ニッポンの書評 の商品レビュー
ブクログには登録して、まだ1年と少しです。 ブクログはブックレビューサイトですが、私は自分の書いているものがまるで書評とは思えず、読書感想文ですらなく、こんな文章人目にさらしていいものかと、思いつつ、でも投稿はやめられずでした。 それで、書評とは何かとか、書き方を教えてくれる本は...
ブクログには登録して、まだ1年と少しです。 ブクログはブックレビューサイトですが、私は自分の書いているものがまるで書評とは思えず、読書感想文ですらなく、こんな文章人目にさらしていいものかと、思いつつ、でも投稿はやめられずでした。 それで、書評とは何かとか、書き方を教えてくれる本はないかと探していたら、この本をみつけました。 この本の著者の豊崎由美さんはブックレビューの仕事を中心に、池袋コミュニティ・カレッジ(西武)で実践的な書評講座も開講されているそうです。 という訳で、この本は私にとって大変良書で、読んでおいてよかった本です。 書評と批評の違いから始まって、どういう書評が、いい書評であるか。「ネタばらし」はどこまで許されるのか。書評の読み比べ。プロの書評と感想文の違い。新聞書評を採点してみる。など、気になる項目でいっぱいでした。 その中で、アマチュアのブックレビューに対する言及や「自分で知って驚いたり泣いたり考えたりする権利を奪うというペンの暴力」ということばは、少なからずショックでした。 心して気を付けようと思いました。 文中にでてくる丸谷才一さん編集のイギリスの書評を厳選収録したという『ロンドンで本を読む』は読んでみたいと思いました。 巻末の大澤聡さんとの対談で、豊崎さんが「畏れ多いにもほどがあるけれど、映画で言うと淀川長治さんみたいな書評家になりたい」とおっしゃっておられます。 私は、ブクログでも淀川さんのような書評を書かれていらっしゃる方多いと思っています。 私は全くダメだと思いますが、アマチュアの書評でも、本に対する愛情でいっぱいの方、もうこれは「いいね!」しなくちゃと毎回思う方、たくさんいらっしゃいます。せめて、そういう時は、すかさず「いいね!」をしますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
Posted by
第1講 大八車(小説)を押すことが書評家の役目 第2講 粗筋紹介も立派な書評 第3講 書評の「読み物」としての面白さ 第4講 書評の文字数 第5講 日本と海外、書評の違い 第6講 「ネタばらし」はどこまで許されるのか 第7講 「ネタばらし」問題日本篇 第8講 書評の読み比べ―その...
第1講 大八車(小説)を押すことが書評家の役目 第2講 粗筋紹介も立派な書評 第3講 書評の「読み物」としての面白さ 第4講 書評の文字数 第5講 日本と海外、書評の違い 第6講 「ネタばらし」はどこまで許されるのか 第7講 「ネタばらし」問題日本篇 第8講 書評の読み比べ―その人にしか書けない書評とは 第9講 「援用」は両刃の剣―『聖家族』評読み比べ 第10講 プロの書評と感想文の違い Amazonのカスタマーレビュー 新聞書評を採点してみる 『IQ84』一・二巻の書評読み比べ 引き続き、『IQ84』の書評をめぐって トヨザキ流書評の書き方 対談 ガラパゴス的ニッポンの書評―その来歴と行方 著者:豊崎由美(1961-、愛知県、フリーライター) 対談:大澤聡(1978-、評論家)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
まずははじめに。 書評を扱う本の少なさからしてこの様な本を出版された豊崎由美さんに感謝。 私はただの読書好きでありますが、最近は本をどう自分の言葉で紡ぐか、考える為に書評を読んでいます。 この著書の中では様々な書評が掲載されています。それを著書が好い悪いと評するのですが、その切り口を好きと思うか、そうでないか、それがこの本、ひいては著書を好きになれるかの決め手になります。 ※引用がかなり多いので、その点は致した方ないですが…。もっと著書ご自身の書評が読みたいのが本音です。 最後に、対談のコーナーがあるのですが、これが大変おもしろく、これからのニッポンの書評を真面目に論じています。 ここだけでも読む価値があるかなと感じています。
Posted by
Amazonが書評欄を設けて、約18年、最初期の参加者だった私は、著者の言う「厖大な数にのぼる書評系ブログ」のひとつを運営している。そういう素人書評家とプロとの差は何か。書評と批評の違い。或いは、ネタバレ問題をどう考えるか?幾つかの興味深い問題を考える契機(キッカケ)として本書を...
