新世界より(上) の商品レビュー
とても面白かった。ライトノベルのようなファンタジーでとても読みやすいけれど、細かい設定がしっかりしていて、初めからこの巻の終わりまで飽きることなく読み進められた。 まるで自分が体験しているかのように錯覚させられるスリルとスピード感は流石だった。途中で本を置くことが躊躇われた。 ...
とても面白かった。ライトノベルのようなファンタジーでとても読みやすいけれど、細かい設定がしっかりしていて、初めからこの巻の終わりまで飽きることなく読み進められた。 まるで自分が体験しているかのように錯覚させられるスリルとスピード感は流石だった。途中で本を置くことが躊躇われた。 早く中巻が読みたい。
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文庫本、上、中、下、全て読み終えてからの感想です。 全て読み終えてからの感想ですが、自分としては、全ての場面を通しての面白さのピークは、この上巻で、ミノシロモドキが「わたしは図書館です」って言いだした、あの場面ですね。あの場面が、この作品を通しての、全ての時点での、自分の受けた、興奮と驚きのピークでした。生き物が図書館!?なんじゃそら!!?ブッ飛び過ぎだろう!!?貴志祐介さん!あんた、トンでもねえ事考え付くなあ!最高にパネえ。マジすげえ。こっからどういう風に話が進んでくのよ!マジスゲエ。やっぱスゲエよ貴志祐介。素敵。 って、思いました。あの場面は。あの場面は、本当に好きでしたね。読書の愉悦を感じましたね。あの場面では。 主人公ポジション?の早紀と、準主人公ポジション?の、覚(さとる)は、なんだか、こいつら、あんま好きになれねえなあ~って思いながら、読み進めましたね。なんだか、この二人の言葉のはしばしが、なんだか、好きになれなかったですね。こすズルい感じが、して。なんかなあ、こいつら、なんか、嫌だなあ、って思いながら、読み進めてました。適切でない例えだと思うのですが、早紀は、「信頼できない語り手」っぽいなあ、とかね、思いながら、この上巻、読み進めてましたね。桐野夏生の小説「グロテスク」の、語り手、みたいな印象を感じながら、読んでました。 あと、ざっくりした感じでは、カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」と、諌山創の漫画「進撃の巨人」みたいだなあ、とか思いながら、読んでましたね。主人公たちを取り巻く、限定された囲われた環境には、圧倒的な秘密が隠されている、みたいな感じ。ユートピアなのかディストピアなのか?とか思いながら、まあ、ドキドキしながら読み進めてましたね。この上巻は。
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1000年後の日本が舞台のディストピアSF。1000年後といってもサイバーパンクのような機械仕掛けの世界ではなく、H・G・ウェルズの『タイムマシン』のような、自然と調和の取れた郷愁を誘うユートピアのような世界観で描かれている。田舎の田園風景のような穏やかな世界の裏に、日本の民俗学...
1000年後の日本が舞台のディストピアSF。1000年後といってもサイバーパンクのような機械仕掛けの世界ではなく、H・G・ウェルズの『タイムマシン』のような、自然と調和の取れた郷愁を誘うユートピアのような世界観で描かれている。田舎の田園風景のような穏やかな世界の裏に、日本の民俗学を元にしたおぞましい背景が見え隠れしていて、ページを繰る手が止まらない。とにかく世界観の作り込みが濃密かつ、謎の多い話なので、上巻を終えた後にはすぐに中巻へと手を伸ばしたくなるだろう。
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1000年後の日本。 「念動力」が日常となっている世界観。 聞いたことも見たこともない生物がいっぱいなのに、すんなり入っていける。 子供たちの知らないところでは、きっととんでもない社会があるのだろう。
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※全巻まとめての感想 ・構成 人間とバケネズミの支配・被支配関係を転覆すべく、バケネズミの反乱が起きるという展開はダイナミックで引き込まれた。 なお、あくまで早季の視点から書かれている以上、書かれた内容は必ずしも(客観的)真実ではないようだ。 ・ディストピア小説として 前半は...
