抱擁、あるいはライスには塩を の商品レビュー
世間と一線を画した、裕福だが風変わりな大家族の物語。章ごとに各人の言葉で語られていくが、複雑な家庭にも拘わらず皆温かで愛すべきキャラクターに心が和む。私は、寂しさと愛嬌を併せ持った、陽気な少年のような桐ちゃんに愛しさを感じた。 「かわいそうなアレクセイエフ」「みじめなニジンスキー...
世間と一線を画した、裕福だが風変わりな大家族の物語。章ごとに各人の言葉で語られていくが、複雑な家庭にも拘わらず皆温かで愛すべきキャラクターに心が和む。私は、寂しさと愛嬌を併せ持った、陽気な少年のような桐ちゃんに愛しさを感じた。 「かわいそうなアレクセイエフ」「みじめなニジンスキー」という合言葉が慰めあうときにひっそりと使われるのが心に沁みた。
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江國ワールド。不思議だけど魅力的なのは、やはり女性好みのはず。いろいろな時代がばらばらに配置されているが、ああいうふうにばらつかせる必要、あったのかな。中にはこの配置はなるほど、と思う部分ももちろんあるが。ラスト近く、秘密が解き明かされたり、展開に驚いたりするしかけ。タイトルは、...
江國ワールド。不思議だけど魅力的なのは、やはり女性好みのはず。いろいろな時代がばらばらに配置されているが、ああいうふうにばらつかせる必要、あったのかな。中にはこの配置はなるほど、と思う部分ももちろんあるが。ラスト近く、秘密が解き明かされたり、展開に驚いたりするしかけ。タイトルは、もうひとひねりほしかった。それくらい魅力的な言葉が小説の中にはたくさんあるから。
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ううむ。超然を絵に書いたような家だ・・・・。 言葉で心を伝えられることの幸せを感じます。学校へやられた子どもたちの受難も百合の嫁ぎ先での不幸も、言葉を使わないで生きる苦しみでした。言葉をこの家族のように、ライスに塩をかけるかのように、気軽に大事に使っていきたいものです。 大家...
ううむ。超然を絵に書いたような家だ・・・・。 言葉で心を伝えられることの幸せを感じます。学校へやられた子どもたちの受難も百合の嫁ぎ先での不幸も、言葉を使わないで生きる苦しみでした。言葉をこの家族のように、ライスに塩をかけるかのように、気軽に大事に使っていきたいものです。 大家族の構成員がかわるがわる章ごとの語り部になるのですが、最も稀有なストーリーを担っているのはきぬ(旧名オリガ)でしょう。なんと苦しく幸せな人生であったことか。 こんな人生もあるのかと、ありえるのかと、小説であることを知りつつ、何度も考えてしまいました。
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この作者が描く家族小説には、浮世離れしていて、それでもどこかに共感をいだいてしまう、不思議な空気が流れている。
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まず題名に惹かれ、本の厚みに期待し。 柳島家三世代の家族それぞれの物語が ばらばらな時系列で並んでいる。 自分に正直に自由に生きている人たちばかりで どの物語もステキだし、温かみがある。 特にお気に入りは桐叔父の外遊の話と祖母の絹の話。 もっと柳島家の歴史を読みたかった。 ラ...
まず題名に惹かれ、本の厚みに期待し。 柳島家三世代の家族それぞれの物語が ばらばらな時系列で並んでいる。 自分に正直に自由に生きている人たちばかりで どの物語もステキだし、温かみがある。 特にお気に入りは桐叔父の外遊の話と祖母の絹の話。 もっと柳島家の歴史を読みたかった。 ライスには塩を・・・自由万歳! (大人になって自由を手に入れたという意らしい)
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人間は個である。あたたかくでも奇妙な家庭があっても、優しい恋人がいても、頼りになる友達がいても、所詮は。個であることを尊重されることはなんて孤独で、でもなんて素晴らしいことか。 なかでも年老いた絹さんの独白の章は衝撃的だった。 読み終わるのがもったいないくらいの一大サーガである。
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非常に丁寧に書かれている作品だなと感じました。 ひとつの家族のの歴史的な感じの話なのですが、この家族が一般的ではぜーーんぜんないのです。 おばあさんはロシア人。おじいさんは日本人で東京の広くて古い一軒家に住んでいます。 そしてお母さんの兄弟と子供たちも一生に住んでいます。 子供4...
非常に丁寧に書かれている作品だなと感じました。 ひとつの家族のの歴史的な感じの話なのですが、この家族が一般的ではぜーーんぜんないのです。 おばあさんはロシア人。おじいさんは日本人で東京の広くて古い一軒家に住んでいます。 そしてお母さんの兄弟と子供たちも一生に住んでいます。 子供4人のうち2人は夫婦の子供だけれど、残りはそれぞれお母さんが別の男性との間にできた子供と、お父さんが別の女性との間にできた子供なんです。 そんな兄弟が一つ屋根の下に暮らしているなんて、どう考えてもドロドロな世界…。 しかし、この一家の中ではそんなのもアリなんです。 しかも子供たちは小学校に通わずに家で家庭教師がついて勉学するという生活。 なにがどうなっているんだ!!! と思いますが、この家庭ではアリなんです。 と思わせるところがすごいですね。 一章ずつが別の人たちの立場から書かれていて、しかも年代も全然違うので頭を整理しながら読むのにとても時間がかかりました。 しかしそうして時間をかけてじっくり読む作品もいいですね。 家族だけに通じる合言葉ってなんだか素敵ですね。
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トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人びと』(読んでない)や 北杜夫の『楡家の人びと』(小学生の時読んだので、内容あまり憶えていない)と比肩される、家族三代にわたる年代記。 章ごとに一人称の話者と年代が変わる構成によって、だんだんと奇妙な家族像が浮かび上がってくる。 猥雑な外界...
トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人びと』(読んでない)や 北杜夫の『楡家の人びと』(小学生の時読んだので、内容あまり憶えていない)と比肩される、家族三代にわたる年代記。 章ごとに一人称の話者と年代が変わる構成によって、だんだんと奇妙な家族像が浮かび上がってくる。 猥雑な外界から遮断された、コクーンのような洋館で展開する、家族関係の有り様が印象的。この家で暮らす、一風変わった登場人物たちの造型も面白い。
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久しぶりに江國さんの書いたものを読む。 久しぶりに本を読んだなぁ~と実感できるページ数、そして読み応えのある家族の物語。 時間軸が行ったり来たりしながら、それぞれの歩んできた時間、秘密が少しずつ解き明かされていく。 よき本に出会いました。
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昭和から平成へと流れる時代の中で、ある意味「普通」ではない家族の時の流れのを漂いながら、なんとも言えない暖かさを感じました。
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