災害ユートピア の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
災害後、ユートピア的な空間が突如現れる。その事例がずらずらと並べられている。ただ、立ち上がる(可能性がある)ことは分かるが、その後は分からない。翻訳本であり、冗長で少し読みにくい。
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「災害」と「民主主義」という一見奇妙なこの2つのことがらを関係づけて考察しているのが本書である。 災害時に既存の権力関係が失われた時、被災者はたがいに協力しあう。 その時、非常に優れた共同体が発生すると著者は主張している。 【長崎大学】ペンネーム:坂本真一
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すんごく面白かった。 災害以後の私たちの突発的な活動を、ここまで一般化して言葉にできるなんて。 でも、あくまで災害を体験した私たちの行動は、突発的で、偶然性にあふれていると思うけれど。
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今、これを読むと震災と関連させずに読むことは難しい。震災直後に買って途中まで読んだあとずっと放置だったが、今日ようやく読了。 大きな災害が起こると、そこに暮らす一般の住民はどうなるか?ハリウッド映画などでは住民はパニックを起こして我先にと逃げまどう、殺人、レイプ、略奪などが横行...
今、これを読むと震災と関連させずに読むことは難しい。震災直後に買って途中まで読んだあとずっと放置だったが、今日ようやく読了。 大きな災害が起こると、そこに暮らす一般の住民はどうなるか?ハリウッド映画などでは住民はパニックを起こして我先にと逃げまどう、殺人、レイプ、略奪などが横行して無法状態になる、みたいな風に思われがちだが、実際、ハリケーンカトリーナやサンフランシスコ大地震などを詳しく見てみるとそうではない。自発的な住民のコミュニティーがうまいこと機能し、逆に中央集権的な組織体制は役に立たない。そこで立ち上がる自発的なコミュニティーでは普段、近所に住んでいても関わりのないような人たちが自然と団結して、とてもいきいきとした関係が築かれる。というのが本書の大体の内容。 著者はただし、そのコミュニティーが永続的なものではなく、ある程度災害から復興したら普段のよそよそしい関係に戻ってしまうということも分かっている。それは災害時に現れるつかの間のユートピアのようなものだというわけだ。 もちろん災害を肯定するわけではなく、可能な限り防ぐべきである。しかし、そういう時に自発的に現れる、分散型のネットワークは非常に有効に機能するということだ。 中央集権的な体制は想定外の災害に弱いというのは今回の震災でも感じるところ。災害時に現れるコミュニティーのモデルは永続的なものでないにしろ、危機管理体制として分散型のネットワークを築いていくことは重要なのではないかと感じた。 観念的でなく、いくつかの災害の事例の調査を元にした実証的な書き方なので、読みやすいと思う。
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私のブログへ http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=3909400
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災害が起きた場所では,パニックが起きて犯罪が多発して…というふうにならないのは日本人だからなのか…。そうではないようです。災害が起きた場所では,行政が動く前に市民達が自主的に判断し,行動し,そして真っ先に命を救おうとします。自分の時間と財産を削ってでも人様の役に立とうとします。...
災害が起きた場所では,パニックが起きて犯罪が多発して…というふうにならないのは日本人だからなのか…。そうではないようです。災害が起きた場所では,行政が動く前に市民達が自主的に判断し,行動し,そして真っ先に命を救おうとします。自分の時間と財産を削ってでも人様の役に立とうとします。 今までの大きな災害現場では,「そんな世界=ユートピア」が出現することが多いと著者はいいます。 今回の東北大震災でも,それは同じだったようです。 この相互の助け合いの心が日常に拡大していくことはないのでしょうか? いろいろと考えさせられる本でした。
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大地震やハリケーンの災害の極限状態において、政府を頼らず市民による相互補助組織が形成される現象を、過去約100年にさかのぼって紹介している。 出だしに、極限状態の人間はパニックに陥り野蛮になると思われるが実は人間は利他的に行動するのだ、という”意外性”が語られているのに興味を持...
