電通とリクルート の商品レビュー
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今回は、博報堂の恩師でもある山本直人先生の新刊「電通とリクルート」です。 電通とリクルートという強烈な個性を持つこの2社を通して、今までとそしてこれからの広告の役割について展開されています。常に繰り出される山本氏の独特の視座と深い洞察力は、さすがの一言です。 両者の決定的な共通点として「企業の情報を加工して届ける」というプロセスに付加価値を創造してきたこと、また「情報の流れの元栓をしっかり押さえてきたこと」としています。また、その一方でその付加価値創造のプロセスにおいて両者には大きな違いがあり、 電通が行ってきた広告を「発散志向広告」:商品についての拡声と伝達、リクルートが行ってきた広告を「収束志向広告」:消費行動(収束)へのガイドと位置づけ、同じ広告を扱うという巨人ながらもスキルや広告対象が異なる分野で各々が成長してきたことを論じています。 「モーレツからビューティフルへ」「ディスカバージャパン」などの70年代に広告代理店が世の中の空気をある意味形成してきた時代から比べると、広告代理店の仕事は今まで得意としてきた「定義の書き換え」から、「リアルの追求」を求められているし、提供し続けてきたように思います。それは今まで生活者に新しい価値観を先導して提供してきた立場から、既に存在し、かつ多様化している価値観をリアルに発見しそこに当てていく立ち位置に変わってきてしまったかと思います。リアルな分析と、リアルな結論と、リアルな結果から導きだされた更なるリアルな分析を高速回転させていく。このPDCAサイクルを高速回転する業務は、ややもすると広告代理店不在でもできてしまうことかもしれません。 しかし震災を経験し、生活者も広告主もメディアも確実に大きな変化を遂げることがわかっている今、新しい空気、新しい思想を日本に吹き込むことができるかどうかが、広告代理店また個人個人に求められているのではと感じます。衣食住足りた後の「心の復興」は、かつて時代の空気を先導して作ってきた広告代理店が担うべき領域かと。このPDCA+αを追い求めていくことこそが今こそ必要なのではないかと本書を読んで感じ至りました。 震災前に書かれた本ですが、震災後に読んで個人としてのこれからを考えさせられました。 山本先生、ありがとうございます!
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拡散情報の電通。欲望をCMで世の中全体に拡散して喚起していく。 収束情報のリクルート。欲望を購買に情報誌で収束させていく。 という対比軸の設定がおもしろい。 広告はすべてソーシャルや検索連動になるというのではなく、やっぱり拡散型広告と収束型広告は常に必要だ。ネットは収束型を担...
拡散情報の電通。欲望をCMで世の中全体に拡散して喚起していく。 収束情報のリクルート。欲望を購買に情報誌で収束させていく。 という対比軸の設定がおもしろい。 広告はすべてソーシャルや検索連動になるというのではなく、やっぱり拡散型広告と収束型広告は常に必要だ。ネットは収束型を担うが拡散型は引き続き重要だとおもう。 東北のモノをみんなで買おう、という時代的気分をつくりだすのはまさに拡散型広告の真骨頂。
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広告の、そして営業の雄と言われたかつての2大巨頭に関する本。広告は、そのデザインのみならず、消費者に対しその購買意欲を感化する目的を内在している。しかしながら、昨今では若者の消費傾向が変わったからか、そのアプローチの仕方も従来ほどは機能しなくなってきている。若者にとってはやはり、...
広告の、そして営業の雄と言われたかつての2大巨頭に関する本。広告は、そのデザインのみならず、消費者に対しその購買意欲を感化する目的を内在している。しかしながら、昨今では若者の消費傾向が変わったからか、そのアプローチの仕方も従来ほどは機能しなくなってきている。若者にとってはやはり、それがおりなす物語であったり、それに付随する付加価値に対して、消費する傾向があると言える。ただ、そうはいっても2つの会社においては、名だけでなく、その与える影響もまだまだ強い。多くの大衆をCMにおいて引きつけた電通。ニッチな市場を開拓し、その営業力で新たな広告戦略を確立したリクルート。これからも、両社においては更なる進化が求められていると言えそうである。
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前半の電通とリクルートの生い立ち、マーケットでの位置づけなどわかりやすく書かれているが、後半はいまいち。
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電通は「発散型広告」リクルートは「収束型広告」この2点を対比させながら日本の広告史を振り返り・教えてくれる。 期待してたのとは少し違ったけど、「発散型広告」「収束型広告」を軸に今後のコミュニケーションのあり方を考えられたのは良かったと思う。 より大衆が自ら選択する時代。1人1...
