1,800円以上の注文で送料無料

遮光 の商品レビュー

3.6

211件のお客様レビュー

  1. 5つ

    33

  2. 4つ

    70

  3. 3つ

    71

  4. 2つ

    12

  5. 1つ

    2

レビューを投稿

2013/02/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

”銃”に続いて今度は死んだ彼女の”指”を大事に抱える主人公。最後に主人公の狂気が炸裂ー と、展開が前作と似ているのは途中からそんな気がしてたけど「あぁ...」ってなる。 でも1番は"純文学"って何なのか、理解できない自分の力不足です。

Posted byブクログ

2013/02/07

人間の弱い部分が見事に描かれてはいるんだけれど、読んでいる途中も読み終わった後もなんだかどんよりしてしまいました。

Posted byブクログ

2013/02/04

事故死した恋人の指を小瓶に入れ持ち歩く虚言癖の青年。愛するが故の異常行動なのか、これが本当の純愛なのか。 作者の自己解説にもあるとおり、現代の平均化された小説群の中で、異質だが読者の読み取る力を試される作品と思う。偉そうに言う私も読書力の無さを認識した。

Posted byブクログ

2012/12/24

身近なヒトの死を経験することにより、所謂「普通」とは異なる状況置かれてマイノリティとなった「私」。そんな「私」のつく様々な嘘(美紀がアメリカ留学に行ったことだけではなく、自分が「さもそのように思っている」と敢えて錯覚するという偽りを含めて)は、ありふれた「普通」さの渇望に思える。...

身近なヒトの死を経験することにより、所謂「普通」とは異なる状況置かれてマイノリティとなった「私」。そんな「私」のつく様々な嘘(美紀がアメリカ留学に行ったことだけではなく、自分が「さもそのように思っている」と敢えて錯覚するという偽りを含めて)は、ありふれた「普通」さの渇望に思える。 典型さ、フツウさを求めるということは、自分を含めたマイノリティに共通の心理かもしれない。街行く人々が当たり前に持っている(少なくとも持っているものと思っている)典型さを自分が持てないことに対する不条理、それを嘘で塗り固め、本来とは異なる自分を演じることになる。その歪みが「私」を精神的に追い詰めたのか。そしてまた、それがあの「指」に象徴される「憂鬱」だったのか。

Posted byブクログ

2012/12/08

小説全体をおおう切なる感じに、何度か泣きそうになりました。 主人公にとって嘘をつくことは、自分の異質性や現実世界への違和感が表に飛び出さないような膜を張って、その中に自分を安置することのように思えました。現実を照らし出す太陽光をさえぎるもの。衝動的に何かをしても、演技だと自己暗...

小説全体をおおう切なる感じに、何度か泣きそうになりました。 主人公にとって嘘をつくことは、自分の異質性や現実世界への違和感が表に飛び出さないような膜を張って、その中に自分を安置することのように思えました。現実を照らし出す太陽光をさえぎるもの。衝動的に何かをしても、演技だと自己暗示をかけて、膜を死守しているかのようでした。死という圧倒的な事実の前であがく姿が、本当に切なかったです。 この作家の小説を初めて読みましたが、とても純粋な方なのだろうな、という印象を受けました。他の作品も読んでみたいです。

Posted byブクログ

2012/11/20

非常に癖のある作品です。死んだ彼女の指を持ち歩く虚言癖の主人公、その鬱屈した自身の解放がどこまでもない、光に顔をしかめるしかないことに心が締め付けられます。しかもこの在り様はくっきり暗転した抗えない形としてどうすることもできません。この異彩を放つ作者をこれからも注目していきたいと...

非常に癖のある作品です。死んだ彼女の指を持ち歩く虚言癖の主人公、その鬱屈した自身の解放がどこまでもない、光に顔をしかめるしかないことに心が締め付けられます。しかもこの在り様はくっきり暗転した抗えない形としてどうすることもできません。この異彩を放つ作者をこれからも注目していきたいと思います。

Posted byブクログ

2012/10/28

隣室と間違えて部屋に入ってきたデリヘルの女、美紀。そんな成り行きから付き合い始めた2人だが子供のように喜ぶ美紀に知らず知らず依存していた私は、彼女の事故死を周りに告げられず虚言を撒き散らしながら日々を過ごす。 事故で亡くなった彼女の遺体から指を持ち帰ってホルマリン漬けにして持ち...

