ワーカーズ・ダイジェスト の商品レビュー
津村さんの文章は好き。本当の意味で等身大で無理がなくて違和感がなくて背伸びもなくてありえない展開もない。同年代で妙に共感できるところがあって自然と物語に入っていける。このお話しも、30代になって仕事にも慣れてある程度の責任感はあって適度に抜ける技も身につけて自分の限界というか実際...
津村さんの文章は好き。本当の意味で等身大で無理がなくて違和感がなくて背伸びもなくてありえない展開もない。同年代で妙に共感できるところがあって自然と物語に入っていける。このお話しも、30代になって仕事にも慣れてある程度の責任感はあって適度に抜ける技も身につけて自分の限界というか実際的な将来も見えてきて、そういうモノが透けて見えて身に染みて実感できる。でも小説だから、現実にもあるかもしれない「もしかしたら・・・」って小さく淡い期待があって。読後感は良い。
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芥川賞作家である津村記久子さんの最新作「ワーカーズ・ダイジェスト」。表題作「ワーカーズ・ダイジェスト」と「オノウエさんの不在」の2作が収録されています。 「ワーカーズ・ダイジェスト」は、偶然出会った年齢も、苗字も、誕生日まで同じ2人の物語。いかにもありそうな職場の物語です。ただ...
芥川賞作家である津村記久子さんの最新作「ワーカーズ・ダイジェスト」。表題作「ワーカーズ・ダイジェスト」と「オノウエさんの不在」の2作が収録されています。 「ワーカーズ・ダイジェスト」は、偶然出会った年齢も、苗字も、誕生日まで同じ2人の物語。いかにもありそうな職場の物語です。ただ、2人の聞いきた音楽や観てきた映画にジェネレーションギャップを感じてしまい、もう一つ感情移入ができません。 一方、「オノウエさんの不在」には何となく自分の経験や思いがダブってきます。 “「こんなクソみたいな会社で働いているおれがクソに思えます」 「食うために働くだけだ。おまえみたいに戦う必要なんてない。べつにあいつらに認められたいなんて思わないだろ。許されたいなんて」” 登場してこないオノウエさんや主人公のサカマキくんにいつのまにか自分を重ねています。そして、何となく頑張ろうとという気にさせられています。
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苗字が同じ、生年月日も同じ。 ふとしたことで知り合った男女の、恋愛ではない関わり方。 32歳になると、いろいろと気になることが増えるみたいで、 小さなもやもやを抱えながら生きていく主人公たちが、 ゆるやかに描かれていた。 気張らずに読めます。 「あぁ、みんな大変なんだ」と、ち...
苗字が同じ、生年月日も同じ。 ふとしたことで知り合った男女の、恋愛ではない関わり方。 32歳になると、いろいろと気になることが増えるみたいで、 小さなもやもやを抱えながら生きていく主人公たちが、 ゆるやかに描かれていた。 気張らずに読めます。 「あぁ、みんな大変なんだ」と、ちょっと元気が出ます。
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「基本的には社員は会社の持ち物だ。給料を払う限りは、懐に集めて頭数を揃えていたい。使わなくても、並んでいるだけで、満足できて意義がある。社員とは、どんなに冴えない色でも欠けていると途端に持ち主の機嫌を損なう色鉛筆のようなものだと重信は思う。」 この文章にぐっと来た。 著者は...
「基本的には社員は会社の持ち物だ。給料を払う限りは、懐に集めて頭数を揃えていたい。使わなくても、並んでいるだけで、満足できて意義がある。社員とは、どんなに冴えない色でも欠けていると途端に持ち主の機嫌を損なう色鉛筆のようなものだと重信は思う。」 この文章にぐっと来た。 著者は描く男性には、わりと好感が持てる。
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津村さんのお仕事小説は基本どれも好き。現実感、乾き切った目線、一方で何かを許せないと感じてしまうこだわりとか熱。 働く女性を、きちんとサラリーマンとして描くところも好き。ゆるふわモテOLの恋愛話とか、バリキャリの成功ストーリーとか、自己表現系フリーランスの自分探し話とかじゃなくて...
