かったと後悔するほど。古き良き時代のファンタジー小説の心が受け継がれています。読後感も良し。
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この世界に満ちる力はなんだろう。言葉を借りるなら、月と闇と海と、鋭く円やかな、矛盾する二面性を持つもので世界は構築されている。沈んで泳ぐように、惹き付ける引力。孤独でいとおしい、ある意味とても純粋で無垢な愛の物語だと思う。
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ラノベが一世を風靡する前の、幻想文学の流れを引くような正統派ファンタジー。千年分の男と女のしがらみを一身に背負った少年が主人公だが、そんなにドロドロとはしていなくて、むしろあっけなさすぎるくらい淡々と話は進む。シリーズ化しているので気になった伏線の回収はそちらにあるのだと思う。
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風景の描写だとか、国や魔術や写本師に関しての設定などは非常に面白かったけど 少し文体が自分に合わないのか読みにくかったなと。 好みの問題程度の話だけども。
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“正義感”ではなく“恨み・復讐心”が悪を倒すというところが一風変わっていて、容易に倒せず容赦ない悲惨な描写がシビア。千年を股にかけてのスケールの大きな復讐劇は読み応えたっぷり(読みにくさ・分かりにくさは多少あった)。 でも悪役魔道士アンジストを突き動かしていた理由というのが思った...
“正義感”ではなく“恨み・復讐心”が悪を倒すというところが一風変わっていて、容易に倒せず容赦ない悲惨な描写がシビア。千年を股にかけてのスケールの大きな復讐劇は読み応えたっぷり(読みにくさ・分かりにくさは多少あった)。 でも悪役魔道士アンジストを突き動かしていた理由というのが思ったより意外性とインパクトがなかったなぁ。 エンディングは綺麗でよし。
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これ21世紀に書かれた本なの⁈(…褒めてますむしろ絶賛です)…この濃厚な匂い立つような古き良き古典ファンタジーの世界観が素晴らしい。寝る間を惜しんで一気読みでした。 300pちょっとの枚数でこれだけのものを描き切るのもすごい。必要なものを必要なだけ描いたコンパクトさの中に、読み返...
これ21世紀に書かれた本なの⁈(…褒めてますむしろ絶賛です)…この濃厚な匂い立つような古き良き古典ファンタジーの世界観が素晴らしい。寝る間を惜しんで一気読みでした。 300pちょっとの枚数でこれだけのものを描き切るのもすごい。必要なものを必要なだけ描いたコンパクトさの中に、読み返してみればきっちりと伏線が詰め込まれている。そして循環している。つまり登場人物達と作者の目線の適正な距離感が、ものがたりを読む(聞く)というスタンスを読み手に与えているのだと思う。それはまさしくものがたりを編む者が語るものがたりであり、読み手はその行く先に聞き入る(読み進める)ばかりなのだ。 文庫化なんか待たずにさっさと読んでおけば良かったorz…とんでもないストーリーテラーだ。他のものも読みます。
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丁寧に描写された幻想世界と人々の存在感に圧倒。写本師が悪の魔導師に挑む、という物語も、個性的で良かった。ライトノベルのように気楽に読む本ではないが、ずっぽりファンタジー世界にはまりたい人にはお勧め。
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びっくりするくらい本格ファンタジーでした。 日本にもこういう人が現れたのね、と驚く。 ・・・というのは、大人向けだから。 上橋菜穂子も荻原規子も「児童書」発信だもんね。 こういう大人向けのファンタジー、しかも「本格」は、 ありそうでなかったかもなあ。 ラノベレーベルのファン...
びっくりするくらい本格ファンタジーでした。 日本にもこういう人が現れたのね、と驚く。 ・・・というのは、大人向けだから。 上橋菜穂子も荻原規子も「児童書」発信だもんね。 こういう大人向けのファンタジー、しかも「本格」は、 ありそうでなかったかもなあ。 ラノベレーベルのファンタジーは、 面白いのもあるけど やはり「子ども向け」「マンガ・テイスト」だし、 新書判の大人向けファンタジーレーベルのは、 たまに大当たりがあるけど、 大概はラノベの路線上にある気がする。 これは全然違う。 全編を覆うダークな感じは児童書では味わえない。 大人でよかった♪ あ、でも中学2・3年くらいなら、読める子がいると思うな。 というか、「ダーク」な要素は、 中学生くらいの子が一番必要としているのかもしれない。 この本は、ダークな世界をかいくぐって、 ちゃんとまっとうな穏やかな世界に戻ってくる話でした。 気になって、読みたいなあ、と思って 今年の始め頃調べた時には図書館になかったのに、 先月調べたら、地元にあった。ラッキ~♪ 中学生って、ダークな世界に憧れるんだよね。 そう言えば、 わたしがC・L・ムーアにはまったのって、中学時代だったっけ。 この本は、C・L・ムーアより本格派でまっすぐだから、 学校図書館にも入れていいと思うけど、どうかな。 ジェンダーの扱いが 「女性を抑圧する権威(ラスボス)」に対抗するという枠組みで、 物語の最後は、単なる対抗を越えて救いを求める話で、 それはそれで面白かったんだけど、 そういうジェンダーのとらえ方が、 たとえば「ハガレン」とかと読み比べると、 もう古いのかな、とかちょっと思った。 そう考えると、 作者さんは、わたしと同年代か 若くても40代くらい。。。違うかな?(^-^;)
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- ネタバレ
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うーん、面白かったなあ。ちょっとキャラクターが多すぎるとか、話が突然飛ぶとか、単なる比喩表現なのか実際に魔法でそういう状況になっているのか、一瞬戸惑う書き方があるとか、分かりにくいところはあったんだけど、全体的には良作だった。 登場人物を俯瞰するような書き方で感情移入はしにくいけれど、この作品はこれでいいのだと思う。むしろ、キャラ重視で世界観がウスい和製ファンタジーに慣れすぎてたなあと反省した。 個人的には前世からの因縁よりも、エイリャとフィンを殺された現世のカリュドウにもっと重心を置いてほしかった。 あと終始緊張し通しだったので、緩急がもうちょっとあったら、ここぞという場面の感動がもっと増幅されたかも。 ハードカバーがよかったなあ。ソフトカバーでは支えきれない物語じゃないかな。そうすると価格が上がって売れないんだろうけど……。
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久しぶりにこの手のファンタジーを読んだ。 シリーズ物みたいなので、この世界を忘れないうちに次作を読んでみたい。 最後あたりは、もう少し「写本師」の本領が出る部分があれば気持ちよく感じたのになぁ・・と思う。
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