遮光 の商品レビュー
この著者の小説は暗くて好きだけど、この本の主人公の行動は理解できなかった(共感できなかった)。 ただ、あとがきを読んで、筆者が描こうと思ったことは理解できた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
不器用に生きているのに必死さがなく、どこまでも自分を第三者的に見続けている男の話である。現実との境が無くただ生きている。これが書かれたのは2004年の作品であるが、今も続いている若者たちの生きるための目標も目的も失った世界を書いている。 主人公の男は、どこまでも他人からの目線で自分を見ているため、喜怒哀楽に、他人が思いを感じることが出来ない人物だったが、恋人を失ったことで現実との境に苦しんでいる状態を描いていた。 結局新な道を探すことも出来ないでものがたりは終わってしまうが、これを読んでいるとちょっとした意識の持ち方、何かに気づくことを考えられれば、もっと変わった人生を送れたのかもしれないと考えてしまった。 ◇購入
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ぬめっとした不快感というか,じわっとくる恐怖感というか, 始終もやもやした感じで読まざるを得なくって, それは本を読むにはとても新鮮な感覚だった.
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演技をしている。常にもう一人の内側の自分が冷静に自分の演技を見ている。そういうことなんだよな。 中村さんは人間の奥底の見逃さないと生きていけない部分を決して見逃さず言葉で表現してしまうとんでもない方だ。
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嘘にまみれた言葉と、むき出しの心理描写。フィクションのようでいて、とてもリアル。ショッキングで、ちょっと忘れられそうにない…。
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デビュー作「銃」と同じように、ある特殊なものを持ち歩くという設定は、周囲のものとの明らかな乖離を印象付けます。 「普通の家庭だった」と語る青年の過去は当然「普通」ではなく、両親を事故で亡くし、白いワゴンに乗った里親に引き取られますが、その家庭も長くは続かなかったようです。 ...
デビュー作「銃」と同じように、ある特殊なものを持ち歩くという設定は、周囲のものとの明らかな乖離を印象付けます。 「普通の家庭だった」と語る青年の過去は当然「普通」ではなく、両親を事故で亡くし、白いワゴンに乗った里親に引き取られますが、その家庭も長くは続かなかったようです。 心の空洞を埋めることなく生きてきた青年のやるせなさが重くのしかかります。 彼のように自らの陰の部分に正面から向き合う作家が大衆に受け入れられにくいのは、多くがそういう陰の部分を持ちえていないからなのか、それとも向き合うことが怖いのか。彼の作品を読むとそんなことを考えます。 中村くんがこれからどうやってその陰の部分から抜け出していくのか。これからも見守っていきたいです。新作「王国」も早く読んでみたいです。
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虚言癖の主人公が、恋人の死の前で、「演技」をしながらある行為を働き、それからも「演技」を通して知人などと振る舞う。狂いの中で見出す純愛。 この作品も、過去のトラウマPTSDに通ずるものがあり、この作者が得意とする狂気、暗澹などの文法で世界を作っています。 ただ、やはり最初に読んだ...
虚言癖の主人公が、恋人の死の前で、「演技」をしながらある行為を働き、それからも「演技」を通して知人などと振る舞う。狂いの中で見出す純愛。 この作品も、過去のトラウマPTSDに通ずるものがあり、この作者が得意とする狂気、暗澹などの文法で世界を作っています。 ただ、やはり最初に読んだのが「土の中の子供」であったので、個人的にはこの評価です。
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彼の書く文章に救われている。 救いのない話なのに。 何が自分の本心かわからないまま嘘を吐き続けて、目の前のものに現実感が持てなくなって、自分で自分が止められなくなって、狂ってると言われて、笑いが止まらなくなって、吐き気がする。
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暗くて怖いけど早く次を読みたいと思った。文章の書き方に引き込まれて意外とすぐに読みおえた。 そして、色々共感できるところもあった。
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恋人の指に執着する、一人の男の物語。 作品全体が狂気に包まれていて 独特の雰囲気。 ある意味、名作かも。
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