新世界より(上) の商品レビュー
ちょうど震災があった時に読んだから、直接的ではないけれど、 自分たちの生きているこの世界もいずれはこんな風になっていくのではという未来を想像させて身震いした。 フィクションだけれども引き込まれていって先が気になって仕方なかった。
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(※上・中・下あわせてのレビューです) 2008年1月に単行本で出版されたものの文庫化。 呪術を操ることができる人間と、その人間の周辺で育まれた異様で奇怪な生態系。 少年・少女(後半では成年に達しているが)たちが発見した綻びは、はるか1000年前に滅んだ先史時代と現在の世界を...
(※上・中・下あわせてのレビューです) 2008年1月に単行本で出版されたものの文庫化。 呪術を操ることができる人間と、その人間の周辺で育まれた異様で奇怪な生態系。 少年・少女(後半では成年に達しているが)たちが発見した綻びは、はるか1000年前に滅んだ先史時代と現在の世界を図らずもリンクさせる。 SFにして、冒険活劇である。 そして、3巻で1500頁の大部ながら、一気呵成に読ませる面白さがある。 だいぶ方向性は違うが、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のような。ただ、文章表現の巧みさという点ではやや点を引かざるをえない。(本書にかんしてはそれは特に重要な点ではないが) 作者の想像力、世界観の作り込みには恐れ入る。 2008年、第29回日本SF大賞受賞作品。
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読み始めてすぐに、これはデジャヴュか、と感じ、『わたしを話さないで』(カズオ・イシグロ)の世界に思いが巡ったものの、独特の和風世界にすぐに引き込まれ、あっという間に上巻読了。 この後、五人はどうなるのか…。
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大人用のダーク・ファンタジーとでも言うのでしょうか。 1000年後、人々は超能力を持ち、今とは異なる生物に囲まれ、新たな文化を持ち生活をしています。 設定がしっかりしているため、固有名詞など細かい説明もたくさんあり、最初は読むのがもどかしいですが… 大変面白いです。 久々に夜...
大人用のダーク・ファンタジーとでも言うのでしょうか。 1000年後、人々は超能力を持ち、今とは異なる生物に囲まれ、新たな文化を持ち生活をしています。 設定がしっかりしているため、固有名詞など細かい説明もたくさんあり、最初は読むのがもどかしいですが… 大変面白いです。 久々に夜更かしして読みました。 上巻では(中、下巻と続く)主人公の子供たちがこの世界の成り立ちを知ってしまったり、バケネズミの戦争に巻き込まれたりと、エンジンがかかり始めたところです。 まだまだ伏線がたくさんあるので、楽しませてもらえそうです。
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貴志雄介さんの作品を初めて読んだ。まず感じたのはSFって苦手だなってこと。伊坂幸太郎さんぐらいの現実とSFとの境界線程度ならついていけるんだけど、「呪力」っていうアメリカドラマみたいな現実の中にSF要素が組み込まれているのはどこか違和感を感じてしまう。 けど読んだ。上中下全て読...
