災害ユートピア の商品レビュー
2010年の本。ぜひ多くの方に勧めたい良書。 - 「ロンドン大空襲」「サンフランシスコ地震」「9.11」など大災害の下で人々は、他者の利益のために積極的に行動し、互いを支え合う共同体を形成してきた。 この「災害ユートピア」を崩壊させてきたのはいつも、協力しあう市民を不気味に思う...
2010年の本。ぜひ多くの方に勧めたい良書。 - 「ロンドン大空襲」「サンフランシスコ地震」「9.11」など大災害の下で人々は、他者の利益のために積極的に行動し、互いを支え合う共同体を形成してきた。 この「災害ユートピア」を崩壊させてきたのはいつも、協力しあう市民を不気味に思う外部の権力者達だった。
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近現代の世界を代表する災害において、被災直後から復興までをつづった内容。 驚いたのは、どの災害においても、被災直後は多くの人々が冷静な避難をし、他者を助けようと復興に大きな意欲を見せたという点だ。そしてそれを悪化させるのが国の支援と政策だということも、どの災害においても似通ってい...
近現代の世界を代表する災害において、被災直後から復興までをつづった内容。 驚いたのは、どの災害においても、被災直後は多くの人々が冷静な避難をし、他者を助けようと復興に大きな意欲を見せたという点だ。そしてそれを悪化させるのが国の支援と政策だということも、どの災害においても似通っている。つまり法則がある。 災害は避難コミュニティというものを作り上げるが、本書ではそれをユートピアと呼んでいる。その地獄に生まれたユートピアが、どれだけ強力なコミュニティになり、最終的に復興する中で”まだ被災したままでいたい”と思わせてしまうほどになるのかが描写されている。 ではどのように復興したらよいかを知れるかというと、それは全く予測不可能である。災害から時間がたてばたつほど、どの災害においても法則はどんどんぶれていくからだ。 つまり、本書ではどう災害に備え、復興したらよいかということは書かれていない。災害が最終的にどこに収束するのかは結局分からない。改めて災害が全く予測不可能だということを気づかせてくれる内容だった。
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自然あるいは人為的な大災害である、サンフランシスコ地震(1906)、ハリファックス大爆発(1917)、ロンドン大空襲(1940)、メキシコシティ大地震(1985)、9.11(2001)、ハリケーンカトリーナ(2005)などで被災したした人々がいかに利他的に振る舞い、助け合いを行...
自然あるいは人為的な大災害である、サンフランシスコ地震(1906)、ハリファックス大爆発(1917)、ロンドン大空襲(1940)、メキシコシティ大地震(1985)、9.11(2001)、ハリケーンカトリーナ(2005)などで被災したした人々がいかに利他的に振る舞い、助け合いを行い、愛に満ちたコミュニティを成立させたかの記録だ。大惨事になると人間は利己的になり、パニックに陥り、未熟な精神を吐露し野蛮にあるという思い込みがあるが、それは真実からほど遠いとし、むしろパニックはエリートが陥ると説く。 --引用開始-- コロラド大学の自然災害センターを率いる災害社会学者キャスリーン・テアニーはカルフォリニア大学バークレイ校1906年の地震の100周年記念に講演を行い、聴衆をとりこにした。その中で彼女は「エリートは、自分たちの正当性に対する挑戦である社会秩序の混乱を恐れる」と主張した。彼女はそれを「エリートパニック」と呼び、パニックに陥る市民と英雄的な少数派という一般的なイメージを覆した。エリートパニックの中身は「社会的混乱に対する恐怖、貧乏人やマイノリティや移民に対する恐怖、火事場泥棒や窃盗に対する強迫観念、すぐに致死手段に訴える性行、噂にもとを起こすアクションだ」。 --引用終了-- このような考えがより多くの災害を生み出したとしている。この中でも記憶に新しいのは、ニューオーリンズのハリケーンカトリーナだ。このとき米国政府は被災者の救済より治安の維持を目的として州兵や警察を投入し、緊急時の調達というべき物資の確保を略奪(特にアフリカ系米国人の場合)と扱い、マスコミで尾ひれがついてニューオーリンズは無法地帯とされ救援が遅れたとある。その詳細な描写はとても文明国とは思えない酷い状況だ。 スリーマイル島の原発事故でも、エリートたちは住民がパニックになるのを恐れて、原子炉がどんなに危険な状態にあるかを公表しなかったとあった。世界から賞賛されるまじめで規律正しい国民を有する我が国の政府は。。。
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立ち読み程度で何なんですが、渋谷のリブロで平積みされていて、とても興味がある。すでに一冊買ったあとなので、次の機会に買うことにします。 (20110322)
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