オスカー・ワオの短く凄まじい人生 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
読書会で読んだ本 ちょっと普通じゃなく生きるのが大変な人たち(親子三代)の話だった。みんな呪いのせい ユニオールがオスカーのことを話している(書いている)のが楽しそうなのがいい。オタクに影響されてオタクになった人。長いのが、語り手のおかげで最後まで読む気になれる感があった フク、顔のない男、マングース(?)、ラ・インカの祈り、手書きのメモ書きさえ残らず破棄されたというアベラード、とか、なくても説明がつくのにある変なことが気になってる。裏表紙とかに書いてあるマジック・リアリズムというのはそういうようなことを指していう言葉なんだろうか
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斬新な小説で、注釈が多く、こちらの方が興味深かったりもする。日本のオタク文化というかアニメも多く登場する。もちろん注釈付で。 ドミニカ共和国に住むラ・インカの従兄弟一家の悲惨な生涯を描いているが、独裁者トルヒーヨ時代が終わってからも悲惨な状態は続いて怒りも湧くような物語。 救いは...
斬新な小説で、注釈が多く、こちらの方が興味深かったりもする。日本のオタク文化というかアニメも多く登場する。もちろん注釈付で。 ドミニカ共和国に住むラ・インカの従兄弟一家の悲惨な生涯を描いているが、独裁者トルヒーヨ時代が終わってからも悲惨な状態は続いて怒りも湧くような物語。 救いは無かったと言いたい。
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オスカーとその一族について、オスカーの"真の"友達であるユニオールが語る形式で進む物語。膨大な文章と注が続くなかで、オスカーの一族が遭ってきた独裁、支配、差別、苛めなどの不条理さに腹立ちを覚え陰鬱な気持ちになるので、決して読みやすい物語ではなかったけど、ラス...
オスカーとその一族について、オスカーの"真の"友達であるユニオールが語る形式で進む物語。膨大な文章と注が続くなかで、オスカーの一族が遭ってきた独裁、支配、差別、苛めなどの不条理さに腹立ちを覚え陰鬱な気持ちになるので、決して読みやすい物語ではなかったけど、ラスト二ページに辿り着くために最後まで読んでよかったと思った。凄まじい人生を送ったオスカーがその経験、幸福を味わうことができて本当に良かった。読者も救われた気になる。この本は傑作!
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図書館で。何で借りようと思ったのかは忘れましたが借りてよかった。これはスゴイ本だった。 ドミニカ共和国という国名は知っていても南アメリカにあるんだろうなあとぼんやり思っていたらハイチの隣だった。そして物凄い独裁政権が支配していたんだ、とこの本を読んで知りました。南アメリカの歴史...
図書館で。何で借りようと思ったのかは忘れましたが借りてよかった。これはスゴイ本だった。 ドミニカ共和国という国名は知っていても南アメリカにあるんだろうなあとぼんやり思っていたらハイチの隣だった。そして物凄い独裁政権が支配していたんだ、とこの本を読んで知りました。南アメリカの歴史はどこも…辛いなあ。 そして親世代の迷信だろうとも言い切れないフクが今の時代のオタクな若者にも襲い掛かる恐怖。というか今も昔も権力を持った人間が好き勝手やっているのは変わらないという事か。でも日本だってドミニカは大変だなあなんてのほほんとコメントして居られる状況じゃない。そりゃあ選挙はあるけれども一党が50年以上与党だった国って…独裁者が支配している訳ではないけれどもそれってどうなの?と少し背筋が寒くなる事態です。 トルヒーヨ政権の事は今度読んでみよう、と思いました。きっと胸糞悪い話なんだろうなあ…。でも戦時下の日本の特高とかだって人の事言えない残虐な事をしていたんだし、ましてや他の国に置いては…と考えると頭が痛くなります。 それはさておき。指輪物語を通り一遍で読み終えてしまった自分はあの世界観にのめり込めないのが残念でなりません。が。そういえば学生時代先輩たちがギャザリングとかやってたな…とぼんやり思い出しました。映画のAKIRAの後なのか?それがちょっとびっくり。そしてSF的荒唐無稽な悪の国家が栄える国ってのは実はちょっと見渡せば自国やすぐ近くの国に見られる政権であるという実に皮肉なお話。お話ならヒーローがなんとかしてくれるかもしれないけど等身大の、世界のモブの一人である自分たちはどうすればいいんだろう。 取りあえず選挙には行こう。戦争はしたくないし、権力を一点集中させないためにも。
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オタクで冴えないオスカーの物語と思いきや、 姉、母、祖母まで遡る呪いの物語。 ドミニカを舞台にした物語で、語りかけるような文体でライトの感じるが注釈が多すぎて苦手。トルヒーヨの残酷さと理不尽さ、フクといわれる呪いを各人ごとに遡る。
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南米文学が好みになってきたところにこの本は最高だった。いわゆる古典的なマジックリアリズムとはビートが違う。アップテンポで自由な語り口が確かにポップ。それでいて物語にドスが効いているので攻撃力もある。オスカーのナンセンスなキャラクターでこの物語をキメるってところが超かっこいい。
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アメリカの中南米系にスポットを当てるというのは、確かに南部やアフリカ系にスポットを当てたものより少ない気がするし、それをアメリカのオタクカルチャーと交えながら描いた手法は新しく、ピュリッツァー賞好みと言われれば納得といえば納得。全編漂うリョサやマルケスのような中南米文学の空気感は...
