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造花の蜜(下) の商品レビュー

3.6

31件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    2

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2025/06/19

 世評が高く、明らかに趣味嗜好に合致している。でもそんな作品に限って、いつか読もう読もう、と思っているうちに、あまりにも長い時間が経っていた、という経験はありませんか。私はよくあって、連城三紀彦のキャリア後期の代表作である本作『造花の蜜』も、私にとってそんな作品でした。読んで何故...

 世評が高く、明らかに趣味嗜好に合致している。でもそんな作品に限って、いつか読もう読もう、と思っているうちに、あまりにも長い時間が経っていた、という経験はありませんか。私はよくあって、連城三紀彦のキャリア後期の代表作である本作『造花の蜜』も、私にとってそんな作品でした。読んで何故もっと早く読んでいなかったのか、と強く後悔してしまいました。  離婚を機に一人息子を連れて実家に戻った香奈子は息子の圭太を預ける幼稚園の先生と思わしき人物から、電話を受ける。圭太がスズメバチに刺されて救急車で病院に運ばれた、というのだ。だけど本当に幼稚園からだったのか、と病院に向かう途中、幼稚園に電話すると、先生はそんな電話を掛けてはおらず、「さっきお母さんが連れていかれたじゃないですか」と言いはじめる。「だって、私、お母さんに……あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」自分とそっくりな『誘拐犯』の正体は何者なのか――これがあまりにも壮大な犯罪の幕開けだった。  上巻と下巻でここまで色合いが異なる作品もめずらしいかも、と思いました。どこまで語っていいのかとても悩みますし、とても曖昧な言い方になってしまうのですが、まさか〈誘拐〉という二字がこういう意味合いを持つとは、というひとつ目の驚きがあり、そのひとつ目の出来事さえもラストの衝撃の道具にしてしまうなんて……。主要人物はいつの間にか端役へと追いやられ、端役にしか過ぎなかった者は気付けば主演に躍り出ている。美しい文章と構造に惚れ惚れとするような誘拐ミステリでした。

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2024/04/26

あら!まぁ? 予想外の展開でした。 新しい推理小説ってやつですかね 真相は、… 長編だったんで、チョッピリ疲れました。

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2022/10/14

面白かったです。 上巻の続き…なのですが、ある意味別のストーリー。 下巻の前半は、上巻で起きた誘拐事件のからくりが明かされます。 それを語るのが犯人のうちの一人の心情と首謀者の手紙、という個人的にはあまり好きではない手法なのですが、そういった私の嗜好をもってしても面白いと思える...

面白かったです。 上巻の続き…なのですが、ある意味別のストーリー。 下巻の前半は、上巻で起きた誘拐事件のからくりが明かされます。 それを語るのが犯人のうちの一人の心情と首謀者の手紙、という個人的にはあまり好きではない手法なのですが、そういった私の嗜好をもってしても面白いと思える仕上がりでした。 独白とも言える首謀者の手紙における、感情・感性の描写の細やかさというか、繊細さというか。 下巻の後半は舞台が仙台に移り、上巻で起きた誘拐事件そっくりの事件が起きます。 被害者となる家庭の長女の手記によって記されるこの事件の真相が、とにかく痛快。 事件はさっぱり解決していないのに、爽快さを覚えるから不思議。 面白かった、と声に出して呟いた一冊です。

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2020/02/15

美しい。 文章が、トリックが、感情描写が。 犯人は、最初は色仕掛けで共犯者を操ったかのように書かれていたけど、第2の事件では違うことが分かる。 そういうのを超越した魅力が、この犯人にはある。 ただ事件が起こって、犯人を推理するだけじゃない面白さが、ミステリなんだけどその枠を軽く越...

美しい。 文章が、トリックが、感情描写が。 犯人は、最初は色仕掛けで共犯者を操ったかのように書かれていたけど、第2の事件では違うことが分かる。 そういうのを超越した魅力が、この犯人にはある。 ただ事件が起こって、犯人を推理するだけじゃない面白さが、ミステリなんだけどその枠を軽く越える。 登場人物みんなが癖があって、面白い。

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2018/04/23

これまでに経験したことのないトリック。 二重の誘拐とか、さらにもう一つ誘拐が掛かっていたり、 どうしたらこんなことを考え付くのか。 蜂の比喩など、表現も秀逸。 でも、2件目の話はどうなのだ?プロット、トリックとしては必要ありなのかもしれないが、 この話の山場はすでに終わっている。...

これまでに経験したことのないトリック。 二重の誘拐とか、さらにもう一つ誘拐が掛かっていたり、 どうしたらこんなことを考え付くのか。 蜂の比喩など、表現も秀逸。 でも、2件目の話はどうなのだ?プロット、トリックとしては必要ありなのかもしれないが、 この話の山場はすでに終わっている。あそこで終わっていても良いのでは? 詰め込んだなという感じ。

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2025/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