Amazonが書評欄を設けて、約18年、最初期の参加者だった私は、著者の言う「厖大な数にのぼる書評系ブログ」のひとつを運営している。そういう素人書評家とプロとの差は何か。書評と批評の違い。或いは、ネタバレ問題をどう考えるか?幾つかの興味深い問題を考える契機(キッカケ)として本書を選んだ。 先ずは、著者と私の「違い」と「似たところ」を確認する。 違い。著者は書評で生計を得るプロである。私は素人で、将来これで生計を得る野望はない。よって、書評と批評を厳密に区別する必要性を、私は感じない。即ち、書評として「素晴らしい本を出来るだけ多くの読者に紹介する」前に、批評として「読後感想」を書きたい場合がしばしばあるのだ。また、時にはその反対の衝動もある。私のブログ読者に、今日はコレと明示していません。どちらに傾いても、面白い文を書きたい、と言うのが私の立場。小説の書評ではできるだけ避けた方がいいネタバレがあると、私は滅多に断って書いていない。でも、ここまでのネタバレなら許される、と私は自分の中で基準を設けて書いている。「ネタバレあるので、不快だ」という苦情は今の所ない。もちろん読者が少ないから少ない可能性は大きいが、面白そうだから読んでみたくなる批評も幾つかはあるはずだと自負している。 では、どうすれば「面白くなる」のか。ここで展開されている幾つかの柔軟な書評は、私もしたことがあったり、したかったことだったので、我が意を得たりとも思う。 「ネタばらし問題」。とりあえずホッとしたのは、豊崎氏の「許せる範囲」にどうやら私は何とか滑り込んでいるのでは無いか?と思ったことだ。どうなんでしょう。(高橋源一郎氏のあのネタバレを許しているのならば、私は大丈夫)。氏はネタバレ厳禁は小説に限っているので、学術書を延々引用している私はOKだと判断出来そうだ。 大きな問題は、「Amazonレビュー問題」である。誠実な批判はOKだが、誹謗は良くない。と豊崎氏は言う。そして、レビュアーは守られている、と豊崎氏は詰(なじ)る。総論賛成。各論異論だ。しかし、既にこの時点で800字を越えた私のレビューで、各論を展開すると、全体のバランスが悪くなる。だけでなく、Amazonに投稿出来なくなる。最近は800字以上でも受けつけられるが、出来るだけ避けた方がいいだろう(←レビュアーはこの点でも「徹底的に」書けないんですよ、豊崎さん。プロ書評家は短文で書評も書いているが、他の場所で、例えば「こんな本」で書き足りない所を補うことができる。けれども素人は一回一回の短文で全てを出さなくてはいけない。だから素人には「ハンディ」があると私は思っている)。 ここまで書いて、この書評破棄したくなった。私の主張が間違っていると思っているわけではなく、「とっちらかって」面白くないからである。まあ、こんな時もある。これが素人の書評です。(ここまでで、約1200字です) 2018年12月読了
Posted by
ネット上に、たくさんの書籍の感想を参照できる今、著者の講義するコミュニティ・カレッジを受講したいとも思ってしまいます。素人とプロの違いを具体的に指摘してくれたり、業界人への気配りなどどこ吹く風、有名な文筆家を俎上にあげ料理する手際の良さに、爽快なものを感じました。書評をめぐる全...
ネット上に、たくさんの書籍の感想を参照できる今、著者の講義するコミュニティ・カレッジを受講したいとも思ってしまいます。素人とプロの違いを具体的に指摘してくれたり、業界人への気配りなどどこ吹く風、有名な文筆家を俎上にあげ料理する手際の良さに、爽快なものを感じました。書評をめぐる全体を、ほぼ見渡せると思います。
Posted by
『文学賞ぶった斬り!』で有名なブックレビュアー、豊崎由美さんが日本、そして海外の書評について書いた新書。 ブクログで「感想」を書き始めた頃にその気になって買ってしまった。 読んだ感想は「うう、ごめんなさい、ごめんなさい、こんな×××レビューばかりかいてごめんなさい社長!」とい...
『文学賞ぶった斬り!』で有名なブックレビュアー、豊崎由美さんが日本、そして海外の書評について書いた新書。 ブクログで「感想」を書き始めた頃にその気になって買ってしまった。 読んだ感想は「うう、ごめんなさい、ごめんなさい、こんな×××レビューばかりかいてごめんなさい社長!」というものでした。 豊崎さんが思う上手い書評、上手くない書評には納得。 特にネタバレはいかんでしょう!って自分もやってるかもですが。 特にネットの匿名素人レビュアーさんについての苦言には耳が痛い。 「あなたたちは守られているけど批評された作家さんたちは逃げも隠れもできないんだよ」 表に出てる目立った人をサンドバックにするようなことは書かないように「書ける範囲で愛情を持って」書こうと思った。 絲山秋子『ばかもの』 カズオ・イシグロ『日の名残り』 ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』 村上春樹『1Q84』 のネタバレがあります。
Posted by
『優れた書評とはどういうものか?』 『書評として存在するために、何を備えておくべきか?』を説く。 以下は本書から抜き取った著者が考える書評の定義。列挙し、通読すると、一種の箴言としても成立している。 ◎面白い書評はあっても、正しい書評なんてない。 ◎いくら自分の“読み”の深...
