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オスカー・ワオの短く凄まじい人生 の商品レビュー

3.9

115件のお客様レビュー

  1. 5つ

    28

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    25

  4. 2つ

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2019/05/28

訳者の都甲氏自身があちこちで絶賛している上、各方面からの高評価も目にする機会があり、是非とも読んでおかないとという訳で入手。ドミニカについての知識は皆無だったけど、そこで繰り広げられた独裁制恐怖政治が背景にあり、作品に緊張感をもたらしている。かと思うと、なんだか憎めない主人公キャ...

訳者の都甲氏自身があちこちで絶賛している上、各方面からの高評価も目にする機会があり、是非とも読んでおかないとという訳で入手。ドミニカについての知識は皆無だったけど、そこで繰り広げられた独裁制恐怖政治が背景にあり、作品に緊張感をもたらしている。かと思うと、なんだか憎めない主人公キャラの物語や、それを取り巻く個性的なファミリーも強烈で、意外にユーモラスに展開していくのが見どころ。舞台背景とキャラ設定が絶妙で、いったん世界観にハマってしまうと、あれよあれよと頁を繰る手が止められなくなってくる。確かにこれは名作。読みながら、”百年の孤独”や”マルハウス”とかが思い浮かんだ。

Posted byブクログ

2018/11/23

単行本400ページの密度の濃い長編を読了。主人公はドミニカ系アメリカ人のオタク青年オスカー。小太りで女性には縁がなく、アニメやSFに関しては博覧強記(アメコミはもちろん、日本の「AKIRA」や「ガッチャマン」まで!)  そんな彼の『短く凄まじい人生』を描いた本書は青春小説と言える...

単行本400ページの密度の濃い長編を読了。主人公はドミニカ系アメリカ人のオタク青年オスカー。小太りで女性には縁がなく、アニメやSFに関しては博覧強記(アメコミはもちろん、日本の「AKIRA」や「ガッチャマン」まで!)  そんな彼の『短く凄まじい人生』を描いた本書は青春小説と言えるが、決して軽快なものではない。それは、彼の姉、母、祖父母それぞれの人生を描くことで厚みを増していることと、何よりも彼らの人生を翻弄し続けたドミニカ共和国大統領トルヒーヨとその独裁統治を詳細に描くことによってこの小説の足腰が強固にできあがっているからだ。 正直、本書を手にするまでドミニカの国情やトルヒーヨについてほとんど知らなかったが、読み終えた今は、ドミニカについて少し語れるくらいにはなったと感じる。(もちろん、読後に興味を覚えてドミニカやトルヒーヨについて自分で調べるという、読書がもたらす好循環を実践してみたわけだが 笑) この家族それぞれの人生は悲劇としか言いようがない。でも、そこは独特のユーモアと、たびたび登場する「マングース」や「顔のない男」といった隠喩によって、読後には悲壮感ではなく、ある種の爽快感が残った。オスカーも、日本でいう「オタク」などではなく、ドミニカ男のプライドを持った奴だったんだということが分かって声をかけてやりたくなった。アッパレ!と。 また、本文中に著者自身によるかなりの量の注釈が入っているためページ数が増しているが、この注釈も秀逸で読み飛ばすべきでないことも付記しておこう。

Posted byブクログ

2017/09/20

うわー、これは私の苦手なタイプのオタクだわ…と、いうのが最初の数ページを読んだ時の印象。(苦手なオタクと好きなオタクの2種類がありまして。) 途中で挫折しそうな予感ぷんぷんで読み始めました。 でも、語り手がオスカーからロラに変わったあたりから、もうぐいぐい引き込まれていった。 ...

うわー、これは私の苦手なタイプのオタクだわ…と、いうのが最初の数ページを読んだ時の印象。(苦手なオタクと好きなオタクの2種類がありまして。) 途中で挫折しそうな予感ぷんぷんで読み始めました。 でも、語り手がオスカーからロラに変わったあたりから、もうぐいぐい引き込まれていった。 話がどこに向かうのか全然予想できないだけじゃなくて、次の語り手が誰になるのかすら分からない。そして語り手が変わると、全然違う人生が始まる。適当な順番で統一性なくつづられているように見える彼らの物語からゆっくりと浮かび上がってくるのは、ドミニカという国のむちゃくちゃな政治、悲しい歴史。 ドミニカについては、ぜっっんぜん、知りませんでした。ショックでした。 中南米で、独裁政権や軍事政権に血塗られていない国って存在しないのだろうかと読みながら途方に暮れるような気持ちになりました(中南米に限らないんだけど)。日本の日常でぜんぜん耳にしないだけに驚きが大きくて。 国際社会から巧みに隔離されていたから、当時も国際世論から批判もなかった、とあったけれど、そういう国が世の中には多すぎますね。 そして、これがまじめなトーンで書かれた告発文書みたいなものだったら、私はそのまま目にすることもなかっただろうなぁとも思い、作家という職業の持つ底力に改めて畏怖の念を覚えます。 起こった悲劇は取り返しがつかないけど、周知されることは、未来にとって、非常に大事なことだと思うから。 読んでいて、アルマジロの存在感と描写が不思議で美しくて印象的でした。 大人になると、そういうものの存在はまったくバカげたものに思えるんだろうと子供のころは思っていたけど、それは逆で、年をとればとるほど、そういう大いなるものの存在を信じるようになっている自分がいます。

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2017/08/13

どうしてオタクは日本でもアメリカでもいじめられるのかな。一発当てたら、スタースポーツ選手も及びもつかないほど稼げるのに。アスリートほど転落もしないだろうし。オスカーの死後、彼の小説が大ヒットなんて結末を予想していたが、そんなに甘くはなかった。でもオスカーが真のドミニカの男であるこ...