津村さんのお仕事小説は基本どれも好き。現実感、乾き切った目線、一方で何かを許せないと感じてしまうこだわりとか熱。 働く女性を、きちんとサラリーマンとして描くところも好き。ゆるふわモテOLの恋愛話とか、バリキャリの成功ストーリーとか、自己表現系フリーランスの自分探し話とかじゃなくて、家賃、光熱費払って、ご飯食べて、たまに好きなCD買うために働いているんだけど、別に仕事を舐めきって適当にやるでなく、自分なりの誠実さと、適度な一生懸命さと、何かの想いをもってもがく感じがいい。 読み終わると励まされたような気になる。
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同じ苗字、同じ誕生日の男女の働く日常を描いた作品。 芥川賞らしい、というかなんというか抑揚の少ない独特の冷めた空気を感じた。主人公の2人が非常に自分を客観視しているような書き方。そのせいか、描かれている日常はすごくリアルなのに感情移入しにくい。もっと主観的な文章があれば入り込め...
同じ苗字、同じ誕生日の男女の働く日常を描いた作品。 芥川賞らしい、というかなんというか抑揚の少ない独特の冷めた空気を感じた。主人公の2人が非常に自分を客観視しているような書き方。そのせいか、描かれている日常はすごくリアルなのに感情移入しにくい。もっと主観的な文章があれば入り込めたかも。
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社会人必読の煽りに惹かれて購入。読んでる途中で『アレグリアとは〜』と同じ作者の作品と気付く。気付いてみれば確かにアレグリア同様、あまりにリアルな会社員事情と明るすぎない暗すぎないちょっと歪みテイスト。この作風、個人的には結構好きです。 内容は、偶然仕事で出会った、30代の同じ名字...
社会人必読の煽りに惹かれて購入。読んでる途中で『アレグリアとは〜』と同じ作者の作品と気付く。気付いてみれば確かにアレグリア同様、あまりにリアルな会社員事情と明るすぎない暗すぎないちょっと歪みテイスト。この作風、個人的には結構好きです。 内容は、偶然仕事で出会った、30代の同じ名字、同じ生年月日の男女二人の職場を中心とした話。 ちっとも甘くないのに、読み終わったらほっこりします。 男性の趣味(?)がラジオ語学講座のドイツ語とスペイン語なのも個人的にはニヤリポイント。例文のチョイスに笑いました。
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表題作は、働くアラサー男女二人を主人公にしたお仕事系小説で大阪が舞台。本来なら接点のないはずの独身男女が、仕事の打ち合わせで出会ったことから始まる物語。おまけに二人の苗字は共に「佐藤」で、なおかつ生年月日も全く一緒の1月4日という偶然。普通の小説なら、あらこれは奇遇ですねと言い合...
表題作は、働くアラサー男女二人を主人公にしたお仕事系小説で大阪が舞台。本来なら接点のないはずの独身男女が、仕事の打ち合わせで出会ったことから始まる物語。おまけに二人の苗字は共に「佐藤」で、なおかつ生年月日も全く一緒の1月4日という偶然。普通の小説なら、あらこれは奇遇ですねと言い合い、すぐに交際へと発展しそうなものだけれど、そうはいかないのが津村流。 たっぷりと、仕事の悩みや職場での人間関係を男女それぞれの立場から語ってくれる。いったい、いつになったらドラマは始まるのかと思うのだが、これ自体が主題なのでちっとも変化はないのだ。何しろ「ワーカーズ・ダイジェスト」だから、、、もちろん、ちゃんと2年後のオチはある。
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大阪の風景、何気ない日常、疲れた日々、そんなありふれた32才は(主人公二人の名前まで佐藤さん)そこそこの幸せを夢見ている、、、共感できるところがてんこもり。そして、食べ物が美味しそうだ。
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やっぱ、この人の本は面白い!! と、通勤電車の中でしみじみ感じていると 自分がもの凄く疲れたOLさんのようではないか。
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