貴志雄介さんの作品を初めて読んだ。まず感じたのはSFって苦手だなってこと。伊坂幸太郎さんぐらいの現実とSFとの境界線程度ならついていけるんだけど、「呪力」っていうアメリカドラマみたいな現実の中にSF要素が組み込まれているのはどこか違和感を感じてしまう。 けど読んだ。上中下全て読んだ。 ミステリーとしては面白いんだけど、先がどうなるのかっていうワクワクさはどこか(何か)足りなくて、今の世界の行く末へとしての寓話的な話と捉えてもどこか(何か)足りなくて、結局単純なミステリー作品としてしか感じられなかったのが残念だった。日本以外はどうなってたの?何となく現世界に対する批判的な要素をもっと組み込んでほしかったかなと。
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ナルニアとかロードオブザリングとかの壮大なファンタジー作品みたいな情景が見えてくるけど内容はキングダムハーツと漂流日記を合わせたみたいなかんじ。実に複合施設ね。
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この本は、主人公である渡辺早季が「一連の事件の顛末」を記した本である。 その事件とは何なのか、何を彼女は危惧しているのか。 初めを読んだだけではまだ何も分からない。 彼女の記録は、まずは幼少時代に遡る。 彼女の子供の頃の話を聞けば聞くほど、私たちの世界とは全く違うことが感じられる。 まず、彼女達は「呪力」と呼ばれる力を持っている。 呪力、神の力、念動力、サイコキネシス。 彼女の世界では皆がこの力を持っている。 そして彼女が住む集落は、とても美しい自然に囲まれている。 一昔前の日本のような、豊かな自然だ。 ただ、不思議なことに、人を害する生き物は全くいない。虫一匹さえも。 まるで箱庭のように完璧な世界。完全な世界である故の違和感。 子供達は、何も疑うことなくこの力を「神の力」と信じ、将来に希望を抱いていた。 しかし、ある日、信じていた根底が覆される事態が起きる。 早希、覚、瞬、真理亜、守の5人は、夏季キャンプでさらに奥地へ行ったが故に、 隠されていた歴史の一端を知ることとなる。 そこで、読んでいる私たちにもようやく、何故このような世界ができたのか、語られることになる。 この世界は、私たちの時代から1000年後の世界だった。 私たちの時代は「先史文明」と呼ばれている。 そしてこの先史文明の終わり頃に、PK能力者が歴史上に現れる。 彼らは増えるにつれて、恐れた人間達から迫害され始める。 それはまるで、再び魔女狩りが始まったかのようだ。 先史文明が崩壊し、混沌とした時代が幕を開ける。 この1000年の歴史は、もしもPKが今後現れたら本当にこんな歴史になると思ってしまう。 それぐらい、現実味のある歴史だと感じた。 おそらく、今までの人間の戦いの歴史を踏襲しているからこそ、そう感じたのだろう。 念じるだけで人間を一瞬で殺せてしまう、PK能力。 この能力によって戦いが起こり、多くの人が死んだ。 そして、人類存続のために、この能力を人に対して使ったら本人も死ぬ「愧死機構」という枷を作り出した。 これを聞いた早希たちは、全てが理解できたわけではないだろう。 (瞬には全てが理解できたのかもしれないが) しかし、今まで信じていた根底が覆されたことは、理解してしまった。 この後、坊さんに捕まったと思ったら次はバケネズミに捕まり、 彼女達は生きるか死ぬかの状況へとなっていく。 この先どうなってしまうのか。 この世界観は本当に圧巻。かつ緻密。すごい。
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1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子供たちの声が響く。 『神の力』(念動力)を得るに至った人類が手にした平和。 結界が張られた町で過ごし、『神の力』の技を毎日磨く子供たちは平和に暮らしていた・・・・・・・隠された先史文明の一端を知るまでは。 本作品は上中下巻構成になっているが、上巻220P辺りで『ミノシロモドキ』という自走型アーカイブ図書館を発見するところから物語が急展開していきます。 長編ながら早い段階での物語の急展開、その後も息をつかせぬ展開であっという間に引き込まれていきます。
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異世界ファンタジーが好きなわたしに勧められた一冊。 青の炎も同様に勧められ楽しんだので、おもしろくないわけはないと思って読み始めたけど、なんたること、中盤からはあっという間に読み終えてしまった。中巻を開くのをちょっとガマンしてこのレビューを書いている。 中盤まででも、主人公...
異世界ファンタジーが好きなわたしに勧められた一冊。 青の炎も同様に勧められ楽しんだので、おもしろくないわけはないと思って読み始めたけど、なんたること、中盤からはあっという間に読み終えてしまった。中巻を開くのをちょっとガマンしてこのレビューを書いている。 中盤まででも、主人公達の日常をとおしてこの世界のことを実感できるので、じゅうぶん楽しめる。 舞台は1000年後の日本(らしい)。文明を失うことと引き換えに超能力(呪力)を得たという設定は、「旅のラゴス」を連想させるが、主人公達がまだ何も知らない子供達ということで、もっと引き込まれるものがある。 中巻以降も楽しみ。
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人間の力が増大したがゆえの果てしない歪み。 古風な世界観と、そこに垣間見える過去の文明(それは現実の現代社会の延長と考えられる)との対称性。豊富な生命体の描写による、醜悪と言ってよいほどのリアリティ。人間的な存在が放つ業の深さと、社会的関係の困難さ。 読んでいてかなり悍ましい印象を受けた。ただ、先が気になって仕方がなかったから一気に読破。上中下3巻。
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