さよならドビュッシー の商品レビュー
ピアニストを目指す女の子2人の、明るくて楽しそうな日々の描写から始まる。 彼女たちは従妹で、名前は遥とルシア。 共通の夢を持ち、同じ歳で背格好も似ている2人は姉妹のように仲がいい。 ルシアはインドネシアに移住した日本人の両親から生まれた。そして数か月前に起きたスマトラ島沖地震で...
ピアニストを目指す女の子2人の、明るくて楽しそうな日々の描写から始まる。 彼女たちは従妹で、名前は遥とルシア。 共通の夢を持ち、同じ歳で背格好も似ている2人は姉妹のように仲がいい。 ルシアはインドネシアに移住した日本人の両親から生まれた。そして数か月前に起きたスマトラ島沖地震で、その両親が亡くなってしまうという悲しい出来事があった。しかし遥の両親は彼女を養子にすることを真剣に考えていたし、ルシアの心の傷も徐々に癒えていくかのように見えた。 そんなある日、離れにある遥の祖父の家で起きた火災が原因で、祖父とルシアが死んでしまう。唯一生き残った遥も全身に大やけどを追い、損傷した声帯からはカエルのような声しか出ず、何よりピアノを弾くことすらままならない状態になってしまった。 莫大な祖父の遺産は、遺言により遥が半分受け取ることになることが明らかになってから、彼女の命を狙っているかのような出来事が起こり始める。 『遥は遺産目当てで命を狙われているのだろうか。ということは、その犯人は彼女が死ぬことによって、その遺産を譲り受けることが出来る人間、すなわち身内なのか』 というミステリー。 『簡単な曲さえも弾くことができなくなってしまった遥が、また再びピアニストを目指すことができるのだろうか』 というスポ根もの(ピアノはスポーツじゃないけど、それに近しいものがあるから)。 この2つを軸にして物語は進むのだが、そこに颯爽と現れるのが岬洋介という見目麗しい新進気鋭のピアニストだ。彼は遥のピアノへの復帰の道しるべとなり、またこの事件の謎を解く探偵として大活躍する。 最後まで読んですべてが分かれば、各所に散りばめられた伏線に気がつく。 見事なデビュー作だと思う。
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これ、私が買ったんじゃなくて、家の本棚にならんでた奴。 娘が以前読みたくて、買わされたんだそうだ。 あまり家人にも勧められなかったけど、映画にもなったそうで読んでみるかと。 ふーん、少女漫画みたい。 映画の方が面白いかもね。
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ピアノ演奏を軸にしたミステリー小説。思いもしなかった最後の謎解きに「やられた〜」って感じ・・・。(o^^o) ピアノには触れたことがないので、その演奏技法はまったく分からないけど、小説の中に登場する「超絶技巧練習曲第四番 マゼッパ」をYouTubeで見てみたら、その名のとおりピア...
ピアノ演奏を軸にしたミステリー小説。思いもしなかった最後の謎解きに「やられた〜」って感じ・・・。(o^^o) ピアノには触れたことがないので、その演奏技法はまったく分からないけど、小説の中に登場する「超絶技巧練習曲第四番 マゼッパ」をYouTubeで見てみたら、その名のとおりピアノ演奏というよりもピアノとの格闘だった。ピアノって凄いんだな〜。今は、YouTubeでピアノ協奏曲を見るのがマイブーム・・・。(o^^o)
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『このミス』大賞受賞作品だけれど、ミステリとしてだけでなく、ピアニストを目指す少女の努力の物語としても秀逸! 絶望の底にいる主人公が、一本の光る糸を必死にたぐり寄せていく姿に惹きつけられる。露骨な嫉妬や悪意を叩きつけられながらも、外科医である新条先生やピアニストの岬さん、お爺ち...
『このミス』大賞受賞作品だけれど、ミステリとしてだけでなく、ピアニストを目指す少女の努力の物語としても秀逸! 絶望の底にいる主人公が、一本の光る糸を必死にたぐり寄せていく姿に惹きつけられる。露骨な嫉妬や悪意を叩きつけられながらも、外科医である新条先生やピアニストの岬さん、お爺ちゃんの言葉に支えられながら、弱気になる自分を奮い立たせて、コンクールに挑む。 二人の先生が、それぞれの道のプロとして、彼女を見守り、語りかける言葉に、胸が熱くなる。 彼女の未来が明るくなることを願わずにはいられない。
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子供の頃、ピアノ習ってました。知ってる曲、タイトルからはどんな曲かピンとこないけど、聞いたことある曲のどちらか。YouTubeで曲検索しながら、読み進めました。またピアノ弾き始めようかな、このシリーズ続けて読みたい
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ミステリーとクラシックがうまく合わさっていて、読んでいてとても楽しかった。 前提として、現実ではあり得ないようなことがいくつかある。 リアルを求め過ぎないように読む必要はあると思う。 はじめに主人公は、火傷を負ってしまったことにより、様々な試練を受けることになる。 ピアニストを目指していたが、大火傷により、以前のようにピアノを弾くことができなくなってしまった。 この時、岬による「意志」の確認をされる。 ピアノを続けるか、やめるか。 ここで主人公はピアノを続ける選択をした。 この選択には、ただ、ピアノが好きだからという感情だけではなく、とても重い意味があったのだと終盤でわかる。 ピアニストの道を選択してからは、試練の日々。 マスコミや学校やら数々の場面で奇異、好奇、嫉妬、様々な感情を向けられることになる。 善意のフリした悪意も向けられており、この立場に私がなったら、誰も信じられなくなってしまう。 だからこそ、この本を読んで少し日々の行動を変えてみようと思う。もし、身近なところに、この主人公に近しい立場の人がいるならば、私は、腐る程言われるであろう「困ったことがあれば言ってね」等々の言葉を言う事や、同情と見られるような行動はしないでいようと思う。 