アメリカの中南米系にスポットを当てるというのは、確かに南部やアフリカ系にスポットを当てたものより少ない気がするし、それをアメリカのオタクカルチャーと交えながら描いた手法は新しく、ピュリッツァー賞好みと言われれば納得といえば納得。全編漂うリョサやマルケスのような中南米文学の空気感は苦手だが、蓋をされているアメリカの一面を引きずり出していることは一定の功績か。
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個人史に歴史を語らせるというコンセプトのもと、ポップカルチャーをふんだんに取り込んで、それでいて軽口混じりの一人称語りが重厚な物語を軽やかに駆動させている。しかし、題名は合っていないと思う。デ・レオン家の(ドミニカにおける生きづらさとクソみたいなアメリカという)呪縛ということな...
個人史に歴史を語らせるというコンセプトのもと、ポップカルチャーをふんだんに取り込んで、それでいて軽口混じりの一人称語りが重厚な物語を軽やかに駆動させている。しかし、題名は合っていないと思う。デ・レオン家の(ドミニカにおける生きづらさとクソみたいなアメリカという)呪縛ということなら納得したかもしれない。 個人史の部分は、エロゲーにヒントを得て書かれたのだろうなあというのがありありとわかる。しかし、一人語りなので軽妙な掛け合いはなく、ギャグはあまりおもしろくない。暴力表現も控えめ。エロもあんまりない。オタク文化も、固有名詞が出てくるだけで、ポップカルチャーに迎合しようとしているだけにしか見えなかった。ただ、割註はオタクのつまらないうんちくそのものであるという点で評価できると思う。 これまで殆ど関心を持たれることのなかった小国の歴史を悲惨で滑稽な個人史に代表させて語るというスタイル自体は、ドミニカを身近な存在にしたという限りでは成功しているように見える。とはいえ、個人史で語ることで、歴史が身近に感じられ、興味を持ってもらえる一方で、悲惨で滑稽な個人というありふれた存在は、問題そのものを一般化してしまい、ドミニカや移民の特殊性を論じることには失敗していると思う。おそらく本作を評価している人々は、救い難い人々を等身大で語る物語にあまり触れたことのない人、あるいはそうした環境に関わりを持たずに幸福な人生を歩んできた人々だと思う。それゆえに、この程度の不幸に対し新奇性を覚えるのではないか。遠い異国に親近感を覚えるには、こうしたありふれた不幸を追体験するのが一番である。しかし、そうした不幸はどこにでもありふれている。ありふれた不幸を遠い異国と同視して、見ないふりをすることは簡単で、本から目をあげれば幸せな日常が待っている。そういう生き方を奨励するのであれば、ドミニカは不幸の権化であり、ますます縁遠い存在となっていく。 それにしても、オスカーの態度はなんだろう、巻き込まれて不幸なふりをするだけではないだろうか。オタクのふりをするばかりで、あくまで傍観に徹したいのだ。恋愛に対しても、ありふれた不幸に対しても。オタクはもっと真剣である。オタクはオタク趣味として真面目に生きるか、本当になかったことにするために、トルヒーヨに片棒して片付けてもらうか、軟派なナードをやめてきちんとオタクになるしかない。
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『呪いや宇宙からきたマングースやサウロンやダークサイド抜きにはトルヒーヨの治世には近づけません。それは近代的な思考では到底捉えられないんですよ。』 という著者コメントが、まさしくこの本。 こんな圧倒的な熱量はなかなかない。 大きな歴史と一族の呪い(フク)。それは全て美醜と恋に振...
『呪いや宇宙からきたマングースやサウロンやダークサイド抜きにはトルヒーヨの治世には近づけません。それは近代的な思考では到底捉えられないんですよ。』 という著者コメントが、まさしくこの本。 こんな圧倒的な熱量はなかなかない。 大きな歴史と一族の呪い(フク)。それは全て美醜と恋に振り回されつづける。個人のスケールにおける呪いは、これでもかと描かれる。 構造は『熊を放つ』に似てますね。
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「本屋さんで待ちあわせ」で紹介されていたので、読んでみたのですが・・・なんだろう。私は合わなかった。 トルヒーヨ独裁政権時代のドミニカの様子や今まで知らなかった歴史を知ることが出来たのと、興味が湧いたのは良いとして、文体が合わないうえに、ちょこちょこと説明文が入るので、作品に入り...
「本屋さんで待ちあわせ」で紹介されていたので、読んでみたのですが・・・なんだろう。私は合わなかった。 トルヒーヨ独裁政権時代のドミニカの様子や今まで知らなかった歴史を知ることが出来たのと、興味が湧いたのは良いとして、文体が合わないうえに、ちょこちょこと説明文が入るので、作品に入りこみづらい><; 図書館で借りたのですが、幸いに次の予約者がいなかったおかげで延長できたので読めましたが、3週間以上かかったと思う。
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