木洩れ日に泳ぐ魚 の商品レビュー
これも次男の本棚から摘んできた1冊。 1年前、トレッキングにガイドを付けて歩いた二人。 その日以来互いに懐疑心を抱きながら口封じされるのではと恐怖心も芽生えながら最後の晩餐の日を迎える。あ、同棲してたカップルの別れの夜の話かって読んでたのですが、気になったのは山登りのほうでした...
これも次男の本棚から摘んできた1冊。 1年前、トレッキングにガイドを付けて歩いた二人。 その日以来互いに懐疑心を抱きながら口封じされるのではと恐怖心も芽生えながら最後の晩餐の日を迎える。あ、同棲してたカップルの別れの夜の話かって読んでたのですが、気になったのは山登りのほうでした。 S山地ってどこ、東北東って、日本最大級のブナ林でほぼ確定、白神山地だww 私にとっての謎解きは終わりました。で、どこ登ったんだろう?200名山の白神岳に違いない。もう妄想が止まらない。山頂には長谷川恒男が地元の子供たちと登山記念に建てた標柱があるし、なんといってもブナの原生林。保水力のあるブナの木は山を守っているところが大好きで沢山の動物が暮らせる森を作ってる。もし、木に生まれ変わるならブナがいいって思ってるくらい。大きなブナの木みつけると抱きしめてパワーをもらってます。 で、二人の心理戦はマインスイーパーしてるみたいでした。同棲してるカップルだと思ってたのに、ルームシェア? 複雑な過去が見え隠れ、ユーミンの真珠のピアスの話題。 作者は、きっとこの曲からインスピレーション得て書いたに違いない。 歌詞に倣ってピアスを彼のカバンに忍ばせる彼女。 彼女が去ったあと、いつか彼が見つけたとき何を思いだすのだろう?きっと見つけなかったことにするんじゃないかな。 結末を暗示させるかのようなピアスの行方。 読了して脳内にエンド曲が流れる勿論ユーミン ♪ブローケンハート 最後の夜明け〜 どこまで気づいて旅行の計画したのだろう。あの男に会いに行くってちょっとした好奇心だったのにふたりが求めていたものは、あくまでもドラマの予感や可能性であって、ドラマそのものではなかった訳だけど。偶然にもガイドがあの男にあたるとは、できの悪そうなドラマ展開に目をパチクリ。 S山地の謎は解けたとゆうのに火曜サスペンス劇場の展開。 事故死で片付いてるのに、これ以上関わりたくないけど、だってコミュ症で陰キャだしって身構えていました。 記憶が甦ってくるとか凄い、すり合わせていくうちに答えはすべて彼女がだしてる。彼は狡くて保身的で何も答えない。 人の不幸は蜜の味って感覚で覗きみてると彼女サイコパスかって気がしてひけるのだけど、ガイドの死に至る大胆な仮説に満足げ、こんなときドーパミンとかでてる気がするのです。 あと、自然を見て感じる幸福感はセロトニン。癒されるって感じる感覚。ついでに、人のつながりに幸福感を感じるのがオキシトシン。この3つの幸せホルモンで脳を包んでくれる文章は最高にハッピーわけなのですが・・ 恩田陸さんの文章、ときおりハッとさせられるような流麗な表現に惑わされちゃうのだけど『木漏れ日に泳ぐ魚』なんてタイトルにもビビッてくるけどなんか切ない。肩から力が抜けていくような脱力感。 でも納得したんだから後悔はないと思う。 『夜のハイキング』では異母兄弟だったけど本作では双子からのまさかの展開。危ない関係じゃないってわかったら冷めちゃってるし。詰んでしまいました。 同棲を許した彼の母親のほうは二人の関係について知ってたはずなんだけど、成行き任せだったのかな。
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読みやすくて設定も面白かったけど、人物像にリアリティがなく、いまいち響かずに終わった。 やはり恩田陸は「六番目の小夜子」が一番面白いのでは?作品すべて読んだわけではないけど。 それにしても鴻上尚史の解説がとてもお粗末だな…
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恩田陸さんの本は沢山読んできたけれど、恋愛要素が多めなのは初かもしれない。 本筋とは違う話を。 肝心なことはいつも自分から切り出して、相手は乗っかるだけ。罪悪感を感じた方がいいから感じていることにしているだけ。 昔こういう人とずっと一緒にいて、流石にもう縁を切ったけど感じていた...
