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2022/04/21

もちろんキモとなる著者が逮捕される事件も読み応えがある。だが、私が惹かれるのは「それ以外」の名もなき人たちの肖像だった。彼らは紛れもなくこのエッセイにして痛切な自伝が描く「60年代」を生きていた。沢木耕太郎のスケッチや、村上春樹や中上健次、村上龍が描く青春を連想してしまう(おかし...

もちろんキモとなる著者が逮捕される事件も読み応えがある。だが、私が惹かれるのは「それ以外」の名もなき人たちの肖像だった。彼らは紛れもなくこのエッセイにして痛切な自伝が描く「60年代」を生きていた。沢木耕太郎のスケッチや、村上春樹や中上健次、村上龍が描く青春を連想してしまう(おかしな話だ。龍は「遅れてきた」世代のはずなのに)。ということはこの書物は著者が一皮剥けて一流のエッセイストになる、その「一皮剥ける」ために何物かを葬らなければならなかった鎮魂の書物であり、同時に哀切な文学を綴った1冊どいうことになろう

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2017/02/17

 記憶のかなたに消えていた60年代がセピアからフル・カラーになって甦ってくるような一冊。  あとがきに綴られた <あの時代に青春を生きた人間が好きなのだ> という川本氏の真情は、あの時代をさまざまに生きた人たちへのオマージュでもあるのだろう。

Posted byブクログ

2014/06/21

一雑誌記者の60年代末~70年代の思い出。 取材する側にどれだけコミットしていいものか、悩みに悩んだ様子が端々から読み取れる。 活動家たちに心情的に寄り添う部分がありながら、取材記者としての立場で彼らを見て、記事を書く。 自分自身の立場に、何かしら消化しきれないものを抱えながら...

一雑誌記者の60年代末~70年代の思い出。 取材する側にどれだけコミットしていいものか、悩みに悩んだ様子が端々から読み取れる。 活動家たちに心情的に寄り添う部分がありながら、取材記者としての立場で彼らを見て、記事を書く。 自分自身の立場に、何かしら消化しきれないものを抱えながら、やがて記者生活の終わりを迎えるきっかけとなる「ある事件」にかかわっていくことになる。

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2013/06/11
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※このレビューにはネタバレを含みます

「日本でも革命が起きると信じていた。」と、青春時代に、デモ参加などの、当時の一般的な若者程度の市民運動をしていた私の母は言っていました。 この本から、そういう時代の雰囲気が伝わってきます。 しかし、当時から、地道に市民運動をしたい人たちは、過激派の人たちのことを、わざわざ事を揉めさせる、足を引っ張るような存在と感じていたようです。 本を読んでも、私には自衛官を殺害したKの動機がわかりません。 そして、この事件が、著者がジャーナリスト生命をかけてまで犯人であるKを秘匿しなくてはならないような、大義のある事件には思えないのです。(過激派の活動家が政府機関のスパイを行ったとか、政府の要人を殺害したとか言うならともかく・・・。) でも、分かれ道で間違った選択をした人を、後から俯瞰で批判するのはたやすいですが、その渦中にいる人には、その時はそうするしかなかったのかもしれません。読後感は、ヒリヒリ痛いです。

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2013/03/26

生まれる何年も前の話。 眉間に皺が寄りっぱなし。何だか鼻の奥がツンとする。 不思議な読後感。 悲しい、のとはちゃうな。なんやろ。 映画も観たいが、止めた方がええやろか。むう。

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2013/02/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて:安田浩一」という本を読んで、今は在特会のような組織があるけど、その本に出てくるような60年代や全共闘というものが何なのか、どうして若者が死んだり闘争しなければならなかったのかを知るきっかけの一つとして、読んでみた。 概要を理解するには適していない本だったけど、「川本三郎」という人を通じて当時の一面を知ることはできた。 あとがきP212の「ミーイズムではなくウィーイズムの時代だった。誰もが他者のことを考えようとした。~」なんだなーと…

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2012/07/29

激動の60年代末から70年代をジャーナリストとして、駆け抜けた著者の回顧録の本著。 映画を観てから、原作を読みました。 近年60~70年代を総括する本が多々出版されていると思うが、これはジャーナリストとしてどうあるべきかという葛藤を含めて、どう全共闘と向き合ったのかと赤裸裸に...

激動の60年代末から70年代をジャーナリストとして、駆け抜けた著者の回顧録の本著。 映画を観てから、原作を読みました。 近年60~70年代を総括する本が多々出版されていると思うが、これはジャーナリストとしてどうあるべきかという葛藤を含めて、どう全共闘と向き合ったのかと赤裸裸に綴られている。 その他にも、カルチャーに強い著者だけにあって。映画、音楽などについても触れられているため、その時代の空気感が感じられ易くなっていた。

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2012/03/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内容紹介 ベトナム戦争、全共闘運動、そして連合赤軍事件……。騒乱の60年代末、若きジャーナリストとして著者が体験した、青春の蹉跌を描く伝説の回想録、待望の復刊。2011年、妻夫木 聡&松山 ケンイチ出演で映画化 内容(「BOOK」データベースより) 全共闘、ベトナム戦争、CCR、そして連合赤軍事件…。「政治の季節」のただなかで、悩み、翻弄されてゆく、ひとりの若きジャーナリスト。伝説の回想録待望の復刊。

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2012/02/26

映画化されているのは知っているが、映画はまだ見ていない。 小説を見つけて読んでみた。 この内容をバブル期の80年代半ばに発表した作者は、地に足が付いているなあと。 2012年の今改めて読んでも、普遍的な感情があると思う。迷いとか、エゴとか反発とか。良い作品だと思います。

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2012/02/01

原作を読んで改めて映画版は、ノンフィクション、原作あり、ということとは独立して、良い作品だと思った。

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