小夜しぐれ の商品レビュー
シリーズ五作目。全十巻の折り返し地点となる本巻は基本一話完結型の前巻までとは若干異なり、各編が徐々に繋がりを見せる新展開。美緒の恋路がまさかの急展開にて決着し、おつるの過去と種市の因縁にも一応の決着が付き、澪には翁屋絡みでの出店話が持ち上がり、物語は大きく動き出しそうな様相を呈す...
シリーズ五作目。全十巻の折り返し地点となる本巻は基本一話完結型の前巻までとは若干異なり、各編が徐々に繋がりを見せる新展開。美緒の恋路がまさかの急展開にて決着し、おつるの過去と種市の因縁にも一応の決着が付き、澪には翁屋絡みでの出店話が持ち上がり、物語は大きく動き出しそうな様相を呈する。こうなると、新生つる家編はそろそろ一区切りだろうか。四編目「嘉祥」はシリーズ初の小松原視点で紡がれるスピンオフ的一編。普段は飄々とした男の密やかな純情に思わず『分かる、分かるぞー!』と同意したくなるのが悲しき男の性である。
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みをつくし料理帖シリーズ第5弾。 最後の方に、小松原さんのお話が。。 お互いこの先どーなるのか・・・ 気になって仕方がないです。
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「迷い蟹」 店主種市の過去がわかる。 元妻とその間男。 若くして亡くなった娘。 憎しみが穏やかな種市の心を黒く染めていくが……。 「信じて寄り添ってくれる誰かが居れば、そいつのために幾らでも生き直せる。ひとってのは、そうしたもんだ」(85頁) 亡くなった娘は、憎き男の子供達を、二...
「迷い蟹」 店主種市の過去がわかる。 元妻とその間男。 若くして亡くなった娘。 憎しみが穏やかな種市の心を黒く染めていくが……。 「信じて寄り添ってくれる誰かが居れば、そいつのために幾らでも生き直せる。ひとってのは、そうしたもんだ」(85頁) 亡くなった娘は、憎き男の子供達を、二親無くして路頭に迷わせたいとは思っていないはずだ。 子供達を、苦界に沈めてやりたいとは思うまい。 悲しみの中に、種市は娘の在りし日の姿を見た。 娘への愛が種市を思いとどまらせた。 憎しみの連鎖を止めた種市は、まさに「ひと」であった。 恋など久しくしていないが、心のどこかにあの甘酸っぱく、ちくりと痛む思い出の棘が残っていたようだ。 澪と美緒。 想いを寄せる人の姿は違えど、叶わぬ想いは同じ。 その一つ一つがいつかきっと彼女たちの人生に深みを与えるのだろう。 「想うひととは違うけれど、ご縁で結ばれた相手と手を携えて生きていく。」(238頁) その覚悟があれば、きっとそこからの日々は幸せなものに違いない。 今宵は私も、縁に結ばれた人の手をしっかりと握りしめたい。
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数馬と同様に酒飲みなもんで、甘い物はほとんど食べないのだが、「誰かのために」「誰かを思いながら」とかで手間暇かけて作る菓子はやっぱり美味そうだ。「ミルキーはママの味」に対抗して「ひとくち宝珠は俺の味」ってコンセプトで作ってみようかしら。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今回は、登場人物のこれまで明かされていない過去が分かりました。種市とつるにこんな事が起こっていたなんて。胸が締めつけられます。美緒は勘違いからですが、遂に腹を括り新たな道へ進みます。彼女の気持ちを考えると辛いですが、立派だと思います。そして澪は吉原で食通相手に花見の料理を作ります。そこから澪にとって新たな道が切り開かれようとしています。私は挑戦して欲しい気持ちと、みんなでつる家にいて欲しい気持ちが半々です。そして、最後は初めての主役交代で小松原の話でした。それもまた新鮮で面白かったです。
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残念ながらパワーダウン。さっき読み終わったのに、どんな内容だったかあまり思い出せない。淡々とした話が続いていた気がする。また、共感できない部分も多かった。あさひ大夫が酔っ払いをやっつけた描写があったが、なぜ抵抗されなかったのかが分からない。今後の事件の布石として次巻に期待する。
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種市の娘・つるの話が良かった。哀しい思い出と種市の遣る瀬無い思いが憐れで…だけど最後はほっとさせられる終わり方。 吉原の花見の料理を作る事になった澪。この時の菜の花づくしのお膳は作ってみたい。
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みをつくし料理帖シリーズ第5弾です。 今回は、澪が登場しない小松原が主人公のお話がありました。 今後の展開に彼の職務がキーポイントになるのでは?と予感させる展開です。 彼の身内には堅物はいなそうなのでホッとしたりして。 これなら澪ちゃんの入る隙はあるかな?と。。 小松原の仕事...
みをつくし料理帖シリーズ第5弾です。 今回は、澪が登場しない小松原が主人公のお話がありました。 今後の展開に彼の職務がキーポイントになるのでは?と予感させる展開です。 彼の身内には堅物はいなそうなのでホッとしたりして。 これなら澪ちゃんの入る隙はあるかな?と。。 小松原の仕事が興味深いので、またこういうのやって欲しいなあ。 食材の制限が掛かった料理。。大変そう!
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series5巻目まで読んだ。今回は大きな山場がいくつか盛られていてワクワク度数が高い作品になっていましたね。どれもハズレのない巻ばかりでこのあと完結までの展開がいよいよ楽しみです。
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表題作の小夜しぐれ。 あの人に私の思いは届かなかったけど、他の人と手を携えて生きていこうと決めるとき・・・。 どんな道を歩こうと、誰かを心から思った日々は、(その相手がすばらしい人であれば)、たとえ片恋であっても、ずっと、心の中の灯火であり続けてくれると思います。 大店の娘...
表題作の小夜しぐれ。 あの人に私の思いは届かなかったけど、他の人と手を携えて生きていこうと決めるとき・・・。 どんな道を歩こうと、誰かを心から思った日々は、(その相手がすばらしい人であれば)、たとえ片恋であっても、ずっと、心の中の灯火であり続けてくれると思います。 大店の娘さんとして、何不自由なく育った美緒。時にわがまま娘に見えることもあるけど、愛情を受けて育ったからこその、まっすぐで屈託のない明るさを持った彼女のこれからが、幸せでありますように。 その次に来る嘉祥は、箸やすめのような、やさしい味のする一品で、数馬(って書いたら誰かいな、と思ってしまうがな)が中心の物語。 色違いの寄り添う2つの小さなお菓子は、彼と妹か、彼と澪か。
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