マイ・バック・ページ の商品レビュー
学生運動華やかなりし時代の空気が感じられます。村上春樹の『ノルウェイの森』に感じた死のにおいを、この本にも感じました。 それは1967年10月8日に起きた一人の学生の死、通称10・8(ジュッパチ)ショックを経験した人たちが共有する「死」のにおいなのかもしれません。 生きることを深...
学生運動華やかなりし時代の空気が感じられます。村上春樹の『ノルウェイの森』に感じた死のにおいを、この本にも感じました。 それは1967年10月8日に起きた一人の学生の死、通称10・8(ジュッパチ)ショックを経験した人たちが共有する「死」のにおいなのかもしれません。 生きることを深く考えたいときに読み返そうと思います。
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記者の気持ちはわかる、同じ立場なら間違いなく私も足を掬われただろう。けれどやっぱ軽率だったと思う。人を信用し過ぎ。興奮状態だったんだろうな。私も同じタイプの人間だから冷静な判断をしないと…と自戒でいっぱいです。日常生活で犯罪に染まることはないけども。
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60年代という未知の世界が記録された本。映画とはまた違った感慨があった。事件の記録と、当事者の記憶。50年後に今を振り返ったら著者の気持ちがわかるだろうか?
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内閣府参与だった松本健一さんと仙石副官房長官、川本さんは東大の同期と聞いた。あの時代への痛みを最も背負っているのは誰だろう。もちろん菅総理には何も残っているものはないだろうが。
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同世代でもさっさと就職して上手く世の中を渡ってきた人もたくさんいるというのに、不器用な人だなあ。若さゆえの純粋で、自分を曲げられない強さと脆さに痛みを感じる作品。
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安全地帯を抜け出して、自分が正しいと思う「ジャーナリスト」に泥臭く向かっていく姿・Kに疑問を感じつつも、それでも最後までKを信じる姿が青く、信じ続けたがゆえにKと共に落ちていくのがなんだか切ない。
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ノンフィクションの読み物としては興味深かったが、引き込まれるような文章力は感じなかった。自分は団塊の世代の子供世代だが、60年代のことは「団塊の世代が語らない青春時代」として、直接関係者や肉親などから聞くことがないので、各事件が繋がらない年表にはなっても、包括的なイメージは持てな...
ノンフィクションの読み物としては興味深かったが、引き込まれるような文章力は感じなかった。自分は団塊の世代の子供世代だが、60年代のことは「団塊の世代が語らない青春時代」として、直接関係者や肉親などから聞くことがないので、各事件が繋がらない年表にはなっても、包括的なイメージは持てなかった。 その「語らない理由」、「命を懸けた青春」、「無言で働く父親たち」をなんとなく理解できた気がした。 いい時代なんかじゃなかった。死があり無数の敗北があった。だが、かけがえのない“われらの時代”だった。だれもが他者のことを考えようとした。ベトナム反戦は真剣だったが、平和で安全な地域にいることの後ろめたさが拭えず過激な衝動に身を投じた人達がいた。時に同志であったはずのその人達は、人を傷付け、犯罪者となっていった。 大きな正義と矛盾のなかで恵まれた環境にいることが、自分と他人を傷付ける原因になっていた。 そんな世代が自分たちを産み、育てたとはじめて実感した。
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実は「マイ・バック・ページ」は妻夫木聡&松山ケンイチ出演でちょうど映画化されている。 映画も先日観てみたのだが、この原作本の幾つかの章をエピソードとして散りばめながらストーリーを展開。 そして映画の幹となるのは、「逮捕まで」という章になっている。 全体を通しての「どんより感」・...
実は「マイ・バック・ページ」は妻夫木聡&松山ケンイチ出演でちょうど映画化されている。 映画も先日観てみたのだが、この原作本の幾つかの章をエピソードとして散りばめながらストーリーを展開。 そして映画の幹となるのは、「逮捕まで」という章になっている。 全体を通しての「どんより感」・・・これは60年代には仕方の無いことか。 川本三郎氏は「週刊朝日」の記者であるが、映画では「週刊東都」という設定になっている。 この時代のジャーナリストというのは、ホントに命かけて果敢に取り組んでいたのだろうな・・。 原作本自体は、ドラマティックという感じでなく、川本氏の全くの回想録。 そして回想録だからこそ、話せる本当の事実がある。 「実は大変なことがたくさんあった。あんなことがあって、結局オレはこうなったんだ」 端的に言えば、こんな感じの本である。←強引にまとめすぎ。 原作本を先に読んでいる人は、「あの本をこういう形でまとめたのか」と思うだろう。 しかし映画を観た後に、原作本を読んでも・・おそらくあまり感動は無いだろうね。 (川本氏の本がつまらないということでは、決してありません。)
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映画を鑑賞後に購入。 読みやすい文体なので、一日でサクサクと読める。 私はまだ齢26で全共闘時代にはかすりもしていない。 恥ずかしながら、さほどの知識もなく、ときどきテレビ等で流れる「あの時、時代は○○だった!」的な特番でしか、この時代の知識を持ち合わせていないし、そういったテ...
映画を鑑賞後に購入。 読みやすい文体なので、一日でサクサクと読める。 私はまだ齢26で全共闘時代にはかすりもしていない。 恥ずかしながら、さほどの知識もなく、ときどきテレビ等で流れる「あの時、時代は○○だった!」的な特番でしか、この時代の知識を持ち合わせていないし、そういったテレビで流れる映像は大体、浅間山荘事件だったりするので、「全共闘=暴力的」なイメージが脳に染みついている。 その意味で、この本は私の中での全共闘時代のイメージを覆している。 また、この本の素晴らしいのは、書かれたの1988年に書かれたのにも関わらず、全く古臭さを感じさせない点である。 本のあらすじは、全共闘時代を生きた一人の雑誌記者が、若者の思想的・暴力的活動にシンパシーを感じつつ、ジャーナリストとしての立場を守るために葛藤する、一つの青春物語である。 あとがきにもあるように、この話の中心には「組織の中の個人」という極めて普遍的な問題を扱っている。川本氏は全共闘にシンパシーを感じつつも、新聞社という「組織」に守られ、安全な立場から活動を見守ることしかできない自分に常に苛立ちを感じている一方、その組織を利用することで、自らのジャーナリズム業をやりやすいようにしている。 この手の問題は現在の私たちの社会にも十分通じる点がある。 会社という組織とそれに属する自分。組織に属することで得られる効用もあるが、それによって諦めなければならない個人としてのこだわりもある。 だから、この本を読んでいても全く古臭さは感じず、むしろ身につまされる思いであった。 余談ではあるが、映画版ではこの「組織の中の個人」という問題はかなり大胆にカットされ、代わりに犯人側の視点を大いに盛り込み、この時代の若者像を深めている。 山下敦弘による演出が抜群に冴えている一方で、どこか突き抜けた感じがしないのは、その問題をうやむやにしてしまったからかもしれない。
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全共闘運動の全盛期から衰退期と重なる時代の出来事を当時新人の記者だった著者が回想したもの。 全共闘運動の結末上、話はどうしても感傷的な挫折の物語にならざるを得ない。 しかしそこには自分達が社会とどう関わっていくかという真摯な問いがあった。
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