どうしてオタクは日本でもアメリカでもいじめられるのかな。一発当てたら、スタースポーツ選手も及びもつかないほど稼げるのに。アスリートほど転落もしないだろうし。オスカーの死後、彼の小説が大ヒットなんて結末を予想していたが、そんなに甘くはなかった。でもオスカーが真のドミニカの男であることは証明された。 現政権以前に本作を読んでいたら、トルヒーヨの暴虐ぶりに驚き憤りつつも、どこか遠い世界の物語と感じていたろう。でも今は決して遠くない世界と感じる。日本にもこんな世界がひしひしと迫っているような。 ロラの章を読んだ時、毒母ものかと思ったが、そう単純ではなかった。ドミニカの女はすごいね。 バルガス=リョサに喧嘩を売っているのも面白い。リョサ未読だが、読むときに虚心坦懐ではいられないかも。 語り手の存在も良かった。

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2017/07/30

最初はフクって何やねんと思い、取っつきにくかったが、最後の200ページぐらいは一気に読めた。慣れるのに時間がかかるが、それからはただただ作者の主張・ドミニカの暗い歴史・独特な文化・オタク知識などに圧倒された。 読んでよかった1作品!

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2016/10/15

開始早々、註釈でものすごくページをくっている所があったので、げんなりして読み進めることが出来なかった。 面白そうなタイトルだっただけに残念。 どんな話か誰か教えて欲しい。

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2016/07/15

・オタク云々以前に、ちょっと変わった男のラブストーリーや成長(でもないか)物語としても面白い。 ・しかし白眉は三世代(以上)にわたる家族の年代記と、破天荒な物語。 ・マチズモ、権力関係への対抗としてオタクをもってくるとは。 (しかしいわゆるアキバ系や萌えではなく、知識偏向の...

・オタク云々以前に、ちょっと変わった男のラブストーリーや成長(でもないか)物語としても面白い。 ・しかし白眉は三世代(以上)にわたる家族の年代記と、破天荒な物語。 ・マチズモ、権力関係への対抗としてオタクをもってくるとは。 (しかしいわゆるアキバ系や萌えではなく、知識偏向のオタク) ・母娘の壮絶な戦いがすごい。 ・そして語り手のユニオールの偏見が入った上で愛のあふれる文章がよい雰囲気。

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2016/06/17

ドミニカ共和国の独裁者トルヒーヨの時代、その悲劇を書いた作品ということだが、とにかく注釈が多くてすごい。 それもかなりのオタクである。 指輪物語、スターウォーズ、マーベルといった日本でもメジャーなものはなんとか理解出来るが、それ以外の引用はまったくわからん。 しかし、たくさんのS...

ドミニカ共和国の独裁者トルヒーヨの時代、その悲劇を書いた作品ということだが、とにかく注釈が多くてすごい。 それもかなりのオタクである。 指輪物語、スターウォーズ、マーベルといった日本でもメジャーなものはなんとか理解出来るが、それ以外の引用はまったくわからん。 しかし、たくさんのSFファンタジーに埋もれる主人公でデブのワオを中心に、独裁時代の悲劇が淡々と書かれているというのは確かに新しい。 訳者あとがきによると、原文は英語らしいがたくさんの標準的ではないスペイン語が混在しており、そのうえSFファンタジーも盛りだくさんということで、訳者も大変だったようだ。

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2016/03/31

いやーーー。面白い! こういう本書いてみたい!!!と思う独創的な面白さ。 しかし、自分が面白いわーと激しく思う本って100%友達には勧めない。自分にはすっごく面白い本だが、彼女にとって面白いのか?と思うと全然ちゃうやろ?と思うから。時々こういうバチコンとクる本に出会うから読書...

いやーーー。面白い! こういう本書いてみたい!!!と思う独創的な面白さ。 しかし、自分が面白いわーと激しく思う本って100%友達には勧めない。自分にはすっごく面白い本だが、彼女にとって面白いのか?と思うと全然ちゃうやろ?と思うから。時々こういうバチコンとクる本に出会うから読書は止められない。ただアメリカのオタクは日本と違って健全で、二次元に恋したりしないのね…。Japaneseだったらこの位のヲタだったら寧ろ尊敬され愛されると思うのだが。切ねえな。nerdの対極がジョックスとチアガールだと説明されたら凍る。アメリカのリア充どんだけだよ!世界広っっ。 沢山の気づきが有りました。 知らなかったな、ドミニカの歴史。

Posted byブクログ

2016/03/05

SFやら日本のアニメやらトールキンの指輪物語やらががんがん引用されるドミニカ生まれのアメリカ人作家によるオスカーたち一族の物語。 ラファエル・レオニダス・トルヒーヨ・モリナという1930年から1961までドミニカ共和国を支配した最悪の独裁者による呪いをかけられた一族について書か...

SFやら日本のアニメやらトールキンの指輪物語やらががんがん引用されるドミニカ生まれのアメリカ人作家によるオスカーたち一族の物語。 ラファエル・レオニダス・トルヒーヨ・モリナという1930年から1961までドミニカ共和国を支配した最悪の独裁者による呪いをかけられた一族について書かれたこの本は、ありきたりにいうなら今風のガルシア・マルケスかな。

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