誰もがこの主人公のような立場になるわけではないのだが、岬や医師のように自分にできることを提案をするということをしていこうと思う。 この本は、悪意や善意のフリした悪意の描写がとてもうまいと思う。元々お金持ちの家で有名教師がレッスンにつくといった羨ましがられる人間には、必ず嫉妬による悪意が生じる。 「見栄っ張りはいつも自分を比較するために情報を集めようとする」といったフレーズにあるように、自分にとって敵となる人間は必ず情報収集をする。 成る程、私が今まで奇妙なほど行動を監視されたり、私の情報を探ろうと必死になる輩は少なからずいたが、これらは比較するためであったのか。そういう連中は決まって、大したことのない人たちで話を聞くまでもないのだが、深い傷を負った人間にはとても辛いものになってしまう。 そういった善意なのか、悪意なのかよくわからないものに通常より多く巻き込まれてしまう可能性はある。だから私はできることを求められたタイミングを見極めて提案する、このように行動していきたい。 容姿や資産といった情報だけで人を判断して、悪意を向ける人はきっと今日でも多いと思う。「世界は悪意に満ち溢れている」本当にこの通りであって、そうなってしまっている残虐さを正義感と思い込むことによる悪意はこの世にずっとあると思うからこそ、私は私の押し付けになってしまうような行動をやめようと思った。 主人公は、そんな負の感情に巻き込まれつつも、一貫したピアニストになるという意志、コンクールは、自身を評価する場ではなく、戦いにいく、勝ちを取りに行くといった燃え上がる程の闘志と意志は読んでいて、私自身も奮い立つものがあった。しかしながら、そこまでの意志を持てるのは、「艱難汝を玉にす」とあるように、亡き祖父がピアニストを目指すことを応援してくれたこと、死に迫るような火傷を負いつつもピアノによって感情を伝えたいという思い、悪意に晒されつつもそれらが気にならなくなる程のピアノへの熱意、さらには何人もの身内の死という思いや苦労を背負って、強い精神力を持ったからであるからと推測していたが、それだけではないとラストで思い知らされた。 主人公がピアノを絶対に手放さなかった理由は、唯一自分と証明できるものだったからという衝撃的なラストであった。 数々の試練はありつつも、最大の試練は遥になりきるということだったと思う。 周囲の勘違いによって、死んだことにされたルシアが、遥になりきるために、周囲の期待を裏切らぬように、必死になって努力していたとわかったときには、どんな試練よりもとても重いものを背負っていたのだと思った。 成る程、他人になりきろうと努力していたが、唯一自分自身のものであったピアノへの執着はここからきていたのか。 そして、コンクールで優勝して、これで終わりかと思えば、ここからが始まりであり、遥であった自分は終わりでルシアとして生きていくと決めたときは、数々の苦労から解き放たれ、新しく前を向いていける主人公はとてもよかった。母というか伯母の死はとても悲しいものであったが、事故のようなものを感じる。あの時、助けを呼べていたら、また違った形でルシアだとバレていたと思う。それがいいのかは分からないが。 誤読もあると思いますが、強い意志を持って取り組んでいくその姿勢に引き込まれる作品でした。 続編もあるようなので、いつか読んでみたいです。
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ミステリー終盤の衝撃以上に過酷な困難に立ち向かう登場人物の気概と姿勢の描写に勇気づけられた。 障害の有無、容姿の美醜、資産の多さ、だけで他人を判断しているようでは決して気づくことのできない、崇高で屈強な精神を研鑽すること、他者から感じとり敬意を払うこと、の大切さを心に刻んだ。
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詳細なピアノ描写は私には読むのが少し億劫になりましたが、まったく予想しなかった結末に「あぁ、これ中山七里さんの小説なんだよな」とミステリー小説であることを再認識しました。
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うーん。。 ちょっと私には合わない。 様々なことが余りにも現実離れしすぎてて、全然入り込めず。最新の医学をもってしてもそんな奇跡的な回復や火傷の跡なくなるとかって信じ難い。 警察もマスコミも現代にこんな無神経な人たちいない。障害者に公然と暴言吐いたり暴力振るう人なんてそうそういないよ...日本人の道徳心的にそれって自分に侮蔑の矛先を誘導することになるし、そんな頭の悪い人が揃いも揃ってるのって非現実的だし作り込みが安っぽく感じる。童話の悪人みたい。 最後もえーーー??って感じ!! 流石にあり得ないだろ!!笑 奇跡的な回復をさせるほどの医学はあるのに、そこはあっさり鑑定ミス? 最初から最後までツッコミどころ満載すぎて、高評価な理由が全然わかりませんでした...。 もう著者の作品は読まないかも...
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ひどい。 このミス大賞は本家このミスランキングとは似て非なる物だとは知っていたが、今後このミス大賞は避けることにする。 ミステリとしては平凡。メインが入れ替わりの叙述トリックということは、多少ミステリを読む人なら一瞬で分かってしまうほどに、あからさまな記述が多すぎる。母(実際は叔母)を殺したのが「あたし」だというのも分かりやすい。 そもそも一人称の時点で読者には疑われるわけだから、もっと巧妙にすべきでは。それ以外の部分(動機など)もお粗末。 音楽の描写は退屈で、後半は読み飛ばした。描写は異様に長い割に何も伝わってこない。作者は音楽が好きでもなく、取材もしないと知り腑に落ちた。 最悪なのは、障害者を徹底的に弱者、欠損者、マイナスとして描いているところ。主人公なら何を言わせてもいいと思ってるのか、無駄に卑下をさせる。結局は最後にコンテストで優勝するための小道具としか捉えていないようだ。
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