大地震やハリケーンの災害の極限状態において、政府を頼らず市民による相互補助組織が形成される現象を、過去約100年にさかのぼって紹介している。 出だしに、極限状態の人間はパニックに陥り野蛮になると思われるが実は人間は利他的に行動するのだ、という”意外性”が語られているのに興味を持った。前提として、パニック、野蛮になるという想像はハリウッド的な考えだなぁという印象。 過去の事例を通して何が描かれているのか知りたいと思ったのですが、この作者の文章を読む力が私には足りず、途中で断念、、、。
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大爆発、大地震、大洪水、巨大なテロ。 いつもそこには、ユートピアが出現した。 人間は大惨事に直面した時、利己的になり、パニックに陥り、退行現象が起きて野蛮になるという一般的なイメージがあるが、実際はそうではないらしい。 綿密な社会学的調査の結果、緊迫感、目的意識、連帯感、遭遇した...
大爆発、大地震、大洪水、巨大なテロ。 いつもそこには、ユートピアが出現した。 人間は大惨事に直面した時、利己的になり、パニックに陥り、退行現象が起きて野蛮になるという一般的なイメージがあるが、実際はそうではないらしい。 綿密な社会学的調査の結果、緊迫感、目的意識、連帯感、遭遇した危機に喚起され、心を揺さぶられ、行動へと突き動かされる人が多いのだそうだ。 苦痛とは正反対の地獄から入るパラダイスという例えに特別な共同体とはいったい何かと考えさせられた。
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災害を革命になぞらえた見方。おもしろい。「数え切れないほど多くの決断をする数え切れないほど大勢の人々の分散した力のみが、大災害には適している。災害がエリートを脅かす理由の一つは、多くの意味で、権力が災害現場にいる市井の人々に移るからだ」
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原題は「A Paradise built in hell」。サンフランシスコ地震、ハリケーン・カトリーナ、9・11テロの時に、人々がどのように行動したかが背景、アナーキズムなど社会思想とともに描かれるノンフィクション。 「大災害は不幸なものだが、時にはパラダイスに戻るドアにもな...
原題は「A Paradise built in hell」。サンフランシスコ地震、ハリケーン・カトリーナ、9・11テロの時に、人々がどのように行動したかが背景、アナーキズムなど社会思想とともに描かれるノンフィクション。 「大災害は不幸なものだが、時にはパラダイスに戻るドアにもなりうる」(P13)。 災害の時は、政府に代わって、それに立ち向かう「パラダイス」というべきコミュニティが立ち上がる。それは何故か? 1906年のサンフランシスコ地震で最も素晴らしかったのは、人々の対処の仕方だった。一方、2005年のハリケーン・カトリーナでは、市民の略奪行為が起こった。 必ずしも、「パラダイス」が生まれるわけではない。ただ、自然災害では、個人よりも組織の方が問題を起こしやすいと、筆者は指摘する。統治できなくなったことに対する不安に対する行動「エリート・パニック」というものである。これは関東大震災でも同様なことが起こっている。 中国では、「治者は天命によって国を治める」と言われる。逆にいうと、災害が起こるのは治者の徳がないからだ、ということになる。 徳と天災には因果関係はないと思うので、この意見には同意しないが、ブッシュ政権が崩壊したのは9・11テロではなく、カトリーナに対する対処が後手に回ったことであった。 ニューオリンズでは堤防が決壊し、多くの街が水没した。当時の大統領、ブッシュは「誰一人、あの堤防の決壊を予測したものはいないだろう」と発言。その後、堤防の脆弱性を認識していることを裏付ける発言が明らかにされるなど政権への支持が大きく落ち込んだ。 東日本大震災にもリンクするような事柄が数多く紹介されている。災害後は社会的にも、システムにも大きな変革が起こる。未曾有の大震災を経験した私たちは「ユートピア」を構築できるだろうか。
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