隣室と間違えて部屋に入ってきたデリヘルの女、美紀。そんな成り行きから付き合い始めた2人だが子供のように喜ぶ美紀に知らず知らず依存していた私は、彼女の事故死を周りに告げられず虚言を撒き散らしながら日々を過ごす。 事故で亡くなった彼女の遺体から指を持ち帰ってホルマリン漬けにして持ち歩く主人公は不気味で哀しい。 中村氏の作品を読むのは二作目だけどやっぱり暗い…芥川賞作家とは相性悪いのかなぁ… 上手いんだけど積極的に読みたいお話ではないなぁ。

Posted byブクログ

2012/08/27

 何だか不思議な文章でした。  自分の話す「嘘」を本当の事のように錯覚し、自身が信じてしまう。。。彼は本当の自分を知らないまま成長してしまったのか?  恋人の死を受け入れられない彼の異常な行動も、理解できそうもありません。  自分自身の言葉に翻弄させられる青年。そんな主人公の背...

 何だか不思議な文章でした。  自分の話す「嘘」を本当の事のように錯覚し、自身が信じてしまう。。。彼は本当の自分を知らないまま成長してしまったのか?  恋人の死を受け入れられない彼の異常な行動も、理解できそうもありません。  自分自身の言葉に翻弄させられる青年。そんな主人公の背中を丸めた後ろ姿ばかりが連想されて、胸が苦しくなりました。  「人生って何?」そんな言葉を思い出しながら、悲しい気持ちで読了でした。

Posted byブクログ

2012/08/19

限りなく5に近い★4つです。 いや~… まじでこの人すごい。 24でこの世界観、完成度の作品を書くとは本当にすごい人が現れた。 個人的な好き嫌いはあろうかと思うが、 少なからず読書をするものであれば、 この小説が(というか作者が)他とは明らかに違うということがわかると思う。...

限りなく5に近い★4つです。 いや~… まじでこの人すごい。 24でこの世界観、完成度の作品を書くとは本当にすごい人が現れた。 個人的な好き嫌いはあろうかと思うが、 少なからず読書をするものであれば、 この小説が(というか作者が)他とは明らかに違うということがわかると思う。 大衆文学やら純文学のそもそものカテゴリ分けなどは知ったこっちゃないが、 もし分けるとするならば大衆とは一線を画するのは必至だ。 限られた登場人物、限られた場面、 進展しない物語の中、 ここまで世界が広がる小説こそ、私が読みたい小説であり、 本当の物語は外にではなくやはり内にあるのだと、 改めて思い知った。 本作は、恋人を失った虚言癖の男がその恋人の指と共に行動を共にするという かなり変わった物語であるが、 その異常性如何よりも、陰鬱なものを秘めながら社会と関わる姿に全てがあるように思えてならない。 タイトルが『指』とかでないのも、重点がそこではないことを物語っていると思う。 虚言癖でありながら、簡単に狂人然としないところにも好感を覚えた。 小説でもリアルでも、簡単に人が狂いすぎる昨今だから。

Posted byブクログ

2012/08/12

書かれている物事や、言葉の遣い方は共感できるものなのだけど、今このタイミングで読んだから引っかからなかった。なので★ふたつ。 主人公が世界に対し誠実であろうとするほど、彼の欠落や壊れた感情が浮き彫りになって、思考が内へ内へと閉じていき外界を遮断していく、誠実さが狂気を招くっていう...

書かれている物事や、言葉の遣い方は共感できるものなのだけど、今このタイミングで読んだから引っかからなかった。なので★ふたつ。 主人公が世界に対し誠実であろうとするほど、彼の欠落や壊れた感情が浮き彫りになって、思考が内へ内へと閉じていき外界を遮断していく、誠実さが狂気を招くっていう話、かな。本当にタイミングさえ合えば嵌る作品、作家だと思う。他のも読む。

Posted byブクログ