恩田陸さんの本は沢山読んできたけれど、恋愛要素が多めなのは初かもしれない。 本筋とは違う話を。 肝心なことはいつも自分から切り出して、相手は乗っかるだけ。罪悪感を感じた方がいいから感じていることにしているだけ。 昔こういう人とずっと一緒にいて、流石にもう縁を切ったけど感じていたフラストレーションがありありと言語化されていて、おおお、となった。 千裕は自覚があったけど、大半の人が正式には自覚していないと思う。 というより、自覚をしていることをはっきり意識したら「あえて」逃げていることを自覚してしまい自分が悪者になってしまうから、気付いていないふりをして本当に気付いてないと思いこんでいる人が一定数いるよね。 正直この本は、何かを考えさせるというより良くも悪くもミステリーであり、それ以上でもそれ以下でもない話で尾を引くものは特になかった。あー面白かった、って感じ。 アキの気持ちが、恋愛的な意味ですごく共感できるところがたくさんあって恋愛小説を読んでいる気分でもあったかも。 何よりびっくりしたのが、私は高一のときにこの本を読んでいるらしい。全く覚えてないけど。 その時の感想一言メモにあった感想と、今回そこから大きく時を経て読んだ感想が全く違う。 ドラマとかマンガとか、中高生のときにハマってたドラマとかマンガ、大学生もそうだけど、むしろ時間が経てばいつでも、「今」読むと刺さるところも感じることも結構変わってくる。 今、私が感じたことも10年とか20年とか経った後に読むとまた違う感想を持つだろうな。 いつ読んでも新しい感想が持てる事自体、自分の経験値や考え方に変化があった歓びが、そしてそれに気が付くことができる作品に過去触れていた自分へのグッジョブがとても嬉しいなと思った。
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夜は長い 男と女がお互いを事件の犯人だと思い、それを白状させようと話が始まったある夜の物語 それから2人の関係や事件の真相などが明かされていく。 死も生の選択肢の一つという言葉に心打たれた。 片耳のピアスを持たせ、自分は彼の名前の入ったナイフをとったが、最後にナイフを捨てる...
夜は長い 男と女がお互いを事件の犯人だと思い、それを白状させようと話が始まったある夜の物語 それから2人の関係や事件の真相などが明かされていく。 死も生の選択肢の一つという言葉に心打たれた。 片耳のピアスを持たせ、自分は彼の名前の入ったナイフをとったが、最後にナイフを捨てる、地面に埋めることで一方的に彼との縁を切った感じが女の惨めさ、悪さを感じさせられた。 兄弟だと思っていたからこそ愛しあえた、禁じられた恋だったからこそ愛しあえたが、その関係がなくなった途端醒めたのは、恋愛の真理をついているのかなと思った。
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久しぶりにヒリヒリヒヤヒヤ?した。やはり恋愛が生に及ぼす影響はあまりにも大きすぎることを認識した。話の展開のテンポが良く引き込まれた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ミステリーなのかな?と思って読んだけれどなかなか刺さるわあ…。歓喜の後の地獄を察するところ。責任を取れず人に丸投げして自己嫌悪を感じておくべきだと考え自己嫌悪を感じているふりをするところ。そして解説を読んでほんとおっしゃる通りというかんじ。 かつて、僕たちはお互いをおのれの半分のように感じていた。それはある時期、真実だったのだと思う。 僕たちは無意識のうちに、互いの感情を読み取ろうとする。互いの心に触手を伸ばしあい、何かを吸い取ろうとする。 もちろん、僕はちゃんと予感もしていた。この歓喜が、翌日からは地獄に変わるということを。だから、この晩だけは歓喜に酔っていたかった。自分のために身をよじらせて苦しむ彼女の姿を目に焼き付けておきたかったのだ。 そう、私たちは何も共有してこなかった。何も共有できなかった。共有していると思っていたものは、皆幻想だった。 「あたしが今ここで――いえ、明日別れる前か、別れた後でもいい――あたしが死んだら、ずっとあたしのことを覚えていてくれる?あたしはヒロを一生繋ぎ止めることができるのかしら?」 彼が選んだあの子が。私のように彼を追い詰めない、彼を暗い顔にしない、彼を苦しめることのない、彼のお荷物になることのないあの子が。 時間切れ。私と彼との間に残されていた時間は、もうなくなってしまった。
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恩田陸のミステリーはすごい。最初の20ページでこれは絶対面白いぞと確信させる。夢中になりほぼ一晩で読み切ってしまった。 アパートの一室から場面は動かず、時折回想シーンが入るだけの場面展開なのに、ここまで惹きつけられるものがあるのか。アキの勘が優れていることを感じるほどに、アキの...
恩田陸のミステリーはすごい。最初の20ページでこれは絶対面白いぞと確信させる。夢中になりほぼ一晩で読み切ってしまった。 アパートの一室から場面は動かず、時折回想シーンが入るだけの場面展開なのに、ここまで惹きつけられるものがあるのか。アキの勘が優れていることを感じるほどに、アキのいうようにヒロは、待っているだけの狡い男だというのが見えてくる。肝心なことを避けたがるなら、肝心なことは教えてあげない。怒っていいのはアキだけ。 終盤の写真と笑顔の一節、すごく共感してしまった。あの痛みもこの苦しみも全部必要で、それがあるから今がある、この笑顔があると思いたがる。実際には切り刻まれるような痛みを負っていたのに。それはまさしく未来との共犯関係だと思った。 障害があるから燃え上がるとはよく言うけれど、それが恋が盲目な部分もあれば、こんなにも切ない場合もあるのだと、わたしはまだ愛について何も知らないのかもしれない。
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男女の関係性について考えてしまう作品でした。アパートの一室からここまで濃密なお話が出てくるとは思いませんでした!
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別れを決めた男女が、最後の夜にある事故について語り合う。愛情、嫉妬、憎悪、怒り、後悔、様々な感情が記憶とともに掘り起こされ、ある真実にたどり着く。 読んでいてヒリヒリしてくる心理戦。ミステリーなようで恋愛小説だと思う
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恋って何だろう、好きってなんだろう、結局勘違いなのかな?ミステリー要素もありつつそんなことを考えさせられるようなストーリーが、たった一晩のアパートの一室で繰り広げられる…すごく濃密な物語だった。
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