遮光 の商品レビュー
恋人を異常に愛しすぎた男の話。正直くら〜い人間で、瓶と嘘で自分を固めて行く。 しかし、この主人公の内面がしっかり書かれてて、暗い話だけどむさぼり読んじゃう。 さ〜もうすぐ読み終わります。ラストはどうなるのかな??
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恋人を事故でなくした主人公。でも周囲の友人にはアメリカに行っていると嘘をつき続ける。小さい頃の体験の影響からか、そうでなくてもそう見えるような「振り」をすることが多くなり、いつしかそんな自分に陶酔するようにもなった。しかし、自分の言動のどれが芝居でどれが芝居でないのか区別がつかなくなる。
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とても主人公に対していらだちを持った一冊だった。 なんなんだろう。 虚言をして演技をすることで中の自分を偽り上手く社会に順応しようとしたが過去のつらい経験をのりきれずに精神不安定になってしまったみたいな感じだろうか。で、太陽からの直接的な日光から虚言で光をさえぎるという意味で遮光なのかな うーん。 まず、そのどうしようもなかったんだみたいな姿勢がむかつく。甘えじゃないか?うまく演技をして社会に順応するなんて別に彼に限らず社会に生きる以上多かれ少なかれやることだし、そのせいで壊れてしまったんだ、て、、、、そこをうまくコントロールできるように努力する姿勢はないのか。さらにその演技・虚言をひきとってくれた男?に帰責する場面があったが、彼に対する感謝もひねくれている。彼のいっていることは本当に正論だし、主人公のことを考えていたし、彼の言ったことを主人公はもっと考えるべきだった。なんで彼がそのようなことを行ったのかもっと考えるべき!どうしてそうひねくれて受け取るんだろう。中学生ならまだしも高校生・大学生になったらその考えを改めることのできる年齢ではないだろうか。 普通にあこがれた、て、なら最後まで何が普通か考えてその演技をつきとおしなよ!微妙に虚言にたいする不安とか壊れ切れてない部分みたいな描写を出しているのにも中途半端さを感じて気に食わない。虚言の自分と中の自分の二面性?みたいな描写も甘えてる。虚言だって自分であることは変わりないんやで。自分の本当の気持ちは違うんだ演じるしかないんだみたいな甘えた姿勢に腹がたってしまう。虚言の自分にだってきちんと責任をもつ必要があると思う。自分と向き合う努力もせず現実逃避している甘えた野郎に見えてしょうがない。 しかもそのような葛藤にたいして克服しようとする姿勢もなくどうしようもなかったんだ。。。。という態度に最も腹が立つ。過去に両親をなくし、そして今大切な依存していた彼女を亡くすというとてもショッキングな事態に見舞われたのだという、彼の精神の原因的な説明も、、なんかその原因の微妙な普通さに違和感を覚えるしたとえあまりに衝撃が大きくてもそれをのりこえる努力を多少すべきだろう。ただ言われた通りに演技するだけて、、、、自分の頭でもう少し考えろ!!と思ってしまった。 でも、すごく丁寧につくられている気がしたし、本としてはきらいではない。また機会があれば中村さんの本また読んでみよう。同じように陰鬱なのが多いと書いてあったので、またいらいらするかもしれないが。
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本当の自分と外部に対して演技をする自分。合わせ鏡の無限連鎖の中、果たして本当の自分とはどれか? 狂うことが一つの演技ならば、狂気と正気の境目はどこなのか? 暴力と狂気のラストシーンは久しぶりに背筋がぞわっ(°_°)これで☆1つプラスです。 +作者による文庫解説が実に分かりやすい。
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良かった。普通、とはかけ離れたように見えて、風邪薬のくだりや必要以上に長くなる嘘の話が現実だと気づかせる。 全てではないが今まで読んだ中村文則作品の中では一番好きだった。
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中村文則3冊目。 どんよりと、暗く、また殺人願望の話。 作品としては、いいのだけど、苦手。 『何もかも憂鬱な夜に』がかなりよかったので、似た作風ならこれは読まなくてよかったかな? 短編でさくっと終らせたほうが良いのかも。
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なんとも上手く表現出来ない。とにかく、読み始めから読み終わるまで始終、1人の男の陰鬱な内面がこれでもかとズッシリと重く、暗く流れていく。瓶の中身の説明は少しグロいし、一人称が私なのも独特さがある。両親が死に、幼少時に言われた演じて生きろという言葉がきっかけだろうが、常に自分を偽り...
なんとも上手く表現出来ない。とにかく、読み始めから読み終わるまで始終、1人の男の陰鬱な内面がこれでもかとズッシリと重く、暗く流れていく。瓶の中身の説明は少しグロいし、一人称が私なのも独特さがある。両親が死に、幼少時に言われた演じて生きろという言葉がきっかけだろうが、常に自分を偽り、演じ続ける彼。周りはそんな彼に違和感を持ち、彼女、美紀にもそうだったが、彼女には本当の自分の感情を持てたのだろうか。主人公自身も分からない感情の曖昧さが、リアリティと想像力を掻き立てる。文庫版のあとがきも興味深い。次は銃を読む。
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付き合っていた彼女を交通事故でなくし、 彼女の死を周囲に隠し、生きているかのように、 幸福な想像を語りながら暮らす、虚言癖の青年。 いつも何かを演じているような感覚を持って生きてきた青年の告白。 台詞部分の“俺”と地の文での“私”に表現される現実世界と精神の乖離。 その隙間を埋めるために、青年は嘘をつき、何かを演じ続けるのかもしれない。 彼女をなくしたことを受け入れられない青年のとった行動はかなり衝撃的だった。 それでも、彼女に対する思いだけは嘘をつけなかったという部分には、 青年の純粋さが垣間見え、暗い作品を僅かながら照らしているようにも感じた。 あとがきの筆者自身による解説がとても興味深かった。 主人公が隠して持ち歩く一本の瓶は、筆者自身の「陰鬱」でもあるなんて、ものすごく文学的、そしてちょっとだけ共感できる気もする。 この小説は24歳から25歳にかけて書いた作品らしい。 一体どんな生活をしたらこんな小説を書けるのだろうか。
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ちょっと一言いいですか。 何回気付くねん。 読んだ人なら分かると思うけど、主人公、何回気付くねん。 それはさておき、これもおもしろかったよ!銃もせやったけど、ついに……!ってなるところがたまらんのよね。
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またしても圧倒的だと感じた。 「銃」に似ているという印象。 主人公は自分の内的な多面性を意識しつつ、 どれが自分か、どれに従うべきか、いやどれに従っているのかも、 定かではなく揺れ動いているさまが非常によく描かれている。 そこでなぜだかぐいぐい引き込まれる。 そしてラストシーンで...
またしても圧倒的だと感じた。 「銃」に似ているという印象。 主人公は自分の内的な多面性を意識しつつ、 どれが自分か、どれに従うべきか、いやどれに従っているのかも、 定かではなく揺れ動いているさまが非常によく描かれている。 そこでなぜだかぐいぐい引き込まれる。 そしてラストシーンで、揺れ動いていた主人公がついに自分を定めたのか、それとも完全に乖離してしまっているのか、読者として個人的に判然とはしないままにも、揺れ動いていたものが一気に突き動かされる感覚を味わう。 そんな不思議な高揚があるまま読み終えた。 解説では作者である中村文則さん本人が「銃」と「遮光」は似ていると語っている。 その負の精神を描いている小説、個人的にどちらも好きだと思う。
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