○ 造花の蜜(上)  「誘拐」をテーマにしたミステリ。連城三紀彦の晩年の作品である。上巻は香奈子の子である圭太が誘拐される場面から始まる。圭太の誘拐には、香奈子の父が経営する工場従業員である川田が深く関わっている。  誘拐犯は身代金を要求するのではなく、「圭太は自分の意思でここに来た。」「俺はあの子の父親だ。」と主張してくる。香奈子は山路将彦と離婚しており、圭太の父親は山路将彦だが、誘拐犯ではない。この「父親」とは一体何を意味するのか?その後、犯人はこれまでの主張を変え、圭太の身代金として5000万円を要求する。受け渡し場所は渋谷のスクランブル交差点の真ん中  スクランブル交差点での身代金の受け渡しは失敗したように思われたが、用意されていた5000万円のうち1000万円が消失していた。そして発見・救出された圭太が漏らした一言、「お母さん、この人が誘拐犯?」。失われたはずの1000万円は圭太が持っていた。これは果たして本当に誘拐だったのか?その真相とは? ○ 造花の蜜(下)  下巻では、上巻の誘拐事件の裏側が描かれる。水絵と名乗る女性が「自分が圭太の本当の母であり、香奈子から圭太を取り戻すために誘拐したい」と川田を誘う。水絵の正体は「蘭」という女性であり、彼女は川田の正体が沼田実という長野の有力者の子であることを知り、圭太の誘拐を表向きの事件としつつ、裏では川田自身を誘拐する計画を進めていた。  物語は川田の視点で描かれるが、最終的に「蘭という希代の犯罪者による華麗な誘拐事件」の全貌が明らかになる。  造花の蜜の後には短編「最後で最大の事件」が収録されている。この短編は圭太の誘拐事件をなぞるような形で、仙台のお菓子会社の息子が誘拐される。圭太の誘拐事件で捜査を指揮した橋場警部の偽物が登場し、彼を本物だと思わせる叙述トリックが仕掛けられている。物語は、父親に金庫に閉じ込められたショックで声が出なくなった少女の視点から語られるが、偽の橋場警部が途中で身代金の入ったバッグをすり替えるというトリックで誘拐を成立させる。一見簡素に見える短編だが、十分に楽しめる。さすが連城三紀彦感じる作品  人間動物園や造花の蜜など、連城三紀彦は晩年に誘拐をテーマとした傑作を立て続けに発表している。造花の蜜においては、前半部分の圭太誘拐がもう少しシンプルに描かれていれば、後半の川田誘拐事件の衝撃がより一層強くなるように思える。前半の誘拐部分が詳細すぎたため、後半で伏線の回収が不十分に感じられ、物語全体がやや散漫に感じてしまった。しかし、連城三紀彦が描く「蘭」という女性の魅力や、川田の存在のやるせなさは非常に印象的だ。全体的に見ると★3の評価で。 ○ 登場人物 小川香奈子:誘拐された圭太の母。 小川圭太:誘拐された少年。 小塚君江:香奈子が結婚生活を送っていた世田谷の家の隣人。 山路将彦:圭太の父。香奈子とは離婚している。歯科医。 小川汀子:香奈子の義姉。 小川史郎:香奈子の兄で、汀子の夫。 小川篤志:汀子の子ども。圭太より一歳年上。 高橋:圭太の幼稚園の担任。 川田(沼田実):香奈子の父が経営する工場の従業員。下巻で本名が沼田実と分かる。 坂田:製紙業者の営業マン。 山路礼子:圭太の祖母。 山路水絵:山路将彦の再婚相手。 蘭:事件の黒幕。圭太誘拐事件を表の事件とし、裏で川田の誘拐を計画する。 橋場警部:誘拐事件のプロフェッショナルな警部。 ○ 短編「最後で最大の事件」の登場人物 小杉真樹:康美の父の再婚相手。 小杉康美:子どもの頃、父に金庫に閉じ込められたショックで声を失った少女。 橋場警部:「造花の蜜」で登場した警部の偽物として蘭の部下が登場。 小杉光輝:真樹の連れ子。 サトミ:お手伝い。

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2015/08/05

下巻から主人公が変わる。というか、上巻の主要人物がほとんど出てこない。誘拐事件の本当の目的。真相。どんでん返し。面白かった。 多くの人が言ってるように最後の章は蛇足な気もする。でもこの章の橋場警部はすきかな。

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2015/04/23

後半。主人公からして変わってしまってて、同じ事件を扱っているんだけど、別の視点から綴られた新しい物語、って感もあり。前半の主人公、後半には全く登場しないし。何も起こらなかったはずの事件の裏で起きていた大問題とか、その後に引き続いて巻き起こる、一連のものとも思える事件とか、展開が目...

後半。主人公からして変わってしまってて、同じ事件を扱っているんだけど、別の視点から綴られた新しい物語、って感もあり。前半の主人公、後半には全く登場しないし。何も起こらなかったはずの事件の裏で起きていた大問題とか、その後に引き続いて巻き起こる、一連のものとも思える事件とか、展開が目まぐるしく変わるけど、その上で保たれている整合性も素敵。連城作品は初めてだったけど、面白かったです。

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2015/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

たどり着いたように思えた真実が見る角度によってまるで違う様相を呈したもう一つの真実を浮かび上がらせる。 一体どうやってこんな途方も無い物語を考えついたのか。 すごいなーと思うけどただそんなに好みの話ではなかったです。

Posted byブクログ

2015/03/05

連城三紀彦さんの本は2作目。 被害者側に見える人が犯人だったり、犯人だと思っていた人が被害者だったり… ミスリードによる人物像の変化のさせ方がとても巧い。 特に、川田の立ち位置の変わり方はすごいなあと思いました。 スクランブル交差点や雪降る高崎駅の描写なんかも素敵です。 鮮や...

連城三紀彦さんの本は2作目。 被害者側に見える人が犯人だったり、犯人だと思っていた人が被害者だったり… ミスリードによる人物像の変化のさせ方がとても巧い。 特に、川田の立ち位置の変わり方はすごいなあと思いました。 スクランブル交差点や雪降る高崎駅の描写なんかも素敵です。 鮮やかなのにくすんでいる。 映画のワンシーンのような場面がたくさんある作品でした。

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