『優れた書評とはどういうものか?』 『書評として存在するために、何を備えておくべきか?』を説く。 以下は本書から抜き取った著者が考える書評の定義。列挙し、通読すると、一種の箴言としても成立している。 ◎面白い書評はあっても、正しい書評なんてない。 ◎いくら自分の“読み”の深さを誇示したくても、それが作品のネタばらしにあたる箇所と関係があるのなら、断念せざるを得ない。 ◎書評にとって、まず優先されるべきは読者にとっての読書の快感であり、その効果を狙って書いたであろう作者の意図なのです。 ◎与えられている字数が少ない、締切まで間がない、ネタばらしが許されない、書評はずいぶんと窮屈な文芸ジャンルです。 ◎書評、つまり長さなんて問題ではないのです。問われるべきは密度なのです、深さなのです。制約の多い書評だからこそ発揮できる芸もある。 ◎粗筋と引用だけで成立していて、自分の読解をまったく書かない原稿があったとしても、その内容と方法と文章が見事でありさえすれば、立派な書評だと考えている。 ◎削りに削った末に残った粗筋と引用。それは立派な批評です。逆に言えばその彫刻を経ていない粗筋紹介なぞウンコです。 ◎自分の知識や頭の良さをひけらかすために、対象書籍を利用するような「オレ様」書評は品性下劣。 ◎贈与としての書評は読者の信頼を失うので自殺行為。 ◎書評は読者に向かって書かなければならない。 ◎書評と言うのは、まず何より取り上げた本の魅力を伝える文章であって欲しい。読者が「この本読んでみたい」という気持ちにさせられる内容で あって欲しい。 ◎レビュアーはこれからその本を読む人の読書の興を削いではならない。勘所を明かさないで、その本の魅力を伝えるのがレビュアーの芸である。 ◎プロの書評には「背景」があるということです。本を読む度に蓄積してきた知識や語彙や物語のパターン認識、個々の本が持っている様々な要素他の本と関連づけ、いわば本の星座のようなものを作り上げる力。 僕が一番腑に落ちたのは、最後の定義。 <書評家の真贋は、『背景』があるかどうか。> 書評家はその背景を武器にこの本がいかに面白いかを訴える。これは、出版・広告と言った表現に関わる仕事はもちろんのこと、営業職も然り。要するに常にアウトプット作業を求められるすべての者が持っていなければならないものである。ひとつのことを訴えるには、複数の知識をもってのアプローチが求められる。換言すれば「知識を有さない、知識を関連づけられない者は、その任についてはいけない」ということですな。良質なアウトプットは豊富なインプットから成る。 という結論めいたものを引き出してみた。はたして、このワタシのブックレビューを読まれて、本書を是非読みたいと思ってもらえたかどうか・・・。それを知りたいような知りたくないような。
Posted by
実は再読なんですが、読んだのがまだこのブログを始める前で、恐らく5年以上は経っているかも。だからという訳ではないけど、内容はあらかた忘れていました(寧ろ記憶力の問題)。前回のときは、書物の中で新書の占める位置もろくに知らなかったし、活字を読む機会も今より圧倒的に少なかったし、まし...
実は再読なんですが、読んだのがまだこのブログを始める前で、恐らく5年以上は経っているかも。だからという訳ではないけど、内容はあらかた忘れていました(寧ろ記憶力の問題)。前回のときは、書物の中で新書の占める位置もろくに知らなかったし、活字を読む機会も今より圧倒的に少なかったし、まして書評を積極的に読む習慣もなかったから、今回とは随分違った感想を持ったと思うし、書かれている内容もあまり理解出来ていなかった気がする(今回でも完全に把握し切れた訳ではないだろうし)。読んでいて心苦しかったのは、自分がこのブログの中で結構好き放題書いてしまっていることだけど、書評っていうつもりは更々なくて、あくまで個人的読書録のつもりですので(って、誰に対する言い訳か分からんけど)。それはさておき、人に紹介するときに心掛ける点とか書き方とか、あとやっちゃいけないこととか、そのあたりに関する学びは多かったです。あと、この先しばらくはここでの採点も甘くなると思います(笑)
Posted by
読書会で知り合った人の紹介で読んでみた。今はなき「本が好き!」という雑誌の連載を再編集したもの。前半は著者の考える理想的な書評についての雑感を中心に、後半は著者自身が書評を書くときに心がけていることを中心に述べている。著者のアマゾンレビューやネタバレに対する考え方など、あまり共感...
読書会で知り合った人の紹介で読んでみた。今はなき「本が好き!」という雑誌の連載を再編集したもの。前半は著者の考える理想的な書評についての雑感を中心に、後半は著者自身が書評を書くときに心がけていることを中心に述べている。著者のアマゾンレビューやネタバレに対する考え方など、あまり共感できない部分が多かった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
書評とはーよく見るけど、自分の中に定義が無かった。 書評と感想文の違い、書評と批評との違い、かなりスッキリ教えてもらえる。 また、トヨザキさんの本に対する愛情もヒシヒシ伝わってくる。 読んでて楽しい。
Posted by