※全巻まとめての感想 ・構成 人間とバケネズミの支配・被支配関係を転覆すべく、バケネズミの反乱が起きるという展開はダイナミックで引き込まれた。 なお、あくまで早季の視点から書かれている以上、書かれた内容は必ずしも(客観的)真実ではないようだ。 ・ディストピア小説として 前半は、ネコダマシなどの影がチラつき、徹底した管理社会の恐ろしさを感じた。政府に生殺与奪の権を握られている点で、『1984年』と似ている。 社会秩序維持と自由保障のバランスの取り方は興味深い。思想、言論や学問の自由はあまりなく、教育や倫理が秩序維持に重要な役割を果たしているようだ。 ただ、結局無垢の面の意義がわからない。 ・バケネズミとの戦争 本作の目玉はバケネズミとの戦争だ。 「攻撃抑制」や「愧死機構」が機能しない「悪鬼」の話など、前半で張った伏線が良く回収されていた。 バケネズミを率いるスクィーラが唱える民主主義の理念は印象的。最後に、バケネズミは呪力を持たない人間がネズミと掛け合わされた生物だと判明したときには、世界観が根底から揺らぐ。 本作は小説である以上、メッセージを伝える目的で書かれたものではないが、階級対立や人種差別、植民地支配、民主主義や人権の理念、科学技術の危険性などの問題を想起させる。また、作中における性・愛の在り方は風変わりで面白い。 ・その他 『新世界より』という題名は、現在我々が住む世界、いわば旧世界が滅んだ後の「新世界」の話である、という趣旨だろう。 呪力は、それが孕む危険や危険防止策が必要な点で、科学技術ないし核兵器に似ている。 呪力を背景に人間がバケネズミを支配する制度は、奴隷制や植民地支配を連想させる。 最後にスクィーラを裁く審判は極東軍事裁判のようだ。 「ヤモリも四つ足、我らも四つ足、ヤモリが越す坂ならば、我らに越えられぬ道理はない」という奇狼丸の発言の元ネタは、義経の名言(鵯越の逆落とし)に違いない。
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独特な世界観になかなか付いてゆけず、でも何とか途中で投げ出さず読んだ。 これがいつかドキドキハラハラな展開へ繋がると信じて。 そして、やっと最後に近くなってから、先が読みたくてウズウズする感じになり…中巻へ!
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遠未来を舞台にしているものの、どこか懐かしく民俗学的な薫りのする世界観。読む前はボノボの生活を基にした社会形成がなされている世界の話ということだけ知っていたのだが、それは一部分の要素で、もっとスリルとサスペンスに満ちた話であった。次巻を読むのが楽しみ。
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アニメから入ったのですが、より細かな設定に感服し、これからどうなるのかわかっているのに期待が溢れます。 どうやったらこういう世界を創造できるんだろ
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主人公の子供の頃の、ある出来事に関する物語。たくさんの登場人物や、現在とは全く異なる自然、掟、教育、生物、能力の世界観がとても面白いです。情景を想像しながら読むのは少し難しいですが、ここまで異なった世界観だとそれもまた楽しく感じます。 ある地点から物語の進行速度が一気に加速するよ...
主人公の子供の頃の、ある出来事に関する物語。たくさんの登場人物や、現在とは全く異なる自然、掟、教育、生物、能力の世界観がとても面白いです。情景を想像しながら読むのは少し難しいですが、ここまで異なった世界観だとそれもまた楽しく感じます。 ある地点から物語の進行速度が一気に加速するように感じました。そして、それまでの伏線の貼り方がすごい。 私は、初版当時の分厚い上下巻で読みました。子供の頃分厚い本に憧れて購入しましたが、長い間読まずに棚の奥に。というのも、読書が苦手だった私には耐えられないくらい長い物語の序盤。世界観が全く違うので、初めは何が言いたいのか全くわからず少し退屈に感じてしまいました。 上下2巻の上巻の終わり(文庫版だと中巻の真ん中くらいかな?)に、やっと物語の幕開けという感じでお話に動きがあります。 それからは、早かったです。続きが知りたくてどんどん読み進めてしまう。退屈しながら読み進めた上巻は全て物語の伏線になっていて。最後まで読むと「この作品すごく面白い!また読みたい!」とハマってしまいました。面白いマンガって何度も読み返しますよね?それと同じ感じ。また読みたくなってしまいます。 伏線を張りつつ、こんなに世界観を広げていくお話を私は初めて読みました。(そんなに本読んでいないので、あくまで個人的感想ですが。) 現実を忘れて読みたい本です。 この本をお勧めしたい方↓ ・壮大な物語が読みたい方 ・常識に囚われないSFが読みたい方 ・時間をかけてゆっくりと進む物語が読みたい方 逆に、短期間でサラッと読みたい方や長い話が嫌いな方にはあまりお勧めしません。 この作品はアニメにもなったそうで。アニメは見たことないのですが、このお話だったらアニメになるほどの躍動感があるね、と感心しました。
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長編3部作…とは知らずに上下巻揃えて満足だった私。これから中巻を買いに行きます。 特殊な世界で産まれ育った子供たちを取り巻く独特なストーリー。前半は世界観の説明、後半はバケネズミとの戦いという構成。途中途中にある生態系の説明には若干飽きる部分もあるが、適度な緊張感と恐怖感が続き、どこに着地していくのかがどんどん気になっていく。次巻に期待。
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