電通は「発散型広告」リクルートは「収束型広告」この2点を対比させながら日本の広告史を振り返り・教えてくれる。 期待してたのとは少し違ったけど、「発散型広告」「収束型広告」を軸に今後のコミュニケーションのあり方を考えられたのは良かったと思う。 より大衆が自ら選択する時代。1人1人の欲求にあったコミュニケーション・レコメンドをしていななくては!
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広告の役割は「人々の辞書の書き換え」 電通=マス志向=発散型 リクルート=個志向=収束型 モノを買う理由 1 新規性 2 合理性 3 ストーリー性(ふさわしさ)
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※このレビューにはネタバレを含みます
【電通=買う人が納得する「発散志向広告」/R=稼ぐ人が納得する広告「収束志向広告」】カスタマー主体・発信の広告論が多い中、面白かったのは二つの企業を対比しながら、情報ビジネスの歴史を追う点。 自立した人生の実現を後押ししてきたRのサービスについて、「情報は未来を約束しない」と受け手に釘差し。広告側だけに非をなすりつける論も、リクナビに踊らされる大学生を嘲笑するでもなく、あくまでも「提供された情報」として向き合うことなんだということ。自分のストーリーは「外注」などできないのだ。 ただ、もっと電通とRをボロクソに言っているのかと期待して手に取ったので(笑)、★★★★。最近読んだ広告論にはないタイプの視点が新鮮だった。
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★主題は不明だがところどころに納得★たまたま目に付いたので、書店でざっと立ち読み。消費社会論ではないというが、それ以上のものはよく分からなかった。興味深い指摘は、 ・電通は広告を発散させ、リクルートは収束させる。対象はいずれも不特定多数だが、電通は様々な選択肢を選びうるなかでの候...
★主題は不明だがところどころに納得★たまたま目に付いたので、書店でざっと立ち読み。消費社会論ではないというが、それ以上のものはよく分からなかった。興味深い指摘は、 ・電通は広告を発散させ、リクルートは収束させる。対象はいずれも不特定多数だが、電通は様々な選択肢を選びうるなかでの候補を提示、リクルートは職というひとつの目的に絞り込ませる ・広告とは意味の書き換え。例えば、うなぎ→土用の丑の日、新幹線→クリスマスエクスプレス ・「感動をありがとう」は期待通りのことを確認できたことに対するお礼
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電通とリクルートを題材に日本人の価値観を論じた本。 電通を発散型、リクルートを収束型と定義づけ、それぞれの盛衰とともに、働き、稼ぎ、消費してきた日本人の変異を描いている。23歳の自分にとっては戦後からバブル期までとは何だが昔の話の気もするが、面白い観点ではある。書いているのが、...
電通とリクルートを題材に日本人の価値観を論じた本。 電通を発散型、リクルートを収束型と定義づけ、それぞれの盛衰とともに、働き、稼ぎ、消費してきた日本人の変異を描いている。23歳の自分にとっては戦後からバブル期までとは何だが昔の話の気もするが、面白い観点ではある。書いているのが、博報堂出身者で目線が見上げ気味なのも面白い。 「情報通信業界」で働く上では見逃せない点であるし、広告の教科書として勉強になった。とりあえず、著者が日本大好きなのも評価。 たしか新宿紀伊国屋で購入。したはずだ。
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淡々とした内容ながら、さらっと読めた。 マス広告⇒小衆•分衆⇒情報誌⇒Web•ターゲッティング という世の中と広告の移り変わりが、理解できた。
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